Red Hat Access の Red Hat Support Tool
利点
Red Hat グローバルサポートサービスは、Red Hat Enterprise Linux に Red Hat Access を導入しました。 Red Hat Support Tool から配信されている Red Hat Access を使用すると、排他的な Red Hat のナレッジ、リソース、機能をすべて Linux 端末から使用して、ヒントや回答を見つけたり、診断サービスを利用したりできます。
サブスクリプションをお持ちの場合は、このツールをインストールすれば Red Hat Enterprise Linux の端末から以下の Red Hat Access サービスを利用できます。
- Red Hat サポートケースを作成、管理、またはアップデート、そしてケースにファイルを添付する
- 排他的な Red Hat ナレッジの記事にアクセスする
- Red Hat カスタマーポータルでエラーコードやメッセージを検索し、関連するナレッジを表示する
- 診断サービスを使用してログファイルを解析する
- カーネルのコアファイルからバックトレースを簡単に取得する
目次
インストール
以下のコマンドを実行すると、Red Hat Enterprise Linux の Red Hat Support Tool がインストールされます。
yum install redhat-support-tool
利用方法
Red Hat Support Tool (redhat-support-tool
) は、シェルプログラムとシングルステップの実行プログラムの形式で提供されています。Red Hat Support Tool はテキストベースのツールであるため、グラフィカルインターフェイスは必要ありません。このツールは SSH 上または端末から実行できます。
このプログラムは、デフォルトではコマンド (opencase
、btextract
、search
など) が呼び出されるシェルモードで起動します。シェルモードで利用できるコマンド (redhat-support-tool btextract /path/to/vmcore
など) はすべて、シングルステップの実行モードでも利用できます。
シェルモードには、タブによるコマンド補完や、親シェルにプログラムを呼び出す '!' を使用するなどの便利な機能が利用できます。
シェルモードの Red Hat Support Tool
非対話モードの Red Hat Support Tool
動画
以下の動画では、Red Hat Support Tool の利用方法や機能についてデモを紹介しています。ただし、動画は英語版のみの提供となります。
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はじめての利用: インストール、ナレッジベースの検索および表示
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設定オプション: プロキシ設定と、対話モードと非対話モードの違い
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診断サービス: 'diagnose'、'analyze'、'btextract' などのコマンドを使用した高度な診断サービス
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サポートの利用: Red Hat サポートを利用する際に、コマンドラインから、sosreport などのファイルをケースに添付したり、ケースを作成したり、ケースの状況を確認したりできます。
設定
Red Hat Support Tool は、最初に起動した時に自動的に設定されます。Red Hat Support Tool には Red Hat ログイン が必要です。これにより、(HTTPS を使用して) Red Hat Access サービスを安全に使用できます。ログイン情報を設定ファイル ($HOME/.redhat-support-tool/redhat-support-tool.conf
) に保存することも、ツールを起動するたびに入力することもできます。
Red Hat Support Tool のすべての設定オプションは、config --help
コマンドを実行すると表示できます。これらの設定オプションは、 config <option name> <option value>
コマンドを実行して設定します。この実行例はこちらを参照してください。
Red Hat Support Tool は、インターネットにアクセスするプロキシサーバーが必要なサイトに対してプロキシサポートを提供しています。また、必要に応じてパスワードが求められるプロキシサーバーを使用するようにツールを設定することもできます。
root ユーザーによって設定オプションをグローバルに設定して、システムのすべてのユーザーが利用できるようにすることもできます。システムワイドの設定が正しい場合の簡単な使用事例はプロキシ情報です。この使用事例では、root ユーザーが Red Hat Support Tool を起動して config --global proxy_url http://proxy.example.com
を入力します。プロキシ情報はツールによって /etc/redhat-support-tool.conf
に保存されます。そのシステム上で Red Hat Support Tool を使用する場合は、通常、このプロキシ情報が設定に使用されるため、この情報を提供する必要はありません。このシナリオはこちらを参照してください。
最初の起動時に行われる自動設定
利用できるすべての設定オプション
例: サイトのプロキシーサーバーをグローバル設定する
ヘルプ
Red Hat Support Tool は、各コマンドのヘルプを提供します。オプションを追加しないで help
コマンドを実行すると、利用可能なすべてのコマンドと、簡単な説明が表示されます。各コマンドには詳細なヘルプも提供されています。こちらに記載されているように help <command>
を入力してください。
利用できるすべてのコマンドのヘルプ
特定のコマンドのヘルプ
Red Hat Access: ナレッジ
Red Hat Support Tool を使用すると、Red Hat カスタマーポータルで表示できるナレッジを検索したり表示したりできます。
以下のスクリーンショットでは、Red Hat Support Tool で表示された場合に、Red Hat カスタマーポータルのナレッジがどのように表示されるかを示しています。
ナレッジを検索する
ナレッジベースのキーワード検索は、search
コマンドで実行できます。ログファイルのエラーコード、行、またはキーワードセットに関連するクエリを作成できます。このツールは Red Hat ナレッジベースを検索し、関連性が最も高いものがリストの上位に表示されます。検索結果が 1 ページで表示できない場合は、以下に示すように複数ページで表示できます。
以下のスクリーンショットではキーワード検索で、ナレッジベースを選択し、特定のセクションやドキュメント全体を表示するためのメニューが示されています。
ナレッジを表示する
Red Hat Support Tool は、ナレッジを表示するメカニズムを多数サポートします。識別子が kb
コマンドで指定されている場合はナレッジに直接アクセスできます。以下の例は、非対話的にナレッジを表示する方法を示してます。この方法では、高度な使用事例に対して grep
や more
などのプログラムへの出力結果をパイプします。
Red Hat Access: サポート
Red Hat Support Tool を使用すると、サポートケースの表示やアップデート、そしてケースへのファイル添付が簡単にできます。以下のスクリーンショットは、このツールを使用してサポートケースを管理する方法を示しています。
以下のスクリーンショットは、完了したサポートケースを表示するオプションのフィルターを追加した listcases
コマンドを使用する方法を示しています。listcases
コマンド (つまり listcases --help
) のヘルプを表示すると表示できるその他のフィルターオプション (たとえばケースグループまたはキーワードによるフィルターなど) があります。
そのアカウントに関連するサポートケースの一覧を表示する
利用可能なサポートケースの一覧から、サポートケースの様々な属性を管理または表示するための選択肢があります。以下のスクリーションショットでは、サポートケースの状態をアップデートしたり、ファイルを添付したり、コメントを追加したり、ディスカッションを表示したりなどのメニューを示します。
サポートケースのメニュー操作
Red Hat Support Tool を使用すると、サポートケースにファイルを簡単に添付できます。ケースメニュー (以下を参照) または addattachment
コマンドからケースにファイルを添付できます。
サポートケースにファイルを添付する
サポートケースの管理には、非対話的を含むさまざまな方法があります。以下の例では、サポートケースを非対話的に完了する方法を示しています。
サポートケースを完了する
サポートケースを作成して sosreport を添付する
Red Hat Support Tool を使用してサポートケースを作成することが、 Red Hat サポートサービスを利用する推奨された方法です。ツールを使用してサポートケースを作成すると、ツールは sosreport を取得したり、問題に関連するファイルを添付したりするオプションを提供します。したがって、取得作業やサポートケースへの添付は自動化されるため、これらのファイルを添付するプロセスをツールは簡略化します。
以下の例では、Red Hat Support Tool を使用してサポートケースを作成して sosreport を自動的に添付する方法を示しています。以下の例では、製品とバージョンを opencase
コマンドへの引数として設定します。これらの引数は簡潔さのための設定するためのもので、必須ではありません。引数が提供されていない場合は、ツールは製品と関連バージョンの選択リストを表示します。
以下のスクリーションショットは、Red Hat カスタマーポータルのサポートケースビューで新たに作成したサポートケースに sosreport が適切に添付されている例を示しています。
Red Hat Access: 診断
Red Hat Support ツールには、問題を特定するのに利用できるさまざまなコマンド (btextract
、diagnose
、および analyze
) が用意されています。
カーネルのコアファイルから簡易バックトレースを取得する
カーネルのバックトレースは、カーネルクラッシュで問題を特定する非常に便利な情報を提供します。システムに、カーネルコアファイルを取得することが適切に設定されている場合、Red Hat Support Tool を使用してバックトレースを簡単に取得して、オンサイト診断を実施したり、サポートケースを作成して Red Hat サポートエンジニアに解決を依頼したりできます。コアファイルのサイズは非常に大きくなる場合が多いため、Red Hat サポートへの依頼が必要な場合は、カーネルのコアファイルではなく、実際のバックトレースを添付してサポートケースを作成した方が簡単な場合が多々あります。
カーネルのコアファイルの解析を実行するには、特別なカーネルビルドに関連するデバッグ記号が必要になる場合があります。Red Hat Support Tool を使用すると、提供されたカーネルコアファイルを自動的に検査して、Red Hat カスタマーポータルから適切なデバッグ記号をダウンロードできます。次に、ツールは、一般的な crash コマンドと、カスタムコマンドを提供するオプション、出力結果を診断するオプション、 バックトレースを添付したサポートケースを作成するオプションを表示します。以下のスクリーションショットは、カーネルのコアファイルの解析を実行する方法を示しています。
カーネルのコアファイルのオンサイト解析を実行するには、以下に示されるメニューから [Diagnose] を選択してください。
カーネルデバッグの記号は、デフォルトでは /var/lib/redhat-support-tool/debugkernels
に解凍されます。このツールでは、/var
にキャッシュされたデバッグ記号を管理するための追加コマンドが 2 つ (rmkerneldebug
および listkerneldebugs
) が提供されています。これらのコマンドは以下のようになります。
ファイル、エラーコード、またはストリングを診断する
Red Hat Support Tool を使用すると、標準のキーボードベースの検索 (つまり search
コマンド) 以外にも Red Hat Access の診断サービスを利用できます。Red Hat Access の診断サービスは、従来のキーボードベースによる検索方法を上回るサービスで、追加解析を行い、指定した入力に最も関連するナレッジ提供します。
Red Hat Support Tool の diagnose
コマンドを実行すると、Red Hat Access 診断サービスを利用できます。ここでは、ファイル入力や、コマンドラインテキストが利用できます。以下の例では、/var/log/messages
の diagnose
コマンドを使用する例について示しています。
Tomcat、JBoss、または Python のログファイルを解析する
Red Hat Support Tool には、Java および Python プログラムの解析にフィルターを設定するための機能があります。analyze
コマンドを実行すると、ログファイルのパスが入力として許可され、ファイルに含まれる問題の症状が検索されます。ツールにこれらの症状が表示されるので、その症状を個別に表示および診断することができます。これにより、ログファイル全体ではなく、 Red Hat Access 診断サービスから、最も関連する結果が生成されます。
以下のスクリーンショットは、JBoss サーバーのログファイルを処理する analyze
コマンドの例となります。Red Hat Support Tool はログファイルを処理し、確認すべき問題の症状の一覧を表示します。