2.3. ネットワークの要件

2.3.1. 一般要件

Red Hat Virtualization では、Manager を実行している物理または仮想マシンで IPv6 を有効にしたままにしておく必要があります。お使いのシステムが IPv6 を使用しない場合でも、Manager マシンで IPv6 を無効にしないでください

2.3.2. DNS、NTP、IPMI フェンシングに対するファイアウォールの要件

以下のトピックに対するファイアウォールの要件は特殊なケースで、個別に検討する必要があります。

DNS および NTP

Red Hat Virtualization では DNS または NTP サーバーは作成されません。したがって、ファイアウォールには、受信トラフィックに対するオープンポートは必要ありません。

デフォルトでは、Red Hat Enterprise Linux は任意のアドレス上の DNS および NTP への出力トラフィックを許可します。出力トラフィックを無効にする場合には、DNS および NTP サーバーに送付されるリクエストに例外を定義します。

重要
  • Red Hat Virtualization Manager およびすべてのホスト (Red Hat Virtualization Host および Red Hat Enterprise Linux ホスト) には、完全修飾ドメイン名と、全面的かつ完全な正引きおよび逆引きの名前解決が必要です。
  • DNS サービスを Red Hat Virtualization 環境内の仮想マシンとして実行する方法はサポートされていません。Red Hat Virtualization 環境が使用する DNS サービスは、すべて環境の外部でホストする必要があります。
  • 名前解決には、/etc/hosts ファイルの代わりに DNS を使用します。hosts ファイルを使用すると、より多くの作業が必要となり、誤設定の可能性がより高くなります。

IPMI およびその他のフェンシング機構 (オプション)

IPMI (Intelligent Platform Management Interface) およびその他のフェンシング機構については、ファイアウォールには、受信トラフィックに対するオープンポートは必要ありません。

デフォルトでは、Red Hat Enterprise Linux は任意のアドレス上のポートへの送信 IPMI トラフィックを許可します。発信トラフィックを無効にする場合には、IPMI またはフェンシングサーバーに送付されるリクエストに例外を設定します。

クラスター内の各 Red Hat Virtualization Host および Red Hat Enterprise Linux ホストは、クラスター内にある残りの全ホストのフェンシングデバイスに接続できる必要があります。クラスターホストにエラー (ネットワークエラー、ストレージエラーなど) が発生し、ホストとして機能できない場合は、データセンターの他のホストに接続できる必要があります。

具体的なポート番号は、使用するフェンスエージェントのタイプおよびその設定により異なります。

以降のセクションで説明するファイアウォール要件の表には、このオプションは含まれていません。

2.3.3. Red Hat Virtualization Manager ファイアウォールの要件

Red Hat Virtualization Manager では、ネットワークトラフィックがシステムのファイアウォールを通過できるように複数のポートを開放しておく必要があります。

engine-setup スクリプトは、ファイアウォールを自動的に設定できます。

本セクションに記載するファイアウォール設定は、デフォルトの設定を前提としています。

注記

これらのファイアウォール要件の模式図が、https://access.redhat.com/articles/3932211 に記載されています。表に書かれた ID を使用して、模式図内の接続を検索できます。

表2.3 Red Hat Virtualization Manager ファイアウォールの要件

IDポートプロトコル送信元送信先目的デフォルトで暗号化

M1

-

ICMP

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Virtualization Manager

オプション

診断に役立つ場合があります。

M2

22

TCP

バックエンドの設定やソフトウェアのアップグレードなど、Manager のメンテナンスに使うシステム

Red Hat Virtualization Manager

Secure Shell (SSH) アクセス

オプション

M3

2222

TCP

仮想マシンのシリアルコンソールにアクセスするクライアント

Red Hat Virtualization Manager

仮想マシンのシリアルコンソールへの接続を可能にするための Secure Shell (SSH) アクセス。

M4

80、443

TCP

管理ポータルのクライアント

仮想マシンポータルのクライアント

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

REST API クライアント

Red Hat Virtualization Manager

Manager に HTTP (ポート 80、暗号化なし) および HTTPS (ポート 443、暗号化あり) のアクセスを提供します。HTTP は接続を HTTPS にリダイレクトします。

M5

6100

TCP

管理ポータルのクライアント

仮想マシンポータルのクライアント

Red Hat Virtualization Manager

Manager 上で WebSocket プロキシーを実行している場合に、Web ベースのコンソールクライアント (noVNC) に対する Websocket プロキシーアクセスを提供します。

M6

7410

UDP

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Virtualization Manager

ホストの Kdump が有効な場合には、Manager の fence_kdump リスナー用にこのポートを開きます。fence_kdump の高度な設定 を参照してください。fence_kdump には、接続を暗号化する方法はありません。ただし、このポートは、適していないホストからのアクセスをブロックするように手動で設定できます。

M7

54323

TCP

管理ポータルのクライアント

Red Hat Virtualization Manager (ovirt-imageio サービス)

ovirt-imageo サービスとの通信に必要です。

M8

6642

TCP

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Open Virtual Network (OVN) southbound データベース

Open Virtual Network (OVN) データベースへの接続

M9

9696

TCP

OVN 用外部ネットワークプロバイダーのクライアント

OVN 用外部ネットワークプロバイダー

OpenStack Networking API

◯ engine-setup によって生成された設定による暗号化。

M10

35357

TCP

OVN 用外部ネットワークプロバイダーのクライアント

OVN 用外部ネットワークプロバイダー

OpenStack Identity API

◯ engine-setup によって生成された設定による暗号化。

M11

53

TCP、UDP

Red Hat Virtualization Manager

DNS サーバー

1023 より大きいポート番号からポート 53 への DNS ルックアップリクエストおよび応答。デフォルトで開いています。

M12

123

UDP

Red Hat Virtualization Manager

NTP サーバー

1023 より大きいポート番号からポート 123 への NTP リクエストおよび応答。デフォルトで開いています。

注記
  • デフォルトの設定では、OVN northbound データベース (6641) のクライアントは ovirt-provider-ovn のみなので、OVN northbound データベースのポート (6641) は記載されていません。両者は同じホスト上で動作しているので、その通信はネットワークには現れません。
  • デフォルトでは、Red Hat Enterprise Linux は任意のアドレス上の DNS および NTP への出力トラフィックを許可します。出力トラフィックを無効にする場合には、Manager がリクエストを DNS および NTP サーバーに送信するように例外を設定します。他のノードでも DNS および NTP が必要な場合があります。その際には、それらのノードの要件を確認し、適切にファイアウォールを設定してください。

2.3.4. ホストファイアウォールの要件

Red Hat Enterprise Linux ホストおよび Red Hat Virtualization Host (RHVH) では、ネットワークトラフィックがシステムのファイアウォールを通過できるように複数のポートを開放しておく必要があります。新たなホストを Manager に追加する際に、ファイアウォールルールがデフォルトで自動的に設定され、既存のファイアウォール設定はすべて上書きされます。

新規ホストの追加時のファイアウォール自動設定を無効にするには、Advanced Parameters の下の Automatically configure host firewall のチェックボックスからチェックを外します。

ホストのファイアウォールルールをカスタマイズするには、RHV: How to customize the Host’s firewall rules? を参照してください。

注記

これらのファイアウォール要件の図は、Red Hat Virtualization: Firewall Requirements Diagram で入手できます。表に書かれた ID を使用して、模式図内の接続を検索できます。

表2.4 仮想化ホストファイアウォールの要件

IDポートプロトコル送信元送信先目的デフォルトで暗号化

H1

22

TCP

Red Hat Virtualization Manager

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Secure Shell (SSH) アクセス

オプション

H2

2223

TCP

Red Hat Virtualization Manager

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

仮想マシンのシリアルコンソールへの接続を可能にするための Secure Shell (SSH) アクセス。

H3

161

UDP

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Virtualization Manager

Simple Network Management Protocol (SNMP)。ホストから 1 つまたは複数の外部 SNMP マネージャーに Simple Network Management Protocol のトラップを送信する場合にのみ必要です。

オプション

H4

111

TCP

NFS ストレージサーバー

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

NFS 接続

オプション

H5

5900 - 6923

TCP

管理ポータルのクライアント

仮想マシンポータルのクライアント

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

VNC および SPICE を介したリモートゲストのコンソールアクセス。クライアントが仮想マシンに容易にアクセスできるように、これらのポートは開放しておく必要があります。

◯ (オプション)

H6

5989

TCP、UDP

Common Information Model Object Manager (CIMOM)

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Common Information Model Object Managers (CIMOM) がホスト上で実行中の仮想マシンをモニタリングするために使用します。このポートは、仮想化環境内の仮想マシンのモニタリングに CIMOM を使用する場合にのみ開放する必要があります。

オプション

H7

9090

TCP

Red Hat Virtualization Manager

クライアントマシン

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Cockpit がインストールされている場合には、Cockpit Web インターフェイスにアクセスするために必要です。

H8

16514

TCP

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

libvirt を使った仮想マシンの移行

H9

49152 - 49215

TCP

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

VDSM を使用した仮想マシンの移行とフェンシング。仮想マシンの自動および手動での移行を容易に実行できるように、これらのポートを開放しておく必要があります。

◯フェンスエージェントに応じて、libvirt を介して移行が行われます。

H10

54321

TCP

Red Hat Virtualization Manager

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

VDSM による Manager およびその他の仮想化ホストとの通信

H11

54322

TCP

Red Hat Virtualization Manager ovirt-imageio サービス

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

ovirt-imageo サービスとの通信に必要です。

H12

6081

UDP

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Open Virtual Network (OVN) をネットワークプロバイダーとして使用している場合に、OVN がホスト間にトンネルを作成するために必要です。

H13

53

TCP、UDP

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

DNS サーバー

1023 より大きいポート番号からポート 53 への DNS ルックアップリクエストおよび応答。このポートは必須で、デフォルトで開いています。

H14

123

UDP

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Enterprise Linux ホスト

NTP サーバー

1023 より大きいポート番号からポート 123 への NTP リクエストおよび応答。このポートは必須で、デフォルトで開いています。

 

H15

4500

TCP、UDP

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Virtualization Hosts

インターネットセキュリティープロトコル (IPSec)

H16

500

UDP

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Virtualization Hosts

インターネットセキュリティープロトコル (IPSec)

H17

-

AH、ESP

Red Hat Virtualization Hosts

Red Hat Virtualization Hosts

インターネットセキュリティープロトコル (IPSec)

注記

デフォルトでは、Red Hat Enterprise Linux は任意のアドレス上の DNS および NTP への出力トラフィックを許可します。出力トラフィックを無効にする場合には、Red Hat Virtualization Host に例外を設定します。

Red Hat Enterprise Linux ホストは DNS および NTP サーバーにリクエストを送信します。他のノードでも DNS および NTP が必要な場合があります。その際には、それらのノードの要件を確認し、適切にファイアウォールを設定してください。

2.3.5. データベースサーバーファイアウォールの要件

Red Hat Virtualization では、Manager データベース (engine) および Data Warehouse データベース (ovirt-engine-history) でのリモートデータベースサーバーの使用をサポートしています。リモートデータベースサーバーを使用する予定がある場合は、Manager および Data Warehouse サービス (Manager と分離することが可能) からの接続を許可する必要があります。

同様に、外部システムからローカルまたはリモートの Data Warehouse データベースにアクセスする予定がある場合は、そのシステムからのアクセスをデータベースで許可する必要があります。

重要

外部システムからの Manager データベースへのアクセスはサポートされていません。

注記

これらのファイアウォール要件の模式図が、https://access.redhat.com/articles/3932211 に記載されています。表に書かれた ID を使用して、模式図内の接続を検索できます。

表2.5 データベースサーバーファイアウォールの要件

IDポートプロトコル送信元送信先目的デフォルトで暗号化

D1

5432

TCP、UDP

Red Hat Virtualization Manager

Data Warehouse サービス

Manager (engine) データベースサーバー

Data Warehouse (ovirt-engine-history) データベースサーバー

PostgreSQL データベース接続のデフォルトポート

無効、ただし有効にできます

D2

5432

TCP、UDP

外部のシステム

Data Warehouse (ovirt-engine-history) データベースサーバー

PostgreSQL データベース接続のデフォルトポート

デフォルトでは無効です。無効、ただし有効にできます

2.3.6. 最大伝送単位の要件

デプロイメント中のホストで推奨される最大伝送単位 (MTU) の設定は 1500 です。環境が別の MTU に設定された後で、この設定を更新することができます。MTU 設定の変更に関する詳細は、How to change the Hosted Engine VM network MTU を参照してください。