Simple Content Access
目次
- Simple Content Access とは何ですか? なぜ使用する必要があるのですか?
- 重要事項と日付
- Red Hat Subscription Tooling のロードマップおよび今後について
- Simple Content Access を Red Hat Subscription Management 向けに有効化するにはどうすればよいですか?
- Simple Content Access を Red Hat Satellite 向けに有効化するにはどうすればよいですか?
- Simple Content Access の有効化後、どのような操作上の変更を行う必要がありますか?
- マニフェストの生成
- サブスクリプションステータス
Simple Content Access とは何ですか? なぜ使用する必要があるのですか?
Simple Content Access (SCA) は Red Hat のサブスクリプションツールの機能で、エンタイトルメントツールの動作を簡素化します。これにより、サブスクリプションツールの設定という複雑なプロセスなしに、Red Hat サブスクリプションが提供するコンテンツを簡単に利用できるようになります。
その結果、Simple Content Access では以下のプロセスがなくなります。
- 時間のかかるプロセス
- 特にシステム管理担当者にとって非常に複雑なプロセス
- ビジネスに影響を及ぼすプロセス('間違えた' 場合のペナルティーが高い)
Simple Content Access はエンタイトルメントエクスペリエンスを簡素化するため、サブスクリプションの追加、削除、および更新時に Linux 管理者が完了しなければならない複雑なワークフローはありません。SCA により、管理者は貴重な時間を節約できるので (平均で週 10 時間)、その分をサブスクリプション管理以外の作業に費やすことができます。根本的に、システムレベルごとにサブスクリプションをアタッチする必要性を排除すること で、これを実現します。サブスクリプションのアタッチが不要なことから、サブスクリプションツールの複雑さが大きく軽減または排除されます。
- 複雑なアクティベーションキーを設定し、システムが適切なサブスクリプションを取得 (リポジトリーへのアクセスの許可) できるようにする必要がなくなりました。今後は、必要なリポジトリーを登録し、有効化するだけになります。
- 新しくプロビジョニングされたホストをサポートするための新しいホストとゲストのマッピングをサポートするために、virt-who を頻繁に実行する必要がなくなりました。必要に応じて、報告用に virt-who を実行します。
- 自動アタッチによるサブスクリプションの意図しない割り当てに関する問題が解消されます。
- 新しいハイパーバイザーにサブスクリプションをアタッチする (または古いハイパーバイザーからサブスクリプションを削除する) という要件がなくなりました。
- 更新後にサブスクリプションを再びアタッチする必要がなくなりました。
Simple Content Access は、Red Hat Subscription Management (RHSM) および Red Hat Satellite 6 の機能です。Satellite 6 では、サブスクリプションの割り当てごとに Organization Administrator が Simple Content Access を有効にできます。
重要事項と日付
- 2022 年 7 月 15 日の時点で、新しく作成された Red Hat アカウントではデフォルトで Simple Content Access が有効になっています。
- 2024 年 4 月の時点で、Red Hat Subscription Management の Simple Content Access を有効にする変換は不可逆です。Simple Content Access は一度有効にすると無効にすることはできません。
- 2024 年 10 月/11 月に、Simple Content Access と Hybrid Cloud Console を使用していないほとんどの Red Hat アカウントがこれらのエクスペリエンスに移行されます。詳細は、Red Hat のサブスクリプションサービスの Red Hat Hybrid Cloud Console (console.redhat.com) への移行 を参照してください。
- 2024 年 11 月以降、すべてのアカウントが例外なく新しいモードに移行されました。詳細は、上記のリンクを確認してください。
Simple Content Access を有効にすると、既存のサブスクリプションツールを使用する新しいサブスクリプションエクスペリエンスを有効にすることになります。そのため、これらのツールは以前とは大きく異なる動作をします。この記事の Simple Content Access の有効化後、どのような操作上の変更を行う必要がありますか? セクションでは、これらの変更について詳しく説明しています。
Simple Content Access はサブスクリプションサービス (Subscription Watch) と組み合わせて使用することが最適とされています。サブスクリプションサービスは SCA を最大限に活用するために必要な可視性とガバナンスを提供するからです。以下のビデオでは、Red Hat サブスクリプションツールの将来のロードマップと、これらのツールを最大限に活用する方法を説明しています。
Red Hat Subscription Tooling のロードマップおよび今後について
RHEL サブスクリプションのメリットを最大限に活用 | Red Hat Enterprise Linux 製品更新
さらに、以下のビデオでは、Red Hat サブスクリプションエクスペリエンスの最新の改善点についてさらに詳しく説明しています。
RHEL サブスクリプションにアクセス: トライアルなど | Red Hat Enterprise Linux Presents 75
Modernizing the Registration Experience | Red Hat Enterprise Linux Presents 43
Simple Content Access を Red Hat Subscription Management 向けに有効化するにはどうすればよいですか?
Simple Content Access の有効化 (および無効化) は、Red Hat カスタマーポータルで実行する必要がなくなりました。そのため、カスタマーポータルでの実行はできなくなっています。エンタイトルメントベースのワークフローに精通しているお客様向けに、動作の違いを以下に記載しています。
アカウントで Simple Content Access を有効にすると、RHSM のほとんどのページにアクセスできなくなり、新しい RHSM ランディングページにリダイレクトされるようになります。このページには、Red Hat Hybrid Cloud Console における適切な代替機能へのリンクと、ワークフローの移行 (必要な場合) に役立つ移行ガイドがあります。
有効にした後、システムを (subscription-manager
を介して) 登録する必要があり、必要に応じて 追加のリポジトリーが有効になります。
以下に例を示します。
システムを登録するには、以下を実行します。
subscription-manager register --username <$INSERT_USERNAME_HERE>
または (アクティベーションキーを使用する場合は)、以下を実行します。
subscription-manager register --org <$INSERT_ORG_ID_HERE> --activationkey <$INSERT_ACTIVATION_KEY_HERE>
次に、(必要に応じて) 追加のリポジトリーを有効化します。
subscription-manager repos --enable rhel-7-server-ansible-2.9-rpms
注記 (subscription-manager attach --auto
や subscription-manager attach --pool <$POOLID>
などの) サブスクリプションをアタッチするコマンドは廃止され、不要となりました。
Simple Content Access を Red Hat Satellite 向けに有効化するにはどうすればよいですか?
SCA は、Red Hat Cloud Services プラットフォーム の マニフェストごと に有効にできます。
注記: 新しく作成された Subscription Allocations では、デフォルトで Simple Content Access が有効になっています。
ただし、既存の割り当てに対して Simple Content Access を無効または有効にするには、次の手順を実行します。
1.Satellite Web UI で、Administer > Organizations に移動します。
2.組織をクリックします。
3.Primary タブで、Simple Content Access チェックボックスをオンまたはオフにして、Submit をクリックします。
Simple Content Access の有効化後、どのような操作上の変更を行う必要がありますか?
Simple Content Access が有効化されると、サブスクリプション管理の世界における ‘物理法則’ が変わります。同じツール (subscription-manager、virt-who、Satellite) が使用されていても、動作は大きく異なります。基本的に、Simple Content Access への切り替えは、サブスクリプション管理に関連するほとんどのワークフローと 互換性のない 新しいオペレーティングモデルのように扱う必要があります。
何よりもまず、Simple Content Access が有効になっている場合は、サブスクリプションをアタッチする必要はありません。(たとえば) プロビジョニング後のワークフローの一部としてシステムに有効なサブスクリプションがあることを確認するワークフローがある場合は、これを変更する必要があります。以下に一覧表示されているのは、SCA が有効化された場合に大幅に変更される他のワークフローです。
- マニフェストの生成
- サブスクリプションステータス
- アクティベーションキー
- 自動アタッチ
- Virt-who
- システム目的のステータス
- UI の変更
- サブスクリプションの使用状況の報告と把握
マニフェストの生成
SCA が無効な場合:
SCA が無効化されている場合、サブスクリプションマニフェストには、Satellite に登録されているすべてのシステムをカバーするための (少なくとも) 十分なサブスクリプションが含まれている必要がありました。
SCA が有効な場合:
SCA が有効化されている場合、サブスクリプションマニフェストには、システムに必要なリポジトリーへアクセスするための十分なサブスクリプションのみが含まれている必要があります。各サブスクリプションにつき 1 つで十分です。
サブスクリプションステータス
SCA が無効な場合:
(subscription-manager
ツールによって報告されているように) システムレベルのサブスクリプションステータスは、システムに有効なサブスクリプションがあるかどうかを把握するために使用され、不十分または無効なステータスが報告された場合は、別の (または追加の) サブスクリプションをアタッチすることで対処できます。
subscription-manager status
+-------------------------------------------+
System Status Details
+-------------------------------------------+
Overall Status: Current
System Purpose Status: Matched
サブスクリプションステータスは、‘このシステムが正常に登録されたかどうか’ の指標としても使用できます。
SCA が有効な場合:
(subscription-manager
ツールによって報告されているように) システムレベルのサブスクリプションステータスは無効化されました。Disabled というステータスはエラー状態を示すものではなく、システムレベル のサブスクリプションステータス (例: このホストに適切なサブスクリプションが割り当てられているか) とシステム目的のステータス (例: 設定されたシステム目的の属性に一致するサブスクリプションか) が計算されなくなったことを管理者に通知するものです。繰り返しになりますが、SCA モードではサブスクリプションをホストに割り当てる必要がないため、このステータスは廃止されます。
subscription-manager status
+-------------------------------------------+
System Status Details
+-------------------------------------------+
Overall Status: Disabled
Content Access Mode is set to Simple Content Access. This host has access to content, regardless of subscription status.
System Purpose Status: Disabled
サブスクリプションを ホストにアタッチする必要がなくなった ため、‘このホストに有効なサブスクリプションがあるかどうか’ という概念自体が廃止されました。‘このシステムが適切に登録されているかどうか’ を確認したい場合は、subscription-manager status
の出力の代わりに、subscription-manager identity
の出力を使用してください。
注記: Satellite のバージョン 6.7 以前では、サブスクリプションステータスは ‘Unknown (不明)’ と表示されます。
これは無視しても問題ありません。Satellite 6.8 では対処され、CLI ツールと同様に ‘Disabled (無効)’ と表示されます。
アクティベーションキー
SCA が無効な場合:
ユーザー名/パスワードの代わりに Satellite サーバーに登録する手段として使用されるアクティベーションキーには、通常、ホストを登録として設定するための多数の属性が含まれています。これらには以下が含まれます (ただし、これらに限定されません)。
- アタッチするサブスクリプション
- 有効化するリポジトリー
- システムを構成する環境とコンテンツビュー
- 参加するホストコレクション
アクティベーションキーのサブスクリプションに関連する側面として、アクティベーションキーが一般的に複雑である点があります。以前 (「従来の Red Hat Network ユーザー向け Subscription-Manager: パート 9 - アクティベーションキー付きケーススタディー」などで) は、アクティベーションキーを 1-3 個使用してシステムを設定することが推奨されていました (1 つで仮想サブスクリプションを付与し、1 つでリポジトリーなどのコンテンツを設定し、1 つでカスタムまたは階層化されたサブスクリプションを設定)。
SCA が有効な場合:
アクティベーションキーは引き続きシステムの登録に使用されますが、サブスクリプションに関連する側面は廃止されました。その結果、システムの登録に必要なアクティベーションキーの数が簡素化され、コンテンツ関連の側面 (リポジトリーとコンテンツビュー) を設定するには、ホストごとに 1 つのキーが最適となります。
さらに、アクティベーションキーを使用できる最大回数を設定する「コンテンツホスト制限」属性を設定することをお勧めします。これは、登録できるシステムの数を制限するために使用できます。
ホストの登録に必要なアクティベーションキーの数は簡素化できる可能性があります。そのため、アクティベーションキーの設計を再検討することが 強く 推奨されます。
自動アタッチ
SCA が無効な場合:
自動アタッチ機能は通常、登録時またはサブスクリプションの有効期限の終了時のいずれかで、適切なサブスクリプションをシステムにアタッチするために使用されます。
SCA が有効な場合:
SCA が有効化されている場合は、サブスクリプションをホストにアタッチする必要がないため、自動アタッチに関連するワークフローは廃止されました。以下を実行する必要がなくなりました。
- ‘subscription-manager attach --auto’ の実行
- ‘hammer host subscription auto-attach’ の実行
- アクティベーションキーの ‘auto-attach’ への設定
上記のコマンドを実行すると、操作なし (変更なし) または明示的なエラーが発生します。
Virt-who
SCA が無効な場合:
ハイパーバイザーからホスト/ゲストマッピングを収集して Satellite に報告するユーティリティーである Virt-who は、複数のゲスト (RHEL vDC など) をサポートするサブスクリプションによって提供されるコンテンツを消費するために使用する必要のある必須ツールでした。Virt-who は通常、更新されたホスト/ゲストマッピングを提供するために、1-4 時間ごとに実行するように設定されていました。
SCA が有効な場合:
Virt-who は、コンテンツアクセスの ‘クリティカルパス’ に存在しなくなりました (これも、サブスクリプションをホストにアタッチする必要がなくなったためです)。ただし、virt-who は Subscription Watch をサポートするための非常に重要なツールです。virt-who によって収集されるホスト/ゲストマッピングは、Subscription Watch で正確なチャートをレンダリングするために使用される重要な情報です。しかし、virt-who が必要とする実行回数の頻度は、少なく制限することができます。virt-who のインストールと Satellite Inventory Plugin のインストール/有効化の両方が正しく設定されていないと、Satellite ユーザーは Subscription Watch で正確なレポートを 取得できません。
Satellite で SCA が有効化されている場合は、virt-who の実行回数を 1 日 2 回以下の頻度に設定することをお勧めします。
システム目的 (およびシステム目的のステータス)
SCA が無効な場合:
システム目的 により、システムの使用方法に関するさまざまなパラメーターを設定できます。これらのパラメーターは永続的であり、サブスクリプションツールによって使用され、システムを適切なサブスクリプションに正しく導きます。これらの技術、ビジネス、および操作に関するユースケースを提供することにより、サブスクリプションツール (特に自動アタッチ) は、より多くの情報に基づいた決定を下すことができます。ユーザーは以下を提供します。
- ROLE: システムで実行されているワークロードは何ですか?
- 例:‘Red Hat Enterprise Linux Server’
- SLA: このシステムに想定されるサービスレベルは何ですか?
- 例:セルフサポート、スタンダード (営業時間)、プレミアム
- USAGE: このシステムのサポート範囲は何ですか?どのようなサポートが必要ですか?
- 例: 開発 (設計の支援)、運用 (インストールとランタイムの問題の支援)
SCA が使用されていない場合、提供されるシステム目的属性は、自動アタッチをより適切にガイドするために使用され、自動アタッチが要求された属性を有効なサブスクリプションと一致させることができる場合、システム目的のステータスは MATCHED に更新されます (一致できない場合は MISMATCHED)。
SCA が有効な場合:
サブスクリプションをシステムにアタッチする必要がない ため、システム目的のステータスは DISABLED に設定されています。ただし、システム目的の属性を引き続き設定することを強くお勧めします。これらは、Subscription Watch (https://cloud.redhat.com/subscriptions/) でもホストのフィルタリング/識別に使用されるからです。
UI の変更
Satellite UI のコンテンツ関連ページに、Simple Content Access が有効になっていることをユーザーに通知するバナーが表示されるようになりました。以下に例を示します。
- マニフェストのインポート (Satellite 6.8+)
- ホストページ
- アクティベーションキーページ
ユーザーは、Simple Content Access を有効にしてマニフェストをインポートすること以外に、変更を行う必要はありません。これらの UI の変更は、SCA が有効化されているので、サブスクリプションをホストにアタッチしてはならない ことをユーザーに通知することを目的としています。
'subscription-manager' CLI ツールの動作
SCA が有効化されている場合
1.27.9-1 未満 のバージョンの subscription-manager
CLI ツールでは、SCA が有効化されると正しくないメッセージが表示されます。
yum コマンドを実行すると、ユーザーは次のような出力を受け取ります。This system is registered with an entitlement server, but is not receiving updates.You can use subscription-manager to assign subscriptions
このメッセージは、次の場合であれば無視しても問題ありません。
- RHEL8: SCA が有効な場合の 1.27.9-1 より前 の subscription-manager バージョン。1.27.9-1 より後 のバージョンでは適切に対処されます。この問題は BZ1815624 で追跡されています。
- RHEL7: SCA が有効な場合の 1.24.26-1 より前 の subscription-manager バージョン。1.24.26-1 より後 のバージョンでは適切に対処されます。この問題は BZ1831104 で追跡されています。
関連資料
Simple Content Access および Subscription Watch に関する知識と理解を深めるための関連資料が多数あります。
Comments