10.6. AD ユーザーエントリーに証明書全体が含まれるユーザーに証明書マッピングを設定

このユーザーストーリーでは、IdM デプロイメントが Active Directory (AD) を信頼し、そのユーザーが AD に保存され、AD のユーザーエントリーに証明書全体が含まれる場合に、IdM で証明書マッピングを有効にするのに必要な手順を説明します。

前提条件

  • IdM にユーザーアカウントがない。
  • ユーザーに、証明書を含む AD のアカウントがある。
  • IdM 管理者が、IdM 証明書マッピングルールが基になっているデータにアクセスできる。
注記

PKINIT がユーザーに対して確実に機能するには、次の条件のいずれかが適用される必要があります。

  • ユーザーエントリーの証明書には、ユーザープリンシパル名またはユーザーの SID 拡張子が含まれます。
  • AD のユーザーエントリーには、altSecurityIdentities 属性に適切なエントリーがあります。

10.6.1. IdM Web UI で証明書マッピングルールの追加

  1. 管理者として IdM Web UI にログインします。
  2. AuthenticationCertificate Identity Mapping RulesCertificate Identity Mapping Rules の順に移動します。
  3. Add をクリックします。

    図10.5 IdM Web UI で新しい証明書マッピングルールの追加

    IdM Web UI のスクリーンショット。Authentication タブの Certificate Identity Mapping Rules サブページが表示されています。右側にある "Add" ボタンが強調表示されています。
  4. ルール名を入力します。
  5. マッピングルールを入力します。認証のために IdM に提示された証明書全体を、AD で利用可能な証明書全体と比較するには、次のコマンドを実行します。

    (userCertificate;binary={cert!bin})
    注記

    完全な証明書を使用してマッピングする場合、また、証明書を更新する場合は、新しい証明書を AD ユーザーオブジェクトに必ず追加する必要があります。

  6. マッチングルールを入力します。たとえば、AD.EXAMPLE.COM ドメインの AD-ROOT-CA が発行する証明書のみを認証できるようにするには、次のコマンドを実行します。

    <ISSUER>CN=AD-ROOT-CA,DC=ad,DC=example,DC=com

    図10.6 AD に保存されている証明書があるユーザーの証明書マッピングルール

    Rule name (必須) - Mapping rule - Matching rule のフィールドに入力済みの Add Certificate Identity Mapping Rule ポップアップウィンドウのスクリーンショット。Priority のフィールドは空白で、"Domain name" のラベルの横に "Add" ボタンがあります。
  7. Add をクリックします。
  8. System Security Services Daemon (SSSD) は、証明書マッピングルールを定期的に再読み込みします。新たに作成したルールがすぐに読み込まれるようにするには、CLI で SSSD を再起動します。

    # systemctl restart sssd

10.6.2. IdM CLI での証明書マッピングルールの追加

  1. 管理者の認証情報を取得します。

    # kinit admin
  2. マッピングルールを入力し、マッピングルールの基となっているマッチングルールを入力します。AD で利用可能な証明書と比較する、認証用に提示される証明書全体を取得して、AD.EXAMPLE.COM ドメインの AD-ROOT-CA により発行された証明書のみの認証を許可するには、次のコマンドを実行します。

    # ipa certmaprule-add simpleADrule --matchrule '<ISSUER>CN=AD-ROOT-CA,DC=ad,DC=example,DC=com' --maprule '(userCertificate;binary={cert!bin})' --domain ad.example.com
    -------------------------------------------------------
    Added Certificate Identity Mapping Rule "simpleADrule"
    -------------------------------------------------------
      Rule name: simpleADrule
      Mapping rule: (userCertificate;binary={cert!bin})
      Matching rule: <ISSUER>CN=AD-ROOT-CA,DC=ad,DC=example,DC=com
      Domain name: ad.example.com
      Enabled: TRUE
    注記

    完全な証明書を使用してマッピングする場合、また、証明書を更新する場合は、新しい証明書を AD ユーザーオブジェクトに必ず追加する必要があります。

  3. System Security Services Daemon (SSSD) は、証明書マッピングルールを定期的に再読み込みします。新たに作成したルールがすぐに読み込まれるようにする場合は、次のコマンドを実行して SSSD を再起動します。

    # systemctl restart sssd