11.2. 新しいユーザー証明書を要求し、クライアントにエクスポート

Identity Management (IdM) 管理者は、IdM 環境でユーザーの証明書を作成し、作成した証明書を、ユーザーの証明書認証を有効にする IdM クライアントにエクスポートできます。

注記

証明書を使用して認証するユーザーがすでに証明書を持っている場合は、この手順を実行する必要はありません。

手順

  1. 必要に応じて、新しいディレクトリー (例: ~/certdb/) を作成し、証明書の一時データベースを作成します。要求されたら、NSS 証明書の DB パスワードを作成し、後続の手順で生成される証明書への鍵を暗号化します。

    # mkdir ~/certdb/
    # certutil -N -d ~/certdb/
    Enter a password which will be used to encrypt your keys.
    The password should be at least 8 characters long,
    and should contain at least one non-alphabetic character.
    
    Enter new password:
    Re-enter password:
  2. 証明書署名要求 (CSR) を作成し、その出力をファイルにリダイレクトします。たとえば、IDM.EXAMPLE.COM レルムの idm_user ユーザーの 4096 ビット証明書に対して、certificate_request.csr という名前の CSR を作成する場合は、判別を簡単にするために、証明書の秘密鍵のニックネームを idm_user に設定し、発行先を CN=idm_user,O=IDM.EXAMPLE.COM に設定します。

    # certutil -R -d ~/certdb/ -a -g 4096 -n idm_user -s "CN=idm_user,O=IDM.EXAMPLE.COM" > certificate_request.csr
  3. プロンプトが表示されたら、certutil を使用して一時データベースを作成したときに入力したパスワードを入力します。その後、止めるように言われるまで、ランダムにタイピングし続けます。

    Enter Password or Pin for "NSS Certificate DB":
    
    A random seed must be generated that will be used in the
    creation of your key.  One of the easiest ways to create a
    random seed is to use the timing of keystrokes on a keyboard.
    
    To begin, type keys on the keyboard until this progress meter
    is full.  DO NOT USE THE AUTOREPEAT FUNCTION ON YOUR KEYBOARD!
    
    
    Continue typing until the progress meter is full:
  4. 証明書要求ファイルをサーバーに送信します。新しく発行した証明書に関連付ける Kerberos プリンシパルと、証明書を保存する出力ファイルを指定し、必要に応じて証明書のプロファイルを指定します。たとえば、IECUserRoles プロファイル (idm_user@IDM.EXAMPLE.COM プリンシパルに追加したユーザーロール拡張を持つプロファイル) の証明書を取得して、それを ~/idm_user.pem ファイルに保存する場合は、次のコマンドを実行します。

    # ipa cert-request certificate_request.csr --principal=idm_user@IDM.EXAMPLE.COM --profile-id=IECUserRoles --certificate-out=~/idm_user.pem
  5. 証明書を NSS データベースに追加します。証明書が NSS データベースの秘密鍵に一致するように、CSR を作成する際に使用したニックネームを設定するには、-n オプションを使用します。-t オプションは信頼レベルを設定します。詳細は、certutil(1) man ページを参照してください。-i オプションは、入力証明書ファイルを指定します。たとえば、idm_user ニックネームを持つ証明書を NSS データベースに追加するには、次のコマンドを実行します。証明書は、~/certdb/ データベースの ~/idm_user.pem ファイルに保存されます。

    # certutil -A -d ~/certdb/ -n idm_user -t "P,," -i ~/idm_user.pem
  6. NSS データベースの鍵で、ニックネームが (orphan) と表示されていないことを確認します。たとえば、~/certdb/ データベースに保存されている証明書で、対応する鍵が存在することを確認するには、以下のコマンドを実行します。

    # certutil -K -d ~/certdb/
    < 0> rsa      5ad14d41463b87a095b1896cf0068ccc467df395   NSS Certificate DB:idm_user
  7. 証明書を、NSS データベースから PKCS12 形式にエクスポートするには、pk12util コマンドを使用します。たとえば、NSS データベース /root/certdb から ~/idm_user.p12 ファイルへ、idm_user ニックネームを持つ証明書をエクスポートする場合は、次のコマンドを実行します。

    # pk12util -d ~/certdb -o ~/idm_user.p12 -n idm_user
    Enter Password or Pin for "NSS Certificate DB":
    Enter password for PKCS12 file:
    Re-enter password:
    pk12util: PKCS12 EXPORT SUCCESSFUL
  8. idm_user の証明書認証を有効にするホストに、証明書を転送します。

    # scp ~/idm_user.p12 idm_user@client.idm.example.com:/home/idm_user/
  9. セキュリティー上の理由から、証明書が転送されたホストの、.pkcs12 ファイルが格納されているディレクトリーに、other グループがアクセスできないようにします。

    # chmod o-rwx /home/idm_user/
  10. セキュリティー上の理由から、一時 NSS データベースおよび .pkcs12 ファイルを、サーバーから削除します。

    # rm ~/certdb/
    # rm ~/idm_user.p12