4.3.5. ライフサイクルフック

ローリングおよび再作成ストラテジーは、ストラテジーで事前に定義したポイントでデプロイメントプロセスに動作を挿入できるようにする ライフサイクルフック またはデプロイメントフックをサポートします。

pre ライフサイクルフックの例

pre:
  failurePolicy: Abort
  execNewPod: {} 1

1
execNewPod は Pod ベースのライフサイクルフックです。

フックにはすべて、フックに問題が発生した場合にストラテジーが取るべきアクションを定義する 失敗ポリシー が含まれます。

Abort

フックに失敗すると、デプロイメントプロセスも失敗とみなされます。

Retry

フックの実行は、成功するまで再試行されます。

Ignore

フックの失敗は無視され、デプロイメントは続行されます。

フックには、フックの実行方法を記述するタイプ固有のフィールドがあります。現在、フックタイプとしてサポートされているのは Pod ベースのフックのみで、このフックは execNewPod フィールドで指定されます。

Pod ベースのライフサイクルフック

Pod ベースのライフサイクルフックは、DeploymentConfig オブジェクトのテンプレートをベースとする新しい Pod でフックコードを実行します。

以下のデプロイメントの例は簡素化されており、この例ではローリングストラテジーを使用します。簡潔にまとめられるように、トリガーおよびその他の詳細は省略しています。

kind: DeploymentConfig
apiVersion: v1
metadata:
  name: frontend
spec:
  template:
    metadata:
      labels:
        name: frontend
    spec:
      containers:
        - name: helloworld
          image: openshift/origin-ruby-sample
  replicas: 5
  selector:
    name: frontend
  strategy:
    type: Rolling
    rollingParams:
      pre:
        failurePolicy: Abort
        execNewPod:
          containerName: helloworld 1
          command: [ "/usr/bin/command", "arg1", "arg2" ] 2
          env: 3
            - name: CUSTOM_VAR1
              value: custom_value1
          volumes:
            - data 4
1
helloworld の名前は spec.template.spec.containers[0].name を参照します。
2
この command は、openshift/origin-ruby-sample イメージで定義される ENTRYPOINT を上書きします。
3
env は、フックコンテナーの環境変数です (任意)。
4
volumes は、フックコンテナーのボリューム参照です (任意)。

この例では、pre フックは、helloworld コンテナーからの openshift/origin-ruby-sample イメージを使用して新規 Pod で実行されます。フック Pod には以下のプロパティーが設定されます。

  • フックコマンドは /usr/bin/command arg1 arg2 です。
  • フックコンテナーには、CUSTOM_VAR1=custom_value1 環境変数が含まれます。
  • フックの失敗ポリシーは Abort で、フックが失敗するとデプロイメントプロセスも失敗します。
  • フック Pod は、DeploymentConfig オブジェクト Pod から data ボリュームを継承します。

4.3.5.1. ライフサイクルフックの設定

CLI を使用してデプロイメント用に、ライフサイクルフックまたはデプロイメントフックを設定できます。

手順

  1. oc set deployment-hook コマンドを使用して、必要なフックのタイプを設定します (--pre--mid、または --post)。たとえば、デプロイメント前のフックを設定するには、以下を実行します。

    $ oc set deployment-hook dc/frontend \
        --pre -c helloworld -e CUSTOM_VAR1=custom_value1 \
        --volumes data --failure-policy=abort -- /usr/bin/command arg1 arg2