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第28章 ディスクイメージへのインストール

本章では、いくつか異なるタイプのカスタムかつ起動可能なイメージの作成プロセスと、他の関連トピックについて説明します。イメージの作成とインストールのプロセスは、通常のハードドライブのインストールと同様の手順で手動で実行することも、キックスタートファイルと livemedia-creator ツールを使用して自動化することもできます。
注記
livemedia-creator を使用したカスタムイメージの作成は、現在、AMD64 および Intel 64 (x86_64) および IBM POWER (ビッグエンディアン) システムでのみサポートされています。
また、Red Hat がサポートするのは、Red Hat Enterprise Linux 7 のカスタムイメージの作成のみになります。
手動で行う場合は、グラフィカルインストールプログラムを使用して対話形式でインストールを実行できます。このプロセスは、Red Hat Enterprise Linux の起動可能なメディアおよびグラフィカルインストールプログラムを使用したインストールと同様のものです。しかし、インストール開始前に 1 つ以上の空のイメージファイルを手動で作成する必要があります。
livemedia-creator を使用した自動ディスクイメージインストールは、ネットワークブートを使用したキックスタートインストールと多少似ています。このアプローチを使用するには、インストールを実行するために livemedia-creator によって使用される有効なキックスタートファイルを準備する必要があります。ディスクイメージファイルは、自動で作成されます。
ディスクイメージへのインストールでは、どちらのアプローチでも別個のインストールソースが必要になります。ほとんどの場合、バイナリー Red Hat Enterprise Linux DVD の ISO イメージの使用が最善のアプローチになります。インストール ISO イメージの取得の詳細は、2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロード を参照してください。
重要
現時点では、Red Hat Enterprise Linux のインストール ISO イメージを追加の準備なしに使用することはできません。ディスクイメージインストール用のインストールソースは、通常のインストール実行用に準備される方法と同様に準備する必要があります。インストールソースの準備に関する情報は、「インストールソースの準備」 を参照してください。

28.1. 手動でのディスクイメージへのインストール

ディスクイメージへの手動インストールは、既存のシステムで Anaconda インストールプログラムを実行し、1 つ以上のディスクイメージファイルをインストールターゲットとして指定することによって実行されます。追加のオプションを使用して、Anaconda をさらに設定することもできます。anaconda -h コマンドを使用すると、使用可能なオプションのリストを取得できます。
警告
Anaconda を使用したイメージのインストールは、すでにインストールされているシステムでインストールプログラムを使用するため、潜在的に危険です。現時点では問題を引き起こす可能性のある既知のバグはありませんが、このプロセスによりシステム全体が使用できなくなる可能性があります。ディスクイメージへのインストールは、価値のあるデータを保持しているシステム上ではなく、この目的にのみ確保されたシステムもしくは仮想マシン上で常に行うべきです。
このセクションでは、空のディスクイメージを作成し、Anaconda インストールプログラムを使用して Red Hat Enterprise Linux をこれらのイメージにインストールする方法について説明します。

28.1.1. ディスクイメージの準備

手動でのディスクイメージへのインストールの最初のステップは、1 つ以上のイメージファイルを作成することです。このイメージファイルは、物理ストレージのように後で、インストールターゲットとして使用されます。Red Hat Enterprise Linux では、以下のコマンドを使用してディスクイメージファイルを作成できます。
$ fallocate -l size name
size を イメージのサイズを表す値 (10G5000M など) に置き換え、name を作成するイメージのファイル名に置き換えます。たとえば、サイズが 30GB の myimage.raw という名前のディスクイメージファイルを作成するには、次のコマンドを使用します。
$ fallocate -l 30G myimage.raw
注記
fallocate コマンドを使用すると、使用する接尾辞に応じて、さまざまな方法で作成するファイルのサイズを指定できます。サイズの指定の詳細については、fallocate (1) の マニュアルページを参照してください。
作成するディスクイメージファイルのサイズは、インストール中に作成されるファイルシステムの最大容量を制限することになります。イメージの最小サイズは常に 3GB 以上である必要がありますが、ほとんどの場合、領域の要件はこれよりも大きいものです。インストールに必要な正確なサイズはインストールするソフトウェアやスワップ領域、インストール後に必要とする領域の大きさによって異なります。パーティション設定にの詳細は、以下を参照してください。
1 つ以上の空のディスクイメージファイルを作成したら、「Red Hat Enterprise Linux のディスクイメージへのインストール」に進んでください。

28.1.2. Red Hat Enterprise Linux のディスクイメージへのインストール

重要
Anaconda でカスタムイメージを作成する前に、Security Enhanced Linux (SELinux) を permissive (または無効) モードに設定します。SELinux モードの設定については 、Red Hat Enterprise Linux 7 SELinux ユーザーおよび管理者のガイドを 参照してください。
ディスクイメージファイルへのインストールを開始するには、root として次のコマンドを実行します。
# anaconda --image=/path/to/image/file
/path/to/image/file は、先に作成したイメージファイルへの 完全 パスで置き換えます。
このコマンドを実行すると、システムで Anaconda が起動します。インストールインターフェイスは通常のインストール (Red Hat Enterprise Linux メディアからのシステムの起動) と同じですが、ブートメニューを省略してグラフィカルインストールが直接スタートします。これは、起動オプションを anaconda コマンドへの追加の引数として指定する必要があることを意味します。コマンドラインで anaconda -h を実行すると、サポートされているコマンドの完全なリストを表示できます。
最も重要なオプションの 1 つは --repo= で、これでインストールソースを指定できます。このオプションは、inst.repo= 起動オプションと同じ構文を使用します。詳細は、「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。
--image= オプションを使用する場合には、指定したディスクイメージファイル のみ がインストールターゲットとして利用可能になります。Installation Destination ダイアログに他のデバイスは表示されません。複数のディスクイメージを使用する必要がある場合は、イメージファイルごとに --image= オプションを指定する必要があります。以下に例を示します。
# anaconda --image=/home/testuser/diskinstall/image1.raw --image=/home/testuser/diskinstall/image2.raw
上記のコマンドで Anaconda が起動し、Installation Destination 画面で、指定した両方のイメージファイルがインストールターゲットとして使用できるようになります。
オプションとして、インストールで使用されるディスクイメージファイルにカスタム名を割り当てることもできます。ディスクイメージファイルに名前を付けるには、ディスクイメージファイル名の末尾に : name を追加します。たとえば、/home/testuser/diskinstall/ image1.raw にあるディスクイメージファイルを使用し、それに myimage という 名前を割り当てるには、次のコマンドを実行します。
# anaconda --image=/home/testuser/diskinstall/image1.raw:myimage