第1章 アップグレードの概要

本章では、Red Hat Satellite 6.6 の前提条件、および利用可能なアップグレードパスを説明します。現在の Red Hat Satellite 6 インストールをアップグレードする前にお読みください。

本ガイドでは、「アップデート」、「アップグレード」、「マイグレーション (移行)」を以下の意味で使用します。

アップグレード
y-stream を基準にして、Satellite Server および Capsule Server のインストールを次のリリースに上げるプロセスです (たとえば Satellite 6.5 から Satellite 6.6)。
アップデート
z-stream を基準にして、Satellite Server および Capsule Server のインストールを次のリリースに上げるプロセスです (たとえば Satellite 6.6.0 から Satellite 6.6.1)。
マイグレーション
既存の Satellite インストールを、別の Red Hat Enterprise Linux サーバーに移行するプロセスです。

Red Hat カスタマーポータルの Red Hat Satellite Upgrade Helper では、対話式のアップグレード手順がご利用になれます。このアプリケーションが提供する手順は、お使いのバージョン番号によって異なるため、アップグレードパスに適したアップグレード手順と、既知の問題を回避する手順が提示されます。詳細は、カスタマーポータルの 「Satellite Upgrade Helper」をご覧ください。

重要

Red Hat Satellite Server と Capsule Server で、y-stream バージョンを一致させる必要があります。たとえば、Satellite Server 6.5 は Capsule Server 6.6 と互換性がなく、Satellite Server 6.6 は Capsule Server 6.5 と互換性がありません。Satellite Server と Capsule Server のバージョンが一致しないと Capsule Server が失敗し、メッセージも表示されません。ただし、z-stream バージョンについては、Capsule Server が Satellite Server より 1 つだけ古い場合はサポートされます。たとえば、6.6.1 Satellite Server は、6.6.0 Capsule Server と互換性があります。

1.1. 前提条件

Satellite 6.6 へのアップグレードは、Satellite インフラストラクチャー全体に影響します。アップグレード前に以下を完了してください。

  • Red Hat Satellite 6.6 リリースノート』を参照してください。
  • このガイドでは、アップグレードプロセスとその影響について説明します。
  • アップグレードパスの計画を立てます。詳細は 「アップグレードパス」 を参照してください。
  • BZ#1665893 が解決されるまで、「Candlepin gets stuck during startup forever, logging huge thread dump to error.log」のナレッジベースアーティクルを読み、解決策の手順を実行してからアップグレードを開始してください。
  • 必要とされるダウンタイムを計画してください。Satellite サービスはアップグレード時は停止します。アップグレードプロセスの期間は、ハードウェアの構成、ネットワークの速度、サーバーに保存されているデータ量により異なる可能性があります。

    Satellite のアップグレードには約 1 〜 2 時間かかります。

    Capsule のアップグレードには約 10 〜 30 分かかります。

  • サーバーに十分なストレージ容量があることを確認してください。詳細は、『オンラインネットワークからの Satellite Server のインストール』の「ストレージ要件およびガイドライン」と『Capsule Server のインストール』の「インストールのための環境準備」を参照してください。
  • Satellite Server および全 Capsule Server をバックアップします。詳細は、『Red Hat Satellite 6.5 管理』ガイドの「Satellite Server および Capsule Server のバックアップと復元」を参照してください。
  • Satellite のバージョンごとに API コマンドが異なるので、使用しているスクリプトに Satellite API コマンドが含まれる場合には、アップデートの計画を立ててください。API の変更に関する情報は、Red Hat カスタマーポータルのナレッジベースアーティクル「API Changes Between Satellite Versions」を参照してください。
警告

設定ファイルを手動で、または Hiera などのツールを使用して、カスタマイズした場合には、このカスタマイズした内容は、アップグレード時またはアップデート時にインストールスクリプトを実行すると上書きされます。satellite-installer スクリプトで --noop オプションを使用すると、変更をテストできます。詳細は、ナレッジベースソリューションの「How to use the noop option to check for changes in Satellite config files during an upgrade」を参照してください。

1.2. アップグレードパス

Red Hat Satellite 6.5 から Red Hat Satellite 6.6 にアップグレードできます。以前のバージョンの Satellite Server と Capsule Server は、先に Satellite 6.5 にアップグレードする必要があります。詳細は、『Satellite 6.5 の Red Hat Satellite のアップグレードおよびアップデート』ガイドを参照してください。

図1.1 Satellite 6.6 アップグレードパスの概要

Overview of Satellite 6.6 Upgrade Paths
警告

ベータから GA バージョンへのアップグレードはサポートされていません。

以下は、Satellite 6.6 にアップグレードする手順の概要です。

  1. 既存の Satellite Server をクローンします。詳細は、「2章Satellite Server のクローン」を参照してください。
  2. Satellite Server と全 Capsule Server を Satellite 6.6 にアップグレードします。詳細は「Satellite Server のアップグレード」を参照してください。
  3. すべての Satellite クライアントで、Satellite Tools をアップグレードします。詳細は「Satellite クライアントのアップグレード」を参照してください。

自己登録 Satellite

自己登録の Satellite をアップグレードすることはできません。自己登録の Satellite は、Red Hat コンテンツ配信ネットワーク (CDN) に移行すればアップグレードを実行できます。自己登録の Satellite を CDN に移行する方法は、『Satellite 6.3 の Red Hat Satellite のアップグレードおよびアップデート』ガイドの「自己登録 Satellite のマイグレート」を参照してください。

1.3. アップグレードの進捗の追跡

アップグレード時間は長くなるため、通信セッションの中断と再接続を可能にする screen などのユーティリティーを使用します。これにより、コマンドシェルに接続し続けなくてもアップグレードの進捗が確認できるようになります。screen コマンドの使用方法は、Red Hat ナレッジベース の「How do I use the screen command?」を参照してください。また、screen の man ページでも、詳細を確認できます。

アップグレードコマンドを実行しているコマンドシェルへの接続がなくなった場合は、/var/log/foreman-installer/satellite.log のログで、プロセスが完全に終了したかどうかを確認できます。