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26.2. キックスタートを使ったインストールの実行方法

キックスタートを使ったインストールは、ローカルの DVD またはローカルのハードドライブを使用するか、NFS、FTP、HTTP、HTTPS などによって実行できます。
キックスタートを使用する場合、次の手順を行う必要があります。
  1. キックスタートファイルを作成する
  2. リムーバブルメディア、ハードドライブ、ネットワークの場所のいずれかの場所でキックスタートファイルを利用可能にする
  3. インストール開始に使用する起動用メディアを作成する
  4. インストールソースを準備する
  5. キックスタートを使ったインストールを開始する
本章では、これらの手順について詳しく見ていきます。

26.2.1. キックスタートファイルの作成

キックスタートファイル自体はプレーンなテキストファイルです。「キックスタート構文の参考資料」にリストされているキーワードを含み、インストールについての指示を提供します。ファイルを ASCII テキストとして保存できるテキストエディター (Linux システムでは Geditvim など、Windows システムでは Notepad など) は、キックスタートファイルの作成や編集に使用できます。キックスタート設定ファイルには好きな名前を付けることができますが、後で他の設定ファイルやダイアログでこの名前を指定する必要があるため、シンプルな名前にしておくことが推奨されます。
まず任意のシステムに手動のインストールを行うことが、キックスタートファイル作成の推奨方法となります。インストールが完了すると、インストール中に選択された選択肢がすべて anaconda-ks.cfg という名前のファイルに保存されます。このファイルはインストールが完了したシステムの /root/ ディレクトリーに置かれます。このファイルをコピーして、必要に応じて変更を加えると、この後のインストールでこの設定ファイルを使用することができます。

重要

Red Hat カスタマーポータルのアカウントをお持ちの場合は、カスタマーポータル Labs の https://access.redhat.com/labs/kickstartconfig/ で入手可能な Kickstart Configuration Tool を使用できます。このツールは基本的な設定を説明し、作成されるキックスタートファイルのダウンロードを可能にします。ただし、このツールは現在、高度なパーティション作成をサポートしていません。
キックスタートファイル作成用のグラフィカルツールである Kickstart Configurator は、依然利用可能です。ただし、今後更新されることはなく、Red Hat Enterprise Linux 6 から 7 へのキックスタート構文における変更を反映しません。
キックスタートファイルを作成する際は次の点に注意してください。
  • 各セクションは決められた順序で指定してください。セクション内の項目については、特に指定がない限り順序は関係ありません。セクションの順序は次のようになります。

    重要

    %addon%packages%onerror%pre%post のセクションは末尾に %end を付ける必要があります。これがないとインストールプログラムはキックスタートファイルを拒否することになります。
  • 必須項目以外は省略しても構いません。
  • 必須項目が省略されている場合は、通常のインストールと同様、その関連項目についての回答が求められます。回答を入力すると、インストールが自動的に続行されます (他にも省略されている部分があればその部分まで)。
  • 記号「#」で始まる行は、コメントとして処理されるため無視されます。

26.2.2. キックスタートファイルの維持

26.2.2.1. キックスタートファイルの確認

キックスタートファイルの作成時もしくはカスタマイズ時には、ファイルをインストールで使用する前にその有効性を確認すると便利です。Red Hat Enterprise Linux 7 には ksvalidator コマンドラインユーティリティーが含まれ、この有効性の確認に使用できます。このツールは、pykickstart パッケージの一部です。このパッケージをインストールするには、以下のコマンドを root で実行します。
# yum install pykickstart
パッケージをインストールしたら、以下のコマンドを使用してキックスタートファイルを検証できます。
$ ksvalidator /path/to/kickstart.ks
/path/to/kickstart.ks を、確認するキックスタートファイルへのパスに置き換えます。
このツールの詳細情報は、ksvalidator(1) man ページを参照してください。

重要

検証ツールには制限があることに留意してください。キックスタートファイルは非常に複雑なものになる可能性があります。ksvalidator は、構文の正確性とファイルに推奨されないオプションが含まれていないことを確認しますが、インストールが正常に行われることを保証するものではありません。また、キックスタートファイルの %pre%post および %packages セクションは検証されません。

26.2.2.2. キックスタート構文の違い

Red Hat Enterprise Linux の主要リリース間では、キックスタートを使ったインストールの全般的な原則はほぼ同じですが、コマンドおよびオプションが変更されることがあります。ksverdiff コマンドを使用すると、2 バージョン間の違いを表示することができます。これは、既存のキックスタートファイルを新しいリリースで使用するための更新をする際に便利なコマンドです。Red Hat Enterprise Linux 6 と 7 の間での構文の違いを一覧表示するには、次のコマンドを使用します。
$ ksverdiff -f RHEL6 -t RHEL7
-f オプションで比較を開始するリリースを指定し、-t オプションで比較を終了するリリースを指定します。詳細は ksverdiff(1) man ページを参照してください。

26.2.3. キックスタートファイルの準備

キックスタートファイルは次のいずれかの場所に配置しておく必要があります。
  • DVD や USB フラッシュドライブなどの リムーバブルメディア
  • インストールするシステムに接続している ハードドライブ
  • インストールするシステムからアクセスできる ネットワーク共有
通常、キックスタートファイルはリムバーブルメディアやハードドライブにコピーするか、ネットワーク上で利用できるようにしておきます。ファイルをネットワーク上の場所に置くことで、キックスタートインストールへの通常のアプローチが補完されます。通常のアプローチもネットワークベースです。PXE サーバーを使ってシステムが起動され、キックスタートファイルがネットワーク共有からダウンロードされます。そして、ファイルで指定されているソフトウェアパッケージがリモートのリポジトリーからダウンロードされます。
キックスタートファイルを準備して、インストールするシステムからアクセスできるようにする手順は、インストール ISO イメージまたはツリーの代わりにキックスタートファイルを使用する点以外は、インストールソースの準備とまったく同じになります。詳細については、「インストールソースの準備」を参照してください。

26.2.4. インストールソースの準備

システムに必要なパッケージをインストールするため、キックスタートを使ったインストールではインストールソースにアクセスする必要があります。ソースは Red Hat Enterprise Linux の完全インストール用 DVD ISO イメージまたは インストールツリー のどちらでも構いません。インストールツリーとは、同じディレクトリー構造のバイナリー Red Hat Enterprise Linux DVD のコピーです。
DVD ベースのインストールの場合は、キックスタートを使ったインストールを開始する前に Red Hat Enterprise Linux のインストール用 DVD をコンピューターに挿入しておきます。Red Hat Enterprise Linux DVD をインストールソースとして使用する方法については、「インストールソース - DVD」を参照してください。
(ハードドライブまたは USB フラッシュドライブのいずれかを使った) ハードドライブインストールを実行する場合は、バイナリー Red Hat Enterprise Linux DVD の ISO イメージがコンピューターのハードドライブ上にあることを確認してください。ハードドライブをインストールソースとして使用する方法について詳細は、「インストールソース - ハードドライブ」を参照してください。
ネットワークベース (NFS、FTP、HTTP など) のインストールを実行する場合は、ネットワーク経由でインストールツリーやバイナリー DVD ISO イメージ (使用するプロトコルによる) などにアクセスできることを確認してください。詳細については、「インストールソース - ネットワーク」を参照してください。

26.2.5. キックスタートを使ったインストールの開始

注記

inst.ks= ブートオプションを指定せずにキックスタートファイルを自動的に読み込むには、ファイルを ks.cfg という名前にして、OEMDRV のラベルが付いたストレージボリュームに配置します。
キックスタートを使ったインストールを開始するには、インストールシステムの起動時に起動オプション (inst.ks=location) を使用します。location は、キックスタートファイルの場所で置き換えます。起動オプションの具体的な指定方法は、システムアーキテクチャーによって異なります。詳細は、「22章起動オプション」を参照してください。
64 ビット AMD、Intel、および ARM システム、ならびに IBM Power Systems サーバーでは、PXE サーバーを使って起動する機能があります。PXE サーバーの設定時に、ブートローダー設定ファイルに起動オプションを追加することができます。これにより、インストールを自動で開始することが可能になります。このアプローチにより、ブートプロセスを含めたインストールを完全に自動化することが可能になります。PXE サーバーの設定方法についての詳細は、「23章ネットワークからのインストールの準備」を参照してください。
本セクションでは、キックスタートファイルがインストールシステムからアクセスできる場所に既に配置されていること、また起動用メディアまたはシステムを起動しインストールを開始することができる PXE サーバーのいずれかの準備が整っていることを前提としています。記載されている手順は、一部がシステムのアーキテクチャーによって異なるため、一般的な説明としてご利用ください。また、すべてのアーキテクチャーですべてのオプションが使用できるわけではありません (IBM Z では PXE 起動は使用できないなど)。

26.2.5.1. 手動でのキックスタートインストールの開始

このセクションでは、手動でキックスタートを使ったインストールを開始する方法を説明します。(boot: プロンプトで起動オプションを追加するなど) ユーザーとの対話形式が必要となります。

手順26.1 起動オプションを使ってキックスタートを使ったインストールを開始する

  1. ローカルメディア (CD、DVD、USB フラッシュドライブなど) のいずれかを使ってシステムを起動します。アーキテクチャー固有の詳細については以下をご覧ください。
  2. ブートプロンプトで inst.ks= 起動オプションとキックスタートファイルの場所を指定します。キックスタートファイルをネットワーク上の場所に置いている場合は、ip= オプションを使ってネットワークも設定する必要があります。インストールが必要なパッケージを置いてあるソフトウェアソースにアクセスするため、inst.repo= オプションが必要な場合もあります。
    起動オプションおよび有効な構文についての詳細は、「22章起動オプション」を参照してください。
  3. 追加した起動オプションを確認してインストールを開始します。
これでキックスタートファイルで指定されているインストールオプションを使ったインストールが開始されます。キックスタートファイルに問題がなく、必要なコマンドがすべて含まれていれば、この時点からインストールは完全に自動化されます。

26.2.5.2. 自動的なキックスタートインストールの開始

以下の手順では、ネットワーク起動 (PXE) サーバーと適切に設定されたブートローダーを使って、キックスタートを使ったインストールを完全に自動化する方法を説明します。この方法に従うと、必要な作業はシステムをオンにすることだけになります。この時点からインストールが完了するまで、他の対話形式は一切不要となります。

注記

IBM Z では PXE インストールは利用できません。

手順26.2 ブートローダー設定を編集してキックスタートを使ったインストールを開始する

  1. PXE サーバー上でブートローダー設定ファイルを開き、inst.ks= 起動オプションを適切な行に追加します。ファイル名と構文は、システムのアーキテクチャーおよびハードウェアにより異なります。
    • AMD64 および Intel 64 システムで BIOS を使用している場合、ファイル名は default またはシステムの IP アドレスをベースにしたもののいずれかになります。このケースでは、インストールエントリーにある append 行に inst.ks= オプションを追加します。設定ファイルの append 行の例を以下に示します。
      append initrd=initrd.img inst.ks=http://10.32.5.1/mnt/archive/RHEL-7/7.x/Server/x86_64/kickstarts/ks.cfg
    • GRUB2 ブートローダーを使用しているシステム (64 ビット AMD、Intel、および ARM システムで UEFI ファームウェアを使用している場合、ならびに IBM Power Systems サーバー) では、ファイル名は grubx64.cfg になります。このファイル内のインストールエントリーにある kernel 行に inst.ks= オプションを追加します。設定ファイルの kernel 行の例を以下に示します。
      kernel vmlinuz inst.ks=http://10.32.5.1/mnt/archive/RHEL-7/7.x/Server/x86_64/kickstarts/ks.cfg
  2. ネットワークサーバーからインストールを起動します。アーキテクチャー固有の手順については、以下を参照してください。
これでキックスタートファイルで指定されているインストールオプションを使ったインストールが開始されます。キックスタートファイルに問題がなく、必要なコマンドがすべて含まれていれば、インストールは完全に自動化されます。