第12章 kdump のインストール
Red Hat Enterprise Linux 9 の新しいバージョンのインストールでは、デフォルトで kdump
サービスがインストールされ有効になっています。kdump
の概要、および kdump
がデフォルトで有効になっていない場合のインストール方法について、情報を提供して手順を説明します。
12.1. kdump とは
kdump
は、クラッシュダンプメカニズムを提供し、クラッシュダンプまたは vmcore
ファイルとして知られるダンプファイルを生成するサービスです。vmcore
ファイルには、分析とトラブルシューティングに役立つシステムメモリーの内容が含まれます。kdump
は kexec
システムコールを使用して、再起動せずに別のカーネル (キャプチャーカーネル) を起動し、クラッシュしたカーネルのメモリーの内容をキャプチャーしてファイルに保存します。この別のカーネルは、システムメモリーの予約部分で使用できます。
カーネルクラッシュダンプは、システム障害時に利用できる唯一の情報になります。したがって、ミッションクリティカルな環境では、kdump
を稼働させることが重要です。Red Hat は、通常のカーネル更新サイクルで kexec-tools
を定期的に更新してテストすることを推奨します。これは、新しいカーネル機能をインストールする場合に特に重要です。
kdump
は、マシンにインストールされているすべてのカーネルに対して、または指定したカーネルに対してのみ有効にできます。これは、マシンで複数のカーネルが使用されており、その一部が安定しており、クラッシュの心配がない場合に役立ちます。kdump
をインストールすると、デフォルトの /etc/kdump.conf
ファイルが作成されます。/etc/kdump.conf
ファイルにはデフォルトの最小 kdump
設定が含まれており、これを編集して kdump
設定をカスタマイズできます。