1.2. 電力管理の基礎

効率的な電力管理は以下の原則に基づきます。
アイドル状態の CPU は必要な時にウェイクアップする

Red Hat Enterprise Linux 6 以降、カーネルは、ティックレス (tickless) で実行されます。つまり、以前の定期タイマーの割り込みが、オンデマンド型の割り込みに置き換えられました。したがって、アイドル状態の CPU を、新しいタスクが処理のためにキューに格納されるまでアイドル状態に維持し、低電力の状態にある CPU をより長くその状態に維持することができます。ただし、システムのアプリケーションが不必要なタイマーイベントを作成する場合は、この機能の利点が打ち消されることがあります。このようなイベントの例としては、ボリュームの変更またはマウスの移動のチェックなどのポーリングイベントがあります。

Red Hat Enterprise Linux 7 には、CPU 使用率に基いてアプリケーションを識別および監査できるツールが同梱されています。詳細については、「2章電力管理の監査と分析」を参照してください。
使用していないハードウェアとデバイスを完全に無効にする

これは、可動パーツを持つデバイス (たとえば、ハードディスク) の場合に特に当てはまります。また、一部のアプリケーションでは、使用していないが有効なデバイスが「オープン」な状態のままになることがあります。この状況では、カーネルはデバイスが使用中であると見なし、デバイスが省電力状態になることが阻止される場合があります。

動作が少ないということは消費電力も少ない

ただし多くの場合、これは最新のハードウェアと正しい BIOS 設定に依存します。現在 Red Hat Enterprise Linux 7 でサポートされる新しい機能の一部は、多くの場合、従来のシステムコンポーネントではサポートされません。システムに最新の公式ファームウェアが使用されていることと、BIOS の電力管理またはデバイス設定のセクションで電力管理の機能が有効になっていることを確認してください。確認する機能は以下のとおりです。

  • SpeedStep
  • PowerNow!
  • Cool'n'Quiet
  • ACPI (C 状態)
  • Smart
上記の機能がハードウェアでサポートされ、BIOS で有効な場合、Red Hat Enterprise Linux 7 ではその機能がデフォルトで使用されます。
CPU の各種状態とその効果

ACPI (電力制御インタフェース: Advanced Configuration and Power Interface) を使用する最新の CPU は、以下の 3 つの電力状態を提供します。

  • Sleep (C 状態)
  • Frequency and voltage (P 状態)
    P 状態はプロセッサーの周波数および電圧動作点を表し、共に P 状態が増加すると変動します。
  • Heat output (T 状態または「温度状態」)
最小のスリープ状態で稼働している CPU は、最小のワット数を消費しますが、必要なときにこの状態からウェイクアップするにはしばらく時間がかかります。非常に稀ですが、これにより CPU がスリープ状態になる度に CPU をすぐにウェイクアップする必要がある場合があります。この場合は、実質的に CPU が常にビジー状態になり、省電力の一部が失われます (別の状態が使用された場合)。
電源がオフになっているマシンの消費電力は最小となる

当たり前かもしれませんが、実際に節電を行う最善策の 1 つは、システムの電源をオフにすることです。たとえば、「グリーン IT」を意識する企業文化を育み、昼休みや帰宅時にマシンの電源をオフにするガイドラインを策定します。また、数台の物理サーバーを大きなサーバー 1 台に統合し、Red Hat Enterprise Linux 7 に同梱される仮想化技術を使用して仮想化することもできます。