7.5. コンテンツのライフサイクル

Satellite には、コンテンツライフサイクルを詳細に管理する各種機能が含まれています。ライフサイクル環境 は、コンテンツライフサイクルのステージを表し、コンテンツビュー は、フィルター機能があるコンテンツセットであり、コンテンツの定義済みのサブセットとみなすことができます。コンテンツビューをライフサイクル環境に関連付けることで、定義した方法でホストでコンテンツを利用できるようにします (プロセスの可視化については 図1.2「Red Hat Satellite におけるコンテンツのライフサイクル」 を参照してください)。コンテンツ管理プロセスの詳細はコンテンツ管理ガイドカスタムコンテンツのインポート を参照してください。以下のセクションでは、ライフサイクル環境と共にコンテンツビューをデプロイする一般的なシナリオを説明します。

ライブラリー と呼ばれるデフォルトのライフサイクル環境は、接続したすべてのソースからコンテンツを収集します。ホストをライブラリーに直接関連付けることは、ホストが利用できる前にコンテンツをテストできなくなるため推奨されていません。その代わりに、コンテンツのワークフローに適したライフサイクル環境パスを作成します。よくあるシナリオは以下のようになります。

  • 単一ライフサイクル環境: ライブラリーのコンテンツは、実稼働ステージに直接プロモートされます。このアプローチでは、複雑さの面で制限がありますが、ホストで利用可能にする前に、ライブラリー内でコンテンツをテストできます。

    A single life cycle environment

  • 単一ライフサイクル環境パス: オペレーティングシステムとアプリケーションコンテンツは共に同じパスでプロモートされます。そのパスは複数のステージ (たとえば、Development (開発)QA (品質保証)Production (実稼働)) で設定されており、詳細なテストを可能にしますが、これには追加の作業が必要です。

    A single life cycle environment path

  • アプリケーション固有のライフサイクル環境パス: 各アプリケーションには異なるパスがあるため、アプリケーション別のリリースサイクルが可能になります。特定のコンピュートリソースをアプリケーションライフサイクルのステージに関連付けて、テストを容易にすることができます。しかしながら、このシナリオではメンテナーンスが複雑になります。

    Application specific life cycle environment paths

以下はよくあるコンテンツビューのシナリオです。

  • オールインワンコンテンツビュー: 大半のホストに必要なすべてのコンテンツが含まれるコンテンツビューです。コンテンツビューの数を減らすことは、リソース (時間、保存スペース) に制限のあるデプロイメントや、ホストタイプが同一のデプロイメントの場合に利点があります。ただし、このシナリオでは、時間ベースのスナップショットやインテリジェントなフィルターリングなどのコンテンツビューの各種機能が制限されます。コンテンツソースを変更すると、一部のホストに影響を及ぼします。
  • ホスト固有のコンテンツビュー: 各ホストタイプの専用コンテンツビューです。このアプローチは、ホストタイプの数が少ない (最高 30) デプロイメントで役立ちます。ただし、この場合はホストタイプ間のコンテンツの共有や、ホストタイプ以外の基準に基づく分離 (オペレーティングシステムとアプリケーション間など) を防ぎます。重要な更新があった場合は、すべてのコンテンツビューを更新する必要があり、これによりメンテナーンスの作業が増加します。
  • ホスト固有の複合コンテンツビュー: 各ホストタイプ専用のコンテンツビューの組み合わせです。このアプローチにより、ホスト固有のコンテンツと共有コンテンツの分離が可能になります。たとえば、Puppet 設定の専用のコンテンツビューを設定することができます。このコンテンツビューを複数のホストタイプの複合コンテンツビューに組み込むと、他のホストコンテンツよりも高い頻度で Puppet 設定を更新できます。
  • コンポーネントベースのコンテンツビュー: 特定のアプリケーションの専用コンテンツビューです。たとえば、データベースコンテンツビューはいくつかの複合コンテンツビューに組み込むことができます。このアプローチにより標準化のレベルが上がりますが、コンテンツビューの数が増えることにもなります。

最適なソリューションはホスト環境の性質によって異なります。コンテンツビューを作成しすぎないようにする必要がありますが、コンテンツビューのサイズも関連する操作 (公開、プロモート) の速度に影響を及ぼすことに注意してください。また、コンテンツビューのパッケージのサブセットを作成する際には、依存関係もすべて含まれていることを確認してください。キックスタートリポジトリーは、ホストのプロビジョニングにのみ使用されるため、コンテンツビューに追加できないことに注意してください。