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4.4.14. 論理ボリュームの拡張

論理ボリュームのサイズを拡張するには、lvextend コマンドを使用します。
論理ボリュームを拡張する場合、そのボリュームの追加容量または拡張後のサイズを指定することができます。
以下のコマンドは、論理ボリューム /dev/myvg/homevol を 12 ギガバイトに拡張します。
# lvextend -L12G /dev/myvg/homevol 
lvextend -- extending logical volume "/dev/myvg/homevol" to 12 GB
lvextend -- doing automatic backup of volume group "myvg"
lvextend -- logical volume "/dev/myvg/homevol" successfully extended
以下のコマンドは、論理ボリューム /dev/myvg/homevol にさらに 1 ギガバイトを追加します。
# lvextend -L+1G /dev/myvg/homevol
lvextend -- extending logical volume "/dev/myvg/homevol" to 13 GB
lvextend -- doing automatic backup of volume group "myvg"
lvextend -- logical volume "/dev/myvg/homevol" successfully extended
lvcreate コマンドと同様に、lvextend コマンドで -l 引数を使用すると、論理ボリュームの拡張サイズをエクステント数で指定することができます。また、この引数を使用してボリュームグループのパーセンテージ、またはボリュームグループ内の残りの空き領域をパーセンテージで指定することもできます。以下のコマンドは、testlv という論理ボリュームを拡張して、ボリュームグループ myvg 内の未割り当て領域をすべて満たすようにします。
# lvextend -l +100%FREE /dev/myvg/testlv
  Extending logical volume testlv to 68.59 GB
  Logical volume testlv successfully resized
論理ボリュームを拡張した後は、それに適合するようにファイルシステムのサイズも拡張する必要があります。
デフォルトでは、ほとんどのファイルシステムサイズ変更ツールは、ファイルシステムのサイズを配下の論理ボリュームのサイズに拡大するので、2 つのコマンドのそれぞれで同じサイズを指定する必要はありません。

4.4.14.1. ストライプ化ボリュームの拡張

ストライプ化論理ボリュームのサイズを拡大するには、ボリュームグループを構成している配下の物理ボリュームに、ストライプをサポートするための十分な空き領域がなければなりません。たとえば、ボリュームグループ全域を使用してしまう 2 方向ストライプがある場合、ボリュームグループに 1 つの物理ボリュームを追加しただけでは、ストライプを拡張できるようにはなりません。そのためには、少なくとも 2 つの物理ボリュームをボリュームグループに追加する必要があります。
たとえば、以下の vgs コマンドで表示される、2 つの配下の物理ボリュームで構成されるボリュームグループ vg について考えてみましょう。
# vgs
  VG   #PV #LV #SN Attr   VSize   VFree
  vg     2   0   0 wz--n- 271.31G 271.31G
ボリュームグループのすべての領域を使用してストライプを作成することができます。
# lvcreate -n stripe1 -L 271.31G -i 2 vg
  Using default stripesize 64.00 KB
  Rounding up size to full physical extent 271.31 GB
  Logical volume "stripe1" created
# lvs -a -o +devices
  LV      VG   Attr   LSize   Origin Snap%  Move Log Copy%  Devices
  stripe1 vg   -wi-a- 271.31G                               /dev/sda1(0),/dev/sdb1(0)
ボリュームグループには空き領域がなくなっていることに注意してください。
# vgs
  VG   #PV #LV #SN Attr   VSize   VFree
  vg     2   1   0 wz--n- 271.31G    0
以下のコマンドにより、ボリュームグループにもう 1 つの物理ボリュームを追加し、135G の領域を追加します。
# vgextend vg /dev/sdc1
  Volume group "vg" successfully extended
# vgs
  VG   #PV #LV #SN Attr   VSize   VFree
  vg     3   1   0 wz--n- 406.97G 135.66G
この時点では、ストライプ化論理ボリュームをボリュームグループの最大サイズまで拡大することはできません。データをストライプ化するには、2 つの配下のデバイスが必要です。
# lvextend vg/stripe1 -L 406G
  Using stripesize of last segment 64.00 KB
  Extending logical volume stripe1 to 406.00 GB
  Insufficient suitable allocatable extents for logical volume stripe1: 34480 
more required
ストライプ化論理ボリュームを拡張するには、もう 1 つの物理ボリュームを追加してから、論理ボリュームを拡張します。この例では、ボリュームグループに 2 つの物理ボリュームを追加することにより、論理ボリュームをボリュームグループの最大サイズまで拡張できるようになっています。
# vgextend vg /dev/sdd1
  Volume group "vg" successfully extended
# vgs
  VG   #PV #LV #SN Attr   VSize   VFree
  vg     4   1   0 wz--n- 542.62G 271.31G
# lvextend vg/stripe1 -L 542G
  Using stripesize of last segment 64.00 KB
  Extending logical volume stripe1 to 542.00 GB
  Logical volume stripe1 successfully resized
ストライプ化論理ボリュームを拡張するのに十分な配下の物理デバイスがない場合でも、その拡張部分がストライプ化されなくても問題がないならば、ボリュームの拡張は可能です。ただし、これによってパフォーマンスが一定でなくなる可能性があります。論理ボリュームに領域を追加する場合、デフォルトの動作では、既存論理ボリュームの最後のセグメントと同じストライピングパラメーターを使用するようになっていますが、これらのパラメーターはオーバーライドすることができます。以下の例では、初回の lvextend コマンドが失敗した後に、既存のストライプ化論理ボリュームを拡張して残りの空き領域を使用するようにしています。
# lvextend vg/stripe1 -L 406G
  Using stripesize of last segment 64.00 KB
  Extending logical volume stripe1 to 406.00 GB
  Insufficient suitable allocatable extents for logical volume stripe1: 34480 
more required
# lvextend -i1 -l+100%FREE vg/stripe1