製品ガイド

Red Hat Virtualization 4.3

Red Hat Virtualization 4.3 についての紹介

Red Hat Virtualization Documentation Team

Red Hat Customer Content Services

概要

本書では、Red Hat Virtualization の概要について説明します。

第1章 Red Hat Virtualization について

Red Hat Virtualization は、Red Hat Enterprise Linux 上に構築するエンタープライズレベルの仮想化プラットフォームです。仮想化により、ユーザーは新しい仮想サーバーとワークステーションを容易にプロビジョニングして、物理サーバーのリソースをより効率的に使用することができます。Red Hat Virtualization では、一元化されたグラフィカルユーザーインターフェースまたは REST API から、ホスト、仮想マシン、ネットワーク、ストレージ、ユーザーを含む仮想インフラストラクチャー全体を管理することが可能です。

表1.1 Red Hat Virtualization の主要コンポーネント

コンポーネント名説明

Red Hat Virtualization Manager

環境内のリソースを管理するグラフィカルユーザーインターフェースと REST API を提供するサービス。Manager は、Red Hat Enterprise Linux を実行する物理マシンまたは仮想マシンにインストールされます。

ホスト

サポートされているホストは、Red Hat Enterprise Linux ホスト (RHEL ベースのハイパーバイザー) と Red Hat Virtualization Host (イメージベースのハイパーバイザー) の 2 つのタイプがあります。ホストは、Kernel-based Virtual Machine (KVM) テクノロジーを使用して、仮想マシンを実行するためのリソースを提供します。

共有ストレージ

仮想マシンに関連付けられたデータの保管に使用するストレージサービス

Data Warehouse

Manager から設定情報および統計データを収集するサービス

Red Hat Virtualization の詳しい技術情報は、『Technical Reference』を参照してください。

1.1. Red Hat Virtualization のアーキテクチャー

Red Hat Virtualization はセルフホストエンジンとして、あるいはスタンドアロンの Manager としてデプロイすることができます。セルフホストエンジンが推奨されるデプロイメントのオプションです。

1.1.1. セルフホストエンジンのアーキテクチャー

Red Hat Virtualization Manager は、自分が管理する同じ環境内のセルフホストエンジンノード (特化したホスト) で仮想マシンとして実行されます。セルフホストエンジン環境に必要なサーバーは 1 台少なくなりますが、デプロイと管理を行うための管理オーバーヘッドがより高くなります。Manager は、外部の HA 管理を使用せずに高可用性になります。

セルフホストエンジン環境の最小限のセットアップには、以下が含まれます。

  • セルフホストエンジンノードでホストされている Red Hat Virtualization Manager 用仮想マシン 1 台。Red Hat Enterprise Linux 7 仮想マシンのインストールおよびその仮想マシンへの Manager のインストールを自動化するために、RHV-M Appliance が使用されます。
  • 仮想マシンの高可用性には、最小でセルフホストエンジンノード 2 台。Red Hat Enterprise Linux ホストまたは Red Hat Virtualization Host (RHVH) を使用することができます。VDSM (ホストエージェント) はすべてのホストで実行され、Red Hat Virtualization Manager との通信を円滑化します。HA サービスは、全セルフホストエンジンノードで実行され、Manager 用仮想マシンの高可用性を管理します。
  • ストレージサービスを 1 つ。使用するストレージタイプに応じて、ローカルまたはリモートサーバーでホストすることができます。ストレージサービスは全ホストからアクセス可能である必要があります。

図1.1 セルフホストエンジンの Red Hat Virtualization アーキテクチャー

Self-Hosted Engine Red Hat Virtualization Architecture

1.1.2. スタンドアロンの Manager のアーキテクチャー

Red Hat Virtualization Manager は物理サーバーか、別の仮想環境でホストされている仮想マシン上で実行されます。スタンドアロンの Manager は、デプロイと管理が簡単ですが、追加の物理サーバーが 1 台必要となります。Manager は、Red Hat の High Availability Add-On などの別製品を使用して管理した場合にのみ高可用性になります。

スタンドアロンの Manager 環境の最小限のセットアップには、以下が含まれます。

  • Red Hat Virtualization Manager マシン 1 台。Manager は通常物理サーバーにデプロイされます。仮想マシン上にデプロイすることも可能ですが、その仮想マシンは別の環境でホストされていなければなりません。Manager は Red Hat Enterprise Linux 7 上で実行する必要があります。
  • 仮想マシンの高可用性には、最小でホストが 2 台。Red Hat Enterprise Linux ホストか Red Hat Virtualization Host (RHVH) を使用することができます。VDSM (ホストエージェント) はすべてのホストで実行され、Red Hat Virtualization Manager との通信を円滑化します。
  • ストレージサービスを 1 つ。使用するストレージタイプに応じて、ローカルまたはリモートサーバーでホストすることができます。ストレージサービスは全ホストからアクセス可能である必要があります。

図1.2 スタンドアロンの Manager の Red Hat Virtualization アーキテクチャー

Standalone Manager Red Hat Virtualization Architecture

1.2. Red Hat Virtualization に関する用語

  • クラスター: クラスターとは、仮想マシンのリソースプールとして扱われる一連の物理ホストです。クラスター内のホストは、同じネットワークインフラストラクチャーとストレージを共有します。これらは、移行ドメインを形成し、そのドメイン内のホスト間で仮想マシンを移行することができます。
  • データセンター: データセンターとは、管理対象の仮想化環境内にあるすべての物理/論理リソースの最上位コンテナーで、クラスター、仮想マシン、ストレージドメイン、ネットワークの集合体です。
  • イベント: アクティビティーに関するアラート、警告、およびその他の通知は、管理者がパフォーマンスやリソースのステータスをモニタリングするのに役立ちます。
  • HA サービス: HA サービスには ovirt-ha-agent サービスと ovirt-ha-broker サービスが含まれます。HA サービスは、セルフホストエンジンノードで実行され、Manager 用仮想マシンの高可用性を管理します。
  • 高可用性: 高可用性とは、プロセスが中断された場合に、仮想マシンが元のホストまたは同じクラスター内の別のホストで自動的に再起動されることを意味します。高可用性環境は、短時間のダウンタイムを伴いますが、各リソースのコピーを 2 つ維持して、エラーが発生した際にもう一方と置き換えることのできるフォールトトレランスよりもはるかに低コストです。
  • ホスト: ホスト (またはハイパーバイザー) とは、1 台以上の仮想マシンを実行する物理サーバーです。ホストは、クラスターにグループ化されます。仮想マシンは、同じクラスター内のホスト間で移行することができます。
  • Host Storage Manager (HSM): ストレージドメイン間でのディスクの移動などのデータ操作に使用することができる、データセンター内の SPM 以外のホスト。これは、SPM ホストがボトルネックとなるのを防ぎます。SPM ホストは、より短いメタデータの操作に使用すべきです。
  • 論理ネットワーク: 論理ネットワークとは、物理ネットワークの論理表現です。論理ネットワークは、Manager、ホスト、ストレージ、仮想マシン間のネットワークトラフィックと通信をグループ化します。
  • リモートビューアー: ネットワーク接続経由で仮想マシンに接続するためのグラフィカルインターフェース。
  • セルフホストエンジンノード: セルフホストエンジンノードとは、Manager 用仮想マシンをホストするために、セルフホストエンジンのパッケージがインストールされたホストです。通常のホストをセルフホストエンジン環境にアタッチすることもできますが、Manager 用仮想マシンをホストすることはできません
  • スナップショット: スナップショットとは、ある時点における仮想マシンのオペレーティングシステムと全アプリケーションのビューです。アップグレードや新規アプリケーションインストールの前などに仮想マシンの設定を保存するのに使用することができます。問題が発生した場合には、スナップショットを使用して、仮想マシンを元の状態に復元することができます。
  • ストレージドメイン: ストレージドメインは、スタンドアロンのイメージリポジトリーが含まれる論理エンティティーです。各ストレージドメインは、仮想ディスクまたは ISO イメージの保管と、仮想マシンイメージのインポート/エクスポートに使用されます。
  • Storage Pool Manager (SPM): Storage Pool Manager (SPM) は、データセンター内で 1 台のホストに割り当てられるロールです。SPM ホストには、仮想ディスクの作成/削除など、データセンター内のすべてのメタデータを変更する単独の権限があります。
  • テンプレート: テンプレートとは、設定が事前に定義された仮想マシンのひな形です。特定のテンプレートをベースとする仮想マシンは、そのテンプレートの設定を採用します。多数の仮想マシンを一度に作成するには、テンプレートを使用するのが最も迅速な方法です。
  • VDSM: ホスト上で実行されるホストエージェントサービス。Red Hat Virtualization Manager と通信します。このサービスは、TCP ポート 54321 をリッスンします。
  • 仮想マシン: 仮想マシンとは、オペレーティングシステムとアプリケーションが搭載された仮想ワークステーションもしくは仮想サーバーです。プール には、全く同じ仮想マシンを複数作成することができます。パワーユーザーは、仮想マシンの作成、管理、削除を行うことができますが、権限のないユーザーは仮想マシンにアクセスすることしかできません。
  • 仮想マシンプール: 仮想マシンプールとは、全く同じ仮想マシンをまとめたグループです。グループの各メンバーは、オンデマンドでプール内の仮想マシンを使用することができます。仮想マシンプールは、目的別に設定することが可能です。たとえば、マーケティング部門用のプールや研究開発部門用のプールというように設定することができます。

第2章 Red Hat Virtualization のコンポーネント

2.1. Red Hat Virtualization Manager

Red Hat Virtualization Manager は、Red Hat Virtualization 環境のリソースを管理するためのグラフィカルユーザーインターフェースと RESTful API を提供します。スタンドアロンの Manager 環境では、Manager は Red Hat Enterprise Linux 7 の物理マシンまたは別の環境でホストされている仮想マシンにインストールされます。セルフホストエンジン環境では、Manager は、自分が管理する環境内のセルフホストエンジンノード上に仮想マシンとしてインストールされます。

ネイティブな Manager の高可用性は、セルフホストエンジン環境でのみ利用可能です。高可用性には、少なくとも 2 台のセルフホストエンジンノードが必要です。

『Administration Guide』を参照してください。

2.2. ホスト

ホスト (ハイパーバイザーとも呼ばれる) は、仮想マシンが動作する物理サーバーです。Kernel-based Virtual Machine (KVM) と呼ばれるローダブル Linux カーネルモジュールを使用することで、完全な仮想化が提供されます。KVM は、Windows または Linux いずれかのオペレーティングシステムを実行する複数の仮想マシンを、同時にホストすることができます。仮想マシンはホストマシン上で実行され、Red Hat Virtualization Manager によりリモートで管理されます。

Red Hat Virtualization は、Red Hat Virtualization Host と Red Hat Enterprise Linux の 2 タイプのホストをサポートしています。必要に応じて、これらのいずれか一方または両方のホストを Red Hat Virtualization 環境で使用することができます。

Red Hat は、最小で 2 台のホストをインストールして Red Hat Virtualization 環境にアタッチすることを推奨しています。ホストを 1 台しかアタッチしていない場合には、移行や高可用性などの機能は利用できません。

Red Hat Virtualization Host (RHVH)
Red Hat Virtualization Host は、Red Hat Enterprise Linux をベースとする最小限のオペレーティングシステムです。管理とメンテナンスが容易で、簡単にデプロイメントできるように構築されています。カスタマーポータルから ISO ファイルとして配信され、マシンがホストとして機能するためのパッケージが含まれています。
Red Hat Enterprise Linux
適切なサブスクリプションがアタッチされた Red Hat Enterprise Linux サーバーをホストとして使用することとができます。これらのホストは、RHVH と比べてより多くのカスタマイズが可能です。

『Administration Guide』「Hosts」を参照してください。

2.3. ストレージ

エンドユーザー用の仮想マシンを作成する前には、ストレージを設定して Red Hat Virtualization 環境にアタッチする必要があります。Red Hat Virtualization には以下の 3 タイプのストレージドメインがあります。ただし、完全にサポートされるのは、データドメインだけになりました。

  • データドメインには、仮想マシンに関連付けられている全データが格納されます。データドメインは、Red Hat Virtualization で使用するのにサポートされている全ストレージタイプをサポートします。『Planning and Prerequisites Guide』「Storage Types」を参照してください。
  • ISO ドメインは、仮想マシンのオペレーティングシステムおよび Windows のゲストエージェントやドライバーなどの追加のアプリケーションをインストールするための ISO ファイルを格納するのに使用されていましたが、このストレージドメインタイプは非推奨になりました。
  • エクスポートドメインは、データセンター間や Red Hat Virtualization 環境間でイメージを移動するための一時ストレージリポジトリーとして使用されていましたが、非推奨となりました。この操作は、データストレージドメインをインポートすることによって実行されるようになりました。

ISO およびエクスポートドメインは、ファイルベースのストレージタイプのみ (NFS、POSIX、GlusterFS) をサポートしています。ISO ドメインは、ローカルストレージ用のデータセンター内で使用される場合にローカルストレージをサポートします。

『Administration Guide』「Storage」を参照してください。

2.4. Data Warehouse

Red Hat Virtualization Manager には、ホスト、仮想マシン、およびストレージに関するモニタリングデータを収集する Data Warehouse が含まれています。Data Warehouse は、Manager の設定と合わせて、同一のマシンまたは別のサーバーにインストールおよび設定する必要があります。

Red Hat Virtualization 環境では、以下の 2 つのデータベースが作成されます。

  • Manager データベース (engine): Red Hat Virtualization Manager が使用するメインのデータストア。仮想化環境に関する情報 (その状態、設定、およびパフォーマンス等) が、このデータベースに保管されます。
  • Data Warehouse データベース (ovirt_engine_history): 経時的に照合された Manager データベースからの設定情報および統計データが保管されます。Manager データベースの設定データを 1 分ごとに照合し、変更があれば複製して Data Warehouse データベースに保管します。データベースへの変更を追跡することで、データベース内のオブジェクトに関する情報が提供されます。これにより、Red Hat Virtualization 環境のパフォーマンスを分析して向上させ、問題を解決することができます。

ovirt_engine_history データベースが使用する容量およびリソースの推定値を算出するには、RHV Manager History Database Size Calculator ツールを使用します。この推定値は、エンティティー数と、履歴の記録を保持するように選択した期間に基づいて算出されます。

『Data Warehouse Guide』を参照してください。

2.5. Metrics Store

Metrics Store は Red Hat Virtualization からログおよびメトリクスを収集します。データは Red Hat Virtualization から OpenShift に送付され、そこで Elasticsearch に蓄積/集計され、インデックス化して保存されます。その後データは Kibana で分析および可視化されます。

  • Elasticsearch は分散型の RESTful 検索/分析エンジンで、さまざまなタイプの検索を実施および組み合わせることができます。
  • Kibana はオープンソースの分析/可視化プラットフォームで、Elasticsearch との組み合わせを念頭に作られています。高度なデータ分析およびさまざままチャートや表を使用したデータの可視化を、簡単に実施することができます。

『Metrics Store User Guide』および『Metrics Store Installation Guide』を参照してください。

2.6. Red Hat Virtualization のネットワーク

ストレージ、ホスト管理、ユーザー接続、仮想マシンの接続などの操作はすべて、十分に計画、設定されたネットワークに依存して最適なパフォーマンスを実現します。ネットワークの設定は、Red Hat Virtualization 環境の重要な前提条件です。ネットワークの使用を試みることでネットワーク要件を特定してから過去に遡ってネットワーク設定を修正するよりは、推定されるネットワーク要件に対応した計画を立て、その計画に応じてネットワークを実装する方がはるかに容易です。

Red Hat Virtualization は論理ネットワークを定義することでネットワークトラフィックを分離します。論理ネットワークは、選択したネットワークトラフィックのタイプがネットワークを経由する際に利用するパスを定義します。論理ネットワークは、機能別にネットワークトラフィックを分離したり、物理トポロジーを仮想化するために作成されます。

ovirtmgmt 論理ネットワークはデフォルトで作成され、管理 ネットワークとしてラベル付けされます。ovirtmgmt 論理ネットワークは、Red Hat Virtualization Manager とホスト間のトラフィックの管理を目的としています。追加の論理ネットワークを定義して、ネットワークを分離することができます。

  • 仮想マシンの汎用トラフィック
  • ストレージ関連のトラフィック (NFS または iSCSI)
  • 仮想マシンの移行用のトラフィック
  • 仮想マシンのディスプレイ用のトラフィック
  • Gluster ストレージのトラフィック

『Administration Guide』「Logical Networks」を参照してください。

第3章 Red Hat Virtualization のインストール

3.1. Red Hat Virtualization のインストール概要

下図は、スタンドアロンの Manager のデプロイメントと、セルフホストエンジンのデプロイメントの設定手順を示しています。

図3.1 Red Hat Virtualization の設定の概要

Setup Overview of Red Hat Virtualization

3.2. Red Hat Virtualization のインストールオプション

3.2.1. セルフホストエンジン (推奨)

Cockpit Web インターフェース またはコマンドラインのどちらかを使用して、セルフホストエンジンとして Red Hat Virtualization をインストールすることができます。Cockpit が推奨される手法です。

Manager のインストールは自動化されているので、Manager データベース (engine) ならびに Data Warehouse サービスおよびデータベース (ovirt-engine-history) は、ローカルにしかインストールすることはできません。データベースまたはサービスをリモートマシンでホストする場合には、インストールの完了後に移行する必要があります。そのための手順は、以下のガイドの両方に記載されています。

3.2.2. スタンドアロンの Manager (手動)

スタンドアロンの Manager は、コマンドラインを使用してしかインストールすることができません。

インストール中に、Manager データベース (engine) ならびに Data Warehouse サービスおよびデータベース (ovirt-engine-history) をローカルまたはリモートのどちらにインストールするかを指定することができます。両方に同じオプションを選択する必要はありません。1 つのデータベースをリモートマシン上でホストし、他方を Manager マシン上でホストすることができます。

ローカルのデータベースは、手動で設定するか、インストールスクリプトにより自動的に設定することができます。リモートの Manager データベースは手動で設定する必要があります。リモートの Data Warehouse データベースは、Data Warehouse サービスと同じマシンにインストールする場合に限り、自動的に設定することができます (そうでない場合には、データベースは手動で設定する必要があります)。

ローカルおよびリモートのデータベースの組み合わせ

1 つのデータベースを Manager マシンにインストールし、残りのデータベースをリモートにインストールする際には、さまざまな組み合わせが考えられますが、それらについては詳細には記載していません。たとえば、以下のような構成です。

  • Manager および Manager データベースを Manager マシン にインストールし、Data Warehouse サービスおよびデータベースを サーバー 1 にインストールする。この場合は、Manager をローカルに設定してから、別途 Data Warehouse をインストールします。
  • Manager および Data Warehouse サービスを Manager マシン にインストールし、Manager データベースおよび Data Warehouse データベースを サーバー 1 にインストールする。この場合は、Manager および Data Warehouse データベースを手動で設定し、その後 Manager および Data Warehouse サービスを設定します。
  • Manager、Manager データベース、および Data Warehouse データベースを Manager マシン にインストールし、Data Warehouse サービスを サーバー 1 にインストールする。この場合は、Data Warehouse データベースを手動で設定し、続いて Manager を設定し、その後 Data Warehouse サービスをインストールします。
  • Manager および Data Warehouse サービスを Manager マシン にインストールし、Manager データベースを サーバー 1 にインストールし、Data Warehouse データベースを サーバー 2 にインストールする。この場合は、Manager および Data Warehouse データベースを手動で設定し、その後 Manager および Data Warehouse サービスを設定します。
  • Manager を Manager マシン にインストールし、Manager データベースを サーバー 1 にインストールし、Data Warehouse サービスおよびデータベースを サーバー 2 にインストールする。この場合は、Manager データベースを手動で設定し、続いて Manager を設定し、その後 Data Warehouse をインストールします。

第4章 Red Hat Virtualization へのアクセス

Red Hat Virtualization では、仮想化環境コンポーネントとの対話に使用する複数のインターフェースを公開しています。それらの多くは完全にサポートされていますが、読み取りアクセス専用のインターフェースや Red Hat サポートの具体的なアドバイスがあった場合にのみご使用いただくインターフェースもあります。

4.1. サポートされている読み取り/書き込みアクセス用インターフェース

以下にあげるインターフェースを使用した直接の対話はサポートされており、読み取りと書き込みの両アクセスに推奨されます。

管理ポータル

管理ポータルは、Red Hat Virtualization Manager の提供するグラフィカルユーザーインターフェースです。このインターフェースは、環境内のすべての管理対象リソースを管理するのに使用することができ、サポートされている任意の Web ブラウザーでアクセスすることができます。

『Introduction to the Administration Portal』を参照してください。

VM ポータル

VM ポータルは、Red Hat Virtualization Manager の提供するグラフィカルユーザーインターフェースです。このポータルでは、仮想マシンリソースを管理するためのパーミッションが限定されており、エンドユーザーを対象としています。

『Introduction to the VM Portal』を参照してください。

Cockpit

Red Hat Virtualization では、Cockpit Web インターフェースを使用して、セルフホストエンジン環境をデプロイしたり、ホスト上でその他の管理タスクを実施したりすることができます。このインターフェースは、Red Hat Virtualization Host ではデフォルトで利用可能で、Red Hat Enterprise Linux ホストにインストールすることができます。

参考資料

REST API

Red Hat Virtualization REST API は、Red Hat Virtualization 環境におけるクエリーおよび変更を行うためのソフトウェアインターフェースを提供します。REST API は、HTTP アクションをサポートする任意のプログラミング言語で使用することができます。

『REST API Guide』を参照してください。

Software Development Kit (SDK)

Python、Java、Ruby SDK は、Red Hat Virtualization Manager との対話で完全にサポートされています。

参考資料

Ansible

Ansible は、Red Hat Virtualization でインストール後のタスクを自動化するためのモジュールを提供します。

『Administration Guide』「Automating Configuration Tasks using Ansible」を参照してください。

セルフホストエンジンのコマンドラインユーティリティー

hosted-engine コマンドは、セルフホストエンジン環境内の Manager 用仮想マシン上で管理タスクを実行するのに使用します。

『Administration Guide』「Administering the Manager Virtual Machine」を参照してください。

VDSM フック

VDSM フックは、管理ポータルで指定されているカスタムプロパティーに基づいて、仮想マシンに対する変更をトリガーします。

『Administration Guide』「VDSM and Hooks」を参照してください。

4.2. サポートされている読み取りアクセス用インターフェース

以下にあげるインターフェースを使用した直接の対話はサポートされており、読み取りアクセスのみの使用が推奨されます。また、Red Hat サポートから明示的に要求されない限り、これらのインターフェースの書き込みアクセスはサポートされていません。

Red Hat Virtualization Manager 履歴データベース
『Data Warehouse Guide』に規定するデータベースビューを使用した Red Hat Virtualization Manager 履歴 (ovirt_engine_history) データベースへの読み取りアクセスは、サポートされています。書き込みアクセスは サポートされていません
ホスト上の Libvirt
virsh -r コマンドを使用した libvirt への読み取りアクセスは、仮想化ホストとの対話にサポートされている方法です。書き込みアクセスは サポートされていません

4.3. サポートされていないインターフェース

Red Hat サポートから明示的に要求されない限り、以下にあげるインターフェースを使用した直接の対話は サポートされていません

vdsm-client コマンド
Red Hat サポートから明示的に要求されない限り、vdsm-client コマンドを使用した仮想化ホストとの対話は サポートされていません
Red Hat Virtualization Manager データベース
Red Hat サポートから明示的に要求されない限り、Red Hat Virtualization Manager (engine) データベースへの直接アクセスおよびその操作は サポートされていません
重要

ユーザーが作成したスクリプトではなく、使用しているインターフェースに問題があることを実証できる場合を除き、Red Hat サポートはユーザーが作成したスクリプトやフックをデバッグしません。Red Hat サポートポリシーに関する一般情報については、「製品サポートの対象範囲」を参照してください。