Red Hat Training

A Red Hat training course is available for Red Hat Virtualization

3.11. 論理ネットワーク

論理ネットワークにより、Red Hat Virtualization 環境はネットワークトラフィックをタイプ別に分離することが可能となります。たとえば、ovirtmgmt ネットワークは、Manager とホストの間で管理を目的とした通信に使用するために Red Hat Virtualization のインストール中にデフォルトで作成されます。論理ネットワークは、要件が同じようなネットワークトラフィックをグループ化し、まとめて使用するのが一般的な用途です。管理者は多くの場合には、ストレージネットワークとディスプレイネットワークを作成して、各タイプのトラフィックを分離することによって、最適化やトラブルシューティングを行います。
論理ネットワークの種類は以下のとおりです。
  • 仮想マシンネットワークトラフィックを伝送する論理ネットワーク
  • 仮想マシンネットワークトラフィックを伝送しない論理ネットワーク
  • 任意の論理ネットワーク
  • 必須ネットワーク
すべての論理ネットワークは、必須または任意のいずれかに指定することができます。
論理ネットワークは、データセンターレベルで定義され、ホストに追加されます。必須論理ネットワークが動作するには、該当するクラスターの各ホストに対して論理ネットワークを実装する必要があります。
Red Hat Virtualization 環境内の各仮想マシン論理ネットワークは、ホストのネットワークブリッジデバイスによってサポートされるので、新しい仮想マシン論理ネットワークをクラスターに対して定義する場合は、論理ネットワークを仮想マシンで使用する前に、クラスター内の各ホストで適切なブリッジデバイスを作成する必要があります。Red Hat Virtualization Manager では、仮想マシン論理ネットワークに対して必要なブリッジが自動的に作成されます。
仮想マシン論理ネットワークデバイスをバッキングするために Red Hat Virtualization Manager によって作成されたブリッジデバイスは、ホストネットワークインターフェースに関連付けられます。ブリッジに含まれるホストネットワークインターフェースがネットワークに接続されている場合には、それ以降にブリッジに追加されるネットワークインターフェースはすべて、そのブリッジのネットワーク接続を共有します。仮想マシンを作成して特定の論理ネットワーク上に配置すると、仮想マシンの仮想ネットワークカードは、その論理ネットワークのブリッジに追加されます。これらの仮想マシンはお互いに通信を行ったり、そのブリッジに接続されている他のオブジェクトと通信を行ったりすることができます。
仮想マシンネットワークトラフィックに使用されない論理ネットワークは、ホストネットワークインターフェースに直接関連付けられます。
Two hosts with two guests each using the ovirtmgmt logical network.

図3.2 ovirtmgmt 論理ネットワーク

例3.1 論理ネットワークの使用例

Purple データセンター内の Pink クラスターに Red と White という 2 つのホストがあります。Red と White はいずれも、デフォルトの論理ネットワーク ovirtmgmt をすべてのネットワーク機能に使用していましたが、Pink 担当のシステム管理者は、Web サーバーのテスト用にネットワークを分離するため Web サーバーと一部のクライアント仮想マシンを別の論理ネットワーク (network_testing) に配置することにしました。
管理者は、まず Purple データセンターに論理ネットワークを定義し、次にその論理ネットワークを Pink クラスターに適用します。論理ネットワークは、ホストがメンテンナスモードに入っている状態で実装する必要があります。このため、管理者はまず実行中の仮想マシンをすべて Red に移動してから、White をメンテナンスモードに切り替えた上で、ブリッジに追加する物理ネットワークインターフェースに関連付けられている 仮想 NIC を編集します。選択した物理ネットワークインターフェースの リンクステータスDown から Non-Operational に変わります。Non-Operational のステータスになるのは、Pink クラスター内の各ホスト上の物理ネットワークインターフェースを network_testing ネットワークに追加して、クラスター内の全ホストで対象のブリッジを設定する必要があるためです。次に管理者は、White をアクティブ化して実行中の仮想マシンを Red から移行し、同じプロセスを Red で再度実行します。
物理ネットワークインターフェースにブリッジされた network_testing 論理ネットワークが White と Red の両方に適用されると、network_testing 論理ネットワークは Operational に変わります。これで仮想マシンがこの論理ネットワークを使用する準備が整ったことになります。