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14.3. インストール後の問題
14.3.1. グラフィカルな起動シーケンスに関する問題
インストール完了後に初めてシステムを再起動すると、グラフィカルな起動シーケンスの途中でシステムが反応しなくなり、リセットが必要となることがあります。このような場合、ブートローダーは正常に表示されますが、エントリーを選択してシステムを起動しようとするとシステムが停止してしまいます。ほとんどの場合、これはグラフィカルな起動のシーケンスに関する問題を示しています。この問題を解決するには、グラフィカルな起動を無効にする必要があります。まずブートタイムの設定を一時的に変更してから、そのあと永続的に変更します。
手順14.3 グラフィカルな起動を一時的に無効にする
- コンピューターを起動してブートローダーメニューが表示されるまで待ちます。ブートローダーのタイムアウト期限を 0 に設定している場合は、Esc キーを押すとアクセスできます。
- ブートローダーメニューが表示されたら、カーソル移動キー (矢印キー) を使って起動するエントリーを強調表示し、e キーを押してそのエントリーのオプションを編集します。
- オプション一覧内でカーネル行を探します。カーネル行は
linux
で始まります。この行でrhgb
オプションを探して削除します。オプションが隠れて見えないこともあります。カーソル移動キーを使って画面をスクロールしてみてください。 - F10 キーまたは Ctrl+X の組み合わせを押して、編集を行ったオプションでシステムを起動します。
システムが正常に起動したら通常どおりにログインします。このあと、グラフィカルな起動を永続的に無効にする必要があります。永続的に無効にしておかないと、システムが起動する度に上述の手順を繰り返さなければなりません。起動オプションを永続的に変更するには次の手順に従ってください。
手順14.4 グラフィカルな起動を永続的に無効にする
su -
コマンドでroot
アカウントにログインします。$
su -
- grubby ツールを使って、デフォルトの GRUB2 カーネルを見つけます。
#
grubby --default-kernel
/boot/vmlinuz-3.10.0-229.4.2.el7.ppc64 - grubby ツールを使って、上記のステップで特定されたデフォルトのカーネルから GRUB2 設定で
rhgb
ブートオプションを削除します。以下に例を示します。#
grubby --remove-args="rhgb" --update-kernel /boot/vmlinuz-3.10.0-229.4.2.el7.ppc64
上記の手順が完了したらコンピューターを再起動します。Red Hat Enterprise Linux はグラフィカルな起動シーケンスを使用しなくなります。グラフィカルな起動を有効にしたい場合は、上記の同じ手順で
--remove-args="rhgb"
パラメーターを --args="rhgb"
で置き換えます。これで rhgb
ブートオプションが GRUB2 設定のデフォルトカーネルに戻されます。
GRUB2 ブートローダーの設定方法については、『Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド』を参照してください。
14.3.2. グラフィカル環境での起動
X Window System をインストールしているのにログインしてもグラフィカルなデスクトップ環境が表示されない場合、
startx
コマンドで手動による起動ができます。ただし、手動による起動はその場限りで、次回からのログインプロセスを変更するわけではないことに注意してください。
グラフィカルなログイン画面でログインできるようシステムを設定する場合は、デフォルトの systemd のターゲットを
graphical.target
に変更する必要があります。設定を終えたらコンピューターを再起動します。システムが再起動すると、グラフィカルなログインプロンプトが表示されるようになります。
手順14.5 グラフィカルなログインをデフォルトとして設定する
- シェルプロンプトを開きます。ユーザーアカウントでログインしている場合は
su -
コマンドで root になります。 - デフォルトのターゲットを
graphical.target
に変更します。次のコマンドを実行します。#
systemctl set-default graphical.target
これでグラフィカルログインがデフォルトで有効になります。次回の再起動からグラフィカルなログインプロンプトが表示されるようになります。変更を元に戻してテキストベースのログインプロンプトを維持する場合は、次のコマンドを
root
で実行します。
#
systemctl set-default multi-user.target
systemd のターゲットについての詳細情報は、『Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド』を参照してください。
14.3.3. グラフィカルユーザーインターフェースが表示されない
X (X Window システム) の起動に問題がある場合、X 自体がインストールされていない可能性があります。インストール中に選択できる事前設定済みのベース環境の中には 最小限のインストール (Minimal install) や Web サーバー (Web Server) など、グラフィカルなインターフェースを持たないものがあります (手動によるインストールが必要)。
X が必要な場合は、後で必要なパッケージをインストールすることができます。グラフィカルなデスクトップ環境のインストール方法については、https://access.redhat.com/site/solutions/5238 にあるナレッジベースの記載を参照してください。
14.3.4. ユーザーがログインすると X サーバーがクラッシュする
ユーザーのログイン時に X サーバーがクラッシュする問題が発生している場合、ファイルシステムのいずれかが満杯状態 (または満杯に近い状態) の可能性があります。原因がファイルシステムにあるかどうかを確認するため次のコマンドを実行します。
$
df -h
この出力で、どのパーミッションが満杯になっているかを判断します。ほとんどの場合、
/home
パーミッションに問題があります。df
コマンドの出力例を示します。
Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on /dev/mapper/vg_rhel-root 20G 6.0G 13G 32% / devtmpfs 1.8G 0 1.8G 0% /dev tmpfs 1.8G 2.7M 1.8G 1% /dev/shm tmpfs 1.8G 1012K 1.8G 1% /run tmpfs 1.8G 0 1.8G 0% /sys/fs/cgroup tmpfs 1.8G 2.6M 1.8G 1% /tmp /dev/sda1 976M 150M 760M 17% /boot /dev/dm-4 90G 90G 0 100% /home
上記の例では
/home
パーティションが満杯状態であることがわかります。これがクラッシュの原因になっています。このパーティション上の不必要なファイルを削除し適当な領域を解放します。適当な空き領域を確保したら、startx
コマンドで X を開始します。
df
の使い方および使用できるオプション (上記の例で使用されている -h
など) の詳細については df(1)
の man ページを参照してください。
14.3.5. signal 11 エラーが表示される
セグメンテーション違反 と呼ばれる signal 11 エラーとは、割り当てられていないメモリーにプログラムがアクセスを行ったという意味です。インストールされているソフトウェアプログラムのいずれかにバグがあったり、ハードウェアに障害があると signal 11 エラーが発生する場合があります。
インストール中に致命的な signal 11 を受け取った場合は、まず最新のインストールイメージを使用しているか確認し、Anaconda によるインストールイメージの検証を行ってイメージ自体に破損がないか確認します。signal 11 エラーの原因として不良インストールメディア (書き込みが不適切だったり、傷が付いている光学ディスクなど) がよく見られます。インストールする前に、必ずインストールメディアの整合性を検証することをお勧めします。
最新のインストールメディアの入手方法については、「2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロード」を参照してください。インストールを開始する前にメディアチェックを行うには、ブートメニューに
rd.live.check
起動オプションを追加します。詳細は、「起動用メディアの検証」を参照してください。
これ以外に考えられる原因については本ガイドの範疇を超えてしまうため、ハードウェアの製造元より提供されているドキュメントを参照してください。