Red Hat Training

A Red Hat training course is available for Red Hat Virtualization

1.2. Red Hat Virtualization Host

Red Hat Virtualization 環境にはホストが 1 台または複数アタッチされます。ホストとは、仮想マシンが使用する物理ハードウェアを提供するサーバーです。
Red Hat Virtualization Host (RHVH) は、仮想化ホスト作成用にカスタマイズされた特殊なインストールメディアを使用してインストールする、最適化されたオペレーティングシステムを実行します。
Red Hat Enterprise Linux ホストは、標準の Red Hat Enterprise Linux オペレーティングシステムを実行するサーバーで、インストール後に、ホストとしての使用を許可するように設定されています。
どちらのホストのインストール方法を使用しても、同じように仮想化環境内の他のリソースと対話するホストが作成されるので、いずれも ホスト と呼ばれます。
ホストのアーキテクチャー

図1.2 ホストのアーキテクチャー

Kernel-based Virtual Machine (KVM)
Kernel-based Virtual Machine (KVM) は、Intel VT または AMD-V ハードウェア拡張機能を使用して完全仮想化を提供するロード可能なカーネルモジュールです。KVM 自体はカーネルスペース内で稼働しますが、その上で実行されるゲストは、ユーザースペース内の個別の QEMU プロセスとして稼働します。KVM によりホストは仮想マシンに対して物理ハードウェアを提供することができます。
QEMU
QEMU は、完全なシステムエミュレーションを提供するマルチプラットフォームのエミュレーターです。QEMU は、完全なシステム (例: 1 基または複数のプロセッサーを搭載した周辺機器付きの PC) をエミュレーションします。QEMU は異なるオペレーティングシステムの起動やシステムコードのデバッグに使用することができます。QEMU は、KVM および適切な仮想化拡張機能付きのプロセッサーと連動して、完全なハードウェア仮想化支援機能を提供します。
VDSM - Red Hat Virtualization Manager ホストエージェント
Red Hat Virtualization では、VDSM が仮想マシンおよびストレージ上のアクションを開始し、ホスト間の通信も円滑化します。VDSM は、メモリーやストレージ、ネットワークなどのホストのリソースをモニタリングします。また、VDSM は、仮想マシンの作成、統計の集計、ログの収集などのタスクにも対応します。VDSM インスタンスは各ホスト上で実行され、再設定可能なポート 54321 を使用して Red Hat Virtualization Manager から管理コマンドを受信します。
VDSM-REG

VDSM は、VDSM-REG を使用して各ホストを Red Hat Virtualization Manager に登録します。VDSM-REG は、ポート 80 またはポート 443 を使用して VDSM-REG 自体の情報とそのホストに関する情報を提供します。

libvirt
libvirt は、仮想マシンおよびそれらに関連付けられた仮想デバイスの管理を容易にします。Red Hat Virtualization Manager が仮想マシンのライフサイクルコマンド (起動/停止/再起動) を開始する際には、VDSM が適切なホストマシン上に libvirt を呼び出してそれらのコマンドを実行します。
SPM - Storage Pool Manager
Storage Pool Manager (SPM) はデータセンター内の 1 台のホストに割り当てられるロールです。SPM ホストには、データセンターの全ストレージドメインの構造メタデータを変更する単独の権限が付与されます。これには、仮想ディスクイメージ、スナップショット、テンプレートの作成/削除/操作が含まれます。また、Storage Area Network (SAN) 上のスパースブロックデバイスの割り当ても含まれます。SPM のロールは、同じデータセンター内の任意のホストに移行することが可能です。このため、ホストはすべて、データセンターで定義された全ストレージドメインにアクセスできる必要があります。
Red Hat Virtualization Manager は SPM を常に稼働状態に保ちます。ストレージ接続エラーが発生した場合には Manager が SPM ロールを別のホストに再割り当てします。
ゲストオペレーティングシステム
ゲストオペレーティングシステムは、修正を加えずに Red Hat Virtualization 環境内の仮想マシンにインストールすることができます。ゲストオペレーティングシステムおよびゲスト上のすべてのアプリケーションは、仮想化環境であることを意識せずに通常どおりに稼働します。
Red Hat は、仮想化デバイスへのアクセスを高速化/効率化することができる拡張デバイスドライバーを提供しています。 Red Hat Virtualization Guest Agent をゲストにインストールして、管理コンソールに詳細なゲスト情報を提供することも可能です。