第4章 マイナーリリース間の更新
4.1. マイナーリリース間での Red Hat Virtualization の更新
4.4 を現行バージョンから最新のバージョンの 4.4 に更新するには、Manager を更新し、ホストを更新してから、クラスター、仮想マシン、およびデータセンターの互換バージョンを変更します。
RHVH でバージョン 4.4.9 からそれ以降のバージョンにアップグレードできない場合は、dnf reinstall redhat-virtualization-host-image-update
コマンドを実行して問題を修正します。
アップグレードに関する考慮事項
- アップグレードを計画する場合は、Red Hat Virtualization 4.4 のアップグレードに関する考慮事項および既知の問題 を参照してください。
Open Virtual Network (OVN) および Open vSwitch (OvS) 2.11 から OVN 2021 および OvS 2.15 にアップグレードする場合、以下の条件が満たされている限り、このプロセスはユーザーからは見えません。
- Manager が最初にアップグレードされている。
- OVN/OvS バージョン 2.11 のホスト間で機能することが予想されるすべての OVN ネットワークに対して、ホストのアップグレード前に ovirt-provider-ovn セキュリティーグループを無効にしている。
- ホストは、OVN バージョン 2021 以降および OvS バージョン 2.15 になるようにアップグレードされる。OVN を適切に再設定し、証明書を更新することができるように、管理ポータルでこの手順を完了する必要があります。
- ホストがアップグレード後に再起動される。
プロバイダーと OVN がホストで正常に設定されたかどうかを確認するには、ホストの General タブで OVN configured フラグを確認します。OVN Configured が No に設定されている場合は、Management → Refresh Capabilities をクリックします。この設定は、REST API でも利用可能です。機能の更新に失敗した場合は、Manager 4.4 以降からホストを再インストールして OVN を設定できます。
4.1.1. 環境の分析
更新の実行やトラブルシューティングを行う前に、Log Collection Analysis ツールおよび Image Discrepancies ツールを実行することが推奨されます。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。
4.1.2. ログコレクション分析ツール
更新の実行前に Log Collection Analysis ツールを実行し、トラブルシューティングを行います。このツールは、お使いの環境を分析し、更新の実行を妨げる可能性のある既知の問題を表示して、推奨される解決方法を提供します。ツールはシステムに関する詳細情報を収集し、それを HTML ファイルとして提示します。
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていること。Red Hat Virtualization 4.4 に必要なリポジトリーの一覧は、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンに Log Collection Analysis ツールをインストールします。
# yum install rhv-log-collector-analyzer
ツールを実行します。
# rhv-log-collector-analyzer --live
詳細なレポートが表示されます。
デフォルトでは、レポートは
analyzer_report.html
という名前のフィアルに保存されます。ファイルを特定の場所に保存するには
--html
フラグを使用して場所を指定します。# rhv-log-collector-analyzer --live --html=/directory/filename.html
ELinks テキストモードの Web ブラウザーを使用して、ターミナル内のアナライザーレポートを読み取ることができます。ELinks ブラウザーをインストールするには、以下を実行します。
# yum install -y elinks
ELink を起動し、
analyzer_report.html
を開きます。# elinks /home/user1/analyzer_report.html
レポート内を移動するには、ELinks で以下のコマンドを使用します。
-
Insert
でスクロールアップ -
Delete
でスクロールダウン -
PageUp
でページアップ -
PageDown
でページダウン -
left Bracket
で左にスクロール -
right Bracket
で右にスクロール
-
4.1.2.1. イメージ不一致ツールを使用したスナップショットの状態の監視
RHV Image Discrepancies ツールは、ストレージドメインと RHV データベースのイメージデータを分析します。ボリュームとボリューム属性に不一致が見つかった場合は警告しますが、それらの不一致は修正されません。このツールは、次のようなさまざまなシナリオで使用します。
- バージョンをアップグレードする前に、壊れたボリュームまたはチェーンを新しいバージョンに持ち越さないようにします。
- 失敗したストレージ操作に続いて、不良状態のボリュームまたは属性を検出します。
- バックアップから RHV データベースまたはストレージを復元した後。
- 定期的に、問題が悪化する前に潜在的な問題を検出します。
- スナップショットまたはライブストレージの移行に関連する問題を分析し、これらのタイプの問題を修正した後、システムの状態を確認します。
前提条件
-
必要なバージョン: このツールは、
rhv-log-collector-analyzer-0.2.15-0.el7ev
の RHV バージョン 4.3.8 で導入されました。 - データ収集は異なる場所で同時に実行され、アトミックではないため、ストレージドメインを変更する可能性のある環境内のすべてのアクティビティーを停止します。つまり、スナップショットを作成または削除したり、ディスクを編集、移動、作成、または削除したりしないでください。そうしないと、不整合が誤って検出される可能性があります。プロセス中、仮想マシンは正常に実行されたままになります。
手順
ツールを実行するには、RHV Manager で次のコマンドを入力します。
# rhv-image-discrepancies
- ツールが不一致を見つけた場合、特にツールの実行中に一部の操作が実行された可能性がある場合は、ツールを再実行して結果を確認します。
このツールには Export および ISO ストレージドメインが含まれており、そのストレージドメインの不一致を報告する可能性があります。その場合、これらのストレージドメインには RHV データベースにイメージのエントリーがないため、無視することができます。
結果について
このツールは次のことを報告します。
- ストレージに表示されているがデータベースにはないボリュームがある場合、またはデータベースには表示されているがストレージにはないボリュームがある場合。
- 一部のボリューム属性がストレージとデータベースで異なる場合。
出力サンプル
Checking storage domain c277ad93-0973-43d9-a0ca-22199bc8e801 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... image ef325650-4b39-43cf-9e00-62b9f7659020 has a different attribute capacity on storage(2696984576) and on DB(2696986624) image 852613ce-79ee-4adc-a56a-ea650dcb4cfa has a different attribute capacity on storage(5424252928) and on DB(5424254976) Checking storage domain c64637b4-f0e8-408c-b8af-6a52946113e2 Looking for missing images... No missing images found Checking discrepancies between SD/DB attributes... No discrepancies found
スタンドアロンの Manager を更新するには、マイナー更新のための標準手順に従います。
4.1.3. Red Hat Virtualization Manager の更新
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていること。Red Hat Virtualization 4.4 に必要なリポジトリーの一覧は、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
注記RHV バージョン 4.4.0 から RHV バージョン 4.4.8 から 4.4.9 以降にアップグレードする場合は、サブスクリプションリポジトリー
jb-eap-7.4-for-rhel-8-x86_64-rpms
のリストに EAP 7.4 チャンネルを追加し、アップグレード後にjb-eap-7.3-for-rhel-8-x86_64-rpms
を削除する必要があります。Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンで、更新されたパッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
engine-setup
スクリプトで Red Hat Virtualization Manager を更新します。engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine
サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine
サービスが起動します。# engine-setup
スクリプトが正常に完了すると、以下のメッセージが表示されます。
Execution of setup completed successfully
注記engine-setup
スクリプトは、Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時に、設定のプレビュー時に保存された値が表示され、engine-config
がインストール後に設定の更新に使用される場合は最新ではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
へと更新した場合、engine-setup
は設定プレビューに Default SAN wipe after delete: False と出力します。ただし、更新された値はengine-setup
によって上書きされることはありません。重要更新プロセスに時間がかかる場合があります。完了する前にプロセスを停止しないでください。
Manager にインストールされているベースオペレーティングシステムと、オプションパッケージを更新します。
# yum update --nobest
重要更新中に必要な Ansible パッケージの競合が発生した場合は、Cannot perform yum update on my RHV manager (ansible conflict) を参照してください。
重要いずれかのカーネルパッケージが更新された場合には、マシンを再起動して更新を完了してください。
4.1.4. セルフホスト型エンジンの更新
セルフホスト型エンジンを現在お使いのバージョンから最新のバージョンに更新するには、環境をグローバルメンテナンスモードに切り替え、続いてマイナーバージョン間の標準更新手順に従う必要があります。
グローバルメンテナンスモードの有効化
Manager 用仮想マシンの設定またはアップグレード作業を実施する前に、セルフホスト型エンジン環境をグローバルメンテナンスモードに切り替える必要があります。
手順
セルフホスト型エンジンノードのいずれかにログインして、グローバルメンテナンスモードを有効にします。
# hosted-engine --set-maintenance --mode=global
作業を進める前に、環境がグローバルメンテナンスモードにあることを確認します。
# hosted-engine --vm-status
クラスターがグローバルメンテナンスモードにあることを示すメッセージが表示されるはずです。
Red Hat Virtualization Manager の更新
前提条件
Manager マシンで正しいリポジトリーが有効になっていること。Red Hat Virtualization 4.4 に必要なリポジトリーの一覧は、Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化 を参照してください。
注記RHV バージョン 4.4.0 から RHV バージョン 4.4.8 から 4.4.9 以降にアップグレードする場合は、サブスクリプションリポジトリー
jb-eap-7.4-for-rhel-8-x86_64-rpms
のリストに EAP 7.4 チャンネルを追加し、アップグレード後にjb-eap-7.3-for-rhel-8-x86_64-rpms
を削除する必要があります。Red Hat Virtualization Manager の更新は、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) 経由でリリースされます。
手順
Manager マシンで、更新されたパッケージが利用可能かどうかを確認します。
# engine-upgrade-check
setup のパッケージを更新します。
# yum update ovirt\*setup\* rh\*vm-setup-plugins
engine-setup
スクリプトで Red Hat Virtualization Manager を更新します。engine-setup
スクリプトにより、設定に関する質問への回答が求められます。その後、ovirt-engine
サービスの停止、更新パッケージのダウンロード/インストール、データベースのバックアップ/更新、インストール後設定の実施を経てから、ovirt-engine
サービスが起動します。# engine-setup
スクリプトが正常に完了すると、以下のメッセージが表示されます。
Execution of setup completed successfully
注記engine-setup
スクリプトは、Red Hat Virtualization Manager のインストールプロセス中にも使用され、指定した設定値が保存されます。更新時に、設定のプレビュー時に保存された値が表示され、engine-config
がインストール後に設定の更新に使用される場合は最新ではない可能性があります。たとえば、インストール後にengine-config
を使用してSANWipeAfterDelete
をtrue
へと更新した場合、engine-setup
は設定プレビューに Default SAN wipe after delete: False と出力します。ただし、更新された値はengine-setup
によって上書きされることはありません。重要更新プロセスに時間がかかる場合があります。完了する前にプロセスを停止しないでください。
Manager にインストールされているベースオペレーティングシステムと、オプションパッケージを更新します。
# yum update --nobest
重要更新中に必要な Ansible パッケージの競合が発生した場合は、Cannot perform yum update on my RHV manager (ansible conflict) を参照してください。
重要カーネルパッケージが更新された場合は、以下を実行します。
- グローバルメンテナンスモードを無効にする
- マシンを再起動して更新を完了する
関連情報
グローバルメンテナンスモードの無効化
手順
- Manager 用仮想マシンにログインし、シャットダウンします。
セルフホスト型エンジンノードのいずれかにログインして、グローバルメンテナンスモードを無効にします。
# hosted-engine --set-maintenance --mode=none
グローバルメンテナンスモードを終了すると、ovirt-ha-agent が Manager 用仮想マシンを起動し、続いて Manager が自動的に起動します。Manager が起動するまでに最大で 10 分程度かかる場合があります。
環境が動作していることを確認します。
# hosted-engine --vm-status
情報の一覧に、Engine status が含まれます。Engine status の値は、以下のようになるはずです。
{"health": "good", "vm": "up", "detail": "Up"}
注記仮想マシンが起動中で Manager がまだ動作していない場合、Engine status は以下のようになります。
{"reason": "bad vm status", "health": "bad", "vm": "up", "detail": "Powering up"}
このような場合には、数分間待ってからやり直してください。
4.1.5. クラスター内の全ホストの更新
ホストを個別に更新するのではなく、クラスター内の全ホストを更新することができます。この手法は、Red Hat Virtualization を新しいバージョンにアップグレードする際に特に役立ちます。更新の自動化に使用する Ansible ロールの詳細は、oVirt クラスターアップグレード を参照してください。
クラスターは一度に 1 つずつ更新します。
制限事項
-
RHVH の更新時には、
/etc
および/var
ディレクトリーに変更されたコンテンツのみを保持します。他のパスに含まれる変更されたデータは更新時に上書きされます。 - クラスターの移行が有効化されている場合には、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されます。
- セルフホスト型エンジン環境では、Manager 用仮想マシンは同一クラスター内のセルフホスト型エンジンノード間でのみ移行が可能です。通常のホストに移行することはできません。
- ホストが属するクラスターには、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されている必要があります。確保されていないと、仮想マシンの移行がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、ホスト更新によるメモリー使用量を低減することができます。
- ホストに固定された仮想マシン (vGPU を使用している仮想マシンなど) を別のホストに移行することはできません。ホストの更新をスキップしない限り、そのホストに固定された仮想マシンは更新中にシャットダウンされます。
手順
- 管理ポータルで コンピュート → クラスター をクリックし、クラスターを選択します。ステータスのアップグレード 列には、クラスターの任意のホストでアップグレードが利用可能かどうかが表示されます。
- アップグレード をクリックします。
- 更新するホストを選択し、次に Next をクリックします。
オプションを設定します。
- 固定された仮想マシンの停止: クラスター内のホストに固定された仮想マシンをシャットダウンします。このオプションは、デフォルトで選択されています。このチェックボックスの選択を解除すると、固定された仮想マシンが動作を続けられるように、それらのホストの更新をスキップすることができます (固定された仮想マシンが重要なサービスまたはプロセスを実行中で、更新中の予期せぬ時にシャットダウンされるのを避けたい場合など)。
-
Upgrade Timeout (Minutes): このオプションで設定した時間内に個々のホストの更新が完了しない場合には、クラスターのアップグレードはタイムアウトで失敗します。デフォルトは
60
です。60 分では不十分と思われる大規模なクラスターの場合には、時間を延長することができます。また、ホストの更新が短時間で完了する小規模なクラスターでは、短縮することができます。 - Check Upgrade: アップグレードプロセスを実行する前に、それぞれのホストで更新が利用可能かどうかを確認します。このオプションは、デフォルトでは選択されていません。ただし、Manager がホストの更新を確認する頻度をデフォルトより低く設定している状況などで、最新の更新を確実に含める必要がある場合には、このオプションを選択することができます。
- Reboot After Upgrade: ホストの更新後に、それぞれのホストを再起動します。このオプションは、デフォルトで選択されています。ホストの再起動を必要とする保留中の更新がないことが明らかであれば、このチェックボックスの選択を解除してプロセスを迅速化することができます。
-
Use Maintenance Policy: 更新時のクラスターのスケジューリングポリシーを
cluster_maintenance
に設定します。このオプションはデフォルトで選択されています。したがって、許可される動作は限定的で、仮想マシンは高可用性でない限り起動することができません。更新中も使用を続けたいカスタムのスケジューリングポリシーがある場合には、このチェックボックスの選択を解除することができます。ただし、これにより想定外の結果を招く可能性があります。このオプションを無効にする前に、カスタムのポリシーがクラスターのアップグレード操作に対応していることを確認してください。
- Next をクリックします。
- 影響を受けるホストおよび仮想マシンの概要を確認します。
- アップグレード をクリックします。
以下で、ホスト更新の進捗状況を追跡できます。
- コンピュート → クラスター ビュー (ステータスのアップグレード 列は アップグレード中 と表示される)
- コンピュート → ホスト ビュー
- 通知ドロワー の イベント セクション ( )
仮想マシン移行の進捗を、コンピュート → 仮想マシン ビューの ステータス 列で個々に追跡することができます。大規模な環境では、特定の仮想マシングループの結果を表示するために、結果を絞り込まなければならない場合があります。
次に、クラスターの互換バージョンを更新してください。
4.1.6. クラスターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内の全ホストがサポートする Red Hat Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストオペレーティングシステムのバージョンに応じて設定されます。
前提条件
- クラスターの互換レベルを変更するには、まず、クラスター内の全ホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要があります。更新が利用可能であることを示すアイコンがホストの横にあるかどうかを確認します。
制限事項
クラスター互換性レベルを 4.6 にアップグレードした後、VirtIO NIC は別のデバイスとして列挙されます。したがって、NIC の再設定が必要になる場合があります。Red Hat は、クラスターをアップグレードする前に、仮想マシンでクラスター互換性レベルを 4.6 に設定し、ネットワーク接続を確認することにより、仮想マシンをテストすることをお勧めします。
仮想マシンのネットワーク接続に失敗した場合は、クラスターをアップグレードする前に、現在のエミュレーションする仮想マシンに一致するカスタムのエミュレーションする仮想マシン (例: 4.5 互換バージョンの場合は pc-q35-rhel8.3.0) で仮想マシンを設定します。
手順
- 管理ポータルで、コンピュート → クラスター をクリックします。
- 変更を行うクラスターを選択し、編集 をクリックします。
- 全般 タブで 互換バージョン を必要な値に変更します。
- OK をクリックします。クラスターの互換バージョンを変更 の確認ダイアログが開きます。
- OK をクリックして確定します。
一部の仮想マシンおよびテンプレートが不適切に設定されていることを警告するエラーメッセージが表示される場合があります。このエラーを修正するには、それぞれの仮想マシンを手動で編集します。仮想マシンの編集 ウィンドウには、修正すべき項目を確認することのできる新たな検証および警告が表示されます。問題が自動的に修正され、仮想マシンの設定を再度保存するだけで十分な場合もあります。それぞれの仮想マシンを編集したら、クラスターの互換バージョンを変更することができます。
次に、クラスター内の仮想マシンのクラスターの互換バージョンを更新してください。
4.1.7. 仮想マシンのクラスター互換バージョンの変更
クラスターの互換バージョンを更新したら、実行中またはサスペンド中のすべての仮想マシンについてクラスターの互換バージョンを更新する必要があります。そのためには、管理ポータルから再起動するか、REST API を使用して、またはゲストオペレーティングシステム内から更新する必要があります。再起動が必要な仮想マシンには、変更が保留されていることを示すアイコン ( ) が付きます。
別途適切な時期に仮想マシンを再起動することもできますが、仮想マシンで最新の設定が使用されるように、直ちに再起動することを強く推奨します。再起動していない仮想マシンは以前の設定で動作し、さらに仮想マシンの設定が変更された場合には、保留中のクラスターの互換バージョンが上書きされる場合があります。
手順
- 管理ポータルで コンピュート → 仮想マシン をクリックします。
再起動が必要な仮想マシンを確認します。Vms: 検索バーに以下のクエリーを入力します。
next_run_config_exists=True
検索結果に、変更が保留中の仮想マシンがすべて表示されます。
- それぞれの仮想マシンを選択し、再起動 をクリックします。あるいは、必要な場合は、仮想マシン自体から仮想マシンを再起動することができます。
仮想マシンが起動すると、新しい互換バージョンが自動的に適用されます。
プレビュー状態にある仮想マシンスナップショットについては、クラスターの互換バージョンを変更することができません。まずコミットするか、プレビューを取り消す必要があります。
次に、データセンターの互換バージョンを更新してください。
4.1.8. データセンターの互換バージョンの変更
Red Hat Virtualization データセンターには、互換バージョンがあります。互換バージョンとは、データセンターが互換性を持つ Red Hat Virtualization のバージョンを指します。データセンター内のクラスターは、すべて指定の互換性レベルをサポートする必要があります。
前提条件
- データセンターの互換レベルを変更するには、事前にデータセンター内のクラスターおよび仮想マシンの互換バージョンがすべて更新されている必要があります。
手順
- 管理ポータルで コンピュート → データセンター をクリックします。
- 変更を行うデータセンターを選択し、編集 をクリックします。
- 互換バージョン を必要な値に変更します。
- OK をクリックします。データセンターの互換バージョンを変更 の確認ダイアログが開きます。
- OK をクリックして確定します。
ホストを個別に更新することもできます。
4.1.9. 個々のホストの更新
ホストのアップグレードマネージャーを使用して、管理ポータルから直接個々のホストを更新します。
アップグレードマネージャーが確認するのは、ステータスが Up または Non-operational のホストだけです。ステータスが Maintenance のホストは確認されません。
制限事項
-
RHVH の更新時には、
/etc
および/var
ディレクトリーに変更されたコンテンツのみを保持します。他のパスに含まれる変更されたデータは更新時に上書きされます。 - クラスターの移行が有効化されている場合には、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されます。使用率が比較的に低い時間帯にホストを更新してください。
- セルフホスト型エンジン環境では、Manager 用仮想マシンは同一クラスター内のセルフホスト型エンジンノード間でのみ移行が可能です。通常のホストに移行することはできません。
- ホストが属するクラスターには、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されている必要があります。確保されていないと、仮想マシンの移行がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、ホスト更新によるメモリー使用量を低減することができます。
- すべてのホストを同時に更新しないでください。Storage Pool Manager (SPM) のタスクを実行するために、1 台のホストは使用可能な状態でなければなりません。
- ホストに固定された仮想マシン (vGPU を使用している仮想マシンなど) を別のホストに移行することはできません。ホストを更新する前に、固定された仮想マシンをシャットダウンする必要があります。
手順
適切なリポジトリーが有効であることを確認します。現在有効なリポジトリーの一覧を表示するには、
dnf repolist
を実行します。Red Hat Virtualization Host の場合:
# subscription-manager repos --enable=rhvh-4-for-rhel-8-x86_64-rpms
Red Hat Enterprise Linux ホストの場合:
# subscription-manager repos \ --enable=rhel-8-for-x86_64-baseos-rpms \ --enable=rhel-8-for-x86_64-appstream-rpms \ --enable=rhv-4-mgmt-agent-for-rhel-8-x86_64-rpms \ --enable=advanced-virt-for-rhel-8-x86_64-rpms \ --enable=fast-datapath-for-rhel-8-x86_64-rpms # subscription-manager repos \ --enable=rhel-8-for-x86_64-baseos-eus-rpms \ --enable=rhel-8-for-x86_64-appstream-eus-rpms # subscription-manager release --set=8.6
注記RHEL 8.6 EUS チャンネルは、RHEL 8.7 がリリースされるまで利用できない場合があります。
- 管理ポータルで コンピュート → ホスト をクリックし、更新するホストを選択します。
インストール → アップグレードを確認 をクリックしてから OK をクリックします。
通知ドロワー ( ) を開き、イベント セクションを展開して結果を表示します。
- 更新が利用可能であれば、インストール → アップグレード をクリックします。
OK をクリックしてホストを更新します。実行中の仮想マシンは、その移行ポリシーに従って移行されます。いずれかの仮想マシンの移行が無効になっている場合は、シャットダウンするよう求められます。
コンピュート → ホスト にホストの情報が更新され、ステータスが以下の順序で変わります。
Maintenance > Installing > Reboot > Up
注記更新が失敗すると、ホストのステータスは Install Failed に変わります。Install Failed のステータスから インストール → アップグレード を再度クリックすることができます。
Red Hat Virtualization 環境内のホストごとに同じ手順を繰り返してください。
管理ポータルからホストを更新する必要があります。ただし、管理ポータルの代わりに dnf upgrade
を使用してホストを更新することもできます。
4.1.10. ホストの手動更新
この情報は、Red Hat では更新方法をサポートしていないけれども、ホストを手動で更新する必要がある上級システム管理者向けに提供されます。証明書の更新を含む重要な手順には高度な知識が必要と想定されることから、これらに関する情報は、このトピックで説明する手順には含まれていません。Red Hat は、管理ポータルを使用したホストの更新をサポートします。詳細は、Administration Guide の Updating individual hosts または Updating all hosts in a cluster を参照してください。
dnf
コマンドを使用して、ホストを更新できます。セキュリティーやバグに関する修正がタイムリーに適用されるように、システムを定期的に更新してください。
制限事項
-
RHVH の更新時には、
/etc
および/var
ディレクトリーに変更されたコンテンツのみを保持します。他のパスに含まれる変更されたデータは更新時に上書きされます。 - クラスターの移行が有効化されている場合には、仮想マシンはそのクラスター内の別のホストに自動的に移行されます。使用率が比較的に低い時間帯にホストを更新してください。
- セルフホスト型エンジン環境では、Manager 用仮想マシンは同一クラスター内のセルフホスト型エンジンノード間でのみ移行が可能です。通常のホストに移行することはできません。
- ホストが属するクラスターには、ホストがメンテナンスを実行するのに十分なメモリーが確保されている必要があります。確保されていないと、仮想マシンの移行がハングして失敗してしまいます。ホストを更新する前に一部またはすべての仮想マシンをシャットダウンしておくと、ホスト更新によるメモリー使用量を低減することができます。
- すべてのホストを同時に更新しないでください。Storage Pool Manager (SPM) のタスクを実行するために、1 台のホストは使用可能な状態でなければなりません。
- ホストに固定された仮想マシン (vGPU を使用している仮想マシンなど) を別のホストに移行することはできません。ホストを更新する前に、固定された仮想マシンをシャットダウンする必要があります。
手順
適切なリポジトリーが有効であることを確認します。
dnf repolist
を実行して、現在有効なリポジトリーを確認することができます。Red Hat Virtualization Host の場合:
# subscription-manager repos --enable=rhvh-4-for-rhel-8-x86_64-rpms
Red Hat Enterprise Linux ホストの場合:
# subscription-manager repos \ --enable=rhel-8-for-x86_64-baseos-rpms \ --enable=rhel-8-for-x86_64-appstream-rpms \ --enable=rhv-4-mgmt-agent-for-rhel-8-x86_64-rpms \ --enable=advanced-virt-for-rhel-8-x86_64-rpms \ --enable=fast-datapath-for-rhel-8-x86_64-rpms # subscription-manager repos \ --enable=rhel-8-for-x86_64-baseos-eus-rpms \ --enable=rhel-8-for-x86_64-appstream-eus-rpms # subscription-manager release --set=8.6
注記RHEL 8.6 EUS チャンネルは、RHEL 8.7 がリリースされるまで利用できない場合があります。
- 管理ポータルで コンピュート → ホスト をクリックし、更新するホストを選択します。
- 管理 → メンテナンス をクリックしてから OK をクリックします。
Red Hat Enterprise Linux ホストの場合:
Red Hat Enterprise Linux の現行バージョンを特定します。
# cat /etc/redhat-release
redhat-release パッケージの利用可能なバージョンを確認します。
# dnf --refresh info --available redhat-release
このコマンドは、利用可能な更新をすべて表示します。たとえば、Red Hat Enterprise Linux 8.2.z から 8.3 にアップグレードする場合は、パッケージのバージョンを、現在インストールされているバージョンと比較します。
Available Packages Name : redhat-release Version : 8.3 Release : 1.0.el8 …
注意通常、Red Hat Enterprise Linux Advanced Virtualization モジュールは、Red Hat Enterprise Linux y-stream よりも遅れてリリースされます。新しい Advanced Virtualization モジュールがまだ利用できない場合や、有効化した際にエラーが発生した場合は、ここで停止してアップグレードを取り消します。取り消さない場合は、ホストが破損するリスクがあります。
Red Hat Enterprise Linux 8.3 以降の Advanced Virtualization ストリームが利用できる場合は、
virt
モジュールをリセットします。# dnf module reset virt
注記Advanced Virtualization ストリームでこのモジュールがすでに有効になっている場合は、このステップは必要なく、マイナス要因となることもありません。
以下を入力してストリームの値を確認できます。
# dnf module list virt
以下のコマンドを使用して、Advanced Virtualization ストリームで
virt
モジュールを有効にします。RHV 4.4.2 の場合
# dnf module enable virt:8.2
RHV 4.4.3~4.4.5 に対応しています。
# dnf module enable virt:8.3
RHV 4.4.6 から 4.4.10 の場合:
# dnf module enable virt:av
RHV 4.4 以降の場合:
# dnf module enable virt:rhel
注記RHEL 8.6 以降、Advanced Virtualization パッケージは標準の
virt:rhel
モジュールを使用します。RHEL 8.4 および 8.5 では、1 つの Advanced Virtualization ストリームrhel:av
のみが使用されます。
nodejs
モジュールのバージョン 14 を有効にします。# dnf module -y enable nodejs:14
ホストを更新します。
# dnf upgrade --nobest
すべての更新が正常に適用されるように、ホストを再起動します。
注記imgbased ログを確認して、Red Hat Virtualization Host 向けの追加パッケージの更新に失敗したものがないかを確認します。更新後に一部のパッケージの再インストールに失敗した場合には、そのパッケージが /var/imgbased/persisted-rpms に記載されていることを確認します。足りないパッケージを追加してから
rpm -Uvh /var/imgbased/persisted-rpms/*
を実行します。
Red Hat Virtualization 環境内のホストごとに同じ手順を繰り返してください。