第29章 基本的なシステムの復元

問題が発生しても、それを解決する方法はあります。しかし、それらの方法を実行するには、システムを十分に理解している必要があります。本章では、発生する可能性のある一般的な問題についての情報を扱い、さらにそれらの問題を修復するために使用できる インストールプログラムレスキューモード について説明します。

29.1. 一般的な問題

以下のような場合は、インストールプログラムレスキューモードで起動する必要があります。
  • 正常に Red Hat Enterprise Linux を起動できない。
  • ハードウェアまたはソフトウェアの問題があり、システムのハードディスクドライブからデータを回収したい。
  • root パスワードを忘れてしまった。

29.1.1. Red Hat Enterprise Linux を起動できない場合

Red Hat Enterprise Linux をインストールした後に別のオペレーティングシステムをインストールすることで、この問題はよく発生します。他のオペレーティングシステムの中には、コンピューターに他のオペレーティングシステムがないものととみなし、元々 GRUB ブートローダーを収納しているマスターブートレコード (MBR) を上書きしてしまうものがあります。このようにブートローダーが上書きされてしまうと、インストールプログラムレスキューモードで起動し、ブートローダーを再設定しない限り、Red Hat Enterprise Linux を起動できなくなります。
もう 1 つの一般的な問題は、インストール後にパーティション設定ツールを使用してパーティションのサイズ変更や空き領域を使って新規パーティションを作成する際に発生します。これにより、パーティションの順番が変更されてしまいます。「/」 パーティションのパーティション番号が変更された場合、ブートローダーはパーティションを見つけることができず、マウントできなくなることがあります。この問題を修復するには、ブートローダーを再インストールする必要があります。これを実行する方法については、「ブートローダーの再インストール」を参照してください。

29.1.2. ハードウェアやソフトウェアに問題がある場合

このカテゴリーにはさまざまな状況が含まれます。例として、ハードドライブが機能しない場合と、ブートローダーの設定ファイル内に無効なルートデバイスまたはカーネルを指定する場合を挙げることができます。これらのどちらかが発生すると、Red Hat Enterprise Linux を再起動することができなくなる可能性があります。しかし、インストールプログラムレスキューモードシステムで起動すると、問題を解決するか、あるいは少なくとも重要なファイルのコピーを取得できる可能性があります。

29.1.3. root パスワードのリセット

システムへのアクセスに使用する root パスワードを紛失したものの、ブートローダーにアクセスできる場合は、GRUB2 設定を編集してパスワードをリセットすることができます。

手順29.1 root パスワードのリセット

  1. システムを起動し、GRUB2 メニューの表示を待ちます。
  2. ブートローダーメニューでエントリーのいずれかを強調表示し、e を押してそのエントリーを編集します。
  3. linux で始まる行を探します。この行の末尾に、以下を追加します。
    init=/bin/sh

    重要

    システムの中には (特に仮想マシン)、この手順で起動する際に出力を正しく表示しないものもあります。文字や時には行全体が非表示になって、シェルの使用が難しくなる場合があります。この問題を解決するには、linux 行から rhgb コマンドを削除します。
  4. F10 または Ctrl+X を押して、編集を行ったオプションでシステムを起動します。
    システムが起動したら、ユーザー名やパスワードを入力しなくてもシェルプロンプトが表示されます。
    sh-4.2#
  5. インストール済みの SELinux ポリシーを読み込みます。
    sh-4.2# /usr/sbin/load_policy -i
  6. 以下のコマンドを実行して root パーティションを再マウントします。
    sh4.2# mount -o remount,rw /
  7. root パスワードをリセットします。
    sh4.2# passwd root
    プロンプトが表示されたら新規の root パスワードを入力し、Enter キーを押して確認します。パスワードを再度入力して正しいパスワードであることを確かめ、再度 Enter を押して確認します。両方のパスワードが一致している場合は、root パスワードの変更が成功したことを知らせるメッセージが表示されます。
  8. root パーティションを読み取り専用で再マウントします。
    sh4.2# mount -o remount,ro /
  9. システムを再起動します。これより、上記の手順で設定された新規パスワードを使用して root ユーザーとしてログインできるようになります。