第5章 パフォーマンスのための Satellite 環境の設定
- CPU
- Satellite で使用できる物理コアが多いほど、タスクのスループットを向上させることができます。Puppet や PostgreSQL などの一部の Satellite コンポーネントは CPU を大量に使用するアプリケーションであり、利用可能な CPU コアの数が多いほどメリットが得られます。
- メモリー
- Satellite を実行しているシステムで利用可能なメモリーの量が多いほど、Satellite の操作の応答時間が向上します。Satellite はデータベースソリューションとして PostgreSQL を使用しているため、メモリー追加とチューニングを組み合わせると、メモリー内に保持されるデータが増加するため、アプリケーションの応答時間が短縮されます。
- ディスク
- Satellite は、リポジトリーの同期、パッケージデータの取得、コンテンツホストのサブスクリプションレコードの頻繁なデータベース更新により、大量の IOPS を処理します。そのため、ディスクの読み書きの増加により発生する可能性のあるパフォーマンスのボトルネックを回避するために、Satellite は高速の SSD にインストールすることを推奨します。Satellite では、読み取り操作の平均スループットが 1 秒あたり 60 - 80 メガバイト以上のディスク IO が必要です。この値を下回ると、Satellite の操作に重大な影響を与える可能性があります。SSD は HDD と比較してレイテンシーが低いため、PostgreSQL などの Satellite コンポーネントは、SSD を使用することでメリットがあります。
- ネットワーク
- Satellite Server と Capsule 間の通信は、ネットワークパフォーマンスの影響を受けます。Satellite Server と Capsule の同期などの操作を手間なく実行できるようにするには、レイテンシーが低く、ジッターを最小限に抑えた適切なネットワークが必要です (少なくとも、接続のリセットなどが発生しないようにします)。
- サーバーの電源管理
- デフォルトでは、サーバーは電力を節約するように設定されている可能性があります。これは最大消費電力を抑えるには良い方法ですが、Satellite が達成できるパフォーマンスが低下するという副作用もあります。Satellite を実行しているサーバーの場合、システムをパフォーマンスモードで実行できるように BIOS を設定して、Satellite が達成できる最大パフォーマンスレベルを上げることを推奨します。
5.1. ディスクパフォーマンスのベンチマーク
Red Hat は、内部のクイックストレージベンチマークの結果が推奨スループットを下回った場合にのみユーザーに警告するように、satellite-maintain
の更新に取り組んでいます。
また、より正確な実際のストレージ情報を取得するために実行可能なベンチマークスクリプトの更新にも取り組んでいます (このスクリプトは、今後 satellite-maintain
に統合される見込みです)。
注記
-
I/O ベンチマークを実行するには、RAM を一時的に縮小する必要がある場合があります。たとえば、Satellite Server に 256 GiB の RAM がある場合、テストを実行するには 512 GiB のストレージが必要です。回避策として、システムの起動中に grub で
mem=20G
のカーネルオプションを追加して、RAM のサイズを一時的に減らすことができます。ベンチマークは、指定されたディレクトリーに RAM の 2 倍のサイズのファイルを作成し、それに対して一連のストレージ I/O テストを実行します。このようなサイズのファイルを使用することで、このテストでファイルシステムのキャッシュ以外もテストされるようにしています。PostgreSQL ストレージなどの小規模なボリュームなど、他のファイルシステムのベンチマークを行う場合は、上記のように RAM のサイズを減らす必要がある場合があります。 - SAN や iSCSI などの異なるストレージソリューションを使用している場合は、想定されるパフォーマンスは異なります。
- Red Hat では、このスクリプトを実行する前にすべてのサービスを停止することを推奨します。
このテストはダイレクト I/O を使用せず、通常の操作と同様にファイルのキャッシュを使用します。
storage-benchmark というスクリプトの最初のバージョンを こちら で提供しています。このスクリプトを実行するには、スクリプトを Satellite にダウンロードし、実行可能にして、次を実行します。
# ./storage-benchmark /var/lib/pulp
スクリプトの README ブロックに記載されているように、通常、以下のテストで平均 100 MB/秒以上が得られる必要があります。
- ローカル SSD ベースのストレージでは、600 MB/秒以上の値が得られる必要があります。
- 回転ディスクでは、100 - 200 MB/秒以上の値が得られる必要があります。
値がこれを下回る場合は、サポートチケットを作成してサポートを受けてください。
詳細は、Impact of Disk Speed on Satellite Operations を参照してください。