2.2. 無効にしても安全なサービスを選択するためのガイド

デフォルトで起動時に有効になっている特定のサービスを無効にすることで、システムの起動時間を短縮できます。

  • 有効なサービスをリスト表示します。

    $ systemctl list-unit-files --state=enabled
  • サービスを無効にします。

    # systemctl disable <service_name>

お使いのオペレーティングシステムが安全で、希望通りに機能できるように、特定のサービスは有効にしたままにしておく必要があります。

無効にしても安全なサービスを選択するためのガイドとして、次の表を参照してください。この表には、Red Hat Enterprise Linux の最小インストールでデフォルトで有効になるすべてのサービスがリスト表示されています。

表2.1 RHEL の最小インストールで、デフォルトで有効になっているサービス

サービス名無効にすることは可能か ?詳細情報

auditd.service

はい

auditd.service は、カーネルからの監査メッセージが必要ない場合に限り無効にします。auditd.service を無効にすると、/var/log/audit/audit.log ファイルが生成されないことに注意してください。無効にすると、ユーザーログイン、サービスの起動、パスワードの変更などの、一般的に確認されるアクションまたはレビューをさかのぼって確認することはできません。auditd には、カーネルの部分と、サービスそのものが含まれることに注意してください。systemctl disable auditd コマンドを実行すると、サービスを無効にするだけで、カーネル部分は無効にしません。システムの監査を完全に無効にするには、カーネルコマンドラインに audit=0 と設定します。

autovt@.service

いいえ

このサービスは、本当に必要な場合に限り実行されるため、無効にする必要はありません。

crond.service

はい

crond.service を無効にすると crontab からアイテムが実行しないことに注意してください。

dbus-org.fedoraproject.FirewallD1.service

はい

firewalld.service へのシンボリックリンク

dbus-org.freedesktop.NetworkManager.service

はい

NetworkManager.service へのシンボリックリンク

dbus-org.freedesktop.nm-dispatcher.service

はい

NetworkManager-dispatcher.service へのシンボリックリンク

firewalld.service

はい

ファイアウォールが必要ない場合に限り firewalld.service を無効にします。

getty@.service

いいえ

このサービスは、本当に必要な場合に限り実行されるため、無効にする必要はありません。

import-state.service

はい

import-state.service は、ネットワークストレージからの起動が必要ない場合に限り無効にします。

irqbalance.service

はい

irqbalance.service は、CPU が 1 つしかない場合に限り無効にします。システムに CPU が複数ある場合は irqbalance.service を無効にしないでください。

kdump.service

はい

kdump.service は、カーネルクラッシュからのレポートが必要ない場合に限り無効にします。

loadmodules.service

はい

このサービスは、/etc/rc.modules ディレクトリーまたは /etc/sysconfig/modules ディレクトリーがなければ起動しません。つまり、RHEL の最小インストールでは起動しません。

lvm2-monitor.service

はい

lvm2-monitor.service は、論理ボリュームマネージャー (LVM) を使用しない場合に限り無効にします。

microcode.service

いいえ

そのサービスは、CPU 内のマイクロコードソフトウェアの更新を提供するため、無効にしないでください。

NetworkManager-dispatcher.service

はい

NetworkManager-dispatcher.service は、ネットワーク設定変更の通知が必要ない場合 (静的ネットワークなど) に限り無効にします。

NetworkManager-wait-online.service

はい

NetworkManager-wait-online.service は、システムの起動直後にネットワーク接続が利用できるようになっている必要がない場合に限り無効にします。このサービスを有効にすると、ネットワーク接続が有効になるまで、システムの起動が完了しません。これにより、起動時間が大幅に長くなることがあります。

NetworkManager.service

はい

NetworkManager.service は、ネットワークへの接続が必要ない場合に限り無効にします。

nis-domainname.service

はい

nis-domainname.service は、ネットワークインフォメーションサービス (NIS) を使用しない場合に限り無効にします。

rhsmcertd.service

いいえ

 

rngd.service

はい

rngd.service は、システムでエントロピーがそれほど必要ない場合、またはハードウェアジェネレーターがない場合に限り無効にします。このサービスは、X.509 証明書の生成に使用されるシステム (たとえば FreeIPA サーバー) など、良好なエントロピーを多数必要とする環境で必要になります。

rsyslog.service

はい

rsyslog.service は、永続的なログが必要ない場合に限り、または systemd-journald を永続モードに設定した場合に限り無効にします。

selinux-autorelabel-mark.service

はい

selinux-autorelabel-mark.service は、SELinux を使用しない場合に限り無効にします。

sshd.service

はい

sshd.service は、OpenSSH サーバーへのリモートログインが必要ない場合に限り無効にします。

sssd.service

はい

sssd.service は、ネットワークを介して (たとえば LDAP や Kerberos を使用して) システムにログインするユーザーがいない場合に限り無効にします。sssd.service を無効にした場合は、sssd-* ユニットをすべて無効にすることを Red Hat は推奨します。

syslog.service

はい

rsyslog.service のエイリアス

tuned.service

はい

tuned.service は、パフォーマンスチューニングを使用する必要がない場合に限り無効にします。

lvm2-lvmpolld.socket

はい

lvm2-lvmpolld.socket は、論理ボリュームマネージャー (LVM) を使用しない場合に限り無効にします。

dnf-makecache.timer

はい

dnf-makecache.timer は、パッケージメターデータを自動的に更新する必要がない場合に限り無効にします。

unbound-anchor.timer

はい

unbound-anchor.timer は、DNSSEC (DNS Security Extensions) のルートトラストアンカーを毎日更新する必要がない場合に限り無効にします。このルートトラストアンカーは、DNSSEC 検証の Unbound リゾルバー、およびリゾルバーライブラリーにより使用されます。

サービスの詳細は、次のいずれかのコマンドを使用して表示できます。

$ systemctl cat <service_name>
$ systemctl help <service_name>

systemctl cat コマンドは、それぞれの /usr/lib/systemd/system/<service> サービスファイルの内容と、適用可能なすべてのオーバーライドを提供します。適用可能なオーバーライドには、/etc/systemd/system/<service> ファイルからのユニットファイルオーバーライド、または対応する unit.type.d ディレクトリーのドロップインファイルが含まれます。

関連情報

  • systemd.unit(5) man ページ
  • 特定のサービスの man ページを表示する systemd help コマンド