Red Hat Enterprise Linux (RHEL) Extended Update Support (EUS) の概要
- Extended Update Support (EUS) とは
- EUS を使用することでメリットを得ることができる顧客ユースケース
- EUS リポジトリーの更新方法
- Red Hat Enterprise Linux の推奨メンテナンスプラクティス
- EUS へのアクセス方法
- EUS のタイミングとプランニングに関する考慮事項
- EUS リポジトリーのアップグレード制限
- 関連資料
Extended Update Support (EUS) とは
Extended Update Support (EUS) は、Red Hat Enterprise Linux サブスクライバー向けのオプションサービスです。EUS により、Red Hat は、事前に定義された Red Hat Enterprise Linux マイナーリリースセットに対して、影響度が「重大」および「重要」1 のセキュリティー更新と優先度が「緊急」のバグ修正の バックポート を提供します。お客様は、EUS を利用することで Red Hat Enterprise Linux の同じマイナーリリースを合計 24 カ月間使用し続けることができるため、ミッションクリティカルなアプリケーションを安定した実稼働環境で利用できます。
EUS は、x86-64 Red Hat Enterprise Linux Server Premium サブスクリプションに含まれており、Red Hat Enterprise Linux Server 標準サブスクリプション、Red Hat Enterprise Linux for IBM Power LE、および Red Hat Enterprise Linux for IBM z Systems サブスクリプションへのアドオンとして提供されています。EUS は、バージョン 9 のみのアドオンとして、Red Hat Enterprise Linux Workstation の標準およびプレミアムサブスクリプションで利用できるようになりました。EUS にアクセスできるかどうか不明な場合や、ご使用の環境に適しているかどうかを判断するには、Red Hat の営業担当者 にお問い合わせください。
EUS を使用することでメリットを得ることができる顧客ユースケース
- 新しい Red Hat Enterprise Linux マイナーリリースへの移行時にアプリケーションスタックを再認定するポリシーを持つお客様
- 変更が最小限ですむ機密性の高いワークロードを持つお客様
- 特定の Red Hat Enterprise Linux マイナーリリースで認定された ISV のサードパーティーアプリケーションを使用しているお客様
EUS リポジトリーの更新方法
Extended Update Support リポジトリー修正への組み入れ基準として、期間は 24 カ月のライフサイクル中とし、2 つの一般的なルールに準拠します。
- 0 - 6 カ月: 基本的に、対応するマイナーバージョン用にリリースされたものと同じエラータが含まれます (ただしドライバーの更新は除く)。
- 7 - 24 カ月: 影響度が「重大」および「重要」のセキュリティー更新と、優先度が「緊急」のバグ修正のみ。Red Hat の裁量により、限定的に、新しい機能またはハードウェアの有効化が EUS メンテナンスストリームに追加される場合があります。
上記の基準は、環境の変化を小さくし、安定性を促進するためのものです。
Red Hat Enterprise Linux の推奨メンテナンスプラクティス
Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションのメンテナンスによる恩恵を最大限に受け取るには、マイナーリリースのリリースごと (例:9.0 --> 9.1 --> 9.2) にアップグレードすることが推奨されます。
EUS へのアクセス方法
すべての Red Hat Enterprise Linux メンテナンスと同様に、EUS は Red Hat Subscription Manager 経由で提供され、ミラーリポジトリー階層 (マイナーリリースごとの個別リポジトリーと、関連する子リポジトリーのセット) として実装されます。
Red Hat Enterprise Linux 8 の導入により、コンテンツは BaseOS と AppStream という 2 つの主要リポジトリーを通じて配布されるようになりました。
BaseOS
BaseOS リポジトリーのコンテンツは、すべてのインストールの基盤となる、基本的な OS 機能のコアセットを提供します。このコンテンツは RPM 形式で提供されており、以前の Red Hat Enterprise Linux リリースと同様のサポート条件が適用されます。
AppStream
AppStream リポジトリーのコンテンツは、さまざまなワークロードとユースケースに対応するために、ユーザー領域アプリケーション、ランタイム言語、およびデータベースが同梱されます。AppStream のコンテンツ形式には、従来の RPM 形式と、モジュールと呼ばれる RPM 形式のエクステンションの 2 つが利用できます。
x86-64 アーキテクチャーを使用した RHEL EUS の例
Red Hat Enterprise Linux 7 マイナーリリースのメインリポジトリー
- Red Hat Enterprise Linux 7 サーバー
rhel-7-server-rpms
Red Hat Enterprise Linux 7 EUS のメインリポジトリー
- Red Hat Enterprise Linux 7 Server - Extended Update Support
rhel-7-server-eus-rpms
Red Hat Enterprise Linux 8 マイナーリリースのリポジトリー
- Red Hat Enterprise Linux 8 for x86_64 - BaseOS
rhel-8-for-x86_64-baseos-rpms
- Red Hat Enterprise Linux 8 for x86_64 - AppStream
rhel-8-for-x86_64-appstream-rpms
Red Hat Enterprise Linux 8 EUS リポジトリー
- Red Hat Enterprise Linux 8 for x86_64 - AppStream - Extended Update Support
rhel-8-for-x86_64-appstream-eus-rpms
- Red Hat Enterprise Linux 8 for x86_64 - BaseOS - Extended Update Support
rhel-8-for-x86_64-baseos-eus-rpms
Red Hat Enterprise Linux 9 マイナーリリースのリポジトリー
- Red Hat Enterprise Linux 9 for x86_64 - BaseOS
rhel-9-for-x86_64-baseos-rpms
- Red Hat Enterprise Linux 9 for x86_64 - AppStream
rhel-9-for-x86_64-appstream-rpms
Red Hat Enterprise Linux 9 EUS リポジトリー
- Red Hat Enterprise Linux 9 for x86_64 - AppStream - Extended Update Support
rhel-9-for-x86_64-appstream-eus-rpms
- Red Hat Enterprise Linux 9 for x86_64 - BaseOS - Extended Update Support
rhel-9-for-x86_64-baseos-eus-rpms
EUS は、対応する EUS リポジトリーをサブスクライブし、
subscription-manager release --set=x.y
を実行することで、個々のシステムに対してアクティブ化できます。この場合の "x.y" は、サポート対象の RHEL メジャーバージョンとマイナーバージョンです。 (使用可能リストのsubscription-manager release --list
を実行します。アクティブな EUS バージョンのリストは、RHEL ライフサイクルドキュメントの "Extended Update Support Add-on" セクション を参照してください。)有効な EUS サブスクリプションを持つお客様には、Red Hat Subscription Manager (RHSM) を介して標準リポジトリー以外に EUS リポジトリもが表示されます。RHSM は、以下を通じて Red Hat サブスクリプションのステータス、インベントリー、組織、およびレポート機能を提供します。
- Red Hat カスタマーポータルの ホステッドサービス
- Red Hat Satellite からのオンプレミスアクセス
- Red Hat Enterprise Linux システムからの Subscription Manager の使用
堅牢なサポートとドキュメントが提供される API for RHSM製品のサブスクリプションをご購入いただくと、RHSM は、お客様のインベントリー内でそのサブスクリプションに登録されているシステムを追跡します。登録済みのシステムは、サポートサービスだけでなく、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) からエラータ、パッチ、アップグレードを受ける権利があります。
EUS リポジトリーは RHSM に表示されます。つまり、お客様には特定のシステムのハードウェアアーキテクチャーとインストールされている Red Hat Enterprise Linux のメジャーバージョンに基づくリポジトリーのみが表示されます。システムのリポジトリーメニューでベースリポジトリーを EUS リポジトリーに変更すると、システムが EUS リポジトリーに移動されます。
EUS のタイミングとプランニングに関する考慮事項
マイナーバージョンと終了日の一覧は、Red Hat Enterprise Linux ライフサイクル ドキュメントを参照してください。
EUS を含む Red Hat Enterprise Linux 8 マイナーリリースは、以下のプランニングスケジュールに基づきリリースされる予定です。より長いメンテナンスが必要なお客様は、RHEL ライフサイクルポリシー に準じて、次のスケジュールに基づき計画を立てる必要があります。
EUS を含む Red Hat Enterprise Linux 9 マイナーリリースは、以下のプランニングスケジュールに基づきリリースされる予定です。より長いメンテナンスが必要なお客様は、RHEL ライフサイクルポリシー に準じて、次のスケジュールに基づき計画を立てる必要があります。
次のマイナーリリースがリリースされるまで、RHEL EUS リリースリポジトリーにはすべてのセキュリティー、バグ修正、および機能強化のエラータが (完全メンテナンス RHEL ライフサイクルポリシーに準拠して) 配布されます。その後は、EUS 組み込みポリシーに従って、選択されたバックポートのみ配布されます。
注記:標準ベースリポジトリー (Red Hat Enterprise Linux 9 for x86_64 - BaseOS など) は、EUS リポジトリーと相互に排他的です (つまり、個々のシステムは、標準ベースリポジトリーまたは EUS リポジトリーのいずれかのみサブスクライブでき、両方同時にサブスクライブすることはできません)。システムが EUS リポジトリーをサブスクライブすると、EUS エラータ更新のみ受信するようになります。
EUS リポジトリーのアップグレード制限
EUS リポジトリーをサブスクライブしているシステムをお持ちのお客様は、マイナーリリース間でアップグレードする際にアップグレード制限があることに注意してください (特定の EUS リポジトリーをサブスクライブしているシステムは、必ず現行より新しい EUS リポジトリーか、その Red Hat Enterprise Linux バージョンのベースリポジトリーにアップグレードする必要があります)。たとえば、システムが現在 EUS 9.1 リポジトリーをサブスクライブしている場合、そのサブスクリプションを任意のタイミングで以下にアップグレードできます。
- RHEL 9.2 リリース後の RHEL 9.2 EUS リポジトリー
- RHEL 9.4 リリース後の RHEL 9.4 EUS リポジトリー
- 任意の RHEL 9.y EUS リポジトリー (y は偶数とする)
- Red Hat Enterprise Linux 9 の最新のマイナーリリースの標準ベースリポジトリー。
警告:バージョン番号が大きい新しいマイナーリリースから、それより前のマイナーリリースまたは EUS リポジトリーへのダウングレードは安全ではありません。たとえば、Red Hat Enterprise Linux 9.2 から 9.1 へのダウングレードは安全ではありません。
EUS リポジトリーの非アクティブ化
特定の RHEL マイナーリリースでは、すべての EUS リポジトリーと同様に、EUS リポジトリー (RHEL 9.0 など) が作成から 24 カ月後に廃止され、Red Hat Subscription Manager 経由で利用可能になります。EUS リポジトリーが廃止されると、そのリポジトリーに対する新しいエラータはリリースされなくなります。ただし、有効なサブスクリプションを持つお客様は、それまでにリリースされたすべてのエラータを引き続き利用できます。セキュリティーやバグ修正のエラータなどのエラータ更新を引き続き受信するには、新しい EUS リリースに移行することが必須です。廃止された更新を受信しなくなった EUS リポジトリーは、Red Hat Enterprise Linux の終了済みライフサイクルの日付 で確認できます。
EUS および Red Hat Enterprise Linux ライフサイクル の詳細は、Red Hat カスタマーポータル を参照してください。
EUS メンテナンスポリシー
EUS メンテナンスポリシー の詳細は、Red Hat Enterprise Linux ライフサイクルページを参照してください。
Red Hat Enterprise Linux のサブスクリプションと、ベースリポジトリーおよび子リポジトリーに関する詳細は、Red Hat カスタマーポータル を参照してください。
関連資料
EUS が提供するエラータは限定的ですが、EUS ユーザーが Red Hat Enterprise Linux システムの厳格なライフサイクルをサポートするためにエラータ管理ソリューションを実装する方法についての運用フレームワークや規律は提供されません。これについては、Red Hat Satellite コンテンツ管理ガイド の説明を参照してください。
Red Hat Enterprise Linux 8 EUS Frequently Asked Questions
Red Hat Enterprise Linux 9 EUS Frequently Asked Questions
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2019 年 10 月 1 日以降に発生した「重要」な CVE に適用されます。↩︎
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