2.6. Red Hat Virtualization のストレージメタデータバージョン

Red Hat Virtualization は、ストレージドメインに関する情報をストレージドメイン自体のメタデータとして保存します。Red Hat Virtualization の各メジャーリリースでは、ストレージメタデータの実装が改善されています。

V1 メタデータ (Red Hat Virtualization 2.x シリーズ)

  • 各ストレージドメインには、独自の構造を説明するメタデータと、仮想ディスクのバックアップに使用されるすべての物理ボリュームの名前が含まれています。
  • マスタードメインには、ストレージプール内のすべてのドメインと物理ボリューム名のメタデータが追加で含まれています。このメタデータの合計サイズは 2 KB に制限されており、プールに含めることができるストレージドメインの数が制限されます。
  • テンプレートと仮想マシンのベースイメージは読み取り専用です。
  • V1 メタデータは、NFS、iSCSI、および FC ストレージドメインに適用できます。

V2 メタデータ (Red Hat Enterprise Virtualization 3.0)

  • すべてのストレージドメインとプールのメタデータは、論理ボリュームに書き込まれるのではなく、論理ボリュームタグとして保存されます。仮想ディスクボリュームに関するメタデータは、引き続きドメインの論理ボリュームに保存されます。
  • 物理ボリューム名はメタデータに含まれなくなりました。
  • テンプレートと仮想マシンのベースイメージは読み取り専用です。
  • V2 メタデータは、iSCSI および FC ストレージドメインに適用できます。

V3 メタデータ (Red Hat Enterprise Virtualization 3.1 以降)

  • すべてのストレージドメインとプールのメタデータは、論理ボリュームに書き込まれるのではなく、論理ボリュームタグとして保存されます。仮想ディスクボリュームに関するメタデータは、引き続きドメインの論理ボリュームに保存されます。
  • 仮想マシンとテンプレートのベースイメージは読み取り専用ではなくなりました。この変更により、ライブスナップショット、ライブストレージの移行、およびスナップショットからのクローン作成が可能になります。
  • 英語以外のボリューム名に対して、Unicode メタデータのサポートが追加されました。
  • V3 メタデータは、NFS、GlusterFS、POSIX、iSCSI、および FC ストレージドメインに適用できます。

    注記

    GlusterFS Storage は非推奨となり、将来のリリースではサポートされなくなります。

V4 メタデータ (Red Hat Virtualization 4.1 以降)

  • QCOW2 互換レベルのサポート -QCOW イメージ形式にはバージョン番号が含まれているため、イメージ形式を変更して以前のバージョンと互換性がないようにする新機能を導入できます。新しい QEMU バージョン (1.7 以降) は QCOW2 バージョン 3 をサポートします。これは下位互換性がありませんが、ゼロクラスターやパフォーマンスの向上などの改善が導入されています。
  • VM リースをサポートする新しい xleases ボリューム - この機能により、リースを仮想マシンディスクに接続せずに、共有ストレージ上の仮想マシンごとにリースを取得する機能が追加されます。

    VM リースには、次の 2 つの重要な機能があります。

    • スプリットブレインの回避。
    • 元のホストが応答しなくなった場合に別のホストで VM を起動すると、HA VM の可用性が向上します。

V5 メタデータ (Red Hat Virtualization 4.3 以降)

  • 4K (4096 バイト) ブロックストレージのサポート。
  • 可変 SANLOCK アラインメントのサポート。
  • 新しいプロパティーのサポート:

    • BLOCK_SIZE - ストレージドメインのブロックサイズをバイト単位で保存します。
    • ALIGNMENT - xlease ボリュームのフォーマットとサイズを指定します。(1MB から 8MB)。サポートされるホストの最大数 (ユーザーが提供する値) とディスクブロックサイズによって決まります。

      例: 512b のブロックサイズと 2000 ホストのサポートにより、1MB の xlease ボリュームが得られます。

      2000 ホストの 4K ブロックサイズは、8MB の xlease ボリュームになります。

      最大ホストのデフォルト値は 250 であり、4K ディスクの xlease ボリュームは 1MB になります。

  • 非推奨のプロパティー:

    • LOGBLKSIZE フィールド、PHYBLKSIZE フィールド、MTIME フィールド、および POOL_UUID フィールドはストレージドメインのメタデータから削除されました。
    • SIZE (ブロックでのサイズ) フィールドは CAP (バイト単位) に置き換えられました。
注記
  • ブートディスクは常に 512 バイトのエミュレーションを使用するため、4K フォーマットのディスクからブートすることはできません。
  • nfs 形式は常に 512 バイトを使用します。