Red Hat Enterprise Linux のライフサイクル

概要

Red Hat Enterprise Linux バージョン 8、9 および 10

Red Hat Enterprise Linux は、フルサポート、メンテナンスサポート、および延長ライフフェーズという 3 つの運用フェーズを経て、10 年間のライフサイクルを提供し、その後オプションで延長サポートも利用できます。

Red Hat は RHEL 9 以降、延長サポート提供モデルを単一のモデルに統合しました。Extended Life Cycle (ELC).ELC は、これまで個別に提供されていた Extended Update Support (EUS)、Enhanced EUS (EEUS)、Update Services for SAP Solutions (E4S) を統合したものです。これにより、対象となるマイナーリリースに対して、一貫して 6 年間のサポート期間が提供されるようになります。ELC 期間を超えてサポートが必要なお客様には、Long-Life (LL) Add-on term extensions により、1 年単位で更新可能な継続サポートを提供します。

Legacy Extended Support Offerings (EUS、Enhanced EUS、ELS) をご利用のお客様は、契約終了日まで引き続きご利用いただけます。従来の延長サポートの詳細および移行に関するガイダンスについては、Legacy Extended Support Offerings ページを参照してください。

  • Red Hat Enterprise Linux バージョン 8、9 および 10 では、フルサポートフェーズおよびメンテナンスサポートフェーズ (10 年間のライフサイクル) と、その後の延長ライフフェーズを提供します。Extended Life Cycle (ELC) および Long-Life (LL) Add-On term extensions により、お客様は対象となるマイナーリリースについて、最長 14 年間、あるいはそれ以上の期間、エラータサポートを受けることができます。

ライフサイクル:

RHEL ライフサイクルの概要: フルサポート (5 年間)、メンテナンスサポート (5 年間)、Extended Life Cycle (4 年間)、および Long-Life Add-On term extensions

Red Hat Enterprise Linux のライフサイクルフェーズは、各メジャーリリースにおける変更の度合いを時間とともに減らし、リリースの提供時期や内容をより予測しやすくすることを目的としています。

Red Hat は、最大限の透明化を図るためにこのライフサイクルを公開しています。ただし、特別な状況下では、このポリシーの例外を認める権利を Red Hat は有します。ライフサイクルのタイムスパンと日付は、変更される可能性があります。

エラータおよびサポートポリシー

この記事全体を通じ、標準的なエラータ基準 とは以下を指します。

  • セキュリティーアドバイザリー (RHSA)Red Hat が定義する、CVSS スコアが 7 以上の重大、重要、中程度の CVE (2025 年 4 月 1 日発効)
  • バグ修正アドバザリー (RHBA)Red Hat が定義する優先度が「緊急」および一部の「高」のバグ修正

エラータはすべて Red Hat の判断で提供されます。セキュリティー上の重大度の定義については、Red Hat におけるセキュリティー評価について のページを参照してください。

Red Hat は、バグ修正アドバイザリー (RHBA) を作成する一方で、お客様のビジネスに大きく影響する深刻な問題に対処するための一時的な措置として Hotfix を提供する場合があります。

各メジャーバージョンのライフサイクル期間中、Red Hat Enterprise Linux へのソフトウェアの変更は、エラータアドバイザリー と呼ばれる個別のアップデートとして、Red Hat カスタマーポータル から、または他の Red Hat 認定ポータルから提供されます。エラータアドバイザリーは、必要に応じて個別にリリースされるか、マイナーリリースとしてまとめて提供されます。サブスクリプションを契約しているお客様は、Red Hat Enterprise Linux のライフサイクル期間中、リリースされているエラータアドバイザリーをご利用になれます。各メジャーリリースにおいて、すべてのエラータアドバイザリー (マイナーリリースの一部としてリリースされたものを含む) は、パッチセットを含め、最新のリリースに累積的に適用されます。

Red Hat は商業的に妥当な範囲内で、すべてのマイナーリリースとエラータアドバイザリーにおけるコアランタイム環境のバイナリー互換性の維持に努めています。ただし、必要に応じて、重大な影響を及ぼすセキュリティー問題や、その他の重要な問題に対処するために、Red Hat はこの互換性維持の原則を遵守できない場合があります。バイナリー互換性の目標は、アプリケーションコンテナー内で使用される Red Hat Enterprise Linux にも適用されます。詳細は、Red Hat Enterprise Linux 8Red Hat Enterprise Linux 9Red Hat Enterprise Linux 10 の「アプリケーションの互換性ガイド」を参照してください。

セキュリティーメンテナンス

  • Red Hat は、対象のパッケージがサポート終了を迎えていない限り、Red Hat Enterprise Linux 内のパッケージに対して、標準的なエラータ基準に沿ったエラータを提供する場合があります。
  • RHEL 8、9、10 Application Streams 内のパッケージは、特定の RHEL のマイナーリリースよりライフサイクルが短い場合があります。詳細は、Application Streams のライフサイクル を参照してください。
  • このポリシーは、Red Hat Enterprise Linux ライフサイクルポリシーに従って、現行のアクティブなマイナーリリースにのみ適用されます。

バグ修正メンテナンス

  • 以下は、「緊急」のバグ修正に適用されるパッケージの最小セットのリストです。
    • bind、bash、chrony、grub2、grubby、glibc、gnutls、httpd、kernel、libgcrypt、libvirt、nss、openssh、openssl、python 3.6 (RHEL 8)、python 3.9 (RHEL 9)、python 3.12 (RHEL 10)、qemu-kvm、rpm、sudo、systemd、wget、yum / dnf
  • リストにない「緊急」のバグは、Red Hat の判断で対処されます。
  • このポリシーは、Red Hat Enterprise Linux ライフサイクルポリシーに従って、現行のアクティブなマイナーリリースにのみ適用されます。

注記:アクティブなマイナーリリースとは、特定のマイナーリリースが提供されている期間のことを指します。たとえば、ELC が提供される RHEL 10.2 は、一般提供開始から 6 年間有効です。

機能マトリックス

以下の表は、フルサポートおよびメンテナンスサポートの運用フェーズで利用可能なサブスクリプションサービスの詳細を示しています。カスタマーポータル を通じた、過去にリリースされたコンテンツへのアクセスおよびセルフヘルプは、延長ライフフェーズ を含むすべてのフェーズでご利用いただけます。これらのフェーズを超えた延長サポートについては、Extended Life Cycle (ELC) を参照してください。

Red Hat Enterprise Linux 運用フェーズの機能
説明 フルサポート メンテナンスサポート ELC + LL
テクニカルサポート (サービスレベルにより異なる) 無制限 無制限 無制限
エラータの適用範囲 (RHSA & RHBA) はい はい はい
マイナーリリース はい いいえ いいえ
最新ハードウェアの対応 ネイティブ 仮想化を使用 仮想化を使用
ソフトウェア機能拡張 はい いいえ いいえ
更新されたインストールイメージ はい はい (最初のマイナーリリース GA で) いいえ

運用フェーズ

フルサポートフェーズ

フルサポート期間中は、標準的なエラータ基準 を満たすエラータが利用可能になり次第、リリースされます。その他のエラータアドバイザリーは、必要に応じて提供されます。

ソフトウェアの機能拡張とは、問題修正や新しいハードウェアでの既存機能の有効化のほかに、新たな機能を追加することを指します。メジャーリリースは、重要なソフトウェア機能拡張を提供するための主要な方法です。影響度が低い場合は、マイナーリリースでもソフトウェア機能拡張が提供されることがあります。新規または改善されたハードウェアへの対応と、一部のソフトウェア機能拡張は、(利用可能な場合) Red Hat の判断により、通常はマイナーリリースで提供されます。ソフトウェアの大幅な変更を必要としないハードウェアへの対応は、Red Hat の判断でマイナーリリースとは別に提供されることがあります。

マイナーリリースには、認定済みの利用可能なエラータアドバイザリー (RHSA、RHBA、および RHEA) も含まれます。マイナーリリースは累積的なものであり、以前にリリースされた更新内容も含まれます。このフェーズでのマイナーリリースでは、優先度が「中」以上の不具合の修正に重点が置かれます。

フルサポートフェーズでは、マイナーリリースの更新済みインストールイメージが提供されます。

メンテナンスサポートフェーズ

メンテナンスサポートフェーズでは、標準的なエラータ基準 を満たすエラータが利用可能になり次第、リリースされます。その他のエラータアドバイザリーは、必要に応じて提供されます。

新しい機能と新しいハードウェアの有効化は、メンテナンスサポートフェーズでは提供されません。

延長ライフフェーズ

Red Hat Enterprise Linux のサブスクリプションをお持ちのお客様は、延長ライフフェーズの期間中、Red Hat カスタマーポータル にアクセスして、これまでにリリースされたコンテンツおよびドキュメントや、Red Hat ナレッジベースなどの他のコンテンツを継続して利用できます。現在サポートされているバージョンの Red Hat Enterprise Linux に移行するためのアドバイスもご覧いただけます。

製品のバージョンが延長ライフフェーズに入ると、Red Hat は限定的なテクニカルサポートを継続して提供します。このフェーズでは、バグ修正や、セキュリティー修正、ハードウェアへの対応、根本原因の分析などは行われず、サポートは、インストール済みの既存システムに限定されます。

Red Hat は、延長ライフフェーズにある、Red Hat Enterprise Linux の特定バージョンの継続サポートを随時終了させる権利を留保します。

Extended Life Cycle (ELC)

ELC の概要

Extended Life Cycle (ELC) は、標準のサポート期間を超えて特定のマイナーリリースを使い続ける必要があるお客様向けに、Red Hat が提供する統合型の延長サポートモデルです。ELC は、対象となる偶数番号のマイナーリリースに対して、一般提供開始日から 6 年間のサポート を提供します。この期間中、後続のマイナーリリースと並行する独立したストリームとして、標準的なエラータ基準 に沿ったエラータが提供されます。

ELC は、これまで個別に提供されていた Extended Update Support (EUS)、Enhanced EUS (EEUS)、および Update Services for SAP Solutions (E4S) に代わるものであり、今後はこれらを単一のライフサイクルモデルへと統合し、簡素化していきます。アクティブなストリームや移行手順を含む、これら従来の提供サービスの詳細については、Legacy Extended Support Offerings のページを参照してください。

また、ELC は、2029 年 6 月 1 日にリリースされる RHEL 8.10 以降、RHEL Extended Life Cycle Support (ELS) に代わるものとして提供されます。ELC は、最終のマイナーリリース (RHEL 8.10、9.10、10.10) に対して、さらに 4 年間の延長サポートを提供します。

ELC 対象リリース

ELC は、RHEL 9.2 以降の偶数番号のマイナーリリースで利用可能です。各 ELC ストリームは、マイナーリリースの一般提供開始日から 6 年間のサポートを提供します。

ELC 対象リリース
メジャーバージョン ELC 対象マイナーリリース 注記
RHEL 8 8.10 (ELC プレミアムのみ) ELC Premium は、最終リリースである 8.10 のメンテナンス期間を 10 年を超えて延長します。
RHEL 9 9.2, 9.4, 9.6, 9.8, 9.10 偶数番号のマイナーリリース。9.10 も ELC Premium の対象です。
RHEL 10 10.2, 10.4, 10.6, 10.8, 10.10 偶数番号のマイナーリリース。SAP をご利用のお客様は、10.6 から ELC が適用されます。

Long-Life (LL) Term Extensions

6 年間の ELC 期間を超えてサポートが必要なお客様向けに、Red Hat は Long-Life (LL) term extensions を提供しています。これらは、特定のマイナーリリースの ELC サポート終了後も、標準的なエラータ基準 に沿ったエラータの提供を継続するための、1 年単位で更新可能な期間延長プランです。

Long-Life Term Structure
Term 期間 説明
Term 1 1 年 ELC 終了後の最初の 1 年間
Term 2 1 年 2 年目
Term 3 1 年 3 年目
Term N 1 年間 (更新可能) 4 年目以降 (期間を限定しない年次更新)

お客様がいずれかの契約期間満了時に更新を行わない場合、過去にリリースされたすべてのコンテンツは提供終了のアーカイブチャネルに保存されます。提供終了チャネルに対しては、新たな更新、バグ修正、CVE への対応は一切行われません。

ELC 計画ガイド

以下の図は、RHEL の各メジャーバージョンのライフサイクル全体を示しており、Base と Premium サポート、対象となるマイナーリリースに対する Premium ELC カバレッジ、および ELC 以降の更新可能な Long-Life (LL) term extensions が含まれています。EUS および E4S ストリームのタイムラインを示す従来のマイナーリリース計画ガイドについては、Legacy Extended Support Offerings ページを参照してください。

RHEL 8

RHEL 8 Extended Life Cycle および Long-Life 計画ガイド

RHEL 9

RHEL 9 Extended Life Cycle および Long-Life 計画ガイド

RHEL 10

RHEL 10 Extended Life Cycle および Long-Life 計画ガイド

Application Streams のライフサイクル

Red Hat Enterprise Linux バージョン 8、9、10 のパッケージの大部分 (Application Streams のほとんどを含む) は、Red Hat Enterprise Linux の 10 年間のフルライフサイクルで維持されます。ただし、特定のライフサイクルコンポーネントは 10 年未満のサポートとなり、その指定ライフサイクルは、多くの場合、コンポーネントのアップストリームライフサイクルに合わせて設定されます。

アプリケーションストリームは、メジャーリリースの 10 年間のライフサイクルにわたってエラータの基準に準拠します。メンテナンスサポートフェーズおよび延長ライフフェーズでは、ソフトウェアの機能拡張が許可されていないため、新しい Application Streams はリリースされません。ただし、RHEL の 10 年間のサポート基準を達成するために、メンテナンスサポートフェーズの開始時に、Application Stream ごとに特定のバージョンが選ばれます。この選ばれたバージョンは、そのサポートフェーズで定められたメンテナンスを受けることができます。

詳細は、Red Hat Enterprise Linux Application Streams ライフサイクル ページを参照してください。

仮想化

仮想化はゲストオペレーティングシステムに対してハードウェアを抽象化します。これにより、より新しいハードウェアをサポートする仮想化ホスト上に、古いバージョンの Red Hat Enterprise Linux を実行するゲスト環境をデプロイできるようになります。たとえば、最新世代のプロセッサー上で、RHEL 9 によって RHEL 7 のゲスト OS をホストすることが可能です。

フルサポートフェーズ期間中は、ハードウェアドライバーを Red Hat Enterprise Linux の該当バージョンにバックポートすることにより、ネイティブハードウェアへの対応が提供されます。メンテナンスサポートフェーズ期間中は、前述のとおり、新しいバージョン上で以前のバージョンを仮想ゲストとして実行することにより、最新ハードウェアへの対応を実現します。(関連するハードウェアの制限を含む) ハードウェア認定は、ホストとして使用される Red Hat Enterprise Linux のバージョンに適用されます。

Red Hat は、運用フェーズまたは延長ライフフェーズにある Red Hat Enterprise Linux のバージョンが、そのバージョンより新しいバージョンの Red Hat Enterprise Linux の仮想化ゲストとして実行している場合は、そのバージョンをサポートします。

Red Hat Enterprise Linux の仮想化サポートマトリクス では、サポート対象となっているオペレーティングシステム、バージョン、およびハードウェアアーキテクチャーの組み合わせを詳細に説明しています。

ライフサイクルの日付

「フルサポート終了日」と「メンテナンスサポートの終了日」として記載されている将来の日付はすべて概算であり、確定されたものではなく、変更される場合があります。

Red Hat Enterprise Linux のライフサイクルの日付

終了したライフサイクルの日付

今後の更新が提供されない、旧バージョンのメジャー、マイナー、および延長メンテナンスに関するライフサイクルの日付は、https://access.redhat.com/articles/4038291 を参照してください。

その他の関連製品

Red Hat Enterprise Linux for Real Time のライフサイクルの情報については、Red Hat Enterprise Linux for Real Time の製品ライフサイクル を参照してください。

Red Hat Enterprise Linux の Resilient Storage アドオンは、RHEL 7、8、および 9 の有効なバージョンでのみサポートされています。