Red Hat Training
A Red Hat training course is available for Red Hat Enterprise Linux
5.6 リリースノート
新機能と主な更新点
Red Hat Engineering Content Services
概要
1. インストーラ
anaconda
)は、Red Hat Enterprise Linux 5 のインストールを支援します。
キックスタートは、Red Hat Enterprise Linux のインストールにシステム管理者が使用する自動インストールの方法です。キックスタートを使用すると、標準的なインストールにおいて通常質問される事項が全て含まれた、1つのファイルが作成されます。
Red Hat Enterprise Linux 5.6 では、インストールプロセス中に必要とされるデバイスのドライバサポートが改善されています。本リリースのインストーラには、以下にあげるドライバとデバイスのサポートが追加されています:
- Brocade 10G PCIe Ethernet Controller 用の Brocade BNA Ethernet Controller ドライバ
- Chelsio Terminator4 10G Unified Wire Network Controller 用の
cxgb4
ドライバ - LSI 3ware 97xx SAS/SATA RAID Controller 用の
3w-sas
ドライバ
注記
2. 仮想化
準仮想化ドライバ(virtio ドライバ)は、仮想マシンのブロックデバイスとネットワークデバイスのパフォーマンスを向上させます。
Libvirt は、様々なオペレーティングシステムの仮想化機能と協調して動作可能なハイパーバイザに依存しない仮想化 APIです。libvirt は共通した汎用の安定したレイヤを提供し、ホスト上で仮想化のゲストをセキュアに管理します。
pvclock により、ゲストはホストのクロック時間を読み取ることができるようになります。Red Hat Enterprise Linux 5.6 では、グローバル同期ポイントが pvclock に追加されており、ゲスト用のより安定性の高い時間ソースを提供します。
virtio-serial ドライバが追加され、Red Hat Enterprise Linux 6 ホスト上で稼働する Red Hat Enterprise Linux 5.6 ゲスト上で、vmchannel 機能が使用可能になりました。VM チャネルは、ホストのユーザースペースとゲストのユーザースペース間の通信に使用されるトランスポートメカニズムです。
Red Hat Enterprise Linux 5.6 での Xen xenoprof コマンドには、Core i7 と Atom プロセッサを認識するための追加の定義が含まれています。
3. ネットワーキング
インターネットを含む、最新のネットワーク上では、ユーザーは、他のコンピュータを名前で検索します。これによって、ユーザーは、ネットワークリソースの数値ネットワークアドレスを覚えるという面倒なタスクから開放されます。このような名前ベースの接続を可能にする最も効果的な方法は、ドメインネームサーバー(DNS)又はネームサーバーを設定することで、ネットワーク上のホスト名から数値アドレスへの変換及びその逆を行います。
カーネルは、詳細なネットワークパケットロスのモニタリングを提供する Netlink Drop Monitor (DROP_MONITOR) サービスを特徴としています。Red Hat Enterprise Linux 5.6 は、ドロップモニタサービスと連動してユーザースペースに結果を返す、新たな dropwatch
ユーティリティを特徴としています。
イーサネットブリッジテーブル (ebtables
) は、ブリッジを通過するネットワークトラフィックを透過的にフィルターするファイヤウォールツールです。リンクレイヤのフィルタリングとより上位のネットワークレイヤの基本フィルタリングのみが可能です。ebtables
は、Red Hat Enterprise Linux 5.6 リリース向けの新たなパッケージです。
4. Web サーバーとサービス
Hypertext Preprocessor (PHP) は、HTML 埋め込み型のスクリプト言語で、一般的に Apache HTTP Web サーバーで使用されています。Red Hat Enterprise Linux 5.6 では、PHP のバージョン 5.3.3 が、個別の php53
パッケージとして現在利用可能となっています。
注記
php
パッケージは、PHP のバージョン 5.1.6 を提供しており、Red Hat Enterprise Linux 5.6 でも継続して利用可能となっています。php53
のインストール前に、php
パッケージとそれが必要とする依存関係を確実に削除しておくようにします。
mod_nss は、Network Security Services (NSS) セキュリティーライブラリを使用して、Secure Sockets Layer (SSL) と Transport Layer Security (TLS) のプロトコルを介した、Apache Web サーバー向けの強力な暗号化を提供します。本リリースでは、mod_nss はバージョン 1.0.8 に更新されており、Online Certificate Status Protocol (OCSP) のサポートが追加されました。
5. ファイルシステムとストレージ
fourth extended filesystem (ext4) は、Red Hat Enterprise Linux 5.6 で完全にサポートされるようになりました。ext4 は、third extended filesystem (ext3) をベースにしており、次にあげるような、数多くの点が改善がされているのが特徴です: より大きなファイルサイズとオフセットのサポート、ディスクスペースの割り当ての高速化・効率化、ディレクトリ内のサブディレクトリ数の制限の廃止、ファイルシステムチェックの高速化、より頑強なジャーナリング。
注記
ext4dev
というリリース名で知られていたかもしれません。
5.1. Logical Volume Manager (LVM)
注記
LVM は、単一または複数のミラーと同期するリージョンを記録するために使用する小さいログ(個別のデバイス上)を維持します。Red Hat Enterprise Linux 5.6 では、このログデバイスをミラーリングする機能が導入されました。
Red Hat Enterprise Linux 5.6 では、ミラー化された論理ボリュームの冗長イメージを分割して新たな論理ボリュームを形成するための、lvconvert
コマンドの --splitmirrors
引数が使用できるようになりました。
Red Hat Enterprise Linux 5.6 の LVM は、デフォルトのデータ配置とボリュームグループメタデータ用の設定オプションも追加して提供しています。
6. 認証と相互運用性
System Security Services Daemon (SSSD) は、ID と認証の集中管理のためのサービスセットを実装する、Red Hat Enterprise Linux 5.6 の新機能です。ID と認証のサービスを一元化することにより、ID のローカルキャッシングが有効となり、サーバーへの接続が中断された場合でも、ユーザーを特定することが可能となります。SSSD は、Red Hat Directory Server、Active Directory、OpenLDAP、389 Directory Server、Kerberos、及び LDAP を含む、数多くのタイプの ID と認証のサービスをサポートしています。
Samba とは、TCP/IP (NetBT) 上で NetBIOS を使用して、ファイル、プリンター、及びその他の情報の共有を可能にするプログラムのセットです。このパッケージは、 SMB/CIFS クライアントにネットワークサービスを提供することができる Server Message Block または SMB サーバー(別名:Common Internet File System 又は CIFS サーバー)を提供します。
7. デスクトップ
IPA フォントは、JIS X 0213:2004 に準拠した日本語の OpenType フォントで、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が提供しています。Red Hat Enterprise Linux 5.6 では、ゴシック(サンセリフ)体のフォントを含む新たな ipa-gothic-fonts
パッケージと、明朝体のフォントを含む新たな ipa-mincho-fonts
パッケージが導入されました。
Red Hat Enterprise Linux 5.6 では、Wacom Cintiq 21UX2 グラフィックタブレットのサポートが導入されました。
Ghostscript スイートは、PostScript (TM) インタプリタ、一連の C プロシージャ(PostScript 言語でグラフィックス機能を実装する Ghostscript ライブラリ)及び PDF ファイル用のインタプリタを提供します。Ghostscript は、PostScript コードを、大半のプリンタやディスプレイが理解できるような一般的なビットマップ形式に変換します。これによってユーザーは、PostScript ファイルを表示して、非 PostScript プリンタで印刷することができます。
8. カーネル
- Trusted Platform Module (TPM) マイクロコントローラ用の tpm_tis ドライバをブート時に自動的にロード
- AMDプロセッサ上における Actual Performance Clock Counter (APERF) 及び Maximum Qualified Performance Clock Counter (MPERF) Model-Specific Registers (MSRs) のサポートの追加
- ITE-887x チップのサポートの追加
- Power PC プラットフォーム用の VIO 電力管理サポートの追加
- qeth ドライバにおける OSX と OSM OSA CHPID タイプのサポートの追加
- Advanced Linux Sound Architecture - High Definition Audio (ALSA-HDA) ドライバの更新
- 統合されたコンパイルサーバーのクライアント、自動構造のプリティプリンティング、迅速化・改善されたスタックバックトレース、及び新たなサンプルスクリプトを提供する、SystemTap のバージョン 1.3 へ更新
- Kernel Probes (kprobes) 実装の更新
- タスク毎の統計インターフェース (taskstats) の更新
- TCP 3次輻輳制御のサポートの追加
- ネットワーキングスタック内の単一パケットスケジューラの新たなサポートの追加
- ユーザーがサードパーティーアプリケーション用にポートを予約したり、既知の問題ポートをブラックリストすることを可能とする、ip_local_reserved_ports と ip_local_port_range パラメータの2つのネットワーキングチューニングパラメータの追加
- /dev/zero デバイスの ZERO_PAGE mmap をスキップするための、/proc/sys/vm/vm_devzero_optimized パラメータの追加
- iSCSI イニシエータ及び iSNS サーバーにおける iSNS 用の機能強化の追加
- Kernel Application Binary Interface (kABI) の更新
9. デバイスドライバ
9.1. ネットワークデバイスのドライバ
- I/O AT (I/O Acceleration Technology) と DCA のドライバが更新されました。I/O AT には Intel の技術が集積されており、複製操作の負荷を軽減することにより、ネットワークのスループットを向上させます。Direct Cache Access (DCA) は、プロセッサのキャッシュに直接データを提供することができる、I/O AT の機能です。
- Red Hat Enterprise Linux 5.6 では、ZyDAS ZD1211(b) 802.11a/b/g USB WLAN デバイス用の
zd1211
ドライバがサポートされるようになりました。 qlcnic
ドライバが最新のアップストリームバージョンに更新されました。- ServerEngines BladeEngine2 10Gbps ネットワークデバイス用の
be2net
ドライバがバージョン 2.102.512r に更新されました。 - Broadcom NetXtreme II ネットワークカード用の
bnx2
ドライバがバージョン 2.0.8 に更新されました。 - Broadcom Everest ネットワークデバイス用の
bnx2x
ドライバがバージョン 1.52.53-4 に更新されました。 - NVIDIA nForce デバイス用の
forcedeth
イーサネットドライバが最新のアップストリームバージョンに更新されました。 - Intel PRO/1000 イーサネットデバイス用の
e1000e
ドライバがアップストリームバージョン 1.2.7-k2 に更新されました。 - Cisco 10G Ethernet デバイス用の
enic
ドライバがバージョン 1.4.1.2 に更新されました。 - Intel Gigabit Ethernet Adapters 用の
igb
ドライバが更新され、PCI-AER のサポートが追加されました。 - Intel 10 Gigabit PCI Express ネットワークデバイス用の
ixgbe
ドライバがバージョン 2.0.84-k2 に更新されました。 - NetXen Multi port (1/10) Gigabit Network デバイス用の
netxen
ドライバがバージョン 4.0.73 に更新されました。 - QLogic 10 Gigabit PCI-E イーサネットデバイス用の
qlge
ドライバがバージョン 1.00.00.25 に更新されました。 - Solarflare ドライバ (
sfc
) がバージョン 2.6.36-4c1 に更新されました。 - Broadcom Tigon3 イーサネットデバイス用の
tg3
ドライバがバージョン 3.108+ に更新されました。 - Neterionの X3100 Series 10GbE PCIe デバイス用の
vxge
ドライバがバージョン 2.0.8.20182-k に更新されました。
9.2. ストレージデバイスのドライバ
- HP Smart Array コントローラ用の
cciss
ドライバがバージョン 3.6.22.RH1 に更新されました。 qla4xxx
ドライバがバージョン 5.02.03.00.05.06-d1 に更新されました。- Broadcom NetXtreme II iSCSI 用の
bnx2i
ドライバがバージョン 2.1.3 にアップデートされました。 - ServerEngines BladeEngine 2 Open iSCSI デバイス用の
be2iscsi
ドライバが 更新されました。 - Emulex Fibre Channel Host Bus Adapter 用の
lpfc
ドライバがバージョン 8.2.0.87 に更新されました。 ipr
ドライバがバージョン 2.2.0.4 に更新されました。3w-sas
ドライバがバージョン 3.26.00.028-2.6.18RH に更新されました。- 3ware SATA RAID Controllers 用の
3w-xxxx
ドライバがバージョン 2.26.08.007-2.6.18RH に更新されました。 - Chelsio host bus adapters (HBA) 用の
cxgb3i
ドライバが更新されました。 - LSI MegaRAID SAS コントローラ用の
megaraid_sas
ドライバがバージョン 4.31 に更新されました。 - LSI の SAS-2 アダプタファミリーをサポートする
mpt2sas
ドライバがバージョン 05.101.00.02 に更新されました。 - QLogic Fibre Channel HBA 用の
qla2xxx
ドライバがバージョン 8.03.01.05.05.06-k に更新されました。
9.3. デスクトップドライバの更新
- Intel の統合ディスプレイデバイス用の i810 ドライバが更新され、IronLake グラフィックのサポートが追加されました。
sis
ドライバが更新され、Volari Z9s デバイスのサポートが追加されました。- Matrox video デバイス用の
mga
ドライバが更新され、G200eH
デバイスのサポートが追加されました。
9.4. プリンタのドライバ
- HPLIP (Hewlett-Packard Linux Imaging and Printing Project) パッケージは、HP のプリンタ及び多機能周辺機器用のドライバを提供します。HPLIP のバージョン 3.9.8 は、別個の
hplip3
パッケージとして入手可能となりました。hplip3
パッケージは、Red Hat Enterprise Linux 5 で提供されるバージョンと共にインストールすることが可能な、より新しいバージョンの HPLIP を提供している点に留意して下さい。関連するコマンドラインユーティリティには、hp-
ではなく、hp3-
のプレフィックスが付きます。例:hp3-setup
10. 開発者用ツール
GNU gettext パッケージは、プログラム内で多言語のメッセージを作成するためのツールセットとドキュメンテーションを提供します。Red Hat Enterprise Linux 5.6 では、gettext がバージョン 0.17 に更新されました。今回更新された gettext パッケージでは、java と libintl.jar のサポートは中止された点にご注意ください。
Subversion (SVN) は、ファイルとディレクトリの階層の作成と維持において1人もしくは複数のユーザーのコラボレーションを可能とする一方で、全ての変更履歴を保管する、コンカレントバージョン管理システムです。Red Hat Enterprise Linux 5.6 の Subversion はバージョン 1.6.11 に更新され、マージトラッキングとインタラクティブな競合解消の機能が新たに導入されています。
このアップデートでは、GNU Project Debugger (GDB) の新バージョンを提供しており、新しい Python API を特徴としています。この API により、Python プログラミング言語で書かれたスクリプトを使用した、GDB の自動化が可能となりました。
GNU Compiler Collection (GCC) には、C、C++, 及び Java の GNU コンパイラと関連サポートライブラリが他の機能と共に含まれています。Red Hat Enterprise Linux 5.6 は、GCC のバージョン 4.4 を完全にサポートしており、Red Hat Enterprise Linux 6 との相互運用性を提供しています。
GNU C Library (glibc) パッケージには、Red Hat Enterprise Linux 上の複数のプログラムによって使用される、標準の C ライブラリが含まれています。これらのパッケージには、標準の C ライブラリ及び標準の数学ライブラリが含まれています。これらの 2 つのライブラリがなければ、Linux システムは正常に機能することができません。
Red Hat Enterprise Linux 5.6 の OpenJDK はバージョン 1.7.5 に更新されました。今回の更新で追加された注目すべき点は以下の通りです:
- HotSpot の安定性とパフォーマンスの向上
- Xrender パイプラインのサポート
- 視覚的な異常の修正、tzdata を使用した同期タイムゾーンのサポート
- グラフィックファイルサポートと総体的な JAR パフォーマンスの向上
- NUMA アロケータのサポート
A. 改訂履歴
改訂履歴 | ||||
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改訂 1-6.400 | 2013-10-31 | Rüdiger Landmann | ||
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改訂 1-6 | 2012-07-18 | Anthony Towns | ||
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改訂 1-1 | Mon Jan 17 2011 | Ryan Lerch | ||
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改訂 1-0 | Thu Jan 13 2011 | Ryan Lerch | ||
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