Show Table of Contents
28.4. キックスタートによるインストールの自動化
キックスタートを使用すると無人によるインストールを行うことができます。キックスタート ファイルを使ってインストールの設定を指定します。インストールシステムを起動したあとはユーザーが介入することなくキックスタートファイルが自動的に読み込まれインストールプロセスが開始されます。
注記
Red Hat Enterprise Linux インストールプロセスではインストールしたシステムの設定が自動的にキックスタートファイルに記述されます。このファイルは常に
/root/anaconda-ks.cfg
というファイル名で保存されます。同一設定のインストールを繰り返したり、別のシステム用にコピーに修正を加えて使用することができます。
重要
デスクトップと X Window System をインストールに含ませグラフィカルのログインを有効にしていないとキックスタートを使ったインストールが終了しても Firstboot が実行されません。追加のシステムをインストールする前にキックスタートファイル内に
user
オプションでユーザーを指定する (「キックスタートのオプション」 を参照) または仮想コンソールを使ってインストール後のシステムに root でログインし adduser
コマンドでユーザーを追加します。
Red Hat Enterprise Linux には、ユーザーが必要とするオプションを選択することで、キックスタートファイルを作成したり修正したりできるグラフィカルアプリケーションが含まれています。パッケージ
system-config-kickstart
を使用してこのユーティリティをインストールできます。Red Hat Enterprise Linux キックスタートエディタをロードするには、 → → の順に進みます。
キックスタートファイルには 1 つのオプションに付き 1 行のインストール設定がプレーンテキストで記述されます。プレーンテキストのためいずれのテキストエディターでもキックスタートファイルを編集し、システムに適したカスタムなキックスタートファイルを生成するアプリケーションやスクリプトを書き込むことができます。
キックスタートファイルでインストールプロセスを自動化するには、
ks
オプションを使用して、ファイルの名前と場所を指定します。
linux ks=location/kickstart-file.cfg
取り外しができるストレージ、ハードドライブ、ネットワークサーバーなどに格納したキックスタートファイルを使用することができます。対応しているキックスタートのソースを 表28.2「キックスタートソース」に示します。
表28.2 キックスタートソース
キックスタートソース | オプションの形式 |
---|---|
DVD ドライブ | ks=cdrom:/directory/ks.cfg |
ハードドライブ | ks=hd:/device/directory/ks.cfg |
他のデバイス | ks=file:/device/directory/ks.cfg |
HTTP サーバー | ks=http://server.mydomain.com/directory/ks.cfg |
HTTPS サーバー | ks=https://server.mydomain.com/directory/ks.cfg |
FTP サーバー | ks=ftp://server.mydomain.com/directory/ks.cfg |
NFS サーバー | ks=nfs:server.mydomain.com:/directory/ks.cfg |
重要
キックスタートを格納しているハードドライブや USB ドライブを識別させる場合、
/dev/sdb
などのデバイス名を使用することができます。ただし、必ずしも複数のシステムでデバイス識別子が同じであるとは限りません。このため、キックスタートインストールでハードドライブや USB ドライブを指定する場合、UUID を使用することをお勧めします。以下に例を示します。
ks=hd:UUID=ede47e6c-8b5f-49ad-9509-774fa7119281:ks.cfg
root
で blkid
コマンドを使用するとデバイスの UUID を確認することができます。
#
blkid /dev/sdb1
/dev/sdb1: UUID="2c3a072a-3d0c-4f3a-a4a1-ab5f24f59266" TYPE="ext4"
Web サーバー上にあるスクリプトまたはアプリケーションからキックスタートファイルを取得するには、
ks=
オプションでアプリケーションの URL を指定します。kssendmac
オプションを付けると HTTP ヘッダーが付いた要求が Web アプリケーションに送信されます。アプリケーション側はこのヘッダーを利用してコンピューターを特定します。以下の例では、http://server.mydomain.com/kickstart.cgi アプリケーションにヘッダーを付けた要求が送信されます。
linux ks=http://server.mydomain.com/kickstart.cgi kssendmac