Red Hat Training

A Red Hat training course is available for Red Hat Enterprise Linux

3.7. アクティブ状態の電源管理

Active-State Power Management (ASPM) は、接続先のデバイスが使用されていないときに PCIe リンクの電力状態を低く設定することで、Peripheral Component Interconnect Express (PCI Express または PCIe) サブシステムの電力を節約します。ASPM は、リンクの両端で電力状態を制御し、リンクの端にあるデバイスが完全に電源オンの状態であっても、リンクの電力を節約します。
ASPM を有効にすると、異なる電源状態間でリンクを遷移させるのに時間がかかるため、デバイスの遅延が増加します。ASPM には、電源状態を決定する 3 つのポリシーがあります。
default
システムのファームウェア (BIOS など) によって指定されたデフォルトに従って、PCIe リンクの電源状態を設定します。これは ASPM のデフォルトの状態です。
powersave
パフォーマンスへのコストに関係なく、可能な限り電力を節約するように ASPM を設定します。
performance
ASPM を無効にして、PCIe リンクが最大のパフォーマンスで動作できるようにします。
pcie_aspm カーネルパラメーターを使用して、ASPM サポートを強制的に有効または無効にできます。
  • pcie_aspm=off ASPM を無効にします
  • pcie_aspm=force は、ASPM をサポートしていないデバイスでも ASPM を有効にします
ハードウェアが ASPM をサポートしている場合、オペレーティングシステムは起動時に自動的に ASPM を有効にします。ASPM のサポートを確認するには、次のコマンドの出力を参照してください。
~]$ journalctl -b | grep ASPM
警告 — pcie_aspm=force により、 システムが応答しなくなる可能性があります
ASPM をサポートしていないハードウェア上で pcie_aspm=force を使用して ASPM を強制的に有効にすると、システムが応答しなくなる可能性があります。pcie_aspm=force を設定する前に、システム上のすべての PCIe ハードウェアが ASPM をサポートしていることを確認してください。
ASPM ポリシーを設定するには、次のいずれかのオプションを使用します。
  • /sys/module/pcie_aspm/parameters/policy ファイルの設定を変更します。
  • ブート時に pcie_aspm.policy カーネルパラメーターを指定します
    たとえば、pcie_aspm.policy=performance は ASPM パフォーマンスポリシーを設定します。