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第12章 アプリケーションの統合
アプリケーションを GNOME デスクトップに統合する際、システム管理者は通常、以下のように アプリケーション のメニュー構造および MIME タイプをカスタマイズすることに関連したタスクを実行します。
- サブメニューを作成または変更して、アプリケーションのメニュー項目を追加または変更するか、または アプリケーション メニュー構造をカスタマイズします。メニューのカスタマイズについての詳細は、「メニューのカスタマイズ」 を参照してください。
アクティビティー画面
の GNOME Shell ダッシュボード に表示されるデフォルトのお気に入りのアプリケーションをカスタマイズします。その方法は、「デフォルトのお気に入りアプリケーションのカスタマイズ」 を参照してください。- アプリケーションの MIME タイプを追加または変更し、アプリケーションを特定の MIME タイプに関連付けます。MIME タイプの設定方法の詳細は、「ファイルの関連付けの設定」 を参照してください。
12.1. メニューのカスタマイズ
GNOME メニューシステムは freedesktop.org デスクトップメニュー仕様 に基づいており、設定およびデータファイルの 3 つの主なセットから設定されています。
- デスクトップエントリーファイル (
.desktop
) .desktop
ファイルは、各メニュー項目の名前、実行するコマンド、およびそのアイコンなどの各メニュー項目についてのデータを提供します。.desktop
エントリーファイルは、メニュー階層内のメニュー項目の場所、およびアクティビティー画面
のアプリケーション検索で使用されるキーワードも指定します。システム.desktop
ファイルは/usr/share/applications/
ディレクトリーにあります。ユーザー固有の.desktop
ファイルは~/.local/share/applications/
ディレクトリーにあります。以下は~/.local/share/applications/myapplication1.desktop
という名前のサンプルの.desktop
ファイルです。[Desktop Entry] Type=Application Name=My Application 1 Icon=myapplication1 Exec=myapplication1 Categories=Network;WebBrowser; MimeType=application/x-newtype
上記のファイルは、アプリケーションの名前 (My Application 1)、アプリケーションのアイコン (myapplication1
)、およびアプリケーションを実行するコマンド (myapplication1) を指定します。さらに、アプリケーションを指定のカテゴリー (Network;WebBrowser;
) に配置し、アプリケーションをapplication/x-newtype
MIME タイプに関連付けます。- メニュー定義ファイル (
.menu
) .menu
ファイルは、メニューおよびメニュー項目の両方の順序、階層、およびマージを指定する XML 設定ファイルです。マシン全体の.menu
ファイルは/etc/xdg/menus/
ディレクトリーにあります。ユーザー固有の.menu
ファイルは~/.config/menus/
ディレクトリーにあり、マシン全体の.menu
ファイルで指定される値を上書きするために使用できます。とくに/etc/xdg/menus/applications.menu
ファイルには、アプリケーション メニューレイアウトの定義が含まれます。- ディレクトリーエントリーファイル (
.directory
) .directory
ファイルは、メニューの名前などの各メニューについてのデータを提供するもので、/usr/share/desktop-directories/
にあります。
詳細情報の入手
デスクトップエントリーファイルについての詳細は、freedesktop.org の Web サイトより 『Desktop Entry Specification』 を参照してください。
GNOME メニューシステムの実装方法の詳細は、freedesktop.org の Web サイトより 『Desktop Menu Specification』 を参照してください。
12.1.1. 個別ユーザーのメニュー項目の削除
所定ユーザーの アプリケーション メニューのカスタマイズは、デフォルトで
~/.config/menus/gnome-applications.menu
定義ファイルに保存されます。このファイルの場所は、$XDG_DATA_HOME
環境変数を設定して上書きできます。
アプリケーション メニューのデフォルトを上書きするには、まず
gnome-applications.menu
ファイルを作成する必要があります。アプリケーション メニューおよびそのサブメニューから項目を削除すると、アクティビティー画面
のアプリケーションビューからもこの項目が削除されます。そのため、ユーザーが アクティビティー画面
から項目を検索できなくなります。
手順12.1 例: アクセサリサブメニューから電卓メニュー項目を削除
/usr/share/applications/
ディレクトリーの内容を参照し、削除するメニュー項目に対応する.desktop
ファイルを判別します。$
grep -r "Name=Calculator" /usr/share/applications/
/usr/share/applications/gcalctool.desktop:Name=Calculator上記に示されるように、電卓 メニュー項目は/usr/share/applications/gcalctool.desktop
ファイルに対応しています。~/.config/menus/gnome-applications.menu
ファイルを作成します。<!DOCTYPE Menu PUBLIC "-//freedesktop//DTD Menu 1.0//EN" "http://www.freedesktop.org/standards/menu-spec/1.0/menu.dtd"> <Menu> <Name>Applications</Name> <MergeFile type="parent">/etc/xdg/menus/gnome-applications.menu</MergeFile> <!-- Removes the Calculator from the Accessories submenu --> <Menu> <Name>Accessories</Name> <Exclude> <Filename>gcalctool.desktop</Filename> </Exclude> </Menu> <!-- END of Calculator removal content --> </Menu>
上記に示されるように、ファイルにはサブメニューの名前 (Accessories)、.desktop
ファイルの名前 (gcalctool.desktop) を指定する<Menu>
が含まれ、さらに<Exclude>
要素が含まれます。
12.1.2. すべてのユーザーのメニュー項目の削除
すべてのユーザーの アプリケーション メニューのカスタマイズは、デフォルトで
/etc/xdg/menus/applications.menu
定義ファイルに保存されます。このファイルの場所は、$XDG_CONFIG_DIRS
環境変数を設定して上書きできます。
アプリケーション メニューのデフォルトを上書きするには、
.menu
ファイルを編集する必要があります。アプリケーション メニューおよびそのサブメニューから項目を削除すると、アクティビティー画面
のアプリケーションビューからもこの項目が削除されます。そのため、ユーザーが アクティビティー画面
から項目を検索できなくなります。
手順12.2 例: アクセサリサブメニューから電卓メニュー項目を削除
/usr/share/applications/
ディレクトリーの内容を参照し、削除するメニュー項目に対応する.desktop
ファイルを判別します。$
grep -r "Name=Calculator" /usr/share/applications/
/usr/share/applications/gcalctool.desktop:Name=Calculator上記に示されるように、電卓 メニュー項目は/usr/share/applications/gcalctool.desktop
ファイルに対応しています。/etc/xdg/menus/applications.menu
ファイルを編集し、以下のように<Exclude>
要素を使用して.menu
の末尾にある最後の<Menu>
タグの前に新規の</Menu>
セクションを追加します。<!-- Removes the Calculator from the Accessories submenu --> <Menu> <Name>Accessories</Name> <Exclude> <Filename>gcalctool.desktop</Filename> </Exclude> </Menu> <!-- END of Calculator removal content --> </Menu> <!-- End Applications -->
12.1.3. 個別ユーザーのサブメニューの削除
所定ユーザーの アプリケーション メニューのカスタマイズは、デフォルトで
~/.config/menus/gnome-applications.menu
定義ファイルに保存されます。このファイルの場所は、$XDG_DATA_HOME
環境変数を設定して上書きできます。
アプリケーション メニューのデフォルトを上書きするには、まず
gnome-applications.menu
ファイルを作成する必要があります。アプリケーション メニューからサブメニューを削除することにより、アクティビティー画面
のアプリケーションビューからサブメニュー内に含まれるすべてのメニュー項目も削除されるため、ユーザーが アクティビティー画面
からそれらの項目を検索できなくなります。
例12.1 アプリケーションメニューからシステムツールサブメニューを削除
~/.config/menus/gnome-applications.menu
ファイルを作成します。
<!DOCTYPE Menu PUBLIC "-//freedesktop//DTD Menu 1.0//EN" "http://www.freedesktop.org/standards/menu-spec/1.0/menu.dtd"> <Menu> <Name>Applications</Name> <MergeFile type="parent">/etc/xdg/menus/gnome-applications.menu</MergeFile> <!-- Removes the System Tools submenu from the Applications menu--> <Menu> <Name>System Tools</Name> <Deleted/> </Menu> <!-- END of System Tools removal content --> </Menu>
上記のように、ファイルには、サブメニュー (
<Menu>
) の名前を指定する System Tools セクションが含まれ、<Deleted/>
タグが組み込まれます。
12.1.4. すべてのユーザーのサブメニューの削除
すべてのユーザーの アプリケーション メニューのカスタマイズは、デフォルトで
/etc/xdg/menus/applications.menu
定義ファイルに保存されます。このファイルの場所は、$XDG_CONFIG_DIRS
環境変数を設定して上書きできます。
アプリケーション メニューのデフォルトを上書きするには、
.menu
ファイルを編集する必要があります。アプリケーション メニューからサブメニューを削除することにより、アクティビティー画面
のアプリケーションビューからサブメニュー内に含まれるすべてのメニュー項目も削除されるため、ユーザーが アクティビティー画面
からそれらの項目を検索できなくなります。
例12.2 アプリケーションメニューからシステムツールサブメニューを削除
/etc/xdg/menus/applications.menu
ファイルを編集し、以下のように <Deleted/>
要素を使用して .menu
の末尾にある最後の <Menu>
タグの前に新規の </Menu>
セクションを追加します。
<!-- Removes the System Tools submenu from the Applications menu--> <Menu> <Name>System Tools</Name> <Deleted/> </Menu> <!-- END of System Tools removal content --> </Menu>