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第21章 書き込みバリア
書き込みバリア とはカーネルのメカニズムで、電力供給の停止が揮発性の書き込みキャッシュを持つストレージデバイスに対して発生した場合でもファイルシステムのメタデータは永続的なストレージに正しい順序で書き込まれるようにします。また、書き込みバリアが有効になっているファイルシステムでは、 電力供給の停止が発生しても
fsync() で転送されるデータの永続性を維持します。
書き込みバリアを有効にすると相当のパフォーマンス低下を招くアプリケーションがあります。特に、
fsync() をかなり頻繁に使用するアプリケーションや小さなファイルの作成、削除を繰り返すアプリケーションの場合、 実行速度がかなり遅くなる可能性が高くなります。
21.1. 書き込みバリアの重要性
ファイルシステムは、整合性が維持されるようメタデータの安全な更新を慎重に行います。ジャーナリングされたファイルシステムによりメタデータの更新がトランザクションにバンドルされて次のように恒久ストレージに送信されます。
- まず、トランザクションのボディーがストレージデバイスに送信されます。
- 次にコミットブロックが送信されます。
- トランザクションとそのトランザクションのコミットブロックがディスクに書き込まれると、ファイルシステムは、そのトランザクションが電力供給の停止にも耐え得るとみなします。
ただし、キャッシュの容量が大きいストレージデバイスの場合、電力供給が停止している間のファイルシステムの整合性の維持はより複雑になります。ローカルの S-ATA ドライブや SAS ドライブのようなストレージターゲットのデバイスには 32 MB から 64 MB の書き込みキャッシュがある場合があります (最近のドライブ)。ハードウェア RAID コントローラーには内部書き込みキャッシュがあるものがよくあります。さらに、NetApp、IBM、Hitachi、EMC (その他多数) などのハイエンドアレイにも大容量のキャッシュがあります。
書き込みキャッシュのあるストレージデバイスは、データがキャッシュに入った時点で I/O は「complete」(完了) と報告します。キャッシュの電力供給が停止した場合にはデータも失われます。さらに悪いことに、永続的なストレージへのキャッシュのデステージにより、元のメタデータの順序が変わってしまう場合もあります。これが発生すると、関連付けられている完全なトランザクションがないままコミットブロックがディスクに現れる可能性があります。その結果、電力復旧後にジャーナルは初期化されていないトランザクションブロックをファイルシステムに再生する場合があり、これがデータの不整合や破損を招くことになります。
書き込みバリアの動作
Linux カーネルでの書き込みバリアは、I/O の前後にストレージの書き込みキャッシュをフラッシュすることで実施されます。これは 順序が非常に重要 になります。トランザクションが書き込まれた後、ストレージキャッシュがフラッシュされてコミットブロックの書き込みが行われます。その後、再びキャッシュがフラッシュされます。これにより以下が確実に行われることになります。
- ディスクにすべてのデータが含める
- 再度の順序付けは行わない
バリアを有効にすると、
fsync() 呼び出しによってストレージキャッシュのフラッシュも実行されます。これにより fsync() が返された直後に電力供給の停止が発生した場合でも、ファイルのデータは必ずディスク上で永続化します。

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