Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform 5 の最も重要な新機能
本記事では、Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform 5 の重要な新機能について記載します。このバージョンに含まれる拡張機能の完全一覧は、https://access.redhat.com/documentation/ja-JP/Red_Hat_Enterprise_Linux_OpenStack_Platform/5 からリリースノートを参照してください。
1. Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform Installer
Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform Installer は、Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform を一連のハードウェア上へ簡単にデプロイするためのウィザードベースのインストールツールです。Installer は、Foreman デプロイメントツールの機能をベースに構築されており、エンタープライズレベルのインストールを大幅に容易化します。

機能
Installer には、以下の機能が含まれています。
- Foreman よりも簡単に使用でき、Packstack よりも堅牢なツールを提供する、簡素化されたインターフェース
- 複雑なハードウェア環境のオーケストレーションおよび順序付け機能およびマルチノードのデプロイメントのサポート
- 段階的なデプロイメントの完全な自動化。ベアメタルホストなどのハードウェアが自動的に検出されます。
サポートされているモード
以下のモードがサポートされています。
- 分散型の Compute ネットワーク (nova-network)
- 分散型の OpenStack Networking (neutron)
- 分散型、HA 設定の Compute ネットワーク (nova-network)
- 分散型、HA 設定の OpenStack Networking (neutron)
Installer に関する詳しい情報は、Deploying OpenStack: Enterprise Environments (Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform Installer) を参照してください。
2. 高可用性
今回のリリースから、Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform は Red Hat Enterprise Linux High Availability Add-On と完全に統合されており、可用性の高い環境をサポートします。そのため、コントローラーノードの 1 つに障害が発生した場合 (たとえばホストがダウンした場合)、マシンを再起動してデータが損失されないようにします (単一障害点からの保護)。
以下のモードがサポートされています。
Active / Active
Active/Active 設定では、すべてのシステムコンポーネントをオンライン状態に保ちます。つまり、あるコンポーネントに障害が発生した場合、その負荷は、別のアクティブなコンポーネントに渡されます。
OpenStack のサービスの大半は、Active/Active 設定で実行するように設定されており、より負荷の高いデプロイメント向けに負荷分散を行うことでパフォーマンスの向上を図ります。常にサービスをオンライン状態に保つために、Pacemaker (RHEL-HA リソースマネージャー) により OpenStack の全サービスが管理されています。たとえば、サービスに障害が発生すると、そのサービスはより適切なノードで即時に再起動してダウンタイムを回避します。
Active / Passive
この設定では、オフラインのバックアップが重要なコンポーネント用に確保されます。高可用性に Active/Passive 設定を使用する OpenStack サービスは少数です。
Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform Installer には、以下のデフォルトホストグループ (設定セット) を提供することにより、高可用性環境をサポートしています。
- HA MySQL Node: HA MariaDB Galera クラスターを設定します。これは、さまざまなサービスエンドポイント向けにデータベースのバックエンドとして使用することができます。
- HA MySQL Node: 中央管理ノードなど、負荷分散に使用するプライベートネットワークを設定します。
- HA All In One Controller: 高可用性環境向けにコントローラーノードを設定します。
- Swift Storage Node: Object Storage Service のホストクラスターを設定して、関連のファイアウォールがすべて設定されているようにします。
注記
最初の 3 つのグループはすべて、Pacemaker およびフェンシング技術を必要とします。
High Availability Add-On に関する詳細情報は、 High Availability Add-On Overview を参照してください。
3. ライブアップデート
以前のリリースでは、次のバージョンにアップグレードするにはクラウドを停止する必要がありました。仮想マシンは稼動状態を保つことはできましたが、OpenStack のサービスはすべて終了しておく必要がありました。さらに、Compute の全コンポーネントは、OpenStack と同じバージョンでなければなりませんでした。
Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform 5 では、コントロールサービスアップグレードと、インスタンスのライブマイグレーションを組み合わせて使用することで、クラウドを稼動した状態でアップグレードができるようになりました。
- まず、コントロールサービスをアトミックにアップグレードします。たとえば、nova-api、nova-conductor、nova-scheduler、データベーススキーマをアップグレードします。アップグレード時に、RHELOSP 4 のコンピュートノードと RHELOSP 5 ノードを共存させることができるようになりました。注記: コントロールプレーンのアップグレードでは、ダウンタイムが必要ですが、コンピュートノードを同時にアップグレードする必要がないため、このダウンタイムは短縮されます。
- 次に、ライブマイグレーションまたはコールドマイグレーションを使用して、新しい RHELOSP 5 ノードにインスタンスを移動します。
- 最後に、コンピュートノードすべてをアップグレードして、必要に応じてインスタンスを再ホストします。
注記
詳細情報は、Upgrading OpenStack by Updating All Services Individually, with Live Compute の記事を参照してください。
4. Dashboard インターフェース
Dashboard には、使いやすさを向上するために、以下のような複数の変更が加えられました。
再設計されたインターフェース
Dashboard のインターフェースには、以前の縦方向のアコーディオン型のパネルではなく、横方向のタブが使用されており、簡単にサマリーが確認できるようになりました。

ライブマイグレーション
OpenStack は、異なるコンピュートホスト間での仮想マシンの移行をサポートしています。以前のリリースの Dashboard は、インスタンスを停止してからリブートする移行しかサポートしていませんでしたが、Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform 5 では、管理者権限でログインしたユーザーは、Dashboard からライブマイグレーションを開始できるため、移行プロセス中もインスタンスの稼動状態を保つことができるようになりました。
サポートアクセスオプション
更新された Red Hat Access タブには、Red Hat カスタマーポータルにログインして記事やソリューションを検索するためのオプションが表示されます。ユーザーは、エラーコードや、ログファイルからの行、任意のキーワードを入力して、適切なクエリを生成することができます。

さらに
- ログ オプションは、アクティブなインスタンスの一覧を表示します。View Local Logs ボタンをクリックして、Dashboard からログを表示するか、インスタンスの ログの参照 ボタンをクリックして、そのインスタンスのログを表示します。
- Support オプションでは、サポート案件の表示/更新が可能です。また、このオプションの Open a New Support Case ボタンを使用して新規サポート案件を起票することもできます。詳しくは、 Red Hat Access: RHOS OpenStack Dashboard Plug-in を参照してください。
新たなホストアグリゲートタブ
Dashboard を使用して、ホストアグリゲートおよびアベイラビリティゾーンを追加または変更できるようになりました。

5. デフォルトのソフトウェア
MariaDB
SkySQL および MariaDB は、OpenStack のパートナーとして正式に認定されました。MariaDB は Red Hat Enterprise Linux に同梱されている、推奨データベースです。Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform は、MySQL ではなく MariaDB を使用するようになったため、Red Hat は、コミュニティで開発されている、完全にオープンソースのソフトウェアを全面的にサポートできるようになりました。

RabbitMQ
RabbitMQ は、AMQP 規格をベースにした、オープンソースの堅牢なメッセージシステムです。また、RabbitMQ はエンタープライズシステムで優れたパフォーマンスを実現することで知られており、幅広い商用サポートが提供されています。Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform 5 では、Qpid に代わり RabbitMQ がデフォルト (かつ推奨の) メッセージブローカーになりました。

