Red Hat Training
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2.8. Storage Pool Manager
Red Hat Virtualization では、ストレージドメインの内部構造の記述にメタデータを使用します。構造メタデータは各ストレージドメインのセグメントに書き込まれ、ホストは単一ライター/複数リーダーの構成をベースに、ストレージドメインのメタデータと連携します。ストレージドメインの構造メタデータは、イメージおよびスナップショットの作成/削除およびボリュームとドメインの拡張をトラッキングします。
データドメインの構造を変更することができるホストは、Storage Pool Manager (SPM) として知られています。SPM は、ディスクイメージの作成/削除、スナップショットの作成/マージ、ストレージドメイン間でのイメージのコピー、テンプレートの作成、ブロックデバイス用のストレージ割り当てなど、データセンター内におけるすべてのメタデータ変更を調整します。SPM の役割を担うホストは、1 データセーターにつき 1 台です。SPM 以外のホストはすべて、ストレージドメインの構造メタデータを読み取ることしかできません。
ホストは、手動で SPM に選択するか、Red Hat Virtualization Manager により SPM に割り当てることができます。Manager は、SPM ホストの候補に ストレージセントリックリース の引き継ぎを試行させることにより SPM ロールを割り当てます。このリースにより、SPM ホストはストレージメタデータの書き込みが可能になります。ストレージセントリックと呼ばれる理由は、Manager またはホストによりトラッキングされるのではなく、ストレージドメインに書き込まれるためです。ストレージセントリックリースは、マスターストレージドメインの
leases
と呼ばれる特殊な論理ボリュームに書き込まれます。データドメインの構造に関するメタデータは、metadata
と呼ばれる特殊な論理ボリュームに書き込まれます。leases
論理ボリュームは、metadata
論理ボリュームへの変更を防ぎます。
Manager は VDSM を使用して、ホストに
spmStart
コマンドを実行します。これにより、そのホスト上の VDSM はストレージセントリックリースの引き継ぎを試みます。ホストは、引き継ぎに成功すると SPM となり、Red Hat Virtualization Manager が別のホストに SPM ロールを引き継ぐように要求するまで、ストレージセントリックリースを維持します。
Manager は、次のような場合に SPM ロールを別のホストに移行します。
- SPM ホストがマスターストレージドメインにはアクセスできるが、全ストレージドメインにアクセスできない場合。
- SPM ホストがストレージへの接続を失ったために、リースを更新できない場合、またはリース容量が満杯なために書き込み操作を実行できない場合。
- SPM ホストがクラッシュした場合。
図2.1 Storage Pool Manager による構造メタデータの排他的書き込み