Red Hat Training

A Red Hat training course is available for Red Hat Virtualization

プランニングおよび前提条件ガイド

Red Hat Virtualization 4.2

Red Hat Virtualization 4.2 のインストールおよび設定のプランニング

Red Hat Virtualization Documentation Team

Red Hat Customer Content Services

概要

本ガイドには、Red Hat Virtualization 環境の要件、オプション、および推奨事項を記載しています。

第1章 はじめに

Red Hat Virtualization は、複数の接続されたコンポーネントで構成され、各コンポーネントは、環境内で異なる役割を果たします。それらの要件を事前に計画/準備しておくと、コンポーネントの通信と実行を効率化するのに役立ちます。

本ガイドでは以下の内容について説明します。

  • ハードウェアおよびセキュリティーの要件
  • さまざまなコンポーネント向けの利用可能なオプション
  • 環境を最適化するための推奨事項

1.1. 最小のアーキテクチャー

スタンドアロンの Manager 環境の最小限のセットアップには、以下が含まれます。

  • Red Hat Virtualization Manager マシン 1 台
  • 仮想マシンの高可用性には最小 2 台のホスト
  • ストレージサービスを 1 つ。全ホストにアクセス可能である必要があります。

セルフホストエンジン環境には、以下が含まれます。

  • セルフホストエンジンノード上でホストされている Red Hat Virtualization Manager 用仮想マシン 1 台
  • 仮想マシンの高可用性には、最小 2 台のセルフホストエンジンノード
  • ストレージサービスを 1 つ。全ホストにアクセス可能である必要があります。

詳しくは、『製品ガイド』「アーキテクチャー」を参照してください。

第2章 要件

2.1. Red Hat Virtualization Manager の要件

2.1.1. ハードウェア要件

以下に記載するハードウェアの最小要件および推奨要件は、一般的な中小規模のインストールをベースとしています。正確な要件は、デプロイメントの規模や負荷により異なります。

Red Hat Virtualization のハードウェア認定には、Red Hat Enterprise Linux のハードウェア認定が適用されます。詳しくは、https://access.redhat.com/solutions/725243 を参照してください。特定のハードウェア項目が Red Hat Enterprise Linux での使用に認定されているかどうかを確認するには、https://access.redhat.com/ecosystem/#certifiedHardware を参照してください。

表2.1 Red Hat Virtualization Manager のハードウェア要件

リソース最小推奨

CPU

デュアルコア CPU

クアッドコア CPU または複数のデュアルコア CPU

メモリー

利用可能なシステムメモリー 4 GB (Data Warehouse が未インストールで、かつ既存のプロセスによって消費されていないこと)

システムメモリー 16 GB

ハードディスク

ディスクの空き容量 25 GB (ローカルアクセス、書き込みが可能であること)

ディスクの空き容量 50 GB (ローカルアクセス、書き込みが可能であること)

Manager 履歴データベースのサイズに適したディスク容量を算出するには、RHV Manager History Database Size Calculator ツールを使用することができます。

ネットワークインターフェース

最小帯域幅 1 Gbps のネットワークインターフェースカード (NIC) 1 基

最小帯域幅 1 Gbps のネットワークインターフェースカード (NIC) 1 基

2.1.2. ブラウザーの要件

管理ポータルと VM ユーザーポータルには、以下のブラウザーバージョンとオペレーティングシステムを使用してアクセスすることができます。

ブラウザーのサポートは下記のように階層に分かれます。

  • 階層 1: 全面的に検証済みで、完全にサポートされているブラウザーとオペレーティングシステムの組み合わせ。この階層のブラウザーで問題が発生した場合には、Red Hat のエンジニアリングチームが修正に取り組みます。
  • 階層 2: 部分的に検証済みで、正常に機能する可能性の高いブラウザーとオペレーティングシステムの組み合わせ。この階層のサポートは限定されます。Red Hat のエンジニアリングチームは、この階層のブラウザーで問題が発生した場合には、修正を試みます。
  • 階層 3: 未検証ですが、正常に機能することが予想されるブラウザーとオペレーティングシステムの組み合わせ。この階層には、最小限のサポートが提供されます。Red Hat のエンジニアリングチームは、この階層のブラウザーにはマイナーな問題のみの修正を試みます。

表2.2 ブラウザーの要件

サポート階層オペレーティングシステムファミリーブラウザー

階層 1

Red Hat Enterprise Linux

Mozilla Firefox 延長サポート版 (ESR) のバージョン

階層 2

Windows

Internet Explorer 11 以降

 

任意

Google Chrome または Mozilla Firefox の最新バージョン

階層 3

任意

Google Chrome または Mozilla Firefox の旧バージョン

 

任意

その他のブラウザー

2.1.3. クライアント要件

仮想マシンコンソールは、Red Hat Enterprise Linux および Windows でサポートされているリモートビューアー (virt-viewer) クライアントを使用した場合のみにアクセスすることができます。virt-viewer をインストールするには、『仮想マシン管理ガイド』「クライアントマシンへの補助コンポーネントのインストール」を参照してください。virt-viewer のインストールには管理者権限が必要です。

仮想マシンコンソールは、SPICE プロトコルを使用してアクセスされます。ゲストのオペレーティングシステムに QXL グラフィカルドライバーをインストールすると、SPICE の機能を向上/強化させることができます。

サポートされている QXL ドライバーは、Red Hat Enterprise Linux、Windows XP、および Windows 7 で利用できます。

SPICE のサポートは下記のように階層に分かれます。

  • 階層 1: Remote Viewer が全面的に検証済みでサポートされているオペレーティングシステム
  • 階層 2: Remote Viewer が部分的に検証済みで、正常に機能する可能性の高いオペレーティングシステム。この階層のサポートは限定されます。Red Hat のエンジニアリングチームは、この階層の remote-viewer で問題が発生した場合には、修正を試みます。

表2.3 クライアントオペレーティングシステムの SPICE サポート

サポート階層オペレーティングシステム

階層 1

Red Hat Enterprise Linux 7.2 以降

 

Microsoft Windows 7

階層 2

Microsoft Windows 8

 

Microsoft Windows 10

2.1.4. オペレーティングシステムの要件

Red Hat Virtualization Manager は、最新のマイナーリリースに更新済みの Red Hat Enterprise Linux 7 のベースインストール上にインストールする必要があります。

Manager に必要なパッケージのインストールを試みる際に、依存関係の問題が発生する可能性があるため、ベースのインストール後に他のパッケージをインストールしないでください。

『インストールガイド』に記載されている以外の追加のレポジトリーは有効化しないでください。

2.2. ホストの要件

Red Hat Virtualization のハードウェア認定には、Red Hat Enterprise Linux のハードウェア認定が適用されます。詳しくは、https://access.redhat.com/solutions/725243 を参照してください。特定のハードウェア項目が Red Hat Enterprise Linux での使用に認定されているかどうかを確認するには、https://access.redhat.com/ecosystem/#certifiedHardware を参照してください。

2.2.1. CPU の要件

すべての CPU が Intel® 64 または AMD64 CPU の拡張機能をサポートし、AMD-V™ または Intel VT® のハードウェア仮想化拡張機能が有効化されている必要があります。No eXecute flag (NX) のサポートも必要です。

以下の CPU モデルがサポートされています。

  • AMD

    • Opteron G1
    • Opteron G2
    • Opteron G3
    • Opteron G4
    • Opteron G5
  • Intel

    • Conroe
    • Penryn
    • Nehalem
    • Westmere
    • Sandybridge
    • Haswell
    • Haswell-noTSX
    • Skylake (クライアント)
    • Skylake (サーバー)
  • IBM POWER8

2.2.1.1. プロセッサーが必要なフラグをサポートしているかどうかのチェック

BIOS で仮想化を有効にする必要があります。この設定を行った後には、ホストの電源をオフにしてから再起動して、変更が適用されるようにします。

  1. Red Hat Enterprise Linux または Red Hat Virtualization Host の起動画面で任意のキーを押し、一覧から BootBoot with serial console のエントリーを選択します。
  2. Tab を押して、選択したオプションのカーネルパラメーターを編集します。
  3. 最後のカーネルパラメーターの後に スペースが 1 つ空いていることを確認して、rescue パラメーターを追記します。
  4. Enter を押して、レスキューモードで起動します。
  5. プロンプトが表示されたら、プロセッサーに必要な拡張があるか確認してください。また、次のコマンドを実行して、仮想化拡張機能が有効になっているかどうかを確認します。

    # grep -E 'svm|vmx' /proc/cpuinfo | grep nx

何らかの出力が表示されれば、プロセッサーはハードウェアの仮想化が可能です。出力が何も表示されない場合でも、プロセッサーがハードウェア仮想化に対応している可能性があります。場合によっては、メーカーが BIOS で仮想化拡張機能を無効にしていることがあります。これに該当すると思われる場合には、メーカーが提供しているシステムの BIOS やマザーボードに関するマニュアルを参照してください。

2.2.2. メモリーの要件

必要最小限の RAM は 2 GB です。サポートされている RAM の最大値は 2 TB です。

ただし、必要な RAM 容量は、ゲストオペレーティングシステムの要件、ゲストのアプリケーションの要件、ゲストのメモリーアクティビティーと使用状況によって異なります。KVM は、全ゲストがピークの負荷で同時に稼働しないことを前提として、仮想ゲストに対して物理 RAM をオーバーコミットして、物理的に存在する RAM を超える要件でゲストをプロビジョニングすることも可能です。KVM は、ゲストの RAM を必要に応じてのみ割り当てて、使用率の低いゲストを swap に移動することによって、オーバーコミットします。

2.2.3. ストレージの要件

ホストには、設定、ログ、カーネルダンプを格納し、swap 領域として使用するためのローカルストレージが必要です。本セクションでは、Red Hat Virtualization Host のストレージの最小要件について説明します。Red Hat Enterprise Linux ホストのストレージ要件は、既存の設定で使用されるディスク容量によって異なりますが、Red Hat Virtualization Host の要件よりも多くなるはずです。

ホストのインストールには、最小限のストレージ要件があります。Red Hat は、より多くのストレージ領域を使用するデフォルトの割り当てを使用することを推奨しています。

表2.4 Red Hat Virtualization Host の最小ストレージ要件

パーティション最小サイズ

/

6 GB

/home

1 GB

/tmp

1 GB

/boot

1 GB

/var

15 GB

/var/log

8 GB

/var/log/audit

2 GB

swap

1 GB

最小の合計

35 GB

重要

セルフホストエンジンのシステム環境に RHV-M Virtual Appliance をインストールする場合には、/var/tmp は 5 GB 以上でなければなりません。

推奨の swap サイズについては、https://access.redhat.com/ja/solutions/108483 を参照してください。

2.2.4. PCI デバイスの要件

ホストには、最小帯域幅が 1 Gbps のネットワークインターフェースを少なくとも 1 基搭載している必要があります。Red Hat は、各ホストには 2 つのネットワークインターフェースを搭載し、そのうちの 1 つは仮想マシンの移行などネットワークへの負荷が高い作業専用にすることを推奨します。このように負荷の高い操作のパフォーマンスは、利用可能な帯域幅により制限されます。

Intel Q35 ベースの仮想マシンでの PCI Express と従来の PCI デバイスの使用方法に関する情報は、「Using PCI Express and Conventional PCI Devices with the Q35 Virtual Machine」を参照してください。

2.2.5. デバイス割り当てのハードウェア要件

仮想マシンがホストから特定の PCIe デバイスを使用できるように、デバイス割り当ておよび PCI パススルーを実装する予定がある場合は、以下の要件を満たしていることを確認してください。

  • CPU が IOMMU (例: VT-d または AMD-Vi)をサポートしていること。IBM POWER8 はデフォルトで IOMMU をサポートしています。
  • ファームウェアが IOMMU をサポートしていること。
  • 使用する CPU ルートポートは、ACS または ACS と同等の機能をサポートしていること。
  • PCIe デバイスが ACS または ACS と同等の機能をサポートしていること。
  • Red Hat では、PCIe デバイスとルートポート間の PCIe スイッチとブリッジはすべて ACS をサポートしていることを推奨しています。たとえば、スイッチが ACS をサポートしていない場合には、そのスイッチの背後にあるデバイスはすべて同じ IOMMU グループを共有し、同じ仮想マシンにしか割り当てることができません。
  • GPU サポートについては、Red Hat Enterprise Linux 7 は VGA 以外のグラフィックデバイスとして NVIDIA K シリーズ Quadro (モデル 2000 シリーズ以降)、GRID、Tesla の PCI デバイス割り当てをサポートしています。現在、標準のエミュレーションされた VGA インターフェースの 1 つ以外に、仮想マシンには GPU を 2 つまでアタッチすることができます。エミュレーションされた VGA は、起動前やインストールに使用され、NVIDIA グラフィックドライバーが読み込まれると NVDIA GPU に引き継がれます。NVIDIA Quadro 2000 も、Quadro K420 カードもサポートされていない点にご注意ください。

ベンダーの仕様とデータシートをチェックして、お使いのハードウェアが要件を満たしていることを確認してください。lspci -v コマンドで、システムにインストール済みの PCI デバイスの情報を表示することができます。

『インストールガイド』「PCI パススルーを有効にするためのホストの設定」を参照してください。

2.2.6. vGPU の要件

vGPU を使用するためのホストと仮想マシンの設定に関する情報は、『仮想マシン管理ガイド』「仮想マシンへの vGPU のインストール」を参照してください。

2.3. ネットワーク要件

2.3.1. DNS 要件

Manager およびホストにはすべて、完全修飾ドメイン名と、全面的かつ完全な正引きおよび逆引きの名前解決が必要です。Red Hat は DNS を使用することを推奨しています。名前解決に /etc/hosts ファイルを使用すると、より多くの作業が必要となり、エラーが発生する可能性がより高くなります。

Red Hat Virtualization 環境では DNS が幅広く使用されるため、環境の DNS サービスを同じ環境でホストされている仮想マシンとして実行する方法はサポートされていません。Red Hat Virtualization 環境が名前解決に使用する全 DNS サービスは、環境の外部でホストする必要があります。

2.3.2. Red Hat Virtualization Manager のファイアウォール要件

Red Hat Virtualization Manager では、ネットワークトラフィックがシステムのファイアウォールを通過できるように複数のポートを開放しておく必要があります。

engine-setup スクリプトにより、ファイアウォールを自動設定することができますが、iptables を使用している場合には、既存のファイアウォール設定はすべて上書きされます。既存のファイアウォール設定を維持する場合には、Manager が必要とするファイアウォールルールを手動で挿入する必要があります。engine-setup コマンドは、必要な iptables ルールを /etc/ovirt-engine/iptables.example ファイルに保存します。firewalld を使用している場合には、engine-setup によって既存の設定は上書きされません。

本セクションに記載するファイアウォール設定は、デフォルトの設定を前提としています。

表2.5 Red Hat Virtualization Manager のファイアウォール要件

ポートプロトコル送信元宛先目的

-

ICMP

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Virtualization Manager

任意

診断に役立つ場合があります。

22

TCP

バックエンドの設定やソフトウェアのアップグレードなど、Manager のメンテナンスに使うシステム

Red Hat Virtualization Manager

Secure Shell アクセス

任意

2222

TCP

仮想マシンのシリアルコンソールにアクセスするクライアント

Red Hat Virtualization Manager

仮想マシンのシリアルコンソールへの接続を可能にするための Secure Shell アクセス

80、443

TCP

管理ポータルのクライアント

VM ユーザーポータルのクライアント

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

REST API クライアント

Red Hat Virtualization Manager

HTTP および HTTPS 経由で Manager にアクセスできるようにします。

6100

TCP

管理ポータルのクライアント

VM ユーザーポータルのクライアント

Red Hat Virtualization Manager

Manager 上で Websocket プロキシーを実行している場合に Web ベースのコンソールクライアント (noVNC) に対する websocket プロキシーアクセスを提供します。ただし、Websocket プロキシーが別のホストで実行されている場合には、このポートは使用されません。

7410

UDP

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Virtualization Manager

Kdump が有効化されている場合には、Manager が kdump の通知を受信するためにこのポートを開放する必要があります。

54323

TCP

管理ポータルのクライアント

Red Hat Virtualization Manager (ImageIO Proxy サーバー)

ImageIO Proxy (ovirt-imageio-proxy) との通信に必要です。

2.3.3. ホストのファイアウォール要件

Red Hat Enterprise Linux ホストおよび Red Hat Virtualization Host (RHVH) には、システムのファイアウォールで複数のポートを開放する必要があります。ホストを Manager に追加する際には、ファイアウォールルールは、デフォルトで自動的に設定され、既存のファイアウォール設定はすべて上書きされます。

新規ホストの追加時のファイアウォール自動設定を無効にするには、詳細パラメーター の下の ホストのファイアウォールを自動設定する のチェックボックスからチェックを外します。

ホストのファイアウォールルールをカスタマイズするには、https://access.redhat.com/solutions/2772331 を参照してください。

表2.6 仮想化ホストのファイアウォール要件

ポートプロトコル送信元宛先目的

22

TCP

Red Hat Virtualization Manager

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Secure Shell アクセス

任意

2223

TCP

Red Hat Virtualization Manager

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

仮想マシンのシリアルコンソールへの接続を可能にするための Secure Shell アクセス

161

UDP

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Virtualization Manager

Simple network management protocol (SNMP)。ホストから 1 つまたは複数の SNMP マネージャーに Simple Network Management Protocol のトラップを送信する場合にのみ必要です。

任意

111

TCP

NFS ストレージサーバー

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

NFS 接続

任意

5900 - 6923

TCP

管理ポータルのクライアント

VM ユーザーポータルのクライアント

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

VNC および SPICE を介したリモートゲストのコンソールアクセス。クライアントが仮想マシンに容易にアクセスできるように、これらのポートは開放しておく必要があります。

5989

TCP、UDP

Common Information Model Object Manager (CIMOM)

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Common Information Model Object Managers (CIMOM) がホスト上で実行中の仮想マシンをモニタリングするのに使用します。このポートは、環境内の仮想マシンのモニタリングに CIMOM を使用する場合にのみ開放する必要があります。

任意

9090

TCP

Red Hat Virtualization Manager

クライアントマシン

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Cockpit がインストールされている場合には、そのユーザーインターフェースにアクセスするために必要です。

16514

TCP

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

libvirt を使った仮想マシンの移行

49152 - 49216

TCP

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

VDSM を使用した仮想マシンの移行とフェンシング。仮想マシンの自動および手動での移行を容易に実行できるように、これらのポートを開放しておく必要があります。

54321

TCP

Red Hat Virtualization Manager

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

VDSM による Manager およびその他の仮想化ホストとの通信

54322

TCP

Red Hat Virtualization Manager (ImageIO Proxy サーバー)

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

ImageIO デーモン (ovirt-imageio-daemon) との通信に必要です。

6081

UDP

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Virtualization Host

Red Hat Enterprise Linux ホスト

Open Virtual Network (OVN) をネットワークプロバイダーとして使用している場合に、OVN がホスト間にトンネルを作成するために必要です。

2.3.4. データベースサーバーのファイアウォール要件

Red Hat Virtualization では、Manager データベース (engine) および Data Warehouse データベース (ovirt-engine-history) にリモートのデータベースサーバーの使用をサポートしています。リモートのデータベースサーバーを使用する予定の場合には、Manager および Data Warehouse サービス (Manager と分離することが可能) からの接続を許可する必要があります。

同様に、Red Hat CloudForms などの外部システムからローカルまたはリモートの Data Warehouse データベースにアクセスする予定の場合には、そのシステムからのアクセスをデータベースで許可する必要があります。外部システムからの Manager データベースへのアクセスはサポートされていません。

表2.7 データベースサーバーのファイアウォール要件

ポートプロトコル送信元宛先目的

5432

TCP、UDP

Red Hat Virtualization Manager

Data Warehouse サービス

外部のシステム

Manager (engine) データベースサーバー

Data Warehouse (ovirt-engine-history) データベースサーバー

PostgreSQL データベース接続のデフォルトポート

第3章 考慮事項

本章では、Red Hat Virtualization のさまざまなコンポーネントの利点、制限事項、および利用可能なオプションについて説明します。

3.1. ホストのタイプ

環境に最も適したホストタイプを使用します。必要な場合には、両方のホストタイプを同じクラスター内で使用することも可能です。

3.1.1. Red Hat Virtualization Host

Red Hat Virtualization Host (RHVH) は、Red Hat Enterprise Linux ホストと比較した場合に、以下のような利点があります。

  • RHVH は Red Hat Virtualization のサブスクリプションに含まれています。Red Hat Enterprise Linux ホストには追加のサブスクリプションが必要な場合があります。
  • RHVH は単一のイメージとしてデプロイされます。これにより、更新プロセスが効率化され、パッケージごとに個別に更新されるのではなく、イメージ全体がまとめて更新されます。
  • 仮想マシンのホスティングやホスト自体の管理に必要なパッケージとサービスのみが含まれます。これにより、不要なパッケージとサービスはデプロイされず、悪用することができないため、操作が効率化され、全体的な攻撃ベクトルが少なくなります。
  • Cockpit のユーザーインターフェースは、デフォルトで利用可能で、仮想マシンのモニタリングツール、セルフホストエンジン用の GUI インストーラーなど、Red Hat Virtualization 固有の拡張機能が含まれています。Cockpit は Red Hat Enterprise Linux ホストでサポートされていますが、手動でインストールする必要があります。

3.1.2. Red Hat Enterprise Linux ホスト

Red Hat Enterprise Linux ホストは、Red Hat Virtualization Host と比較した場合に、以下のような利点があります。

  • Red Hat Enterprise Linux ホストは、高度なカスタマイズが可能なので、たとえば、ホストに特定のファイルシステムレイアウトが必要な場合などにはより望ましいでしょう。
  • Red Hat Enterprise Linux ホストは、特に追加のパッケージをインストールする場合、頻繁な更新により適しています。イメージ全体ではなく、個別のパッケージを更新することが可能です。

3.2. ストレージタイプ

ストレージドメインは、ブロックデバイス (iSCSI または Fibre Channel) もしくはファイルシステムで構成されます。

以下のストレージタイプは、データストレージドメインとしての使用にサポートされています。ISO とエクスポートドメインは、ファイルベースのストレージのみをサポートしています。ISO ドメインは、ローカルストレージデータセンターで使用する場合にローカルストレージをサポートします。

重要

Red Hat Virtualization は現在ブロックサイズ 4K のストレージはサポートしていません。ブロックストレージはレガシー (512b ブロック) モードで設定する必要があります。

参考資料

3.2.1. NFS

NFS バージョン 3 および 4 は Red Hat Virtualization 4 でサポートされています。NFS を ISO ストレージドメインとしてのみ使用する場合以外は、実稼働環境のワークロードには、エンタープライズレベルの NFS サーバーが必要です。エンタープライズ NFS を 10GbE 上にデプロイし、VLAN で分離して、個々のサービスが特定のポートを使用するように設定すると、高速かつセキュアとなります。

NFS エクスポートは、ストレージのより多くのニーズに対応するようになっているため、Red Hat Virtualization は大型のデータストアをただちに認識します。ホスト上または Red Hat Virtualization 内からは追加の設定は必要ありません。このため、NFS はスケーリングと運用の面でブロックストレージを上回ります。

参考資料

3.2.2. iSCSI

実稼働環境のワークロードには、エンタープライズレベルの iSCSI サーバーが必要です。エンタープライズ iSCSI を 10GbE 上にデプロイし、VLAN で分離して、CHAP 認証を利用すると、高速かつセキュアとなります。

iSCSI ではマルチパスを使用して高可用性を向上させることも可能です。

参考資料

3.2.3. ファイバーチャネル

ファイバーチャネルは、高速かつセキュアなので、ターゲットのデータセンターですでに使用されている場合には、活用すべきです。また、iSCSI と NFS に比べて CPU オーバーヘッドが低いという利点もあります。

ファイバーチャネルではマルチパスを使用して高可用性を向上させることも可能です。

参考資料

3.2.4. Fibre Channel over Ethernet

Red Hat Virtualization で Fibre Channel over Ethernet (FCoE) を使用するには、Manager で fcoe キーを有効化して、ホストに vdsm-hook-fcoe パッケージをインストールする必要があります。

参考資料

3.2.5. Red Hat Gluster Storage

Red Hat Gluster Storage (RHGS) は POSIX 準拠のオープンソースファイルシステムです。Red Hat Gluster Storage のクラスターは、Network Attached Storage (NAS) アプライアンスや Storage Area Network (SAN) アレイの代わりに 3 台以上のサーバーで構成されます。

Red Hat Gluster Storage は 10GbE 上にデプロイし、 VLAN で分離すべきです。

Red Hat Virtualization で RHGS を使用する前には、https://access.redhat.com/articles/2356261 で互換性マトリックスを確認してください。

参考資料

3.2.6. Red Hat Hyperconverged Infrastructure

Red Hat Hyperconverged Infrastructure (RHHI) は、Red Hat Virtualization をリモートの Red Hat Gluster Storage サーバーに接続する代わりに、Red Hat Virtualization と Red Hat Gluster Storage を同じインフラストラクチャーに統合します。このコンパクトなオプションにより、運用の費用とオーバーヘッドが削減されます。

参考資料

3.2.7. Red Hat Ceph File System

Red Hat Ceph File System (CephFS) は POSIX 標準と互換性のあるファイルシステムで、Ceph Storage Cluster を使用してデータを保管します。 CephFS をストレージドメインとして追加する際には、Red Hat Virtualization 側で特別な設定は必要なく、他の POSIX 互換 FS ストレージを追加するのと同じ方法で追加します。

『Ceph File System Guide』を参照してください。

3.2.8. POSIX 準拠 FS

その他の POSIX 準拠ファイルシステムは、Red Hat Global File System 2 (GFS2) などのクラスター化されたファイルシステムで、スパースファイルと直接 I/O をサポートしている限りは、Red Hat Virtualization でストレージドメインとして使用することができます。たとえば、Common Internet File System (CIFS) は、直接 I/O をサポートしていないため、Red Hat Virtualization との互換性はありません。

参考資料

3.2.9. ローカルストレージ

ローカルストレージは、ホスト自体のリソースを使用して、個別のホスト上に設定されます。ホストがローカルストレージを使用するように設定すると、新しいデータセンターとクラスターに自動的に追加され、そこには他のホストは追加できません。単一のホストで構成されるクラスター内で作成された仮想マシンは、移行、フェンシング、スケジューリングはできません。

Red Hat Virtualization Host の場合は、/ (root) とは異なるファイルシステム上でローカルストレージを常に定義すべきです。Red Hat では、別の論理ボリュームまたはディスクを使用することを推奨しています。

『管理ガイド』「ローカルストレージの準備と追加」を参照してください。

3.3. ネットワークの考慮事項

Red Hat Virtualization 環境におけるネットワークの計画と設定を行うにあたっては、ネットワークの概念と使用方法を十分に理解しておくことを強く推奨します。ネットワークの管理に関する詳しい情報は、ネットワークのハードウェアベンダーのガイドを参照してください。

論理ネットワークは、NIC などの物理デバイスまたはネットワークボンディングなどの論理デバイスを使用してサポートすることができます。 ボンディングを使用する場合は、そのボンディング内の全ネットワークカードでエラーが発生しなければボンディング自体は失敗しないため、高可用性が向上し、フォールトトレランスが高まります。ボンディングモード 1、2、3、4 は仮想マシン用またはそれ以外の用途のネットワークタイプの両方をサポートします。モード 0、5、6 は仮想マシン以外のネットワークのみをサポートします。Red Hat Virtualization はデフォルトでモード 4 を使用します。

仮想 LAN (VLAN) タグを使用してネットワークトラフィックを分離すると、複数の論理ネットワークで単一のデバイスを共有できるので、論理ネットワーク毎に 1 デバイスを使用する必要はありません。この機能を使用するには、VLAN タグがスイッチレベルでもサポートされている必要があります。

Red Hat Virtualization 環境で定義可能な論理ネットワーク数に適用される上限

  • ホストにアタッチした論理ネットワークの数は、利用可能なネットワークデバイスと仮想 LAN (VLAN) の最大数 (4096) を合わせた数が上限となっています。
  • 1 回の操作でホストにアタッチできるネットワーク数は、現在 50 が上限となっています。
  • ネットワークはクラスター内の全ホストで同じでなければならないため、クラスター内の論理ネットワークの数は、ホストにアタッチ可能な論理ネットワーク数が上限となっています。
  • データセンター内の論理ネットワーク数は、そのデータセンター内のクラスター数に 1 クラスターで許可される論理ネットワーク数を掛け合わせた値のみが上限となります。
重要

管理ネットワーク (ovirtmgmt) のプロパティーを変更する際には、最新の注意を払うようにしてください。ネットワークのプロパティーを誤って変更すると、ovirtmgmt ネットワークによりホストへの接続ができなくなる可能性があります。

重要

Red Hat Virtualization を他の環境のサービスの提供に使用する予定がある場合には、Red Hat Virtualization 環境が稼働停止すると、そのサービスも停止してしまうことを念頭に置いてください。

3.4. ディレクトリーサーバーのサポート

インストール中には、Red Hat Virtualization Manager がデフォルトの internal ドメインにデフォルトの admin ユーザーを作成します。このアカウントは、環境の初期設定時およびトラブルシューティング用に使用することを目的としています。ovirt-aaa-jdbc-tool を使用すると、internal ドメインに追加のユーザーを作成することができます。ローカルドメインに作成されるユーザーアカウントはローカルユーザーとして知られています。『管理ガイド』「コマンドラインからのユーザー管理タスク」を参照してください。

また、外部のディレクトリーサーバーを Red Hat Virtualization 環境に接続して、外部ドメインとして使用することができます。外部ドメインで作成されるユーザーアカウントはディレクトリーユーザーとして知られています。Manager への複数のディレクトリーサーバーのアタッチもサポートされています。

Red Hat Virtualization では以下のディレクトリーサーバーがサポートされています。サポートされているディレクトリーサーバーのインストールおよび設定に関する詳しい説明は、そのベンダーのドキュメントを参照してください。

重要

Red Hat Virtualization の管理ユーザーとして専用で使用する、全ユーザーとグループを参照するパーミッションを持つユーザーをディレクトリーサーバーに1つ作成する必要があります。ディレクトリーサーバーの管理者ユーザーは、Red Hat Virtualization の管理ユーザーとしては使用しないでください。

『管理ガイド』「ユーザーとロール」の章を参照してください。

3.5. インフラストラクチャーに関する考慮事項

3.5.1. ローカルまたはリモートのホスティング

以下のコンポーネントは、Manager またはリモートマシンでホストすることができます。全コンポーネントを Manage のマシンで保持する方がより簡単で、メンテナンスの手間が少なくて済みます。したがって、これはパフォーマンスが問題とならない場合に望ましいオプションです。コンポーネントをリモートマシンに移動するとより多くのメンテナンスが必要となりますが、Manager と Data Warehouse のパフォーマンスはいずれも向上します。

Data Warehouse

Data Warehouse を Manager でホストするには、engine-setup のプロンプトで Yes を選択します。

リモートのマシンで Data Warehouse をホストするには、engine-setup のプロンプトで No を選択します。『Data Warehouse Guide』「Installing and Configuring Data Warehouse on a Separate Machine」を参照してください。

インストール後に Data Warehouse を移行するには、『Data Warehouse Guide』「Migrating Data Warehouse to a Separate Machine」を参照してください。

Manager のデータベース

Manager データベースを Manager 上でホストするには、engine-setup のプロンプトで Local を選択します。

Manager データベースをリモートマシンでホストするには、Manager で engine-setup を実行する前に 『インストールガイド』「リモートの PostgreSQL データベースの準備」を参照してください。

インストール後に Manager データベースを移行するには、 『管理ガイド』「リモートサーバーデータベースへの engine データベースの移行」を参照してください。

Websocket プロキシー

Websocket プロキシー を Manager でホストするには、engine-setup のプロンプトで Yes を選択します。

Websocket プロキシーをリモートマシンでホストするには、engine-setup のプロンプトで No を選択します。『インストールガイド』「別のマシンへの Websocket プロキシーのインストール」を参照してください。

インストール後に Websocket プロキシーを移行するには、『管理ガイド』「別のマシンへの Websocket プロキシーの移行」を参照してください。

重要

セルフホストエンジン環境ではアプライアンスを使用して Manager 用仮想マシンのインストールと設定を行います。Data Warehouse、Manager データベース、Websocket プロキシーはインストール後に外部でのみ設定することができます。

3.5.2. リモートのホスティングのみ

以下のコンポーネントは、リモートマシン上でホストする必要があります。

DNS
Red Hat Virtualization 環境では DNS が幅広く使用されるため、環境の DNS サービスを同じ環境でホストされている仮想マシンとして実行する方法はサポートされていません。
ストレージ
ローカルストレージRed Hat Hyperconverged Infrastructure 以外の場合は、ストレージサービスは、Manager またはホストと同じマシン上に配置することはできません。
アイデンティティー管理
IdM (ipa-server) は、Manager が必要とする mod_ssl パッケージとの互換性がありません。

第4章 推奨事項

本章では、環境のパフォーマンスや安定性を向上させることのできる (必須ではない) 設定について説明します。

4.1. 一般的な推奨事項

  • デプロイメントが完了次第、完全なバックアップを取って、別の場所に保管します。それ以降は、定期的にバックアップを取ります。『管理ガイド』「バックアップと移行」を参照してください。
  • Red Hat Virtualization が依存するサービスを同じ環境内の仮想マシンとして実行するのは避けてください。そのように設定する場合は、そのサービスを実行する仮想マシンでダウンタイムが発生する場合にその時間を最小限に抑えるように慎重に計画する必要があります。
  • Red Hat Virtualization Manager をインストールするベアメタルホストまたは仮想マシンに十分なエントロピーがあることを確認してください。値が 200 の場合には、Manager のセットアップが失敗する可能性があります。エントロピーの値を確認するには、cat /proc/sys/kernel/random/entropy_avail コマンドを実行してください。エントロピーの値を増やすには、rng-tools パッケージをインストールして、https://access.redhat.com/solutions/1395493 に記載の手順に従ってください。
  • PXE、キックスタート、Satellite、CloudForms、Ansible のいずれか、もしくはそれらを組み合わせて、ホストおよび仮想マシンのデプロイメントを自動化することができます。ただし、PXE を使用したセルフホストエンジンのインストールはサポートされていません。以下のリンクを参照してください。

  • デプロイ環境内の全マシンのタイムゾーンを UTC に設定します。このように設定すると、夏時間などのローカルタイムゾーンのばらつきによってデータ収集や接続が中断されることがなくなります。
  • 時刻を同期するには、環境内の全ホストと仮想マシンで Network Time Protocol (NTP) を使用します。認証および証明書は、特に時間のずれの影響を受けます。ntpdchronyd を使用することを推奨します。『Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド』の以下のセクションを参照してください。

  • 環境で作業する全ユーザーが、現在の状態と必要な手順を認識するための情報をすべて文書化してください。

4.2. セキュリティーに関する推奨事項

  • ホストまたは仮想マシン上のセキュリティー機能 (HTTPS、SELinux、ファイアウォールなど) は無効にしないでください。
  • 最新のセキュリティー更新とエラータを受信するには、すべてのホストと Red Hat Enterprise Linux 仮想マシンを Red Hat コンテンツ配信ネットワークまたは Red Hat Satellite に登録してください。
  • 複数のユーザーがデフォルトの admin アカウントを使用するのではなく、個別の管理者アカウントを作成して、アクティビティーを適切にトラッキングできるようにしてください。
  • ホストへのアクセスは制限し、別個のログインを作成してください。 全ユーザーに使用する単一の root ログインは作成しないでください。『Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド』「ユーザーとグループの管理」を参照してください。
  • 信頼されないユーザーをホスト上に作成しないでください。
  • Red Hat Enterprise Linux ホストをデプロイする場合には、仮想化、パフォーマンス、セキュリティー、モニタリングの要件を満たすのに必要なパッケージとサービスのみをインストールしてください。実稼働環境のホストには、アナライザー、コンパイラーなどの不必要なセキュリティーリスクをもたらす追加のパッケージはインストールすべきではありません。

4.3. ホストに関する推奨事項

  • 同じクラスター内のホストは統一してください。これには、ハードウェアのモデルとファームウェアのバージョンが含まれます。同じクラスター内で異なるサーバーハードウェアを混在させると、ホスト間でパフォーマンスの一貫性を保てなくなる可能性があります。
  • Red Hat は、同じクラスター内における RHEL ホストと RHVH の両方の使用をサポートしていますが、この構成は、特定のビジネスまたは技術的な要件に対応する場合にのみ使用すべきです。
  • デプロイ時にフェンシングデバイスを設定します。フェンシングデバイスは、高可用性に必要です。
  • フェンシングのトラフィック用には、別のハードウェアスイッチを使用してください。モニタリングとフェンシングを同じスイッチ上で実行すると、そのスイッチは高可用性の単一障害点となってしまいます。

4.4. ネットワークに関する推奨事項

  • 実稼働環境のホストでは特にネットワークインターフェースをボンディングしてください。ボンディングにより、全体的なサービスの可用性とネットワーク帯域幅が向上します。『管理ガイド』「Red Hat Virtualization におけるボンディングロジック」を参照してください。
  • パフォーマンスを最適化し、トラブルシューティングを簡素化するには、VLAN を使用して異なるトラフィックタイプを分離して、10GbE または 40GbE のネットワークを有効に活用してください。
  • 1GbE ネットワークは、管理トラフィックのみに使用すべきです。10GbE と 40GbE は、仮想マシンとイーサネットベースのストレージに使用してください。
  • ストレージに使用するために物理インターフェースをホストに追加する場合には、VM ネットワーク のチェックを外して、VLAN が物理インターフェースに直接割り当てられるようにしてください。
  • Red Hat OpenStack Platform がすでにデプロイ済みの場合には、Red Hat Virtualization を OpenStack Networking (neutron) と統合して、Open vSwitch の機能を追加することができます。

4.5. セルフホストエンジンに関する推奨事項

  • 環境が十分なサイズで可能な場合には、Red Hat Virtualization Manager およびその他のインフラストラクチャーレベルのサービス用に、別のデータセンターとクラスターを作成します。Manager 用仮想マシンは、通常のクラスター内のホスト上で実行することが可能ですが、実稼働環境の仮想マシンと分離すると、バックアップスケジュール、パフォーマンス、可用性、セキュリティーを向上させるのに役立ちます。
  • Manager 用の仮想マシン専用のストレージドメインは、セルフホストエンジンのデプロイメント中に作成されます。このストレージドメインは、他の仮想マシンには一切使用しないでください。
  • ストレージワークロードが高くなることが予想される場合には、移行、管理、ストレージのネットワークを分離して、Manager 用仮想マシンの正常性への影響を軽減してください。
  • 1 クラスターあたりのホスト数には厳密にはハードリミットがありませんが、Red Hat では、セルフホストエンジンノードの数は、1 クラスターあたり 7 ノードを上限とすることを推奨しています。サーバーは、レジリエンスを向上させることのできる方法で分散してください (例: 複数のラックに分散するなど)。
  • セルフホストエンジンノードはすべて、同じ CPU ファミリーに統一して、それらの間で Manager 用仮想マシンを安全に移行できるようにすべきです。異なる CPU ファミリーを使用する場合には、最も機能性の低いものからインストールを開始してください。
  • Manager 用仮想マシンがシャットダウンされ、移行する必要がある場合には、セルフホストエンジンノードにその Manager 用仮想マシンを再起動または移行するために十分なメモリーが必要です。