2.2. ホストの要件

Red Hat Virtualization のハードウェア認定には、Red Hat Enterprise Linux のハードウェア認定が適用されます。詳細は、Does Red Hat Virtualization also have hardware certification? を参照してください。特定のハードウェア項目が Red Hat Enterprise Linux での使用に認定されているかどうかを確認するには、認定ソリューションの検索 を参照してください。

ゲストに適用される要件と制限の詳細については、Red Hat Enterprise Linux テクノロジーの機能と制限 および Supported Limits for Red Hat Virtualization を参照してください。

2.2.1. CPU の要件

すべての CPU が Intel® 64 または AMD64 CPU の拡張機能をサポートし、AMD-V™ または Intel VT® のハードウェア仮想化拡張機能が有効化されている必要があります。No eXecute flag (NX) のサポートも必要です。

以下の CPU モデルがサポートされています。

  • AMD

    • Opteron G4
    • Opteron G5
    • EPYC
  • Intel

    • Nehalem
    • Westmere
    • SandyBridge
    • IvyBridge
    • Haswell
    • Broadwell
    • Skylake (クライアント)
    • Skylake (サーバー)
    • Cascadelake サーバー
  • IBM

    • POWER8
    • POWER9

CPU タイプ は、セキュリティー更新のある CPU モデルごとに、基本的なタイプと安全なタイプを一覧表示します。以下に例を示します。

  • Intel Cascadelake Server Family
  • Secure Intel Cascadelake Server Family

Secure CPU タイプには最新の更新が含まれます。詳細は、BZ#1731395 を参照してください。

2.2.1.1. プロセッサーが必要なフラグをサポートしているかどうかのチェック

BIOS で仮想化を有効にする必要があります。この設定を行った後には、ホストの電源をオフにしてから再起動して、変更が適用されるようにします。

手順

  1. Red Hat Enterprise Linux または Red Hat Virtualization Host の起動画面で任意のキーを押し、一覧から BootBoot with serial console のエントリーを選択します。
  2. Tab を押して、選択したオプションのカーネルパラメーターを編集します。
  3. 最後のカーネルパラメーターの後にスペースがあることを確認し、パラメーター rescue を追加します。
  4. Enter を押して、レスキューモードで起動します。
  5. プロンプトが表示されたら以下のコマンドを実行して、プロセッサーに必要な拡張機能があるかどうか、またそれらが有効になっているかどうかを確認します。

    # grep -E 'svm|vmx' /proc/cpuinfo | grep nx

何らかの出力が表示されれば、プロセッサーはハードウェアの仮想化に対応しています。出力が何も表示されない場合でも、プロセッサーがハードウェアの仮想化に対応している可能性があります。場合によっては、メーカーが BIOS で仮想化拡張機能を無効にしていることがあります。これに該当すると思われる場合には、メーカーが提供しているシステムの BIOS やマザーボードに関するマニュアルを参照してください。

2.2.2. メモリーの要件

必要最小限の RAM は 2 GB です。クラスターレベル 4.2 から 4.5 の場合、Red Hat Virtualization Host で仮想マシンごとにサポートされる最大 RAM は 6 TB です。クラスターレベル 4.6 から 4.7 の場合、Red Hat Virtualization Host で仮想マシンごとにサポートされる最大 RAM は 16 TB です。

ただし、必要な RAM 容量は、ゲストオペレーティングシステムの要件、ゲストのアプリケーションの要件、ゲストのメモリーアクティビティーと使用状況によって異なります。全ゲストがピークの負荷で同時に稼働しないことを前提とした場合、KVM は仮想ゲストに対して物理 RAM をオーバーコミットし、物理的に存在する RAM を超える要件でゲストをプロビジョニングすることも可能です。KVM は、ゲストが必要とする RAM だけを割り当てて、使用率の低いゲストを swap に移動することによって、オーバーコミットします。

2.2.3. ストレージの要件

ホストには、設定、ログ、カーネルダンプを格納し、swap 領域として使用するためのストレージが必要です。ストレージはローカルまたはネットワークベースとすることができます。Red Hat Virtualization Host (RHVH) は、ネットワークストレージのデフォルト割り当ての 1 つ、一部、またはすべてを使用して起動することができます。ネットワークストレージから起動する場合、ネットワークの接続が失われるとフリーズする場合があります。ドロップインマルチパス設定ファイルを追加すると、ネットワーク接続の喪失に対処することができます。SAN ストレージから起動した RHVH がネットワーク接続を失うと、接続が回復するまでファイルは読み取り専用になります。ネットワークストレージを使用すると、パフォーマンスが低下する場合があります。

本セクションでは、RHVH の最低ストレージ要件について説明します。Red Hat Enterprise Linux ホストのストレージ要件は、既存の設定で使用されるディスク容量によって異なりますが、RHVH の要件よりも多くなるはずです。

ホストのインストールの最低ストレージ要件を以下に示します。ただし、より多くのストレージ領域を利用できるデフォルトの割り当てを使用してください。

  • / (root): 6 GB
  • /home: 1 GB
  • /tmp: 1 GB
  • /boot: 1 GB
  • /var: 5 GB
  • /var/crash: 10 GB
  • /var/log: 8 GB
  • /var/log/audit: 2 GB
  • /var/tmp: 10 GB
  • スワップ - 1 GB詳細は、What is the recommended swap size for Red Hat platforms? を参照してください。
  • Anaconda では、将来のメタデータ拡張用に、ボリュームグループ内のシンプールサイズの 20% が確保されます。これは、通常の使用条件においてデフォルト設定でストレージを使い果たすのを防ぐためです。インストール中のシンプールのオーバープロビジョニングもサポートされていません。
  • 最少の合計: 64 GiB

セルフホストエンジンのインストールに RHV-M Appliance もインストールする場合には、/var/tmp は 10 GB 以上である必要があります。

メモリーのオーバーコミットを使用する場合には、すべての仮想マシンに仮想メモリーを提供するのに十分な swap 領域を追加してください。メモリーの最適化 を参照してください。

2.2.4. PCI デバイスの要件

ホストには、1 Gbps 以上の帯域幅のネットワークインターフェイスが少なくとも 1 基搭載されている必要があります。各ホストに 2 つのネットワークインターフェイスを搭載し、そのうちの 1 つは仮想マシンの移行などネットワークへの負荷が高い作業専用にする必要があります。このように負荷の高い操作のパフォーマンスは、利用可能な帯域幅により制限されます。

Intel Q35 ベースの仮想マシンで PCI Express と従来の PCI デバイスを使用する方法に関する情報は、Using PCI Express and Conventional PCI Devices with the Q35 Virtual Machine を参照してください。

2.2.5. デバイス割り当ての要件

仮想マシンがホストから特定の PCIe デバイスを使用できるように、デバイス割り当ておよび PCI パススルーを実装する予定がある場合は、以下の要件を満たしていることを確認してください。

  • CPU が IOMMU (例: VT-d または AMD-Vi) をサポートしていること。IBM POWER8 はデフォルトで IOMMU をサポートしています。
  • ファームウェアが IOMMU をサポートしていること。
  • 使用する CPU ルートポートが ACS または ACS と同等の機能をサポートしていること。
  • PCIe デバイスが ACS または ACS と同等の機能をサポートしていること。
  • PCIe デバイスとルートポート間の PCIe スイッチとブリッジはすべて、ACS をサポートしていること。たとえば、スイッチが ACS をサポートしていない場合には、そのスイッチの背後にあるデバイスはすべて同じ IOMMU グループを共有し、同じ仮想マシンにしか割り当てることができません。
  • GPU のサポートについては、Red Hat Enterprise Linux 8 は VGA 以外のグラフィックデバイスとして PCIe ベースの NVIDIA K シリーズ Quadro (モデル 2000 シリーズ以降)、GRID、Tesla の PCI デバイス割り当てをサポートしていること。現在、標準のエミュレーションされた VGA インターフェイスの 1 つ以外に、仮想マシンには GPU を 2 つまでアタッチすることができます。エミュレーションされた VGA は、起動前やインストールに使用され、NVIDIA グラフィックドライバーが読み込まれると NVDIA GPU に引き継がれます。NVIDIA Quadro 2000 も、Quadro K420 カードもサポートされていない点にご注意ください。

ベンダーの仕様とデータシートをチェックして、お使いのハードウェアが要件を満たしていることを確認してください。lspci -v コマンドを使用すると、システムにインストールされている PCI デバイスの情報を表示できます。

2.2.6. vGPU の要件

ホスト上の仮想マシンが仮想 GPU を使用するためには、ホストが以下の要件を満たす必要があります。

  • GPU が vGPU に対応していること。
  • ホストカーネルで GPU が有効であること。
  • 適切なドライバーと共に GPU がインストールされていること。
  • 仮想マシンの Administration PortalHost Devices タブにある Manage vGPU ダイアログを使用して、この仮想マシンで使用する vGPU のタイプとインスタンスの数を選択します。
  • クラスター内の各ホストに vGPU に対応したドライバーがインストールされていること。
  • vGPU ドライバーと共に vGPU に対応した仮想マシンのオペレーティングシステムがインストールされていること。