1.2. 2 つの LAN の接続

2 つの LAN がそれぞれ別個のスイッチ上で稼働している状況で、LAN 間で情報を共有させたいとします。このような通信を可能にする設定としては、以下の 2 つのオプションがあります。

  • 802.1Q VLAN タグ付けを使用して、両方の物理スイッチにまたがる単一の VLAN を設定する。

    ネットワークケーブルの一方の端を 1 つのスイッチのポートに接続し、他の端を別のスイッチのポートに接続し、続いてこれらのポートを 802.1Q タグ付けポート (トランクポートとも呼ばれる) として設定する必要があります。これら 2 つのスイッチが 1 つの大きな論理スイッチとして機能し、接続されているコンピューターが互いを認識することができます。

    このオプションの難点はスケーラビリティーです。オーバーヘッドの問題が発生することなくデイジーチェーン接続することのできるスイッチの数は限られています。

  • ルーターを用意し、ケーブルを使用して各スイッチに接続する。

    ルーターは、両方のスイッチに設定されたネットワークを認識します。スイッチに結線した各ケーブル端には、ネットワークのデフォルトゲートウェイとして知られる IP アドレスが割り当てられます。デフォルトゲートウェイは、トラフィックの送付先マシンが送付元マシンと同じ LAN 上にないことが明らかな場合の送付先を定義します。デフォルトゲートウェイを設置することで、送付先に関する具体的な情報が無くても、各コンピューターは他のコンピューターにトラフィックを送付することができます。それぞれのコンピューターはデフォルトゲートウェイにトラフィックを送付し、ルーターはトラフィックを受け取る送付先コンピューターを決定します。ルーティングは、IP アドレスやサブネットなどの一般的に知られている概念と同様に、OSI モデルのレイヤー 3 で機能します。

1.2.1. ファイアウォール

ファイアウォールは、レイヤー 7 (実際のコンテンツを検査するレイヤー) を含む複数の OSI レイヤーにわたってトラフィックをフィルターすることができます。多くの場合、ファイアウォールはルーターと同じネットワークセグメントに存在し、全ネットワーク間を移動するトラフィックを制御します。そのために、ファイアウォールは、ネットワークを通過することのできるトラフィックを規定する事前定義済みのルールセットを参照します。これらのルールは粒度を細かくすることが可能です。以下に例を示します。

VLAN200 のサーバーは、暗号化された Web トラフィック (HTTPS) を一方向に送付している場合にのみ、木曜の午後に限り、VLAN201 のコンピューターとだけ通信できるものとする」といった設定が可能です。

これらのルールを確実に適用するために、一部のファイアウォールはレイヤー 5 から 7 でディープパケットインスペクション (DPI) も実行し、パケットのコンテンツを検証して、正当なパケットであることを確認します。ハッカーは、トラフィックを実際の内容とは別のものに見せかけて、密かにデータを抜き出すことができます。DPI はこのような脅威を軽減する手段の 1 つです。