Red Hat Virtualization のライフサイクル
概要
Red Hat Virtualization は以下の 2 つのコンポーネントで構成されています。
- Red Hat Virtualization Manager (RHV-M): 仮想化環境に集中管理プラットフォームを提供
- Red Hat Virtualization Hypervisor (RHV-H): 仮想マシンのクラスターにハイパーバイザーを提供
Red Hat は、Red Hat Virtualization のメジャーリリースごとに、5 年間のサポートサービスを提供してきました。Red Hat Virtualization のサポートでは、5 年間の製品サポートの後、2 年間の延長ライフフェーズサポートを提供しています。これについては、このドキュメントで後述します。
このポリシーはメジャーリリースで実施され、製品のマイナーバージョンの最新リリースに適用されます。たとえば、Red Hat Virtualization 4 が 2016 年 8 月にリリースされると、バージョン 4 シリーズはこの製品の完全にサポートされたメジャーバージョンになりました。Red Hat Virtualization 4.4 が 2020 年 8 月にリリースされると、バージョン 4.4 は完全にサポートされた製品バージョンになり、4.4 より前のバージョン 4.x は引き続き運用環境での使用をサポートされていますが、バックポートや機能強化は受けていません。
Red Hat は、Red Hat Virtualization の現行または今後予定されるリリースおよびバージョンの製品ライフサイクルフェーズにおけるサポートポリシー、期間、条件を評価および調整する権利を保持します。
RHV 4.4 のリリースに伴い、Red Hatは引き続き、本番環境に対応した仮想化ポートフォリオへの投資を行い、お客様をサポートしていきます。最近では、OpenShift の新機能 OpenShift Virtualization がこのポートフォリオに追加されました。これは、現在 RHV によって管理されている KVM ベースの仮想化スタックに継続性とロードマップを提供します。今後、RHV 管理機能セットは OpenShift および OpenShift Virtualization と統合され、コンテナーと仮想マシンを必要とするお客様に移行パスのほか、コンテナーと仮想マシンの両方をデプロイおよび管理するための共通のプラットフォームを提供します。
詳細情報
Red Hat Virtualization の製品サポートサービスは、Red Hat 製品向けに定義されている 対象範囲 のポリシーに従って提供されます。
Red Hat Virtualization の製品サポートライフサイクルフェーズは以下のとおりです。
Red Hat 製品ライフサイクルにおけるフェーズの説明 |
||||
|---|---|---|---|---|
| 説明 | フルサポート | Extended Update Support (対象バージョン用)5 | メンテナンスサポート5 | 延長ライフフェーズサポート |
| Red Hat カスタマーポータルから、以前にリリースされたコンテンツへのアクセス | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| Red Hat カスタマーポータルを利用したセルフサポート | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| テクニカルサポート 1 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 制限あり、アップグレードの支援6 |
| セキュリティーエラータ (RHSA) の随時リリース | ◯ | ◯ | ◯ | ❌ |
| バグ修正エラータ (RHBA)2 の随時リリース | ◯ | ◯3 | ◯ | ❌ |
| マイナーリリース | ◯ | ❌ | ❌ | ❌ |
| 更新されたハードウェアの機能強化4 | ◯ | ❌ | ◯4 | ❌ |
| 機能バックポート、機能強化 | ◯ | ❌3 | ❌ | ❌ |
- テクニカルサポートは、Red Hat Virtualization のサブスクリプション契約に記載されているサービスレベルによって異なります。
- Red Hat は、バグ修正アドバイザリー (RHBA) を作成し、検証する一方で、お客様のビジネスに重大な影響を与える深刻な問題に対処するための一時的な措置として Hotfix を提供する場合があります。
- EUS フェーズでは、Red Hat の判断で機能やバグのバックポートが提供される場合があります。
- (フルサポートフェーズにおける) ネイティブハードウェアへの対応は、該当バージョンの Red Hat Virtualization Hypervisor にハードウェアドライバーをバックポートするなどの形で行います。メンテナンスフェーズでは、ソフトウェアの大幅な変更を必要としないハードウェア対応に限定されます。
- EUS / メンテナンスサポートはハイパーバイザー (RHV-H) のみを対象としています。お客様は、サポートを受けるために最新バージョンの Manager (RHV-M) を使用する必要があります。
- 以下を参照して、延長ライフフェーズ で製品がどのようにサポートされているかを確認してください。
ライフサイクルの日付
Red Hat Virtualization の製品サポートライフサイクルの日付は以下のとおりです。
注記:EUS は、すべての EUS サポートバージョン (4.2 および 4.3) のすべてのお客様にご利用いただけます。
Red Hat Virtualization のライフサイクル
フルサポートフェーズ:
フルサポートフェーズでは、評価済みの 「重大」および「重要」のセキュリティーアドバイザリー (RHSA) が利用可能になり次第リリースされます。優先度が「緊急」および一部の「高」のバグ修正アドバイザリー (RHBA) が利用可能になると、リリースされます。その他の利用可能な修正および評価済みのパッチはすべて、定期的な製品アップデートでリリースされる場合があります。
新規または改善されたハードウェア対応が利用可能な場合は、Red Hat の判断により、通常はマイナーリリースで提供されます。ソフトウェアの大幅な変更を必要としないハードウェア対応については、Red Hat の判断でマイナーリリースとは別に提供されることがあります。
また、このフェーズで利用可能になるマイナーリリースには、評価済みの利用可能なエラータアドバイザリー (RHSA、RHBA、および RHEA) が含まれます。マイナーリリースは累積的であり、以前にリリースされた製品の更新内容も含まれます。つまり、古いバージョンの製品を使用しているお客様がバグを報告されると、そのバグは最新バージョンのソフトウェア内で修正されるので、お客様がその修正を活用するためには、アップグレードが必要になります。
Extended Update Support:
Red Hat Virtualization 4.2 以降、Red Hat は Extended Update Support (EUS) を提供しています。これにより、お客様の実行中のマイナーバージョンに対して 1 年間のサポートが追加されます。たとえば、バージョン 4.2 を実行しているお客様は、バージョン 4.3 のリリース後も、修正プログラムに 2 年間アクセスできます。
注記:
- EUS は、一部の Red Hat Virtualization 4.2 以降のバージョンでのみ使用できます。
- EUS が利用可能なのは Hypervisor (RHV-H) のみで、Manager (RHV-M) ではご利用いただけません。
- IBM Power アーキテクチャーでは、EUS はご利用いただけません。
- EUS 機能のバックポートは、Red Hat の判断で提供されます。
メンテナンスサポートフェーズ:
メンテナンスサポートフェーズでは、評価済みの 「重大」および「重要」のセキュリティーアドバイザリー (RHSA) が利用可能になり次第リリースされます。優先度が「緊急」で、一部の優先度「高」のバグ修正エラータアドバイザリー (RHBA) が利用可能になり次第、リリースされます。その他のバグ修正および機能強化 (RHEA) アドバイザリーは、Red Hat の判断でリリースされる場合がありますが、必ずしもリリースされるとは限りません。
ソフトウェアの大幅な変更を必要としないハードウェアへの対応が利用可能な場合は、Red Hat の判断により、通常はマイナーリリースで提供されます。ソフトウェアの新機能は、このフェーズでは提供されません。
新機能または拡張機能は提供されません。
延長ライフフェーズ (ELP):
延長ライフフェーズの期間中は、Red Hat Virtualization Manager のサブスクリプションをお持ちのお客様は、Red Hat カスタマーポータルにアクセスして、これまでにリリースされたコンテンツや、ドキュメントおよび Red Hat ナレッジベースなどの他のコンテンツを継続して利用できます。
製品のバージョンが延長ライフフェーズに入ると、Red Hat は限定的なテクニカルサポートを継続して提供します。このフェーズでは、バグ修正やセキュリティー修正、ハードウェアへの対応、または根本原因の分析などは提供されず、サポートはインストール済みの既存システムに限定されます。 現在サポートされているバージョンの Red Hat Virtualization に移行するためのアドバイスも提供されます。
Red Hat は、延長ライフフェーズでの Red Hat Virtualization の特定バージョンの継続サポートを随時終了させる権利を留保します。注記:延長ライフフェーズのサポートは、製品の最新のマイナーリリース (例: 4.1.z。z は最新バージョンを表します) についてのみ提供されます。
メジャーリリースのアップグレードポリシー:
Red Hat は、Red Hat Virtualization Manager のメジャーリリース間のアップグレードパスをサポートします。アップグレードは、以前のバージョンの最新のマイナーリリースから、次に新しいメジャーリリースの最新バージョンまでの間でサポートが行われます。この場合のアップグレードプロセスは、以前のバージョンの最新のマイナーリリースから、新しいメジャーバージョンへのアップグレードのサポートに限定されます。
例:
- Red Hat Enterprise Virtualization 3.6.11 から Red Hat Virtualization 4.0 へのアップグレードがサポートされています。3.6.11 はマイナーリリースの 3 シリーズの最新バージョンになります。
- Red Hat Enterprise Virtualization 3.5 からRed Hat Virtualization 4.0 へのアップグレードはサポートされていません。お客様がこのアップグレードを実現するには、Red Hat Virtualization 4.0 へのアップグレードの前に、まず Red Hat Enterprise Virtualization 3.6.11 にアップグレードする必要があります。
ベータ/プレリリースまたはアップストリームリリースから、完全にサポートされているリリースへのアップグレードは、サポートされていません。
マイナーリリースのアップグレードポリシー:
お客様には、新規のマイナーリリースおよび z-stream リリースが利用可能になる時点で更新していただくことになります。後続のリリースでは、以前に修正された問題については迅速な修正は提供されません。お客様には、すべてのパッチと修正を最新の状態に保つために、システムを製品の最新バージョンにアップグレードしていただくことが推奨されます。
報告されている問題が現行の出荷されているリリースで修正されていない場合は、お客様にはお使いのシステムを、最新のリリース (n) または一部の例外的なケースでは直前のリリース (n-1) にアップグレードしていただくことになります。これは、すべての修正が作成され、最新または直前のリリースに対して検証されるようにするためです。
セキュリティー更新:
サポートライフサイクル全体を通じ、影響度が「重大」および「重要」に認定されたセキュリティー問題や、一部のミッションクリティカルなバグについては、アップデートされたパッケージで対応されます。セキュリティー問題の影響度の評価についての詳細は、問題の重大度の分類 を参照してください。
Red Hat Virtualization Advisory の提供
Red Hat Virtualization のソフトウェアアップデートは、エラータアドバイザリーと呼ばれる個別のアップデートとして提供されます。これらのエラータアドバイザリーは、Red Hat カスタマーポータルまたは他の認定ポータルから提供されます。エラータアドバイザリーは、必要に応じて個別にリリースされるか、またはマイナーリリースとしてまとめて提供されます。
エラータアドバイザリーには、セキュリティー修正 (Red Hat Security Advisory: RHSA)、バグ修正 (Red Hat Bug Fix Advisory: RHBA)、機能強化 (Red Hat Enhancement Advisory: RHEA) があります。すべてのエラータアドバイザリーは、該当するアクティブな Red Hat Virtualization メジャーリリースに対して、テストおよび評価されています。たとえば、Red Hat Virtualization 4 の RHSA は、最新の Red Hat Virtualization 4 バージョンとパッチセットに累積的に適用されます。
サブスクリプションを契約しているお客様は、Red Hat Virtualization のライフサイクル期間中、リリースされたすべてのエラータアドバイザリーにアクセスできます。Red Hat Virtualization の各メジャーリリースでは、すべてのエラータアドバイザリー (マイナーリリースの一部としてリリースされたものを含む) が、Red Hat Virtualization の最新リリースと、お客様が現在使用しているバージョン後にリリースされたエラータアドバイザリーのパッチセットに累積的に適用されます。
Red Hat は最新のメジャーバージョンのマイナーリリースについてのみ、アクティブな開発を行います (たとえば、Red Hat Virtualization 4.1 のリリース後に Red Hat Enterprise Virtualization 3.6 または Red Hat Virtualization 4.0 で確認されるバグについては、4.1.z リリースに対するエラータアドバイザリーでのみ修正される可能性があります)。以前のリリースに対するエラータアドバイザリーまたは Hotfix については、Red Hat の判断で、お客様のビジネスに大きな影響を及ぼす重大なセキュリティー問題に対処するために提供されます。
メジャーリリースのライフサイクルの期間中、Red Hat は商業的に合理的な範囲で、すべてのマイナーリリースとエラータアドバイザリーで、コアランタイム環境のバイナリー互換性の維持に努めています。ただし、Red Hat は必要に応じて、重大な影響を与えるセキュリティー問題またはその他の重要な問題に対処するために、この互換性の維持に関して例外を設けることがあります。
Red Hat Virtualization Manager の互換性
Red Hat Virtualization では、仮想環境の機能と互換性を表すために「互換性レベル」という概念を用いています。
Red Hat Virtualization の各マイナーバージョンは、マイナーバージョン番号に基づく新しい互換性レベルを提供します。Red Hat Virtualization Manager の各リリースでは、少なくとも現行および直前のマイナーリリースの互換性レベルがサポートされます。
以下の表は、Red Hat Virtualization Manager でサポートされるデータセンターまたはクラスターの互換性レベルの概略を示しています。
| Red Hat Virtualization Manager の互換性一覧 | ||
|---|---|---|
| RHV リリース | リリース日 | RHVH のサポートされる互換性レベル |
| 2.1 | 2009 年 11 月 3 日 | 2.1 |
| 2.2 | 2010 年 6 月 23 日 | 2.2、2.1 |
| 3.0 | 2012 年 1 月 18 日 | 3.0、2.2 |
| 3.1 | 2012 年 12 月 5 日 | 3.1、3.0 |
| 3.2 | 2013年 6 月 11 日 | 3.2、3.1、3.0 |
| 3.3 | 2014 年 1 月 21 日 | 3.3、3.2、3.1、3.0 |
| 3.4 | 2014 年 6 月 16 日 | 3.4、3.3、3.2、3.1、3.0 |
| 3.5 | 2015 年 2 月 11 日 | 3.5、3.4、3.3 |
| 3.6 | 2016 年 3 月 9 日 | 3.6、3.5、3.4 |
| 4.0 | 2016 年 8 月 | 4.0、3.6 |
| 4.1 | 2017 年 4 月 18 日 | 4.1、4.0、3.6 |
| 4.2 | 2018 年 5 月 15 日 | 4.2、4.1、4.0、3.6 |
| 4.3 | 2019 年 5 月 8 日 | 4.3、4.2、4.1 |
| 4.4 | 2020 年 8 月 4 日 | 4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2 |
Red Hat Virtualization のテスト済みの構成
Red Hat では、テスト済みの構成の使用を強く推奨しています。 Red Hat カスタマーポータルのドキュメントセクションからアクセス可能な Package Manifest には、テスト済みパッケージのリストが含まれています。 Red Hat サポートによる通知が特にない場合、Red Hat Virtualization の本番環境ではテスト済みの構成を使用することを強く推奨します。
Red Hat Hypervisor のアップグレードおよびサポートポリシー
Red Hat は、同じメジャーリリースのすべてのハイパーバイザーにおけるアップグレードパスをサポートします。ハイパーバイザーのあるメジャーリリースから別のメジャーリリースへのアップグレードはサポートされません。Red Hat は自らの判断で、メジャーリリース間での移行パスの提供を試みます。
以下の表は、Red Hat Virtualization Hypervisor および対応する Red Hat Enterprise Linux リリース (該当する管理エージェントがインストール済み) でサポートされる互換性レベルの概略を示しています。
| Red Hat Virtualization Hypervisor | ||
|---|---|---|
| Red Hat Virtualization Hypervisor | Red Hat Enterprise Linux リリース | RHVH のサポートされる互換性レベル |
| RHEV-H 3.6 | 7.3 | 3.6、3.5 |
| RHEV-H 3.6* | 7.3 EUS* | 3.6、3.5 |
| RHVH 4.0 | 7.3 | 4.0、3.6 |
| RHVH 4.1 | 7.5 | 4.1、4.0、3.6 |
| RHVH 4.2 | 7.5、7.6 | 4.2、4.1、4.0、3.6 |
| RHVH 4.3 | 7.6、7.71、7.82、7.93 | 4.3、4.2、4.1 |
| RHVH 4.4 | 8.2、8.34、RHEL AV 8.3.15、8.46、8.57、8.6 8 | 4.78、4.66、4.54、4.4 |
* Red Hat Virtualization 3.6 Extended Lifecycle Support のみになります。
1 RHV 4.3.5 以降でのみサポートされます。
2 RHV 4.3.9 以降でのみサポートされます。
3 RHV 4.3.11 以降でのみサポートされます。
4 RHV 4.4.3 以降でのみサポートされます。
5RHEL AV 8.3.1 は、RHV 4.4.4-2 アップデートでサポートされます。
6 RHV 4.4.6 でサポートされます。
7 RHV 4.4.9 でサポートされます。
8 RHV 4.4 SP1 でサポートされます。