1.5. RHEL 9 でのグラフィックスバックエンド

RHEL 9 では、グラフィカルユーザーインターフェイスを構築するプロトコルを 2 つ使用できます。

Wayland
Wayland プロトコルは、GNOME Shell コンポジターおよびディスプレイサーバーとして使用します。これはさらに Wayland の GNOME Shell として参照されます。
X11
X11 プロトコルは、X.Org をディスプレイサーバーとして使用します。このプロトコルに基づいたグラフィックスの表示は、オプションでしかなかった RHEL 7 と同じように機能します。

RHEL 9 の新規インストールでは Wayland の GNOME Shell が自動的に選択されます。ただし、X.Org に切り替えたり、GNOME 環境とディスプレイサーバーを必要な組み合わせで選択することは可能です。

X11 アプリケーション

クライアントアプリケーションは、Wayland プロトコルにポートする必要があり、GTK などの Wayland バックエンドを持つグラフィカルツールキットを使用して、Wayland に基づいたコンポジターおよびディスプレイサーバーとネイティブに動作できるようにします。

Wayland に移植できないレガシーな X11 アプリケーションは、Xwayland を、X11 レガシークライアントと Wayland コンポジターとの間のプロキシーとして自動的に使用します。Xwayland は、X11 サーバーと Wayland クライアントの両方として機能します。Xwayland のロールは、X11 のレガシーアプリケーションが、Wayland に基づいたディスプレイサーバーと連携するように、X11 プロトコルから Wayland プロトコルへ、または Wayland プロトコルから X11 プロトコルへ変換します。

GNOME Shell on Wayland では、ログイン時に Xwayland が自動的に起動するため、GNOME Shell on Wayland の使用時にほとんどの X11 レガシーアプリケーションが期待通りに動作することが保証されます。ただし、X11 プロトコルと Wayland プロトコルは異なり、X11 に固有の機能に依存する特定のクライアントは、Xwayland では動作が異なる場合があります。このような特定のクライアントの場合は、X.Org ディスプレイサーバーに切り替えることができます。

入力デバイス

RHEL 9 は、統合入力スタック libinput を使用して、マウス、タッチパッド、タッチスクリーン、タブレット、トラックボール、ポインティングスティックなど、共通するすべてのデバイスタイプを管理します。この統合スタックは、X.Org および GNOME Shell on Wayland コンポジターの両方に使用されます。

GNOME Shell on Wayland は、すべてのデバイスに直接 libinput を使用し、切り替え可能なドライバーサポートは利用できません。X.Org では、libinputX.Orglibinput ドライバーとして実装されています。libinput が入力デバイスをサポートしていない場合、オプションでレガシー X.Orgevdev ドライバーを有効にすることが可能です。

関連情報

  • Wayland が利用できない環境の現在のリストは、/usr/lib/udev/rules.d/61-gdm.rules ファイルで確認できます。
  • Wayland プロジェクトの詳細は、Wayland ドキュメント を参照してください。