第13章 バックアップと移行
13.1. Red Hat Virtualization Manager のバックアップと復元
13.1.1. Red Hat Virtualization Manager のバックアップ
engine-backup ツールを使用して、Red Hat Virtualization Manager を定期的にバックアップします。このツールは、ovirt-engine サービスを中断せずに、engine データベースと設定ファイルを単一のファイルにバックアップすることができます。
13.1.2. engine-backup コマンドの構文
engine-backup コマンドは、2 つの基本モードのいずれかで機能します。
# engine-backup --mode=backup
# engine-backup --mode=restore
engine-backup --help を実行します。
基本オプション
--mode- コマンドがバックアップ操作と復元操作のどちらを実行するかを指定します。
backupとrestoreの 2 つのオプションが利用可能です。これは必須のパラメーターです。 --file- バックアップモードでは、バックアップ対象ファイルのパスと名前を指定します。リストアモードでは、バックアップデータの読み取り先ファイルのパスと名前を指定します。これは、バックアップモードとリストアモードの両方で必須のパラメーターです。
--log- バックアップまたは復元操作のログの書き込み先ファイルのパスと名前を指定します。このパラメーターはバックアップモードとリストアモードの両方で必須のパラメーターです。
--scope- バックアップおよび復元操作のスコープを指定します。
all(全データベースと設定データをバックアップ/復元)、files(システム上のファイルのみをバックアップ/復元)、db(Manager データベースのみをバックアップ/復元)、dwhdb(Data Warehouse データベースのみをバックアップ/復元) の 4 つのオプションがあります。デフォルトのスコープはallです。--scopeパラメーターは、同じengine-backupコマンドで複数回指定することができます。
Manager データベースのオプション
engine-backup コマンドを restore モードで使用する場合にのみ利用可能です。以下に示したオプションの構文は、Manager データベースの復元に適用します。Data Warehouse データベースの復元では同じオプションがあります。Data Warehouse オプションの構文は engine-backup --help を参照してください。
--provision-db- Manager データベースのバックアップをリストアする先の PostgreSQL データベースを作成します。リモートホストの場合や新規インストールをして PostgreSQL データベースがまだ設定されていない場合にバックアップを復元する時に、このパラメーターは必要です。
--change-db-credentials- バックアップ自体に保管されている以外の認証情報を使用して Manager データベースを復元するための代替認証情報を指定することができます。このパラメーターに必要なその他のパラメーターについては、
engine-backup --helpを参照してください。 --restore-permissionsまたは--no-restore-permissions- データベースユーザーのパーミッションを復元します (--no-restore-permissions の場合は復元させません)。バックアップの復元の際には、いずれかのパラメーターが必要です。
注記
データベースの初期設定後に作成した追加のデータベースユーザーは、新しいデータベースには移行されません。新規データベースのある復元後の環境に、バックアップ済みのパーミッションを指定してデータベースユーザーを追加するには、データベースとユーザーを手動で作成してから、--restore-permissionsパラメーターでバックアップを復元する必要があります。PostgreSQL データベースを手動で作成する方法は、『インストールガイド』のhttps://access.redhat.com/documentation/en/red-hat-virtualization/4.0/single/installation-guide/#appe-Preparing_a_Remote_PostgreSQL_Database_for_Use_with_the_Red_Hat_Enterprise_Virtualization_Managerを参照してください。
13.1.3. engine-backup コマンドを使用したバックアップの作成
engine-backup コマンドを使用して Manager がアクティブな状態の時にバックアップすることができます。--scope に以下のオプションのいずれかを追加して、実行するバックアップを指定します。
all: Manager 上の全データベースと設定ファイルの完全なバックアップfiles: システム上のファイルのみのバックアップdb: Manager データベースのみのバックアップdwhdb: Data Warehouse データベースのみのバックアップ
重要
all 以外の範囲を指定するバックアップは、files の範囲または filesystem バックアップと共に復元する必要があります。
手順13.1 engine-backup コマンドの使用例
- Red Hat Virtualization Manager を実行しているマシンにログインします。
- バックアップを作成します。
例13.1 完全バックアップの作成
# engine-backup --scope=all --mode=backup --file=file_name --log=log_file_name
例13.2 Manager データベースのバックアップの作成
# engine-backup --scope=files --scope=db --mode=backup --file=file_name --log=log_file_name
Data Warehouse データベースまたは Reports データベースをバックアップするには、dbオプションをdwhdbに置き換えます。指定したパスとファイル名で、バックアップが含まれたtarファイルが作成されます。
tar ファイルを環境の復元に使用できるようになりました。
13.1.4. engine-backup コマンドを使用したバックアップの復元
engine-backup コマンドを使用して、ローカルまたはリモートのデータベースを使用する既存の Red Hat Virtualization インストール上に、Red Hat Virtualization の新規インストールを復元することが可能です。
重要
version ファイルの値を読み取ってください。
13.1.5. 新規インストールへのバックアップ復元
engine-backup コマンドを使用して、Red Hat Virtualization Manager の新規インストールにバックアップを復元することができます。以下の手順は、ベースオペレーティングシステムと Red Hat Virtualization Manager の必須パッケージがインストール済みで、かつ engine-setup コマンドがまだ実行されていないマシンで実行する必要があります。この手順は、バックアップを復元するマシンからバックアップファイル (単一または複数) にアクセスできることを前提としています。
手順13.2 新規インストールへのバックアップ復元
- Manager マシンにログインします。engine データベースをリモートのホストに復元する場合には、そのホストにログオンして、適切な操作を実行する必要があります。また同様に、Data Warehouse をリモートホストに復元する場合には、そのホストにログインして、適切な操作を行う必要があります。
- 完全なバックアップまたはデータベースのみのバックアップを復元します。
- 完全なバックアップを復元する場合:
# engine-backup --mode=restore --file=file_name --log=log_file_name --provision-db --no-restore-permissions
Data Warehouse も全バックアップの一部として復元する場合には、追加のデータベースをプロビジョニングします。engine-backup --mode=restore --file=file_name --log=log_file_name --provision-db --provision-dwh-db --no-restore-permissions
- データベースのみのバックアップを復元する場合 (設定ファイルとデータベースのバックアップを復元):
# engine-backup --mode=restore --scope=files --scope=db --file=file_name --log=log_file_name --provision-db --no-restore-permissions
上記の例では、Manager データベースのバックアップが復元されます。# engine-backup --mode=restore --scope=files --scope=dwhdb --file=file_name --log=log_file_name --provision-dwh-db --no-restore-permissions
上記の例では、Data Warehouse データベースのバックアップが復元されます。
正常に終了すると、以下のような出力が表示されます。You should now run engine-setup. Done.
- 以下のコマンドを実行してプロンプトに従い、Manager を復元します。
# engine-setup
13.1.6. バックアップの復元による既存インストールの上書き
engine-backup コマンドで Red Hat Virtualization Manager がすでにインストール/設定されているマシンにバックアップを復元することができます。この方法は、インストールのバックアップを取得済みで、そのインストールに対して変更を加えた後にバックアップからインストールを復元する場合に有用です。
重要
engine-backup コマンドを使用する前に engine-cleanup コマンドを実行して既存インストールをクリーンアップしておく必要があります。engine-cleanup コマンドは、engine データベースをクリーンアップするのみで、データベースをドロップしたり、データベースを所有するユーザーを削除したりはしません。このため、ユーザーとデータベースはすでに存在しているので、新規データベース作成やデータベース認証情報の指定は必要ありません。
手順13.3 バックアップの復元による既存インストールの上書き
- Red Hat Virtualization Manager マシンにログインします。
- 設定ファイルを削除し、Manager に関連付けられているデータベースをクリーンアップします。
# engine-cleanup
- 完全なバックアップまたはデータベースのみのバックアップを復元します。
- 完全なバックアップを復元する場合:
# engine-backup --mode=restore --file=file_name --log=log_file_name --restore-permissions
- データベースのみのバックアップを復元する場合 (設定ファイルとデータベースのバックアップを復元):
# engine-backup --mode=restore --scope=files --scope=db --file=file_name --log=log_file_name --restore-permissions
上記の例は、Manager データベースのバックアップを復元します。必要な場合には、Data Warehouse のデータベースも復元します。# engine-backup --mode=restore --scope=dwhdb --file=file_name --log=log_file_name --restore-permissions
正常に終了すると、以下のような出力が表示されます。You should now run engine-setup. Done.
- 以下のコマンドを実行し、プロンプトに従ってファイアウォールを再設定して、
ovirt-engineサービスを正しく設定します。# engine-setup
13.1.7. 異なる認証情報を使用したバックアップの復元
engine-backup コマンドを使用して、Red Hat Virtualization Manager がすでにインストール/設定済みのマシンにバックアップを復元することができます。この方法は、インストールのバックアップを作成済みで、そのインストールをバックアップから別のシステムに復元する必要がある場合に有用です。
重要
engine-backup コマンドを使用する前に engine-cleanup コマンドを実行して既存インストールをクリーンアップしておく必要があります。engine-cleanup コマンドは、engine データベースをクリーンアップするのみで、データベースをドロップしたり、データベースを所有するユーザーを削除したりはしません。このため、ユーザーとデータベースはすでに存在しているので、新規データベース作成やデータベース認証情報の指定は必要ありません。ただし、engine データベースの所有者の認証情報が不明の場合には、バックアップを復元する前に変更しておく必要があります。
手順13.4 異なる認証情報を使用したバックアップの復元
- Red Hat Virtualization Manager がインストールされているマシンにログインします。
- 以下のコマンドを実行し、プロンプトに従って Manager の設定ファイルを削除し、Manager に関連付けられているデータベースをクリーンアップします。
# engine-cleanup
- engine データベースの所有者の認証情報が不明の場合には、そのユーザーのパスワードを変更します。
- postgresql のコマンドラインに入ります。
# su postgres $ psql
- 以下のコマンドを実行して、
engineデータベースを所有するユーザーのパスワードを変更します。postgres=# alter role user_name encrypted password 'new_password';
必要な場合には、ovirt_engine_dwhのデータベースを所有するユーザーにも上記のコマンドを実行します。
--change-db-credentialsパラメーターを使用して新規データベースの認証情報を渡し、完全なバックアップまたはデータベースのみのバックアップを復元します。Manager のローカルに設定されているデータベースの database_location はlocalhostです。注記
以下の例では、パスワードを指定せずにデータベースごとに--*passwordオプションを使用しており、データベースごとにパスワードが要求されます。これらのオプションに対して、コマンド自体でパスワードを指定することも可能ですが、パスワードが shell の履歴に保存されてしまうため、この方法は推奨していません。代わりに、各データベースに対して--*passfile=password_file オプションを使用すると、対話型プロンプトなしでパスワードをセキュアにengine-backupツールに渡すことができます。- 完全なバックアップを復元する場合:
# engine-backup --mode=restore --file=file_name --log=log_file_name --change-db-credentials --db-host=database_location --db-name=database_name --db-user=engine --db-password --no-restore-permissions
Data Warehouse も全バックアップの一部として復元する場合には、追加のデータベースの変更後の認証情報を含めるようにしてください。engine-backup --mode=restore --file=file_name --log=log_file_name --change-db-credentials --db-host=database_location --db-name=database_name --db-user=engine --db-password --change-dwh-db-credentials --dwh-db-host=database_location --dwh-db-name=database_name --dwh-db-user=ovirt_engine_history --dwh-db-password --no-restore-permissions
- データベースのみのバックアップを復元する場合 (設定ファイルとデータベースのバックアップを復元):
# engine-backup --mode=restore --scope=files --scope=db --file=file_name --log=log_file_name --change-db-credentials --db-host=database_location --db-name=database_name --db-user=engine --db-password --no-restore-permissions
上記の例では、Manager データベースのバックアップが復元されます。# engine-backup --mode=restore --scope=files --scope=dwhdb --file=file_name --log=log_file_name --change-dwh-db-credentials --dwh-db-host=database_location --dwh-db-name=database_name --dwh-db-user=ovirt_engine_history --dwh-db-password --no-restore-permissions
上記の例では、Data Warehouse データベースのバックアップが復元されます。
正常に終了すると、以下のような出力が表示されます。You should now run engine-setup. Done.
- 以下のコマンドを実行し、プロンプトに従ってファイアウォールを再設定し、
ovirt-engineサービスを正しく設定します。# engine-setup
13.1.8. engine データベースをリモートサーバーのデータベースへ移行する手順
engine データベースをリモートのデータベースサーバーに移行することができます。データベースのバックアップの作成や、新規データベースサーバーへのバックアップのリストアは、engine-backup を使用します。以下の手順では、新規データベースサーバーに、Red Hat Enterprise Linux 7 がインストールされており、適切なサブスクリプションが設定されていることが前提となっています。『インストールガイド』の 「必要なエンタイトルメントのサブスクライブ」を参照してください。
手順13.5 データベースの移行
- Red Hat Virtualization Manager のマシンにログインし、engine のバックアップを干渉しないように
ovirt-engineサービスを停止します。# service ovirt-engine stop
engineデータベースのバックアップを作成します。# engine-backup --scope=files --scope=db --mode=backup --file=file_name --log=log_file_name
- バックアップファイルを新規データベースサーバーにコピーします。
# scp /tmp/engine.dump root@new.database.server.com:/tmp
- 新規データベースにログインして
engine-backupをインストールします。# yum install ovirt-engine-tools-backup
- 新規データベースサーバーにデータベースをリストアします。file_name は、Manager からコピーしたバックアップファイルに置き換えてください。
# engine-backup --mode=restore --scope=files --scope=db --file=file_name --log=log_file_name --provision-db --no-restore-permissions
- データベースが移行されたので、
ovirt-engineサービスを起動します。# service ovirt-engine start

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