第2章 データウェアハウスを別のマシンに移行する

本セクションでは、Data Warehouse データベースおよびサービスを Red Hat Virtualization Manager マシンから別のマシンに移行する方法を説明します。Data Warehouse サービスを別のマシンでホストすることで、各個別マシンの負荷が削減され、CPU やメモリーリソースを他のプロセスと共有することで競合が生じる可能性を回避します。

注記

Red Hat は、Data Warehouse データベース、Data Warehouse サービス、および Grafana をそれぞれ別々のマシンにインストールすることが可能です。ただし、サポート対象は、これらの各コンポーネントをすべて同じマシンにインストールすることのみです。

以下の移行オプションがあります。

  • Manager マシンから Data Warehouse サービスを移行し、既存の Data Warehouse データベース (ovirt_engine_history) に接続できます。
  • Manager マシンから Data Warehouse データベースを移行してから、Data Warehouse サービスを移行することができます。

2.1. 別のマシンへの Data Warehouse データベースの移行

Data Warehouse サービスを移行する前に、Data Warehouse データベース (ovirt_engine_history) を移行します。engine-backup を使用してデータベースのバックアップを作成し、それを新規データベースマシンで復元します。engine-backup の詳細は、engine-backup --help を実行してください。

注記

Red Hat は、Data Warehouse データベース、Data Warehouse サービス、および Grafana をそれぞれ別々のマシンにインストールすることが可能です。ただし、サポート対象は、これらの各コンポーネントをすべて同じマシンにインストールすることのみです。

新規データベースサーバーに Red Hat Enterprise Linux 8 がインストールされている必要があります。

新規データベースサーバーで必要なリポジトリーを有効にします。

2.1.1. Red Hat Virtualization Manager リポジトリーの有効化

ログインして、Red Hat Subscription Manager で Data Warehouse マシンを登録し、Red Hat Virtualization Manager のサブスクリプションをアタッチして Manager のリポジトリーを有効にする必要があります。

手順

  1. コンテンツ配信ネットワークにシステムを登録します。プロンプトが表示されたら、カスタマーポータルのユーザー名とパスワードを入力します。

    # subscription-manager register
    注記

    IPv6 ネットワークを使用している場合は、IPv6 移行メカニズムを使用して、コンテンツ配信ネットワークおよびサブスクリプションマネージャーにアクセスします。

  2. Red Hat Virtualization Manager のサブスクリプションプールを見つけ、プール ID を記録します。

    # subscription-manager list --available
  3. 上記のプール ID を使用して、サブスクリプションをシステムにアタッチします。

    # subscription-manager attach --pool=pool_id
    注記

    現在アタッチされているサブスクリプションを表示するには、以下のコマンドを実行します。

    # subscription-manager list --consumed

    有効なリポジトリーをすべて一覧表示するには、以下のコマンドを実行します。

    # dnf repolist
  4. リポジトリーを設定します。

    # subscription-manager repos \
        --disable='*' \
        --enable=rhel-8-for-x86_64-baseos-eus-rpms \
        --enable=rhel-8-for-x86_64-appstream-eus-rpms \
        --enable=rhv-4.4-manager-for-rhel-8-x86_64-rpms \
        --enable=fast-datapath-for-rhel-8-x86_64-rpms \
        --enable=jb-eap-7.4-for-rhel-8-x86_64-rpms \
        --enable=openstack-16.2-cinderlib-for-rhel-8-x86_64-rpms \
        --enable=rhceph-4-tools-for-rhel-8-x86_64-rpms
  5. RHEL のバージョンを 8.6 に設定します。

    # subscription-manager release --set=8.6
  6. postgresql モジュールのバージョン 12 を有効にします。

    # dnf module -y enable postgresql:12
  7. nodejs モジュールのバージョン 14 を有効にします。

    # dnf module -y enable nodejs:14
  8. インストール済みパッケージを同期して、利用可能な最新バージョンに更新します。

    # dnf distro-sync --nobest

関連情報

モジュールおよびモジュールストリームの詳細は、ユーザー空間コンポーネントのインストール、管理、および削除 の以下のセクションを参照してください。

2.1.2. 別のマシンへの Data Warehouse データベースの移行

手順

  1. Manager で Data Warehouse データベースおよび設定ファイルのバックアップを作成します。

    # engine-backup --mode=backup --scope=grafanadb --scope=dwhdb --scope=files --file=file_name --log=log_file_name
  2. そのバックアップファイルを Manager マシンから新たなマシンにコピーします。

    # scp /tmp/file_name root@new.dwh.server.com:/tmp
  3. engine-backup を新しいマシンにインストールします。

    # dnf install ovirt-engine-tools-backup
  4. PostgreSQL サーバーパッケージをインストールします。

    # dnf install postgresql-server postgresql-contrib
  5. PostgreSQL データベースを初期化し、postgresql サービスを開始して、このサービスが起動時に開始されることを確認します。

    # su - postgres -c 'initdb'
    # systemctl enable postgresql
    # systemctl start postgresql
  6. 新しいマシンで Data Warehouse データベースを復元します。file_name は、Manager からコピーされたバックアップファイルです。

    # engine-backup --mode=restore --scope=files --scope=grafanadb --scope=dwhdb --file=file_name --log=log_file_name --provision-dwh-db --restore-permissions

これで、Manager がホストされるマシンとは別のマシンで、Data Warehouse データベースがホストされるようになりました。Data Warehouse データベースを正常に復元したら、engine-setup コマンドの実行を指示するプロンプトが表示されます。このコマンドを実行する前に、Data Warehouse サービスを移行します。