第1章 Red Hat Container Development Kitのインストール

1.1. Red Hat Container Development Kitのインストール

Red Hat Enterprise Linux システムのコンテナー化されたアプリケーションの開発を検討されている場合、Red Hat Container Development Kit (CDK) は以下の点で役立ちます。

  • 独自のラップトップ、デスクトップまたはサーバーシステムにインストールする Red Hat コンテナー開発環境を提供する。
  • 大規模なデータセンター向けのコンテナーの作成およびデプロイに使用されるものと同じコンテナー開発およびランタイムツールが組み込まれている。
  • ローカルシステムで実行される事前に設定された Vagrant box および Vagrantfile で仮想マシンを作成できる簡単なインストール方法を提供する。

本書では、お客様が選択されるシステムに、コンテナー開発用に設定された Vagrant 対応の Red Hat Enterprise Linux 仮想マシンをインストールする方法について説明します。さらに、OpenShift、Eclipse、および各種コマンドラインツールを使って Red Hat Enterprise Linux ベースのコンテナーを開発する方法について説明します。

1.2. Red Hat CDK を実行する場所

Red Hat CDK は、ユーザーが他の作業に使用するものと同じコンピューターでコンテナー開発を行えるように設計されています。CDK をインストールするために使用できるシステムには以下が含まれます。

  • Mac OS X: Intel ベースの Apple Mac を使用して Red Hat CDK をインストールし、実行することができます。Mac には 4 GB 以上の RAM が必要で、10.10 などの最新の 64 ビットバージョンの Mac OS X (Yosemite) を実行できる必要があります。
  • Microsoft Windows: 64 ビットバージョンの Microsoft Windows を Red Hat CDK をインストールするために使用できます。Windows 7 以上が必要です。
  • Red Hat Enterprise Linux: Red Hat CDK を RHEL システムにインストールするには、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 7 の最新バージョンが推奨されます。4 GB 以上の RAM を搭載し、仮想化サポートのある 64 ビットのコンピューターが必要です。
  • Fedora: Red Hat CDK を Fedora にインストールするための仕様は、基本的に RHEL の仕様と同じです。この場合も 4 GB 以上の RAM 搭載の、仮想化サポートのある 64 ビットのコンピューターを用意してください。

ハードウェアおよびソフトウェアの詳細の要件については、各システムの Red Hat CDK インストール手順を確認してください。

1.3. Red Hat CDK の内容

RHEL CDK からの RHEL 7 仮想マシンが指定システムで実行されたら、内容を検索できます。一部のサービスおよびツールは仮想マシンの起動時に自動的に実行されますが、他のサービスおよびツールには設定が必要です。以下は、これらの一部の機能の一覧です。

  • Docker: Docker プロジェクトは、基本的なコンテナーのフォーマットと、CDK に組み込まれるコンテナーで使用する docker コマンドを開発します。CDK は、docker デーモンを RHEL 仮想マシンの起動時に自動的に起動するように設定されます。docker コマンドを使用することにより、個別のコンテナーの構築、実行、起動、停止、調査およびその他の方法での使用が可能になります。
  • OpenShift: コンテナー化されたバージョンの OpenShift Enterprise が CDK に組み込まれています。OpenShift コンテナーが実行されると、ご使用のブラウザーから Web コンソールを使用したり、コンテナープロジェクトを開発するために oc コマンドを使ってコマンドラインから作業したりすることができます。
  • Kubernetes: いわゆる pod でコンテナーのオーケストレーションを実行するために、CDK には Kubernetes クラスターを実行するために必要なすべての機能が組み込まれています。CDK では、Kubernetes は一体型の Kubernetes master (pod の管理を行う) および node (pod の実行を行う) として実行するようにセットアップされます。Kubernetes には、pod を複製し、アプリケーションをオンザフライで拡張する機能、各種サービスおよびコンテナーのセットを相互に接続するための機能が含まれます。
  • Eclipse: Red Hat CDK に同梱される Eclipse Workbench には、Linux Tools/Docker Tooling プラグインが含まれます。これにより、CDK ユーザーは Web UI からコンテナーを管理できます。

本書は、Red Hat CDK 仮想マシンの各種機能をインストールし、最初にこれらに接続するための基本情報を提供しますが、CDK の使用方法の詳細は、他のドキュメントを参照する必要があります。以下は参照ドキュメントの例になります。

  • Container Development Kit Getting Started Guide (作成中): Red Hat CDK をはじめて使用する際の手順を説明します。
  • Container Development Guide (作成中): 高度なコンテナー開発についての手引きです。このガイドは、Docker、Kubernetes、Nulecule、Atomic その他のコンテナーのランタイム環境で実行するコンテナーを作成する各種の方法を解説します。
  • Getting Started with Containers (コンテナーの使用ガイド) : コンテナーを実行するために Docker および Kubernetes (一体型またはクラスター) をセットアップする基本的な方法について説明します。さらに、基本的なストレージのセットアップ、Kubernetes のトラブルシューティング、systemd によるコンテナーの起動およびスーパー特権コンテナーの実行についても扱います。
  • RHEL Atomic Host スタートガイド: このガイドでは、RHEL Atomic Host システムを取得し、インストールし、アップグレードし、使用する方法について説明します。RHEL Atomic Host は、とくにクラウドや仮想環境でコンテナーを実行するために作成された RHEL の軽量バージョンです。

1.4. CDK Installation Tools について

Red Hat CDK を使用する際のワークステーションとして選択するプラットフォームが何であれ、Vagrant を使用してこれを起動し、管理することができます。開始する前に Vagrant についての以下のいくつかの点に注意してください。

  • Vagrant は、軽量でポータブルで、一貫した開発環境の使用を可能にするオープンソースのツールです。
  • Vagrant で使用するためにパッケージ化された仮想マシンは box と呼ばれています。
  • CDK は、Vagrant box の CDK ソフトウェアコンポーネントを各種の方法で設定するために複数の異なる Vagrant ファイルと共に提供されます。

ここまでで Red Hat CDK に含まれる内容を説明したので、後続の章では Red Hat CDK を取得し、これを Microsoft Windows、Mac OS X、Red Hat Enterprise Linux、または Fedora システムにインストールする方法について説明します。