2. RHN クラシックからのシステム移行

システムで設定済みの RHN クラシックチャンネルは、移行の一部として、カスタマーポータルのサブスクリプション管理で、インストール済み各製品の製品証明書にマッピングされます。システムが登録されると、Subscription Manager はその証明書を使用して、適切なサブスクリプションをシステムにアタッチ、または自動的にアタッチします。
システム登録を、RHN クラシックからカスタマーポータルのサブスクリプション管理または Subscription Asset Manager に切り替え、以前のサブスクリプションを再度適用するには、移行ツールを使用できます。
Red Hat Enterprise Linux 5 および 6 の両方で、システム登録とサブスクリプションを、RHN クラシック ホスト型 からカスタマーポータルのサブスクリプション管理 (ホスト型) に移行するには、rhn-migrate-classic-to-rhsm 移行スクリプトを使用します。

2.1. カスタマーポータルのサブスクリプション管理と RHN クラシックの違い

カスタマーポータルのサブスクリプション管理と RHN クラシックには概念的な違いがあり、これは機能性と情報の表示方法の違いになって現れます。

2.1.1. 移行の目的

『サブスクリプションの概念およびワークフロー』 では、サブスクリプションを明確かつ詳細に一貫して追跡する重要性について説明しています。これは、IT メンテンナンスで重要性が高まっている部分です。RHN クラシックの従来型のチャンネルベースのサブスクリプション管理プロセスは、アクセス付与に関しては優れたものでした。一方で、サブスクリプションの適用方法、使用中のサブスクリプションの数、サブスクリプションの使用場所、個々のシステムが使用しているものについて正確に詳細を把握することは非常に困難でした。
さらに詳細なサブスクリプション管理の必要性が高まったため、カスタマーポータルのサブスクリプション管理、Subscription Asset Manager、および Red Hat の同様のサブスクリプションサービスは、サブスクリプション管理のみにフォーカスするよう設計されています。コンテンツ配信や設定管理などの他のシステム管理タスクは、それらのシステム管理タスク用に設計された他のアプリケーションで処理されます。
このため、カスタマーポータルのサブスクリプション管理や Subscription Asset Manager は、堅牢なシステム管理ツール (Satellite 6、JBoss Operations Network、Puppet) やその他のアプリケーションと 併せて 使用されます。
Red Hat Enterprise Linux システムは、カスタマーポータルのサブスクリプション管理または Subscription Asset Manager に移行することが推奨されます。これにより、強化されたサブスクリプションの追跡、アセットインベントリーの管理、堅牢なサブスクリプション管理サービスによるコンプライアンスレポートの機能が提供可能になります。 カスタマーポータルのサブスクリプション管理では、IT 管理者にとって極めて重要となる、適切でより詳細なサブスクリプション情報が提供されます。

2.1.2. カスタマーポータルのサブスクリプション管理のフォーカス

カスタマーポータルのサブスクリプション管理の核は、サブスクリプションとそれを使用しているシステムの関係を定義することです。このため、サブスクリプションは、システムで 利用可能かつインストール済みの製品 に基づいて整理されます。
カスタマーポータルのサブスクリプション管理におけるサブスクリプションは 利用可能な製品 を定義します。利用可能な製品とは、システムがインストール、更新、サポートの受信に対応している製品のことです。ローカルでは、Red Hat サブスクリプションマネージャーは実際にインストール済みの製品を追跡し、これらの製品がどのようにアタッチ済みのサブスクリプションまたはアタッチ可能なサブスクリプションに適合するかについての情報を提供します。
カスタマーポータルのサブスクリプション管理は、サブスクリプションと製品にのみフォーカスしています。これより高度なシステム管理については、Satellite 6 や JBoss Operations Network といったシステム管理製品が実行します。

2.1.3. RHN クラシックのフォーカス

RHN クラシックはサブスクリプション管理のみではなく、全般的なシステム管理によりフォーカスしています (つまり、Satellite のホスト型バージョンになります)。
RHN クラシックは、新規システムを編集、キックスタートする設定ファイルなど、システムを管理する多くのツールを提供します。管理の一部としてシステムの登録やサブスクリプションの割り当てがありますが、この点にカスタマーポータルのサブスクリプション管理とは重要な違いがあります。RHN クラシックは、サブスクライブしているコンテンツへのアクセスを提供しようとします。つまり、その意図するところは使用の追跡ではなく、アクセスを確実に提供することです。
これを行う最も簡単な方法は、全製品をプールまたは チャンネル に整理した後、サブスクリプションを使ってそのチャンネルにアクセスを提供することです。これによりサブスクリプションの全体像がより簡単に把握できますが、ローカルシステム、サブスクリプション、およびインストール済み製品間の関係は失われます。

2.1.4. 機能性の相違点

カスタマーポータルのサブスクリプション管理と Subscription Asset Manager は両方とも、サブスクリプション管理にのみフォーカスしています。 これらは システム 管理ツールではなく、そのための設計もされていません。RHN クラシックでは、システム管理全体の一部としてサブスクリプション管理が含まれており、この点が異なります。
カスタマーポータルのサブスクリプション管理と RHN クラシックではフォーカスが異なるため、サポートする機能にも違いがあります。

表1 カスタマーポータルのサブスクリプション管理と RHN クラシックの機能比較

カスタマーポータルのサブスクリプション管理RHN クラシック
システム登録
サブスクリプションの割り当て
コンテンツ配信
設定ファイルの管理ローカルで実行する必要あり
システムスナップショットの作成ローカルで実行する必要あり
システムのキックスタートSatellite 6 または他の管理ツールが実行
スクリプトの実行Satellite 6 または他のツールが実行。

2.1.5. 登録とサブスクリプションプロセスでの相違点

カスタマーポータルのサブスクリプション管理と RHN クラシックはフォーカスが異なるため、サブスクリプションと登録プロセスの処理方法も異なります。
RHN クラシックではアクセスにフォーカスしているため、システムは登録プロセスの一環として、互換性のあるチャンネルを自動的にサブスクライブします。登録自体がアクセスを付与するプロセスになります。
カスタマーポータルのサブスクリプション管理は、購入したサブスクリプションと実際に使用する製品との関係を定義することを目的にしています。互換性のあるサブスクリプションをシステムに自動的にアタッチすることは可能ですが (これが firstboot のデフォルト設定)、サブスクリプションを手動でアタッチすることもできます。これにより、いつ、どのサブスクリプションをアタッチするかについて、管理者が制御できます。サブスクリプションとシステムに互換性がない場合でも、それを強制するオプションが可能になります。

2.1.6. 排他性

システムは、カスタマーポータルのサブスクリプション管理 (デフォルト) か RHN クラシックのいずれか一方に登録してください (両方に登録することはできません)。これら 2 つのサブスクリプションサービスは相互排他的なので、クライアントツールとシステムインベントリーは別個のものになります。
システムがいずれかに登録されると、サブスクリプションインベントリー用の識別子が与えられます。カスタマーポータルのサブスクリプション管理と RHN クラシックはいずれも、登録プロセスの完了前に既存の識別子をチェックします。
システムがすでに一方に登録されている場合は、もう一方に登録しようとするとエラーが発生します。

2.1.7. 移行パス

移行プロセスには、RHN クラシックからカスタマーポータルのサブスクリプション管理へのシステムの完全な登録情報の移動を伴います (サブスクリプションを含む)。システムは一意の番号で識別されます。これは systemid の値 (Red Hat Enterprise Linux 5 または 6) またはインストール番号 (Red Hat Enterprise Linux 5) のいずれかになります。
移行スクリプトはこの識別子を取り、それを使用してシステムエントリーを抽出、移行します。rhn-migrate-classic-to-rhsm は、/etc/sysconfig/rhn/systemid ファイルのシステム ID に基づいて移行を実行します。