2.6. ストレージ

2.6.1. Red Hat Virtualization ストレージについて

Red Hat Virtualization では、仮想ディスク、ISO ファイル、スナップショットのための集中型ストレージシステムを使用しています。ストレージネットワーキングは、以下を使用して実装できます。

  • Network File System (NFS)
  • その他 POSIX 準拠ファイルシステム
  • Internet Small Computer System Interface (iSCSI)
  • 仮想化ホストに直接接続されたローカルストレージ
  • ファイバーチャネルプロトコル (FCP)
  • Parallel NFS (pNFS)

ストレージドメインが接続され、アクティベートされなければデータセンターは初期化されないため、ストレージの設定は新しいデータセンターの前提条件となります。

Red Hat Virtualization システム管理者は、仮想化されたエンタープライズ用のストレージを作成、設定、接続、および維持します。そのためには、ストレージの種類と使い方に対する理解が必要です。ストレージの概念、プロトコル、要件、および一般的な使用方法の詳細については、ストレージアレイベンダーのガイドと、Red Hat Enterprise Linux ストレージデバイスの管理 を参照してください。

ストレージドメインを追加するには、管理ポータルに正常にアクセスできなければなりません。また、Up のステータスで接続されているホストが少なくとも 1 台必要です。

Red Hat Virtualization には、3 種類のストレージドメインがあります。

  • Data Domain: データドメインは、データセンター内のすべての仮想マシンとテンプレートの仮想ハードディスクおよび OVF ファイルを保持します。さらに、仮想マシンのスナップショットもデータドメインに保存されます。

    データドメインは、データセンター間で共有することはできません。複数のタイプ (iSCSI、NFS、FC、POSIX、および Gluster) のデータドメインは、ローカルドメインではなくすべて共有されていることを条件として、同じデータセンターに追加できます。

    データセンターに他のタイプのドメインをアタッチする前に、データドメインをアタッチする必要があります。

  • ISO Domain: ISO ドメインは、仮想マシンのオペレーティングシステムとアプリケーションのインストールおよび起動に使用される ISO ファイル (または論理 CD) を格納します。ISO ドメインを使用することで、データセンターは物理的なメディアを必要としなくなります。ISO ドメインは、異なるデータセンターで共有することができます。ISO ドメインは NFS ベースに限定されます。データセンターに 1 つの ISO ドメインのみをアタッチできます。
  • Export Domain: エクスポートドメインは、データセンターと Red Hat Virtualization 環境の間でイメージをコピーおよび移動するために使用される一時的なストレージリポジトリーです。エクスポートドメインは、仮想マシンのバックアップに使用できます。エクスポートドメインは、データセンター間で移動できますが、同時に 1 つのデータセンターでしか有効にすることができません。エクスポートドメインは、NFS ベースに限定されます。データセンターに追加できるエクスポートドメインは 1 つだけです。

    注記

    エクスポートストレージドメインは非推奨になりました。ストレージデータドメインはデータセンターからデタッチし、同じ環境または別の環境にある別のデータセンターにインポートすることができます。仮想マシン、フローティング仮想ディスク、およびテンプレートは、インポートされたストレージドメインからアタッチされたデータセンターにアップロードできます。ストレージドメインのインポートについては、既存のストレージドメインのインポート を参照してください。

重要

Red Hat Virtualization 環境へのストレージの設定と接続は、データセンターにおけるストレージの必要性が明確になってから開始してください。

2.6.2. ストレージドメインについて

ストレージドメインとは、共通のストレージインターフェイスを持つイメージの集合体です。ストレージドメインには、テンプレートや仮想マシンの完全なイメージ (スナップショットを含む)、または ISO ファイルが格納されています。ストレージドメインは、ブロックデバイス (SAN - iSCSI または FCP) またはファイルシステム (NAS - NFS、GlusterFS、またはその他の POSIX 準拠ファイルシステム) で設定できます。

デフォルトでは、GlusterFS ドメインとローカルストレージドメインは 4K ブロックサイズをサポートします。4K ブロックサイズを使用すると、特に大きなファイルを使用する場合などに、パフォーマンスが向上します。また、VDO などの 4K 互換性を必要とするツールを使用する場合にも必要です。

注記

GlusterFS Storage は非推奨となり、将来のリリースではサポートされなくなります。

NFS では、仮想ディスク、テンプレート、スナップショットはすべてファイルです。

SAN (iSCSI/FCP) では、各仮想ディスク、テンプレート、またはスナップショットは論理ボリュームです。ブロックデバイスは、ボリュームグループと呼ばれる論理エンティティーに集約され、LVM (Logical Volume Manager) によって論理ボリュームに分割されて仮想ハードディスクとして使用されます。LVM の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 論理ボリュームの設定と管理 を参照してください。

仮想ディスクの形式は、QCOW2 または raw のいずれかになります。ストレージのタイプは、スパースまたは事前割り当て型のいずれかになります。スナップショットは常にスパースですが、どちらの形式のディスクでも取得できます。

同じストレージドメインを共有する仮想マシンは、同じクラスターに属するホスト間で移行することができます。

2.6.3. NFS ストレージの準備と追加

2.6.3.1. NFS ストレージの準備

ファイルストレージまたはリモートサーバーで NFS 共有を設定し、Red Hat Enterprise Virtualization Host システムのストレージドメインとして機能するようにします。リモートストレージで共有をエクスポートし、Red Hat Virtualization Manager で共有を設定すると、共有は Red Hat Virtualization Host に自動的にインポートされます。

NFS の準備、設定、マウント、およびエクスポートに関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 8 の ファイルシステムの管理 を参照してください。

Red Hat Virtualization には、特定のシステムユーザーアカウントおよびシステムユーザーグループが必要です。これにより、Manager はストレージドメイン (エクスポートしたディレクトリー) にデータを保管することができます。以下の手順では、1 つのディレクトリーのパーミションを設定しています。Red Hat Virtualization のストレージドメインとして使用するすべてのディレクトリーについて、chown および chmod のステップを繰り返す必要があります。

前提条件

  1. NFS utils パッケージをインストールする。

    # dnf install nfs-utils -y
  2. 以下のコマンドを実行して、有効なバージョンを確認する。

    # cat /proc/fs/nfsd/versions
  3. 以下のサービスを有効にする。

    # systemctl enable nfs-server
    # systemctl enable rpcbind

手順

  1. kvm グループを作成します。

    # groupadd kvm -g 36
  2. kvm グループに vdsm ユーザーを作成します。

    # useradd vdsm -u 36 -g kvm
  3. storage ディレクトリーを作成し、アクセス権を変更します。

    # mkdir /storage
    # chmod 0755 /storage
    # chown 36:36 /storage/
  4. storage ディレクトリーを、適切なパーミッションで /etc/exports に追加します。

    # vi /etc/exports
    # cat /etc/exports
     /storage *(rw)
  5. 以下のサービスを再起動します。

    # systemctl restart rpcbind
    # systemctl restart nfs-server
  6. 特定の IP アドレスで利用可能なエクスポートを確認するには、以下のコマンドを実行します。

    # exportfs
     /nfs_server/srv
                   10.46.11.3/24
     /nfs_server       <world>
注記

サービス起動後に /etc/exports を変更した場合は、exportfs -ra コマンドを使用してその変更を再読み込みできます。上記のすべての手順を実行すると、exports ディレクトリーの準備が整い、別のホストで利用可能かどうかをテストできます。

2.6.3.2. NFS ストレージの追加

ここでは、既存の NFS ストレージをデータドメインとして Red Hat Virtualization 環境にアタッチする手順を説明します。

ISO またはエクスポートドメインが必要な場合も、この手順を使用します。ただし、Domain Function の一覧では ISO または Export を選択します。

手順

  1. 管理ポータルで StorageDomains をクリックします。
  2. New Domain をクリックします。
  3. ストレージドメインの Name を入力します。
  4. Data CenterDomain FunctionStorage TypeFormat、および Host のリストのデフォルト値をそのまま使用します。
  5. ストレージドメインに使用する Export Path を入力します。エクスポートパスは、123.123.0.10:/data (IPv4 の場合)、[2001:0:0:0:0:0:0:5db1]:/data (IPv6 の場合)、または domain.example.com:/data の形式で指定する必要があります。
  6. オプションで、詳細パラメーターを設定できます。

    1. Advanced Parameters をクリックします。
    2. Warning Low Space Indicator フィールドに、パーセンテージ値を入力します。ストレージドメインの空き容量がこの値を下回ると、ユーザーに警告メッセージが表示され、ログに記録されます。
    3. Critical Space Action Blocker のフィールドに GB 単位で値を入力します。ストレージドメインの空き容量がこの値を下回ると、ユーザーにエラーメッセージが表示され、ログに記録されます。容量を消費する新規アクションは、一時的であってもすべてブロックされます。
    4. 削除後にワイプするオプションを有効にするには、Wipe After Delete チェックボックスを選択します。このオプションは、ドメインの作成後に編集できますが、その場合はすでに存在している wipe after delete プロパティーは変更されません。
  7. OK をクリックします。

新しい NFS データドメインのステータスは、ディスクの準備ができるまで Locked になります。その後、データドメインはデータセンターに自動的にアタッチされます。

2.6.3.3. NFS ストレージの増設

NFS ストレージの容量を増やすには、新しいストレージドメインを作成して既存のデータセンターに追加するか、NFS サーバーの利用可能な空き容量を増やします。新しく作成する場合の詳細は、NFS ストレージの追加 を参照してください。以下の手順では、既存の NFS サーバーの利用可能な空き容量を増やす方法を説明しています。

手順

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. NFS ストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
  3. Data Center タブをクリックし、Maintenance をクリックして、ストレージドメインをメンテナンスモードにします。これにより、既存の共有がアンマウントされ、ストレージドメインのサイズ変更が可能になります。
  4. NFS サーバー上で、ストレージのサイズを変更します。Red Hat Enterprise Linux 6 システムについては、Red Hat Enterprise Linux 6 ストレージ管理ガイド を参照してください。Red Hat Enterprise Linux 7 システムについては、Red Hat Enterprise Linux 7 Storage Administration Guide を参照してください。Red Hat Enterprise Linux 8 システムについては、パーティションのサイズ変更 を参照してください。
  5. 詳細ビューで、Data Center タブをクリックし、Activate をクリックしてストレージドメインをマウントします。

2.6.4. ローカルストレージの準備と追加

仮想マシンのディスクが、仮想マシンのホストに物理的に設置されているストレージデバイスを使用している場合、ローカルストレージデバイスと呼ばれます。

ストレージデバイスは、ストレージドメインの一部である必要があります。ローカルストレージのストレージドメインタイプは、ローカルストレージドメインと呼ばれます。

ローカルストレージを使用するようにホストを設定すると、他のホストが追加できない新しいローカルストレージドメイン、データセンター、およびクラスターが自動的に作成され、そこにホストが追加されます。複数のホストで設定されるクラスターの場合は、全ホストが全ストレージドメインにアクセス可能である必要があり、ローカルストレージでは対応不可能です。単一ホストのクラスター内で作成された仮想マシンは、移行、フェンシング、スケジューリングできません。

2.6.4.1. ローカルストレージの準備

Red Hat Virtualization Host (RHVH) の場合は、必ず / (root) とは異なるファイルシステム上にローカルストレージを定義する必要があります。アップグレード中にデータが失われる可能性を防ぐために、別の論理ボリュームまたはディスクを使用します。

Red Hat Enterprise Linux ホストの場合

  1. ホスト上に、ローカルストレージで使用するディレクトリーを作成します。

    # mkdir -p /data/images
  2. vdsm ユーザー (UID 36) および kvm グループ (GID 36) がそのディレクトリーにアクセスして読み取り/書き込みできるように、パーミッションを設定します。

    # chown 36:36 /data /data/images
    # chmod 0755 /data /data/images

Red Hat Virtualization ホストの場合

論理ボリュームにローカルストレージを作成します。

  1. ローカルストレージディレクトリーを作成します。

    # mkdir /data
    # lvcreate -L $SIZE rhvh -n data
    # mkfs.ext4 /dev/mapper/rhvh-data
    # echo "/dev/mapper/rhvh-data /data ext4 defaults,discard 1 2" >> /etc/fstab
    # mount /data
  2. 新しいローカルストレージをマウントします。

    # mount -a
  3. vdsm ユーザー (UID 36) および kvm グループ (GID 36) がそのディレクトリーにアクセスして読み取り/書き込みできるように、パーミッションを設定します。

    # chown 36:36 /data /rhvh-data
    # chmod 0755 /data /rhvh-data

2.6.4.2. ローカルストレージドメインの追加

ローカルストレージドメインをホストに追加する際、ローカルストレージディレクトリーへのパスを設定すると、自動的にローカルデータセンター、ローカルクラスター、ローカルストレージドメインが作成され、ホストが配置されます。

手順

  1. ComputeHosts をクリックし、ホストを選択します。
  2. ManagementMaintenance をクリックしてから OK をクリックします。ホストのステータスが Maintenance に変わります。
  3. ManagementConfigure Local Storage をクリックします。
  4. Data CenterCluster、および Storage フィールドの横にある Edit ボタンをクリックし、ローカルのストレージドメインを設定して名前を付けます。
  5. 文字入力フィールドにローカルストレージへのパスを設定します。
  6. 該当する場合は、Optimization タブをクリックして新規ローカルストレージクラスターのメモリー最適化ポリシーを設定します。
  7. OK をクリックします。

Manager は、ローカルクラスター、ローカルストレージドメインを使用してローカルデータセンターをセットアップします。ホストのステータスも Up に変更します。

検証

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. 追加したローカルストレージドメインを探します。

ドメインのステータスは Active ( status active icon ) である必要があります。また、Storage Type 列の値は Local on Host である必要があります。

これで、新しいローカルストレージドメインにディスクイメージをアップロードできます。

2.6.5. POSIX 準拠ファイルシステムストレージの準備

2.6.5.1. POSIX 準拠ファイルシステムストレージの準備

POSIX ファイルシステムのサポートにより、通常コマンドラインから手動でマウントするときと同じマウントオプションを使ってファイルシステムをマウントすることができます。この機能は、NFS、iSCSI、または FCP 以外を使用してマウントするストレージへのアクセスを可能にすることを目的としています。

Red Hat Virtualization でストレージドメインとして使用する POSIX 準拠のファイルシステムは、Global File System 2 (GFS2) 等のクラスター化したファイルシステムでなければなりません。また、スパースファイルおよびダイレクト I/O をサポートしている必要があります。たとえば、Common Internet File System (CIFS) は、ダイレクト I/O をサポートしていないため、Red Hat Virtualization との互換性はありません。

POSIX 準拠ファイルシステムストレージの準備および設定に関する情報は、Red Hat Enterprise Linux Global File System 2 を参照してください。

重要

POSIX 準拠ファイルシステムのストレージドメインを作成して、NFS ストレージを マウントしないでください。必ず、NFS ストレージドメインを作成してください。

2.6.5.2. POSIX 準拠ファイルシステムストレージの追加

ここでは、既存の POSIX 準拠ファイルシステムストレージをデータドメインとして Red Hat Virtualization 環境にアタッチする手順について説明します。

手順

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. New Domain をクリックします。
  3. ストレージドメインの Name を入力します。
  4. このストレージドメインと関連付ける Data Center を選択します。選択したデータセンターのタイプは、POSIX (POSIX compliant FS) でなければなりません。または、(none) 選択します。
  5. Domain Function ドロップダウンリストから Data を選択し、Storage Type ドロップダウンリストから POSIX compliant FS を選択します。

    該当する場合は、ドロップダウンメニューから Format を選択します。

  6. Host のドロップダウンリストからホストを選択します。
  7. 通常は mount コマンドで指定するように、POSIX ファイルシステムへの Path を入力します。
  8. 通常は -t 引数を使用して mount コマンドで指定するように、VFS Type を入力します。有効な VFS タイプの一覧は、man mount で確認してください。
  9. 通常は mount コマンドに -o 引数を指定して指定するように、追加の Mount Options を入力します。このマウントオプションはコンマ区切りリストで提示してください。有効なマウントオプションの一覧については、man mount で確認してください。
  10. オプションで、詳細パラメーターを設定できます。

    1. Advanced Parameters をクリックします。
    2. Warning Low Space Indicator フィールドに、パーセンテージ値を入力します。ストレージドメインの空き容量がこの値を下回ると、ユーザーに警告メッセージが表示され、ログに記録されます。
    3. Critical Space Action Blocker フィールドに GB 単位で値を入力します。ストレージドメインの空き容量がこの値を下回ると、ユーザーにエラーメッセージが表示され、ログに記録されます。容量を消費する新規アクションは、一時的であってもすべてブロックされます。
    4. 削除後にワイプするオプションを有効にするには、Wipe After Delete チェックボックスを選択します。このオプションは、ドメインの作成後に編集できますが、その場合はすでに存在している wipe after delete プロパティーは変更されません。
  11. OK をクリックします。

2.6.6. ブロックストレージの準備と追加

2.6.6.1. iSCSI ストレージの準備

Red Hat Virtualization は、LUN で設定されるボリュームグループから作成されるストレージドメインである iSCSI ストレージをサポートします。ボリュームグループおよび LUN は、いずれも同時に複数のストレージドメインにアタッチすることはできません。

iSCSI ストレージのセットアップおよび設定に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 8 の ストレージデバイスの管理 で、iSCSI ターゲットの設定 を参照してください。

重要

ブロックストレージを使用する際に、仮想マシンを Raw デバイスまたは直接 LUN にデプロイして論理ボリュームマネージャー (LVM) で管理する場合は、フィルターを作成してゲストの論理ボリュームを除外する必要があります。これにより、ホストの起動時にゲストの論理ボリュームがアクティブ化されるのを防ぐことができます。アクティブ化されると、論理ボリュームの内容が古くなり、データ破損が生じる可能性があります。vdsm-tool config-lvm-filter コマンドを使用して、LVM のフィルターを作成します。

重要

現在、Red Hat Virtualization はブロックサイズ 4K のブロックストレージはサポートしていません。ブロックストレージはレガシー (512b ブロック) モードで設定する必要があります。

重要

SAN ストレージから起動したホストがストレージへの接続を失うと、ストレージファイルシステムは読み取り専用になり、接続が回復した後もその状態が続きます。

この状態を回避するには、ブート LUN の SAN のルートファイルシステムにドロップインマルチパス設定ファイルを追加し、接続可能な場合にキューに置かれるようにしてください。

# cat /etc/multipath/conf.d/host.conf
multipaths {
    multipath {
        wwid boot_LUN_wwid
        no_path_retry queue
    }

2.6.6.2. iSCSI ストレージの追加

ここでは、既存の iSCSI ストレージをデータドメインとして Red Hat Virtualization 環境にアタッチする手順について説明します。

手順

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. New Domain をクリックします。
  3. 新規ストレージドメインの Name を入力します。
  4. ドロップダウンリストから Data Center を選択します。
  5. Domain Function として Data を、Storage Type として iSCSI を、それぞれ選択します。
  6. Host としてアクティブなホストを選択します。

    重要

    ストレージドメインへの通信は、Manager から直接ではなく、選択したホストを介して行われます。したがって、ストレージドメインを設定する前には、全ホストがストレージデバイスにアクセスできる状態でなければなりません。

  7. Manager は iSCSI ターゲットを LUN に、または LUN を iSCSI ターゲットにマッピングすることができます。New Domain ウィンドウでストレージタイプに iSCSI を選択すると、未使用の LUN が割り当てられた既知のターゲットが自動的に表示されます。ストレージの追加に使用するターゲットが表示されない場合は、ターゲットの検出機能を使用して検索することができます。表示されている場合は、次の手順に進んでください。

    1. Discover Targets をクリックし、ターゲットの検出オプションを有効にします。Manager がターゲットを検出してログインすると、New Domain ウィンドウに、その環境では未使用の LUN が割り当てられたターゲットが自動的に表示されます。

      注記

      環境外で使用されている LUN も表示されます。

      Discover Targets のオプションを使用すると、多数のターゲットの LUN を追加したり、同じ LUN に複数のパスを追加したりすることができます。

      重要

      REST API メソッド discoveriscsi を使用して、iSCSI ターゲットを検出する場合には、FQDN または IP アドレスを使用できますが、REST API メソッド iscsilogin を使用してログインするには、検出された iSCSI ターゲットの詳細を使用する必要があります。詳細は、REST API ガイドdiscoveriscsi を参照してください。

    2. Address フィールドに iSCSI ホストの FQDN または IP アドレスを入力します。
    3. Port フィールドには、ターゲットを参照する際にホストに接続するポートを入力します。デフォルトは 3260 です。
    4. ストレージのセキュリティー保護に CHAP を使用している場合は、User Authentication チェックボックスを選択します。CHAP user nameCHAP password を入力してください。

      注記

      REST API を使用して、特定ホストの iSCSI ターゲットに認証情報を定義することができます。詳細は、REST API ガイドStorageServerConnectionExtensions: add を参照してください。

    5. Discover をクリックします。
    6. 検出結果から 1 つまたは複数のターゲットを選択し、1 つのターゲットの場合は Login をクリックします。複数のターゲットの場合は Login All をクリックします。

      重要

      複数のパスのアクセスが必要な場合は、すべての必要なパスを通してターゲットを検出してログインする必要があります。ストレージドメインを変更してパスを追加する方法は、現在サポートされていません。

      重要

      REST API メソッド iscsilogin を使用してログインする場合は、discoveriscsi メソッドで検出された iSCSI ターゲット の詳細を使用する必要があります。詳細は、REST API ガイドiscsilogin を参照してください。

  8. ターゲットの横に表示されている + ボタンをクリックします。エントリーが展開され、ターゲットにアタッチされている未使用の LUN がすべて表示されます。
  9. ストレージドメインの作成に使用する各 LUN のチェックボックスにチェックを入れます。
  10. オプションで、詳細パラメーターを設定できます。

    1. Advanced Parameters をクリックします。
    2. Warning Low Space Indicator フィールドに、パーセンテージ値を入力します。ストレージドメインの空き容量がこの値を下回ると、ユーザーに警告メッセージが表示され、ログに記録されます。
    3. Critical Space Action Blocker のフィールドに GB 単位で値を入力します。ストレージドメインの空き容量がこの値を下回ると、ユーザーにエラーメッセージが表示され、ログに記録されます。容量を消費する新規アクションは、一時的であってもすべてブロックされます。
    4. 削除後にワイプするオプションを有効にするには、Wipe After Delete チェックボックスを選択します。このオプションは、ドメインの作成後に編集できますが、その場合はすでに存在している wipe after delete プロパティーは変更されません。
    5. Discard After Delete のチェックボックスを選択して、削除後に破棄のオプションを有効化します。このオプションは、ドメインの作成後に編集できます。また、このオプションを利用できるのは、ブロックストレージドメインのみです。
  11. OK をクリックします。

同じターゲットに対して複数のストレージ接続パスを設定している場合は、iSCSI マルチパスの設定 に記載されている手順に従い、iSCSI のボンディング設定を完了してください。

現在のストレージネットワークを iSCSI ボンディングに移行するには、ロジカルネットワークへの iSCSI ボンドの移行 を参照してください。

2.6.6.3. iSCSI マルチパスの設定

iSCSI マルチパスでは、論理ネットワークと iSCSI ストレージ接続のグループを作成し、管理できます。ホストと iSCSI ストレージの間に複数のネットワークパスがあることで、ネットワークパスの障害によるホストのダウンタイムを防ぎます。

Manager は、iSCSI ボンドの論理ネットワークに割り当てられた NIC または VLAN を使用して、データセンター内の各ホストを各ターゲットに接続します。

複数のターゲットと論理ネットワークを持つ iSCSI ボンドを作成し、冗長性を持たせることができます。

前提条件

注記

マルチパスはセルフホストエンジンのデプロイメントではサポートされていません。

手順

  1. ComputeData Centers をクリックします。
  2. データセンター名をクリックします。詳細ビューが開きます。
  3. iSCSI Multipathing タブで Add をクリックします。
  4. Add iSCSI Bond ウィンドウで、NameDescription を入力します。
  5. Logical Networks から論理ネットワークを、Storage Targets からストレージドメインを選択します。同じターゲットへのすべてのパスを選択する必要があります。
  6. OK をクリックします。

データセンター内のホストは、iSCSI ボンドの論理ネットワークを介して iSCSI ターゲットに接続されています。

2.6.6.4. ロジカルネットワークを iSCSI ボンドに移行

iSCSI トラフィック用に作成した論理ネットワークがあり、既存の ネットワークボンド の上に設定されている場合は、中断やダウンタイムなしに同じサブネット上の iSCSI ボンドに移行することができます。

手順

  1. 現在の論理ネットワークを Required ではなくなるように変更します。

    1. ComputeClusters をクリックします。
    2. クラスターの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
    3. Logical Networks タブで、現在の論理ネットワーク (net-1) を選択し、Manage Networks をクリックします。
    4. Require チェックボックスをオフにして、OK をクリックします。
  2. Required ではなく、VM network でもない新しい論理ネットワークを作成します。

    1. Add Network をクリックします。New Logical Network ウィンドウが表示されます。
    2. General タブで、Name (net-2) を入力し、VM network のチェックボックスをオフにします。
    3. Cluster タブで Require のチェックボックスをオフにして OK をクリックします。
  3. 現在のネットワークボンドを削除し、論理ネットワークを再割り当てます。

    1. ComputeHosts をクリックします。
    2. ホスト名をクリックします。詳細ビューが開きます。
    3. Network Interfaces タブで Setup Host Networks をクリックします。
    4. net-1 を右にドラッグすると、割り当てが解除されます。
    5. 現在のボンドを右にドラッグすると、ボンドが削除されます。
    6. net-1net-2 を左にドラッグして、物理インターフェイスに割り当てます。
    7. net-2 の鉛筆アイコンをクリックします。Edit Network ウィンドウが開きます。
    8. IPV4 タブで、Static を選択します。
    9. サブネットの IPNetmask/Routing Prefix を入力し、OK をクリックします。
  4. iSCSI ボンドを作成します。

    1. ComputeData Centers をクリックします。
    2. データセンター名をクリックします。詳細ビューが開きます。
    3. iSCSI Multipathing タブで Add をクリックします。
    4. Add iSCSI Bondウィンドウで、Name を入力し、ネットワーク net-1net-2 を選択して、OK をクリックします。

データセンターには、古い論理ネットワークと新しい論理ネットワークを含む iSCSI ボンドがあります。

2.6.6.5. FCP ストレージの準備

Red Hat Virtualization は、既存の LUN で設定されるボリュームグループからストレージドメインを作成することで、SAN ストレージをサポートしています。ボリュームグループおよび LUN は、いずれも同時に複数のストレージドメインにアタッチすることはできません。

Red Hat Virtualization システムの管理者には Storage Area Networks (SAN) に関する作業知識が必要になります。SAN は通常、ホストと外部の共有ストレージ間のトラフィックにファイバーチャネルプロトコル (FCP) を使用します。このため、SAN は FCP ストレージとも呼ばれています。

Red Hat Enterprise Linux での FCP またはマルチパスの準備および設定に関する情報は、ストレージ管理ガイド および DM Multipath ガイド を参照してください。

重要

ブロックストレージを使用する際に、仮想マシンを Raw デバイスまたは直接 LUN にデプロイして論理ボリュームマネージャー (LVM) で管理する場合は、フィルターを作成してゲストの論理ボリュームを除外する必要があります。これにより、ホストの起動時にゲストの論理ボリュームがアクティブ化されるのを防ぐことができます。アクティブ化されると、論理ボリュームの内容が古くなり、データ破損が生じる可能性があります。vdsm-tool config-lvm-filter コマンドを使用して、LVM のフィルターを作成します。

重要

現在、Red Hat Virtualization はブロックサイズ 4K のブロックストレージはサポートしていません。ブロックストレージはレガシー (512b ブロック) モードで設定する必要があります。

重要

SAN ストレージから起動したホストがストレージへの接続を失うと、ストレージファイルシステムは読み取り専用になり、接続が回復した後もその状態が続きます。

この状態を回避するには、ブート LUN の SAN のルートファイルシステムにドロップインマルチパス設定ファイルを追加し、接続可能な場合にキューに置かれるようにしてください。

# cat /etc/multipath/conf.d/host.conf
multipaths {
    multipath {
        wwid boot_LUN_wwid
        no_path_retry queue
    }
  }

2.6.6.6. FCP ストレージの追加

ここは、既存の FCP ストレージをデータドメインとして Red Hat Virtualization 環境にアタッチする手順について説明します。

手順

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. New Domain をクリックします。
  3. ストレージドメインの Name を入力します。
  4. ドロップダウンリストから FCP Data Center を選択します。

    適切な FCP データセンターがない場合は (none) を選択します。

  5. ドロップダウンリストから Domain Function および Storage Type を選択します。選択したデータセンターとの互換性がないストレージドメインタイプは選択できません。
  6. Host フィールドでアクティブなホストを 1 台選択します。データセンターで初めて作成するデータドメインではない場合、そのデータセンターの SPM ホストを選択する必要があります。

    重要

    ストレージドメインへの通信はすべて、Red Hat Virtualization Manager から直接ではなく、選択したホストを介して行われます。システムには、アクティブなホストが少なくとも 1 台存在し、選択したデータセンターにアタッチされている必要があります。全ホストがストレージデバイスにアクセスできる状態でなければ、ストレージドメインは設定できません。

  7. New Domain ウィンドウで、ストレージタイプとして Fibre Channel を選択した場合は、未使用の LUN が割り当てられた既知のターゲットが自動的に表示されます。LUN ID チェックボックスを選択し、使用可能な LUN をすべて選択します。
  8. オプションで、詳細パラメーターを設定できます。

    1. Advanced Parameters をクリックします。
    2. Warning Low Space Indicator フィールドに、パーセンテージ値を入力します。ストレージドメインの空き容量がこの値を下回ると、ユーザーに警告メッセージが表示され、ログに記録されます。
    3. Critical Space Action Blocker のフィールドに GB 単位で値を入力します。ストレージドメインの空き容量がこの値を下回ると、ユーザーにエラーメッセージが表示され、ログに記録されます。容量を消費する新規アクションは、一時的であってもすべてブロックされます。
    4. 削除後にワイプするオプションを有効にするには、Wipe After Delete チェックボックスを選択します。このオプションは、ドメインの作成後に編集できますが、その場合はすでに存在している wipe after delete プロパティーは変更されません。
    5. Discard After Delete のチェックボックスを選択して、削除後に破棄のオプションを有効化します。このオプションは、ドメインの作成後に編集できます。また、このオプションを利用できるのは、ブロックストレージドメインのみです。
  9. OK をクリックします。

使用準備中は、新規 FCP データドメインのステータスは Locked になります。準備が整った時点で、自動的にデータセンターにアタッチされます。

2.6.6.7. iSCSI または FCP ストレージの増設

iSCSI や FCP のストレージサイズを大きくするにはいくつかの方法があります。

  • 既存の LUN を現在のストレージドメインに追加します。
  • 新しい LUN を持つ新しいストレージドメインを作成し、既存のデータセンターに追加します。iSCSI ストレージの追加 を参照してください。
  • 基盤となる LUN のサイズを変更することで、ストレージドメインを拡張します。

FCP ストレージの設定またはサイズ変更については、Red Hat Enterprise Linux 8 の ストレージデバイスの管理 で、ファイバーチャネルデバイスの使用 を参照してください。

以下の手順では、既存のストレージドメインに新しい LUN を追加して、SAN (Storage Area Network) ストレージを拡張する方法を説明します。

前提条件

  • ストレージドメインのステータスは UP である。
  • LUN は、ステータスが UP のすべてのホストにアクセスできる。アクセスできない場合、操作は失敗し、LUN はドメインに追加されません。ただし、ホストには影響はありません。新しく追加されたホスト、またはメンテナンスか Non Operational のステータスから遷移するホストが LUN にアクセスできない場合、ホストの状態は Non Operational になります。

既存の iSCSI または FCP ストレージドメインの拡張

  1. StorageDomains をクリックして、iSCSI または FCP ドメインを選択します。
  2. Manage Domain をクリックします。
  3. TargetsLUNs をクリックし、Discover Targets 拡張ボタンをクリックします。
  4. ストレージサーバーの接続情報を入力し、Discover をクリックして接続を開始します。
  5. LUNsTargets をクリックして、新しく利用可能になった LUN のチェックボックスを選択します。
  6. OK をクリックして、選択したストレージドメインに LUN を追加します。

これにより、追加した LUN のサイズでストレージドメインが増えます。

基礎となる LUN のサイズを変更してストレージドメインを拡張する場合は、管理ポータルで LUN も更新する必要があります。

LUN サイズの更新

  1. StorageDomains をクリックして、iSCSI または FCP ドメインを選択します。
  2. Manage Domain をクリックします。
  3. LUNsTargets をクリックします。
  4. Additional Size の列で、LUN の Add Additional_Storage_Size ボタンをクリックして更新します。
  5. OK をクリックして LUN を更新し、新規のストレージサイズを示します。

2.6.6.8. LUN の再利用

LUN をそのまま再利用して、ストレージドメインまたは仮想ディスクを作成することはできません。LUN を再利用しようとすると、管理ポータルに以下のエラーメッセージが表示されます。

Physical device initialization failed. Please check that the device is empty and accessible by the host.

セルフホスト型エンジンでは、インストール時に以下のエラーが表示されます。

[ ERROR ] Error creating Volume Group: Failed to initialize physical device: ("[u'/dev/mapper/000000000000000000000000000000000']",)
[ ERROR ] Failed to execute stage 'Misc configuration': Failed to initialize physical device: ("[u'/dev/mapper/000000000000000000000000000000000']",)

LUN を再利用できるようにするには、古いパーティションテーブルをクリアする必要があります。

手順

誤ってデータを破棄しないように、正しい LUN でこの手順を実行する必要があります。

  1. <LUN_ID> でパーティションマッピングを削除します。

    kpartx -dv /dev/mapper/<LUN_ID>
  2. <LUN_ID> の fileystem または raid 署名を削除します。

    wipefs -a /dev/mapper/<LUN_ID>
  3. <LUN_ID> でのパーティションテーブルの変更について、オペレーティングシステムに通知します。

     partprobe

2.6.6.9. 古い LUN の削除

ストレージドメインが削除されると、古くなった LUN リンクがストレージサーバーに残ることがあります。これにより、マルチパススキャンが遅くなったり、ログファイルが乱雑になったり、LUN ID の競合が発生したりします。

Red Hat Virtualization は iSCSI サーバーを管理しないため、ストレージドメインが削除されても LUN を自動的に削除することはできません。管理者は、remove_stale_lun.yml Ansible ロールを使用して、古くなった LUN リンクを手動で削除することができます。このロールは、指定されたデータセンターに属するすべてのホストから、古くなった LUN リンクを削除します。このロールとその変数の詳細は、oVirt Ansible コレクションの古い LUN ロールの削除 を参照してください。

注記

すでにエンジンの ssh キーがすべてのホストに追加されているため、エンジンマシンから remove_stale_lun.yml を実行していることが想定されます。Playbook がエンジンマシン上で実行されていない場合は、データセンターに属するすべてのホストにユーザーの SSH キーを追加するか、ユーザーが適切なインベントリーファイルを提供する必要があります。

手順

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. ストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
  3. Data Center タブをクリックします。
  4. Maintenance をクリックしてから OK をクリックします。
  5. Detach をクリックしてから OK をクリックします。
  6. Remove をクリックします。
  7. OK をクリックすると、ソース環境からストレージドメインが削除されます。
  8. ストレージサーバーから LUN を取り外します。
  9. Ansible を使用して、ホストから古い LUN を削除します。

    # ansible-playbook --extra-vars "lun=<LUN>" /usr/share/ansible/collections/ansible_collections/ovirt/ovirt/roles/remove_stale_lun/examples/remove_stale_lun.yml

    ここでの LUN は、上記の手順でストレージサーバーから削除された LUN です。

    注記

    ストレージサーバーから LUN を最初に削除せずに、Ansible を使用してホストから古い LUN を削除すると、次回 VDSM が iSCSI の再スキャンを実行したときに、古い LUN がホスト上に再び現れます。

2.6.6.10. LVM フィルターの作成

LVM フィルターとは、/etc/lvm/lvm.conf で設定できる機能で、正規表現のクエリーに基づいてボリュームのリストにデバイスを受け入れたり、ボリュームのリストからデバイスを拒否したりします。例えば、/dev/cdrom を無視するには、filter=["r|^/dev/cdrom$|"] を使用するか、lvm コマンドに lvs --config 'devices{filter=["r|cdrom|"]}' パラメーターを追加します。

これにより、ホストが直接必要としていない論理ボリュームをスキャンしてアクティブにすることを簡単に防ぐことができます。具体的には、RHV が管理する共有ストレージ上の論理ボリュームや、RHV の raw ボリュームにゲストが作成した論理ボリュームに対応しています。他の論理ボリュームをスキャンしてアクティブにすると、データの破損や起動の遅延などの問題が発生する可能性があるため、このソリューションが必要です。

解決策としては、各ホストに LVM フィルターを設定することで、ホスト上の LVM が、ホストが必要とする論理ボリュームのみをスキャンできます。

vdsm-tools config-lvm-filter コマンドを使用すると、現在の LVM 設定を分析し、フィルターを設定する必要があるかどうかを判断することができます。

LVM フィルターがまだ設定されていない場合、このコマンドはホスト用の LVM フィルターオプションを生成し、そのオプションを LVM の設定に追加します。

シナリオ 1: 未設定のホスト

まだ設定されていないホストでは、ユーザーが操作を確認すると、このコマンドが自動的に LVM を設定します。

# vdsm-tool config-lvm-filter
Analyzing host...
Found these mounted logical volumes on this host:
logical volume:  /dev/mapper/vg0-lv_home
mountpoint:      /home
devices:         /dev/vda2
logical volume:  /dev/mapper/vg0-lv_root
mountpoint:      /
devices:         /dev/vda2
logical volume:  /dev/mapper/vg0-lv_swap
mountpoint:      [SWAP]
devices:         /dev/vda2
This is the recommended LVM filter for this host:
filter = [ "a|^/dev/vda2$|", "r|.*|" ]
This filter will allow LVM to access the local devices used by the
hypervisor, but not shared storage owned by VDSM. If you add a new
device to the volume group, you will need to edit the filter manually.
Configure LVM filter? [yes,NO] ? [NO/yes] yes
Configuration completed successfully!
Please reboot to verify the LVM configuration.

シナリオ 2: 設定済みのホスト

ホストがすでに設定されている場合、このコマンドは単に LVM フィルターがすでに設定されていることをユーザーに知らせます。

# vdsm-tool config-lvm-filter
Analyzing host...
LVM filter is already configured for Vdsm

シナリオ 3: 手動設定が必要

ホストの設定が VDSM で要求される設定と一致しない場合は、LVM フィルターを手動で設定する必要があります。

# vdsm-tool config-lvm-filter
Analyzing host...
Found these mounted logical volumes on this host:
logical volume:  /dev/mapper/vg0-lv_home
mountpoint:      /home
devices:         /dev/vda2
logical volume:  /dev/mapper/vg0-lv_root
mountpoint:      /
devices:         /dev/vda2
logical volume:  /dev/mapper/vg0-lv_swap
mountpoint:      [SWAP]
devices:         /dev/vda2
This is the recommended LVM filter for this host:
filter = [ "a|^/dev/vda2$|", "r|.*|" ]
This filter will allow LVM to access the local devices used by the
hypervisor, but not shared storage owned by VDSM. If you add a new
device to the volume group, you will need to edit the filter manually.
This is the current LVM filter:
filter = [ "a|^/dev/vda2$|", "a|^/dev/vdb1$|", "r|.*|" ]
WARNING: The current LVM filter does not match the recommended filter,
Vdsm cannot configure the filter automatically.
Please edit /etc/lvm/lvm.conf and set the 'filter' option in the  'devices' section to the recommended value.
It is recommended to reboot after changing LVM filter.

2.6.7. Red Hat Gluster Storage の準備と追加

2.6.7.1. Red Hat Gluster Storage の準備

Red Hat Gluster Storage の準備および設定に関する情報は、Red Hat Gluster Storage インストールガイド を参照してください。

Red Hat Virtualization でサポートされている Red Hat Gluster Storage のバージョンについては、Red Hat Gluster Storage のバージョン互換性とサポート を参照してください。

2.6.7.2. Red Hat Gluster Storage の追加

Red Hat Virtualization で Red Hat Gluster Storage を使用するには、Red Hat Virtualization で Red Hat Gluster Storage を使用する場合の設定 を参照してください。

Red Hat Virtualization でサポートされている Red Hat Gluster Storage のバージョンについては、Red Hat Gluster Storage のバージョン互換性とサポート を参照してください。

2.6.8. 既存ストレージドメインのインポート

2.6.8.1. 既存ストレージドメインのインポートの概要

データを含まない新しいストレージドメインを追加するだけでなく、既存のストレージドメインをインポートして、その中のデータにアクセスできます。ストレージドメインをインポートすることで、Manager データベースに障害が発生してもデータを復旧し、データセンターや環境間でデータを移行できます。

以下は、各ストレージドメインタイプのインポートの概要です。

Data

既存のデータストレージドメインをインポートすると、そのデータストレージドメインに含まれるすべての仮想マシンやテンプレートにアクセスできるようになります。ストレージドメインをインポートした後、仮想マシン、フローティングディスクイメージ、テンプレートを宛先データセンターに手動でインポートする必要があります。データストレージドメインに含まれる仮想マシンやテンプレートをインポートするプロセスは、エクスポートストレージドメインの場合と同様です。ただし、データストレージドメインには、特定のデータセンター内のすべての仮想マシンとテンプレートが含まれているため、データ復旧や、データセンター間または環境間での仮想マシンの大規模な移行を行う場合は、データストレージドメインのインポートを推奨します。

重要

サポートされている正しい互換性レベルを持つデータセンターに接続された既存のデータストレージドメインをインポートすることができます。詳細は、Supportability and constraints regarding importing Storage Domains and Virtual Machines from older RHV versions を参照してください。

ISO
既存の ISO ストレージドメインをインポートすると、その ISO ストレージドメインに含まれるすべての ISO ファイルや仮想ディスケットにアクセスできるようになります。これらのリソースにアクセスするために、ストレージドメインをインポートした後に追加の操作をする必要はなく、必要に応じて仮想マシンにアタッチすることができます。
Export

既存のエクスポートストレージドメインをインポートすると、エクスポートストレージドメインに含まれるすべての仮想マシンイメージとテンプレートにアクセスできるようになります。エクスポートドメインは仮想マシンのイメージとテンプレートをエクスポートおよびインポートするように設計されているため、環境内または環境間で少数の仮想マシンとテンプレートを移行するには、エクスポートストレージドメインをインポートすることが推奨されます。エクスポートストレージドメイン間で仮想マシンとテンプレートをエクスポートおよびインポートする方法については、Virtual Machine Management Guide仮想マシンとテンプレートのエクスポートおよびインポート を参照してください。

注記

エクスポートストレージドメインは非推奨になりました。ストレージデータドメインはデータセンターからデタッチし、同じ環境または別の環境にある別のデータセンターにインポートすることができます。仮想マシン、フローティング仮想ディスク、およびテンプレートは、インポートされたストレージドメインからアタッチされたデータセンターにアップロードできます。

警告

ストレージドメインを宛先データセンターに接続すると、新しいストレージドメイン形式にアップグレードされ、ソースデータセンターに再接続されない場合があります。これにより、エクスポートドメインの代わりとしてのデータドメインの使用が中断されます。

2.6.8.2. ストレージドメインのインポート

以前に同じ環境または別の環境のデータセンターに接続されていたストレージドメインをインポートします。この手順では、データの破損を防ぐために、ストレージドメインがどの環境のどのデータセンターにも接続されていないことを前提としています。既存のデータストレージドメインをインポートしてデータセンターに接続するには、ターゲットデータセンターを初期化する必要があります。

手順

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. Import Domain をクリックします。
  3. ストレージドメインをインポートする Data Center を選択します。
  4. ストレージドメインの Name を入力します。
  5. ドロップダウンリストから Domain Function および Storage Type を選択します。
  6. Host のドロップダウンリストからホストを選択します。

    重要

    ストレージドメインへの通信はすべて、Red Hat Virtualization Manager から直接ではなく、選択したホストを介して行われます。システムには、アクティブなホストが少なくとも 1 台存在し、選択したデータセンターにアタッチされている必要があります。全ホストがストレージデバイスにアクセスできる状態でなければ、ストレージドメインは設定できません。

  7. ストレージドメインの詳細を入力します。

    注記

    ストレージドメインの詳細を指定するためのフィールドは、Domain Function リストと Storage Type リストで選択した値によって異なります。これらのフィールドは、新しいストレージドメインを追加するために使用できるフィールドと同じです。

  8. 選択したデータセンターに接続した後にストレージドメインをアクティブ化するには、Activate Domain in Data Center チェックボックスをオンにします。
  9. OK をクリックします。

これで、仮想マシンとテンプレートをストレージドメインからデータセンターにインポートできます。

警告

ストレージドメインを宛先データセンターに接続すると、新しいストレージドメイン形式にアップグレードされ、ソースデータセンターに再接続されない場合があります。これにより、エクスポートドメインの代わりとしてのデータドメインを使用できなくなります。

2.6.8.3. 同じ環境内のデータセンター間でのストレージドメインの移行

同じ Red Hat Virtualization 環境内にあるデータセンターから別のデータセンターにストレージドメインを移行して、宛先データセンターがストレージドメインに含まれるデータにアクセスできるようにします。この手順では、ストレージドメインをデータセンターから切り離し、別のデータセンターに接続します。

警告

データストレージドメインを元のデータセンターよりも互換性の高いデータセンターに移行すると、ストレージドメインのストレージ形式のバージョンがアップグレードされます。

仮想マシンを新しいデータセンターに移行するなどの理由でストレージドメインを元のデータセンターに戻す場合は、上位バージョンではデータストレージドメインを元のデータセンターに再接続できないことに注意してください。

管理ポータルでは、ストレージドメイン形式を (たとえば V3 から V5 に) 更新するか確認されます。また、DC レベルが低い古いデータセンターには再アタッチできないことが警告されます。

この問題を回避するには、ソースデータセンターと同じ互換性バージョンを持つターゲットデータセンターを作成します。互換性の低いバージョンを維持する必要がなくなった場合は、ターゲットデータセンターの互換性バージョンを引き上げることができます。

詳細は、Supportability and constraints regarding importing Storage Domains and Virtual Machines from older RHV versions を参照してください。

手順

  1. 目的のストレージドメインで実行されているすべての仮想マシンをシャットダウンします。
  2. StorageDomains をクリックします。
  3. ストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
  4. Data Center タブをクリックします。
  5. Maintenance をクリックしてから OK をクリックします。
  6. Detach をクリックしてから OK をクリックします。
  7. Attach をクリックします。
  8. 宛先データセンターを選択し、OK をクリックします。

ストレージドメインは宛先データセンターにアタッチされ、自動的にアクティブになります。これで、仮想マシンとテンプレートをストレージドメインから宛先データセンターにインポートできます。

2.6.8.4. 異なる環境内のデータセンター間でのストレージドメインの移行

ストレージドメインを、ある Red Hat Virtualization 環境から別の環境に移行して、移行先環境がストレージドメインに含まれるデータにアクセスできるようにします。この手順では、1 つの Red Hat Virtualization 環境からストレージドメインを削除し、それを別の環境にインポートします。既存のデータストレージドメインをインポートして Red Hat Virtualization データセンターに接続するには、ストレージドメインのソースデータセンターに、サポートされている正しい互換性レベルが必要です。

警告

データストレージドメインを元のデータセンターよりも互換性の高いデータセンターに移行すると、ストレージドメインのストレージ形式のバージョンがアップグレードされます。

仮想マシンを新しいデータセンターに移行するなどの理由でストレージドメインを元のデータセンターに戻す場合は、上位バージョンではデータストレージドメインを元のデータセンターに再接続できないことに注意してください。

管理ポータルでは、ストレージドメイン形式を (たとえば V3 から V5 に) 更新するか確認されます。また、DC レベルが低い古いデータセンターには再アタッチできないことが警告されます。

この問題を回避するには、ソースデータセンターと同じ互換性バージョンを持つターゲットデータセンターを作成します。互換性の低いバージョンを維持する必要がなくなった場合は、ターゲットデータセンターの互換性バージョンを引き上げることができます。

詳細は、Supportability and constraints regarding importing Storage Domains and Virtual Machines from older RHV versions を参照してください。

手順

  1. ソース環境の管理ポータルにログインします。
  2. 目的のストレージドメインで実行されているすべての仮想マシンをシャットダウンします。
  3. StorageDomains をクリックします。
  4. ストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
  5. Data Center タブをクリックします。
  6. Maintenance をクリックしてから OK をクリックします。
  7. Detach をクリックしてから OK をクリックします。
  8. Remove をクリックします。
  9. Remove Storage(s) ウィンドウで、Format Domain, i.e. Storage Content will be lost! チェックボックスが選択されていません。この手順では、後で使用できるようにデータをストレージドメインに保存します。
  10. OK をクリックすると、ソース環境からストレージドメインが削除されます。
  11. 宛先環境の管理ポータルにログインします。
  12. StorageDomains をクリックします。
  13. Import Domain をクリックします。
  14. Data Center ドロップダウンリストから宛先データセンターを選択します。
  15. ストレージドメインの名前を入力します。
  16. 適切なドロップダウンリストから Domain Function および Storage Type を選択します。
  17. Host のドロップダウンリストからホストを選択します。
  18. ストレージドメインの詳細を入力します。

    注記

    ストレージドメインの詳細を指定するためのフィールドは、Storage Type ドロップダウンリストで選択した値により異なります。これらのフィールドは、新しいストレージドメインを追加するために使用できるフィールドと同じです。

  19. ストレージドメインが接続されたときに自動的にアクティブ化するには、Activate Domain in Data Center チェックボックスをオンにします。
  20. OK をクリックします。

ストレージドメインは、新しい Red Hat Virtualization 環境の宛先データセンターに接続され、自動的にアクティブ化されます。これで、インポートしたストレージドメインから宛先データセンターに、仮想マシンおよびテンプレートをインポートできます。

警告

ストレージドメインを宛先データセンターに接続すると、新しいストレージドメイン形式にアップグレードされ、ソースデータセンターに再接続されない場合があります。これにより、エクスポートドメインの代わりとしてのデータドメインを使用できなくなります。

2.6.8.5. インポートされたデータストレージドメインからのテンプレートのインポート

Red Hat Virtualization 環境にインポートしたデータストレージドメインからテンプレートをインポートします。この手順は、インポートされたデータストレージドメインがデータセンターに接続され、アクティブ化されていることを前提としています。

手順

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. インポートされたストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
  3. Template Import タブをクリックします。
  4. インポートするテンプレートを 1 つ以上選択します。
  5. Import をクリックします。
  6. Import Templates(s) ウィンドウの各テンプレートについて、Cluster リストで正しいターゲットクラスターが選択されていることを確認します。
  7. 外部仮想マシンの vNIC プロファイルを、ターゲットクラスターに存在するプロファイルにマッピングします。

    1. vNic Profiles Mapping をクリックします。
    2. Target vNic Profile ドロップダウンリストから、使用する vNIC プロファイルを選択します。
    3. Import Templates ウィンドウで複数のターゲットクラスターを選択した場合、Target Cluster のドロップダウンリストで各ターゲットクラスターを選択し、マッピングが正しいことを確認します。
    4. OK をクリックします。
  8. OK をクリックします。

インポートされたテンプレートは、Template Import タブの下のリストに表示されなくなります。

2.6.9. ストレージタスク

2.6.9.1. データストレージドメインへのイメージのアップロード

管理ポータルまたは REST API を使用して、仮想ディスクイメージと ISO イメージをデータストレージドメインにアップロードできます。

注記

REST API でイメージをアップロードするには、REST API ガイドIMAGETRANSFERS および IMAGETRANSFER を参照してください。

QEMU 互換の仮想ディスクを仮想マシンに接続できます。仮想ディスクのタイプは、QCOW2 または raw のいずれかである必要があります。QCOW2 仮想ディスクから作成されたディスクは共有できません。また、QCOW2 仮想ディスクファイルにバッキングファイルを含めることはできません。

ISO イメージは、CDROM として仮想マシンに添付することも、仮想マシンの起動に使用することもできます。

前提条件

アップロード機能は HTML 5 API を使用するため、使用する環境には以下が必要です。

  • 管理ポータルへのアクセスに使用される Web ブラウザーにインポートされた認証局。

    認証局をインポートするには、https://engine_address/ovirt-engine/services/pki-resource?resource=ca-certificate&format=X509-PEM-CA にアクセスし、すべての信頼設定を有効にします。FirefoxInternet Explorer、または Google Chrome に認証局をインストールする手順を参照してください。

  • Firefox 35、Internet Explorer 10、Chrome13 またはそれ以降などの HTML5 をサポートするブラウザー。

手順

  1. StorageDisks をクリックします。
  2. Upload メニューから Start を選択します。
  3. Choose File をクリックして、アップロードするイメージを選択します。
  4. Disk Options フィールドに入力します。関連するフィールドについては、新しい仮想ディスクウィンドウの設定の説明 を参照してください。
  5. OK をクリックします。

    進捗バーは、アップロードのステータスを示します。Upload メニューから、アップロードを一時停止、キャンセル、または再開できます。

ヒント

アップロードが Reason: timeout due to transfer inactivity メッセージでタイムアウトした場合、タイムアウト値を増やして、ovirt-engine サービスを再起動します。

# engine-config -s TransferImageClientInactivityTimeoutInSeconds=6000
# systemctl restart ovirt-engine

2.6.9.2. VirtIO イメージファイルのストレージドメインへのアップロード

パフォーマンスと使いやすさの向上を目的として、virtio-win_version.iso イメージにはWindows 仮想マシン用に以下が含まれています。

  • VirtIO ドライバー
  • ゲストエージェントのインストーラー
  • ドライバーのインストーラー

最新版の virtio-win_version.iso をインストールしアップロードするには、以下を行います。

  1. Manager マシンにイメージファイルをインストールします。

    # dnf -y install virtio-win

    Manager マシンにインストールすると、イメージファイルは /usr/share/virtio-win/virtio-win_version.iso になります。

  2. インストール中にローカルで作成されなかったデータストレージドメインにイメージファイルをアップロードします。詳細は、管理ガイドデータストレージドメインへのイメージのアップロード を参照してください。
  3. イメージファイルを仮想マシンに接続します。

これで、仮想マシンは virtio ドライバーとエージェントを使用できるようになります。

イメージファイルを仮想マシンにアタッチする方法の詳細は、仮想マシン管理ガイドWindows へのゲストエージェント、ツール、およびドライバーのインストール を参照してください。

2.6.9.3. ISO ドメインへのイメージのアップロード

注記

ISO ドメインは、非推奨のストレージドメインタイプです。ISO Uploader ツールである ovirt-iso-uploader は、Red Hat Virtualization 4.4 で削除されました。管理ポータルまたは REST API を使用して ISO イメージをデータドメインにアップロードする必要があります。詳細は、データストレージドメインへのイメージのアップロード を参照してください。

ISO ドメインは非推奨ですが、ISO ドメインを使用する必要がある場合に備え、この情報が提供されています。

ISO イメージを ISO ストレージドメインにアップロードして、Manager 内から使用できるようにするには、次の手順に従います。

手順

  1. ISO ストレージドメインが存在するデータセンターに属するホストに root としてログインします。
  2. /rhv/data-center のディレクトリーツリーを取得します。

    # tree /rhev/data-center
    .
    |-- 80dfacc7-52dd-4d75-ab82-4f9b8423dc8b
    |   |-- 76d1ecba-b61d-45a4-8eb5-89ab710a6275 → /rhev/data-center/mnt/10.10.10.10:_rhevnfssd/76d1ecba-b61d-45a4-8eb5-89ab710a6275
    |   |-- b835cd1c-111c-468d-ba70-fec5346af227 → /rhev/data-center/mnt/10.10.10.10:_rhevisosd/b835cd1c-111c-468d-ba70-fec5346af227
    |   |-- mastersd → 76d1ecba-b61d-45a4-8eb5-89ab710a6275
    |   |-- tasks → mastersd/master/tasks
    |   `-- vms → mastersd/master/vms
    |-- hsm-tasks
    `-- mnt
        |-- 10.10.10.10:_rhevisosd
        |   |-- b835cd1c-111c-468d-ba70-fec5346af227
        |   |   |-- dom_md
        |   |   |   |-- ids
        |   |   |   |-- inbox
        |   |   |   |-- leases
        |   |   |   |-- metadata
        |   |   |   `-- outbox
        |   |   `-- images
        |   |       `-- 11111111-1111-1111-1111-111111111111
        |   `-- lost+found [error opening dir]
    
    (output trimmed)
  3. ソースの場所から 11111111-1111-1111-1111-111111111111 の完全パスにイメージを安全にコピーします。

    # scp root@isosource:/isos/example.iso /rhev/data-center/mnt/10.96.4.50:_rhevisosd/b835cd1c-111c-468d-ba70-fec5346af227/images/11111111-1111-1111-1111-111111111111
  4. 新しくコピーされた ISO イメージのファイルパーミッションは 36:36 (vdsm:kvm) である必要があります。そうでない場合は、ISO ファイルのユーザーおよびグループの所有権を 36:36 (vdsm のユーザーおよびグループ) に変更します。

    # cd /rhev/data-center/mnt/10.96.4.50:_rhevisosd/b835cd1c-111c-468d-ba70-fec5346af227/images/11111111-1111-1111-1111-111111111111
    # chown 36.36 example.iso

これで、ISO イメージがデータセンターの ISO ドメインで利用できるようになります。

2.6.9.4. ストレージドメインのメンテナンスモードへの移行

ストレージドメインを切り離して削除する前に、ストレージドメインをメンテナンスモードにする必要があります。これは、別のデータドメインを master データドメインとして再指定するために必要です。

重要

仮想マシンにストレージドメインのリースがある場合、ストレージドメインをメンテナンスモードに移行することはできません。最初に仮想マシンをシャットダウンするか、リースを削除するか、別のストレージドメインに移動する必要があります。仮想マシンのリースに関する詳細は、仮想マシン管理ガイド を参照してください。

LUN を追加して iSCSI ドメインを拡張できるのは、ドメインがアクティブな場合のみです。

手順

  1. ストレージドメインで実行しているすべての仮想マシンをシャットダウンします。
  2. StorageDomains をクリックします。
  3. ストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
  4. Data Center タブをクリックします。
  5. Maintenance をクリックします。

    注記

    Ignore OVF update failure チェックボックスをオンにすると、OVF 更新が失敗した場合でも、ストレージドメインをメンテナンスモードにすることができます。

  6. OK をクリックします。

ストレージドメインは非アクティブ化され、結果リストに Inactive ステータスが表示されます。これで、データセンターから非アクティブなストレージドメインを編集、デタッチ、削除、または再アクティブ化できます。

注記

また、関連付けられているデータセンターの詳細ビューのストレージタブを使用して、ドメインをアクティブ化し、デタッチし、メンテナンスモードにすることもできます。

2.6.9.5. ストレージドメインの編集

管理ポータルからストレージドメインパラメーターを編集できます。ストレージドメインの状態 (アクティブまたは非アクティブ) に応じて、さまざまなフィールドを編集できます。Data CenterDomain FunctionStorage Type、および Format などのフィールドを変更することはできません。

  • Active: ストレージドメインがアクティブ状態の場合、NameDescriptionCommentWarning Low Space Indicator (%)Critical Space Action Blocker (GB)Wipe After Delete、および Discard After Delete フィールドを編集できます。Name フィールドは、ストレージドメインがアクティブな場合にのみ編集できます。他のすべてのフィールドは、ストレージドメインが非アクティブの場合も編集できます。
  • Inactive: ストレージドメインがメンテナンスモードにあるかアタッチされていないため非アクティブ状態になっている場合、NameData CenterDomain FunctionStorage Type、および Format を除くすべてのフィールドを編集できます。ストレージ接続、マウントオプション、およびその他の高度なパラメーターを編集するには、ストレージドメインを非アクティブにする必要があります。これは、NFS、POSIX、およびローカルストレージタイプでのみサポートされます。
注記

iSCSI ストレージ接続は、管理ポータルを介して編集することはできませんが、REST API を介して編集することができます。REST API ガイドストレージ接続の更新 を参照してください。

アクティブなストレージドメインの編集*

  1. StorageDomains をクリックし、ストレージドメインを選択します。
  2. Manage Domain をクリックします。
  3. 必要に応じて、使用可能なフィールドを編集します。
  4. OK をクリックします。

非アクティブなストレージドメインの編集

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. ストレージドメインがアクティブな場合は、メンテナンスモードに移行します。

    1. ストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
    2. Data Center タブをクリックします。
    3. Maintenance をクリックします。
    4. OK をクリックします。
  3. Manage Domain をクリックします。
  4. 必要に応じて、ストレージパスおよびその他の詳細を編集します。新しい接続の詳細は、元の接続と同じストレージタイプである必要があります。
  5. OK をクリックします。
  6. ストレージドメインをアクティブ化します。

    1. ストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
    2. Data Center タブをクリックします。
    3. Activate をクリックします。

2.6.9.6. OVF の更新

デフォルトでは、OVF は 60 分ごとに更新されます。ただし、重要な仮想マシンをインポートした場合、または重要な更新を行った場合は、OVF を手動で更新できます。

手順

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. ストレージドメインを選択し、More Actions ( moreactions ) をクリックしてから、Update OVFs をクリックします。

    OVF が更新され、メッセージが Events に表示されます。

2.6.9.7. メンテナンスモードからのストレージドメインのアクティブ化

データセンターのストレージに変更を加えている場合は、ストレージドメインをメンテナンスモードにする必要があります。ストレージドメインをアクティブ化して、使用を再開します。

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. 非アクティブなストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
  3. Data Centers タブをクリックします。
  4. Activate をクリックします。
重要

データドメインをアクティブ化する前に ISO ドメインをアクティブ化しようとすると、エラーメッセージが表示され、ドメインはアクティブ化されません。

2.6.9.8. データセンターからストレージドメインをデタッチ

あるデータセンターからストレージドメインをデタッチして、別のデータセンターに移行します。

手順

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. ストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
  3. Data Center タブをクリックします。
  4. Maintenance をクリックします。
  5. OK をクリックしてメンテナンスモードを開始します。
  6. Detach をクリックします。
  7. OK をクリックして、ストレージドメインを切り離します。

ストレージドメインがデータセンターから切り離され、別のデータセンターに接続できるようになります。

2.6.9.9. ストレージドメインのデータセンターへのアタッチ

ストレージドメインをデータセンターにアタッチします。

手順

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. ストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
  3. Data Center タブをクリックします。
  4. Attach をクリックします。
  5. 適切なデータセンターを選択します。
  6. OK をクリックします。

ストレージドメインがデータセンターにアタッチされ、自動的にアクティブになります。

2.6.9.10. ストレージドメインの削除

データセンターに、仮想化環境から削除するストレージドメインがあります。

手順

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. ストレージドメインをメンテナンスモードに移動し、デタッチします。

    1. ストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
    2. Data Center タブをクリックします。
    3. Maintenance をクリックしてから OK をクリックします。
    4. Detach をクリックしてから OK をクリックします。
  3. Remove をクリックします。
  4. オプションで Format Domain, i.e. Storage Content will be lost! チェックボックスを選択して、ドメインのコンテンツを消去します。
  5. OK をクリックします。

ストレージドメインが環境から完全に削除されます。

2.6.9.11. ストレージドメインの破棄

エラーが発生したストレージドメインは、通常の手順では削除できない場合があります。ストレージドメインを破棄すると、仮想化環境からストレージドメインが強制的に削除されます。

手順

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. ストレージドメインを選択し、More Actions ( moreactions ) をクリックしてから Destroy をクリックします。
  3. Approve operation チェックボックスを選択します。
  4. OK をクリックします。

2.6.9.12. ディスクプロファイルの作成

ディスクプロファイルは、ストレージドメイン内における仮想ディスクのスループットの最大レベルと入出力操作の最大レベルを定義します。ディスクプロファイルは、データセンターで定義されたストレージプロファイルに基づいて作成され、プロファイルを有効にするには、個々の仮想ディスクに手動で割り当てる必要があります。

この手順は、ストレージドメインが属するデータセンターの下に 1 つ以上のストレージサービス品質エントリーがすでに定義されていることを前提としています。

手順

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. データストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
  3. Disk Profiles タブをクリックします。
  4. New をクリックします。
  5. ディスクプロファイルの NameDescription を入力します。
  6. QoS 一覧からディスクプロファイルに適用する QoS (Quality of Service) を選択します。
  7. OK をクリックします。

2.6.9.13. ディスクプロファイルの削除

Red Hat Virtualization 環境から既存のディスクプロファイルを削除します。

手順

  1. StorageDomains をクリックします。
  2. データストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。
  3. Disk Profiles タブをクリックします。
  4. 削除するディスクプロファイルを選択します。
  5. Remove をクリックします。
  6. OK をクリックします。

ディスクプロファイルがいずれかの仮想ディスクに割り当てられている場合、ディスクプロファイルはそれらの仮想ディスクから削除されます。

2.6.9.14. ストレージドメインのヘルスステータスの表示

ストレージドメインには、通常の Status に加えて、外部ヘルスステータスがあります。外部ヘルスステータスは、プラグインや外部システムから報告されたり、管理者が設定したりするもので、ストレージドメインの Name の左側に以下のいずれかのアイコンで表示されます。

  • OK: アイコンなし
  • Info: Info
  • Warning: Warning
  • Error: Error
  • Failure: Failure

ストレージドメインのヘルスステータスの詳細を表示するには、ストレージドメインの名前をクリックします。詳細ビューが開きます。ここで Events タブをクリックします。

ストレージドメインのヘルスステータスは、REST API を使用して表示することもできます。ストレージドメインでの GET リクエストには、ヘルスステータスを含む external_status 要素が含まれます。

events コレクションを介して、REST API でストレージドメインのヘルスステータスを設定できます。詳細は、REST API ガイドイベントの追加 を参照してください。

2.6.9.15. ストレージドメインの Discard After Delete の設定

Discard After Delete チェックボックスがオンになっている場合は、論理ボリュームが削除されると blkdiscard コマンドが呼び出され、ブロックが解放されたことが基盤となるストレージに通知されます。ストレージアレイは、解放されたスペースを使用して、要求に応じて割り当てることができます。Discard After Delete は、ブロックストレージでのみ機能します。このフラグは、NFS などのファイルストレージ用の Red Hat Virtualization Manager では使用できません。

制限:

  • Discard After Delete は、iSCSI やファイバーチャネルなどのブロックストレージドメインでのみ使用できます。
  • 基盤となるストレージは Discard をサポートする必要があります。

Discard After Delete は、ブロックストレージドメインを作成するとき、またはブロックストレージドメインを編集するときに有効にできます。ブロック・ストレージの準備と追加 および ストレージドメインの編集 を参照してください。

2.6.9.16. 250 を超えるホストがある環境での 4K サポートの有効化

デフォルトでは、GlusterFS ドメインとローカルストレージドメインは、最大 250 のホストを備えた Red Hat Virtualization 環境で 4K ブロックサイズをサポートします。4K ブロックサイズを使用すると、特に大きなファイルを使用する場合などに、パフォーマンスが向上します。また、VDO などの 4K 互換性を必要とするツールを使用する場合にも必要です。

注記

GlusterFS Storage は非推奨となり、将来のリリースではサポートされなくなります。

ホストの最大数がデフォルトの 250 の場合、Sanlock が割り当てるロックスペース領域は 1MB です。4K ストレージを使用するときにホストの最大数を増やすと、ロックスペース領域が大きくなります。たとえば、2000 のホストを使用する場合、ロックスペース領域は最大 8MB になる可能性があります。

エンジン設定パラメーター MaxNumberOfHostsInStoragePool を設定することにより、250 を超えるホストがある環境で 4K ブロックのサポートを有効にできます。

手順

  1. Manager マシンで、必要な最大数のホストを有効にします。

    # engine-config -s MaxNumberOfHostsInStoragePool=NUMBER_OF_HOSTS
  2. JBoss Application Server を再起動します。

    # service jboss-as restart

たとえば、300 のホストを持つクラスターがある場合は、次のように入力します。

# engine-config -s MaxNumberOfHostsInStoragePool=300
# service jboss-as restart

検証

Manager で MaxNumberOfHostsInStoragePool パラメーターの値を表示します。

 # engine-config --get=MaxNumberOfHostsInStoragePool
 MaxNumberOfHostsInStoragePool: 250 version: general

2.6.9.17. 4K サポートの無効化

デフォルトでは、GlusterFS ドメインとローカルストレージドメインは 4K ブロックサイズをサポートします。4K ブロックサイズを使用すると、特に大きなファイルを使用する場合などに、パフォーマンスが向上します。また、VDO などの 4K 互換性を必要とするツールを使用する場合にも必要です。

注記

GlusterFS Storage は非推奨となり、将来のリリースではサポートされなくなります。

4K ブロックのサポートを無効にすることができます。

手順

  1. 4K ブロックのサポートが有効になっていることを確認してください。

    $ vdsm-client Host getCapabilities
    …​
    {
        "GLUSTERFS" : [
             0,
             512,
             4096,
        ]
        …​
  2. /etc/vdsm/vdsm.conf.d/gluster.conf を編集し、enable_4k_storagefalse に設定します。以下に例を示します。

    $ vi  /etc/vdsm/vdsm.conf.d/gluster.conf
    
    [gluster]
    # Use to disable 4k support
    # if needed.
    enable_4k_storage = false

2.6.9.18. ストレージドメインの使用可能なスペースの監視

ストレージドメインの使用可能なスペースを監視し、ストレージドメインが容量に近づいたときに警告するアラートを作成できます。ドメインがシャットダウンする重大なしきい値を定義することもできます。

Virtual Data Optimizer (VDO) とシンプールのサポートにより、物理的に使用可能なスペースよりも多くの使用可能なスペースが表示される場合があります。VDO の場合はこの動作が予想されますが、Manager は実際に書き込むことができるデータの量を予測できません。Warning Low Confirmed Space Indicator パラメーターは、ドメインが物理スペース容量に近づいたときに通知し、確認済みスペースの残りの量を示します。確認済みスペースとは、データの書き込みに使用できる実際のスペースを指します。

手順

  1. 管理ポータルで StorageStorage Domain をクリックし、ストレージドメインの名前をクリックします。
  2. Manage Domain をクリックします。Manage Domains ダイアログボックスが開きます。
  3. Advanced Parameters を展開します。
  4. Warning Low Space Indicator (%) には、パーセンテージ値を入力します。ストレージドメインの使用可能なスペースがこの値に達すると、Manager はドメインが容量に近づいていることを警告します。
  5. Critical Space Action Blocker (GB) の場合は、ギガバイト単位で値を入力します。ストレージドメインの使用可能なスペースがこの値に達すると、Manager はシャットダウンします。
  6. Warning Low Confirmed Space Indicator (%) には、パーセンテージ値を入力します。ストレージドメインの使用可能なスペースがこの値に達すると、Manager は、データの書き込みに使用できる実際のスペースが容量に近づいていることを警告します。