第31章 Red Hat Enterprise Linux のアンインストール

31.1. AMD64 および Intel 64 システムから Red Hat Enterprise Linux を削除する

Red Hat Enterprise Linux がコンピューターにインストールされている唯一のオペレーティングシステムであるかどうかにより、Red Hat Enterprise Linux をコンピューターから削除する方法が異なります。
削除を行う前に、次の点を考慮してください。
  • このプロセスの完了後に、システムで使用する予定の Red Hat Enterprise Linux 以外のオペレーティングシステム用のインストールメディアが必要になる可能性があります。
  • 複数のオペレーティングシステムをインストールしている場合には、各オペレーティングシステムを個別に起動できること、またコンピューターの製造元やオペレーティングシステムの製造元で自動設定されている可能性のあるパスワードなどを含め、管理者用のすべてのパスワードが手元にあることを確認してください。
  • 削除しようとしている Red Hat Enterprise Linux のインストールで残しておきたいデータがある場合、別の場所にバックアップを取っておく必要があります。機密データを含んでいるインストールを削除する場合は、必ず所属組織のセキュリティポリシーに準じたデータの破棄を行ってください。バックアップ媒体が、データ復元先となるオペレーティングシステム上で読み取り可能であることを確認してください。たとえば、ext2、ext3、ext4、または XFS などのファイルシステムを使用するよう Red Hat Enterprise Linux でフォーマット化した外付けハードドライブは、サードパーティーのソフトウェアがないと Microsoft Windows では読み取ることができません。

    警告

    念のために、同じコンピューターにインストールされている Red Hat Enterprise Linux も含め、すべてのオペレーティングシステムのデータのバックアップを取ってください。予期せぬ事態が生じると、すべてのデータを喪失してしまう可能性があります。
  • アンインストールするのは Red Hat Enterprise Linux のみで、コンピューター全体を再インストールするわけではない場合、パーティションレイアウトを十分に理解しておく必要があります。特に mount コマンドの出力が役に立つことがあります。また、grub.cfg 内で Red Hat Enterprise Linux インストールの起動に使用する menuitem を書き留めておくことも役に立ちます。
一般的には、AMD64 または Intel 64 システムから Red Hat Enterprise Linux をアンインストールする場合、次の 2 つの手順を実行します。
  1. MBR (マスターブートレコード) から Red Hat Enterprise Linux ブートローダー情報を削除します。
  2. Red Hat Enterprise Linux オペレーティングシステムを格納しているパーティションをすべて削除します。
ここでの説明では、コンピューターのあり得るすべての構成を対象とすることはできないため、以下に一般的な構成をあげておきます。
ご使用の構成が一覧にない場合や、高度にカスタマイズされたパーティションスキームである場合、一般的な参考として以下のセクションを使用してください。これらの状況では、選択したブートローダーを設定する方法を理解しておく必要もあります。GRUB2 ブートローダーについての詳細は、『Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド』を参照してください。
Red Hat Enterprise Linux および他のオペレーティングシステムもすべてアンインストールする場合は、Red Hat Enterprise Linux のみインストールされているコンピューターについて説明している手順を実行してください。

31.1.1. Red Hat Enterprise Linux のみがインストールされている場合

以下の手順は、システムにインストールされているオペレーティングシステムが Red Hat Enterprise Linux のみである場合にこれを削除する方法について示しています。Red Hat Enterprise Linux の代わりに使用するオペレーティングシステム用のインストールメディアを使って Red Hat Enterprise Linux の削除を行います。インストールメディアの例としては、Windows XP のインストール CD、Windows Vista のインストール DVD、または別の Linux ディストリビューションのインストール CD または DVD などがあります。
Microsoft Windows をプレインストールしている工場組み立てのコンピューター製造会社の一部には、コンピューターに Windows インストール用の CD または DVD を同梱していない会社があるため注意してください。こうした製造会社では、代わりに独自の「システム復元ディスク」を提供していたり、初回の起動でユーザー自身に「システム復元ディスク」を作成させるソフトウェアを同梱している場合があります。また、「システム復元ソフトウェア」がシステムのハードドライブに設けられた独立パーティションに保存されていることもあります。コンピューターにプレインストールされていたオペレーティングシステムのインストール用メディアの形態がわからない場合は、マシンに同梱された資料を参照するか、製造元にお問い合わせください。
該当オペレーティングシステムのインストール用メディアが見つけたら、以下を実行します。
  1. 残したいデータのバックアップを作成します。
  2. コンピューターをシャットダウンします。
  3. 代わりに使用するオペレーティングシステムのインストール用ディスクを使ってコンピューターを起動します。
  4. インストール中に表示されるプロンプトに従います。Windows、OS X、およびほとんどの Linux インストールディスクでは、インストール中にハードドライブのパーティション設定を手動で行うことができます。または、すべてのパーティションを一旦削除してから新たにパーティション設定を開始するオプションを選択することもできます。この段階で、インストールソフトウェアによって検出された既存のパーティションをすべて削除するか、インストールプログラムにパーティションの自動削除を任せます。Microsoft Windows がプリインストールされているコンピューターの「システム復元」用メディアでは、 何も入力しなくても自動的にデフォルトのレイアウトでパーティションが作成される場合があります。

    警告

    システム復元ソフトウェアがハードドライブ上のパーティションに収納されているコンピューターの場合は、他のメディアからオペレーティングシステムをインストールする際のパーティション削除には充分注意してください。パーティションの削除でシステム復元ソフトウェアを収納しているパーティションまで破棄してしまう恐れがあります 。

31.1.2. Red Hat Enterprise Linux の他に、別の Linux ディストリビューションがインストールされている場合

以下の手順は、別の Linux ディストリビューションと共にインストールされているシステム上の Red Hat Enterprise Linux を削除する方法について示しています。他の Linux ディストリビューションを使用して、ブートローダーのエントリーを削除したり、Red Hat Enterprise Linux パーティションを削除することができます。
多くの Linux ディストリビューション間では違いがあるため、以下の手順は一般的な参考としてご利用ください。具体的な内容については、Red Hat Enterprise Linux とデュアルブートする Linux ディストリビューションおよびシステムの構成によって異なります。

重要

ここでは、システムが使用しているブートローダーが GRUB2 であると仮定しています。別のブートローダー  (LILO など) を使用している場合は、該当ソフトウェアのマニュアルで、起動対象となるオペレーティングシステムの一覧から Red Hat Enterprise Linux のエントリーを見つけて削除する方法や、デフォルトのオペレーティングシステムが正しく指定されていることを確認する方法について参照してください。
  1. ブートローダーから Red Hat Enterprise Linux のエントリーを削除します。
    1. コンピューター上に保持している (Red Hat Enterprise Linux ではない) Linux ディストリビューションを起動します。
    2. コマンドラインで su - と入力し、Enter を押します。root パスワードの入力が求められたら、パスワードを入力して Enter を押します。
    3. vim などのテキストエディターを使用し、/boot/grub2/grub.cfg 設定ファイルを開きます。このファイルで、削除しようとしているシステムのエントリーを探します。grub.cfg 内の Red Hat Enterprise Linux のエントリーの一般的な例を以下に示します。

      例31.1 grub.cfg 内の Red Hat Enterprise Linux エントリー

      menuentry 'Red Hat Enterprise Linux Server (3.10.0-57.el7.x86_64) 7.0 (Maipo)' --class red --class gnu-linux --class gnu --class os $menuentry_id_option 'gnulinux-3.10.0-53.el7.x86_64-advanced-9eecdce6-58ce-439b-bfa4-76a9ea6b0906' {
      load_video
      set gfxpayload=keep
      insmod gzio
      insmod part_msdos
      insmod xfs
      set root='hd0,msdos1'
      if [x$feature_platform_search_hint = xy ]; then
        search --no-floppy --fs-uuid --set=root --hint='hd0,msdos1' 0c70bc74-7675-4989-9dc8-bbcf5418ddf1
      else
        search --no-floppy --fs-uuid --set=root 0c70bc74-7675-4989-9dc8-bbcf5418ddf1
      fi
      linux16 /vmlinuz-3.10.0-57.el7.x86_64 root=/dev/mapper/rhel-root ro rd.lvm.lv=rhel/root vconsole.font=latarcyrheb-sun16 rd.lvm.lv=rhel/swap crashkernel=auto vconsole.keymap=us rhgb quiet LANG=en_US.UTF-8
      initrd16 /initramfs-3.10.0-57.el7.x86_64.img
      }
      
    4. menuentry から } までのエントリー全体を削除します。
      システムの設定によっては、grub.cfg 内に、Linux カーネルの各バージョンに対応する複数の Red Hat Enterprise Linux エントリーが存在することがあります。ファイルからそれぞれの Red Hat Enterprise Linux エントリーを削除してください。
    5. grub.cfg ファイルを保存して vim を終了します。
  2. Red Hat Enterprise Linux パーティションを削除します。
    以下の手順は、Red Hat Enterprise Linux パーティションを削除する方法を示しています。同じコンピューター上にある複数の Linux インストールが一部のパーティションを共有しているのは珍しくありません。こうしたパーティションには、通常 Red Hat Enterprise Linux のアンインストール時に削除すべきでないデータが含まれます。
    他のインストールがまだ使用しているパーティションを削除しないように注意してください。
    1. コンピューター上に保持している (Red Hat Enterprise Linux ではない) Linux ディストリビューションを起動します。
    2. 不要なパーティションをすべて削除します。その際、標準的なパーティションの場合は fdisk、または論理ボリュームおよびボリュームグループを削除するには lvremove および vgremove を使用します。これらのユーティリティーに関する追加の情報は、それぞれの man ページまたは 『Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド』を参照してください。
      この未割り当て領域を既存のパーティションに追加したり、別の用途に利用する必要があるかもしれません。これらの実行方法については、Red Hat Enterprise Linux 以外の該当オペレーティングシステムのマニュアルをご覧ください。

31.1.3. Red Hat Enterprise Linux の他に、Microsoft Windows オペレーティングシステムがインストールされている場合

以下の手順は、Windows 2000、Windows Server 2000、Windows XP、Windows Server 2003、Windows Vista または Windows Server 2008 と共にインストールされているシステム上の Red Hat Enterprise Linux を削除する方法について示しています。Microsoft Windows インストールとそのインストールメディアを使って、ブートローダーと Red Hat Enterprise Linux パーティションを削除することができます。
MS-DOS または Windows XP 以前の Microsoft Windows バージョン (Windows 2000 を除く) をインストールしているシステムでの Red Hat Enterprise Linux の削除については、本ガイドの対象外となります。これらのオペレーティングシステムのパーティション管理は堅牢ではないため、Linux パーティションを削除することはできません。
Microsoft Windows のバージョン間には違いがあるため、以下の手順を実行する際は十分注意してください。以下の手順で使用するのは、ご使用の Microsoft Windows オペレーティングシステムのユーティリティーのみなので、Microsoft Windows オペレーティングシステムのマニュアルも合わせて参照してください。

警告

この手順は、Windows のインストール用ディスクから読み込まれる Windows 回復コンソール または Windows 回復環境 に依存しています。このため、Windows のインストール用ディスクにアクセスできないと、この手順を終了できません。一旦、手順を開始したらそれを完了させない限り、コンピューターが起動できない状態になってしまう可能性があります。Windows をプレインストールしている工場組み立てのコンピューターで「システム復元ディスク」を同梱している一部のコンピューターでは、このシステム復元ディスクに Windows 回復コンソールWindows 回復環境 が提供されていないことがあります。
Windows 2000、Windows Server 2000、Windows XP、Windows Server 2003 のユーザーが本手順を実行すると、Windows システムの管理者用パスワードの入力が求められます。システムの管理者用パスワードがわかっている、またはシステムの管理者用パスワードは一切作成されていない (製造元でも作成および設定されていない) ことが確かな場合以外は、この手順を実行しないでください。
  1. Red Hat Enterprise Linux パーティションを削除します。
    1. コンピューターを Microsoft Windows 環境で起動します。
    2. Start (スタート)>Run (ファイル名を指定して実行) とクリックし、diskmgmt.msc と入力して、Enter を押します。その後に Disk Management (ディスクの管理) ツールが開きます。
      各パーティションをバーで表したグラフが表示されます。1 番目のパーティションは通常、NTFS のラベルが付いていて C: ドライブを表しています。Red Hat Enterprise Linux パーティションは少なくとも 2 種類が表示されます。Windows ではこれらのパーティションのファイルシステムタイプは表示されませんが、ドライブ用の文字が割り当てられている場合があります。
    3. Red Hat Enterprise Linux パーティションのいずれか 1 つを右クリックしてから、Delete Partition (パーティションの削除) をクリックし、Yes (はい) をクリックして削除を確認します。もう一方のシステムにある Red Hat Enterprise Linux パーティションも同様に削除します。パーティションを削除すると、Windows はそれらのパーティションが占有していたハードドライブの領域に unallocated (未割り当て) とラベル付けします。
      この未割り当て領域を既存の Windows パーティションに追加したり、別の用途に利用する必要がある場合があります。これを実行する方法については、Red Hat Enterprise Linux 以外の該当オペレーティングシステムのマニュアルをご覧ください。
  2. Windows のブートローダーを復元する
    1. Windows 2000、Windows Server 2000、Windows XP、および Windows Server 2003 の場合
      1. Windows インストール用ディスクをコンピューターに挿入して再起動します。コンピューターが起動すると、画面に以下のメッセージが数秒間表示されます。
        Press any key to boot from CD
        このメッセージが表示されている間にいずれかのキーを押すと、Windows インストールソフトウェアが読み込まれます。
      2. セットアップにようこそ の画面が表示されたら、Windows 回復コンソールを開始できます。この手順は Windows のバージョンごとに若干異なります。
        1. Windows 2000 および Windows Server 2000 の場合は、R キーを押してから C キーを押します。
        2. Windows XP および Windows Server 2003 の場合は、R キーを押します。
      3. Windows 回復コンソール により、ハードドライブのスキャン、Windows インストールの検索が行われ、各インストールに番号が割り当てられます。各 Windows インストールが表示され、いずれかひとつの選択を求められます。復元したい Windows インストールの番号を入力します。
      4. その Windows インストールの管理者用パスワードの入力が求められます。管理者用パスワードを入力して Enter キーを押します。システムに管理者用パスワードがない場合は Enter キーを押すだけです。
      5. プロンプトで、コマンド fixmbr と入力して Enter を押します。fixmbr ツールによりシステムのマスターブートレコードが復元されます。
      6. プロンプトが再度表示されたら、exit と入力して Enter キーを押します。
      7. コンピューターが再起動し、Windows オペレーティングシステムを起動させます。
    2. Windows Vista および Windows Server 2008 の場合
      1. Windows インストール用ディスクをコンピューターに挿入して再起動します。コンピューターが起動すると、画面に以下のメッセージが数秒間表示されます。
        Press any key to boot from CD or DVD
        このメッセージが表示されている間にいずれかのキーを押すと、Windows インストールソフトウェアが読み込まれます。
      2. Windows のインストール ダイアログで言語、時刻と通貨の形式、およびキーボードのタイプを選択してから をクリックします。
      3. コンピューターの修復 をクリックします。
      4. Windows リカバリ環境 (WRE) により、システムで検出できた Windows インストールが表示されます。復元したいインストールを選択して をクリックします。
      5. コマンドプロンプト をクリックします。コマンドウィンドウが開きます。
      6. bootrec /fixmbr と入力して Enter を押します。
      7. プロンプトが再度表示されたら、コマンドウィンドウを閉じてから 再開始をクリックします。
      8. コンピューターが再起動し、Windows オペレーティングシステムを起動させます。