第5章 リリースの情報

本リリースノートには主に、今回リリースされた Red Hat Satellite 6 のデプロイメント時に考慮すべきテクノロジープレビューの項目、推奨事項、既知の問題、非推奨となった機能について記載します。Red Hat Satellite 6 の本リリースのサポートライフサイクル中にリリースされた更新についての注記は、各更新に付属のアドバイザリーテキストに表示されます。

5.1. 機能拡張

Red Hat Satellite 6 の本リリースには以下の拡張機能が含まれます。

BZ#1152515 公開時にパッケージの依存関係を解決するように、コンテンツビューを設定できます。設定するには、コンテンツビューに移動して、依存関係の解決のチェックボックスを選択してください。依存関係解決機能では、以下のグローバル設定 2 つを設定できます。1. 管理 > 設定 > コンテンツに移動して、コンテンツビューの依存関係解決のデフォルト設定を変更し、デフォルトで依存関係の解決機能を有効化または無効化できます。2. 管理 > 設定 > コンテンツに移動して、コンテンツビューの依存関係解決のアルゴリズムの設定を変更して、適用する依存関係解決アルゴリズムを選択できます。コンテンツビューの依存関係解決のチェックボックスが選択されている場合は、Satellite はコンテンツビューで依存関係の競合がないかを確認し、コンテンツビューのフィルターを上書きして既存の競合を解決します。依存関係解決機能には、注意事項が 3 点あります。1. 依存関係解決機能を有効化してコンテンツビューを公開すると、約 3 倍時間がかかります。2. 依存関係解決機能は、リポジトリー間の依存関係の競合を解決しません。3. 依存関係解決機能が有効なコンテンツビューが正しく機能しているか公開後に確認する必要があります。カスタムのリポジトリーを使用している場合や、エラータのワークフローには、コンテンツビューに依存関係の競合が発生する可能性があります。

BZ#1559006 Red Hat Satellite 6.6 では、Red Hat Virtualization へのホスト作成時に、宛先ストレージドメインを選択できるようになりました。ホストのディスクを追加するテンプレートを選択する時に、ストレージドメインとストレージの割り当てを変更できます。こうすることで、テンプレートからディスクのクローンを作成し、ストレージドメインとクローンしたディスクの割り当てを変更して、Red Hat Virtualization で先にディスクを手動でクローンする必要なく、宛先ストレージドメインを選択できるようになります。

BZ#1658265 以前は、Satellite で HTTP プロキシーが設定されていた場合、virt-who 設定が HTTP プロキシーを使用して virt-who データの送信を試みて失敗していました。このリリースでは、virt-who は HTTP プロキシー設定を無視し、データを直接 Satellite に送信します。

BZ#1684573 Ansible 2.8 がサポートされるようになりました。

BZ#1698148 Red Hat Satellite 6.6 では、同期中のリポジトリーで提供される SWID タグデータを伝搬するサポートが追加されました。

BZ#1730648 以前は、Satellite は RHEL ベースのハイパーバイザーの複製プロファイルを作成し、2 倍のサブスクリプションを消費させていました。ユーザーは、RHEL ベースのハイパーバイザーを Satellite に登録する前に、VDSM モードで virt-who を手動で設定する必要がありました。Satellite 6.6 以降、Satellite は RHEL ベースのハイパーバイザー用のユニークなプロファイルを作成します。したがって、最初に RHEL ベースのハイパーバイザーを subscription-manager に登録してから、Satellite Web UI の virt-who 設定ツールを使用して virt-who を設定する必要があります。

BZ#1738199 以前のリリースでは、yum を使用して Satellite のベースオペレーティングシステムでパッケージを更新またはインストールすると、Satellite に関連するパッケージが更新され、システムの整合性に欠ける結果となっていました。今回の Satellite のリリースでは、yum を使用してパッケージのインストールおよび更新ができないようになっています。代わりに、foreman-maintain packages install および foreman-maintain packages update コマンドを使用する必要があります。foreman-maintain を使用すると、パッケージのインストール後に satellite-installer --upgrade スクリプトが実行されるので、複数のサービスが再起動される点に注意してください。この機能を無効にして、システムの安定性をご自身で管理することもできます。この機能は、Capsule Server では無効になっています。

5.2. テクノロジープレビュー

このセクションに記載する項目は、テクノロジープレビューとして提供しています。テクノロジープレビューの適用範囲のステータスに関する詳細情報およびそれに伴うサポートへの影響については、「テクノロジプレビュー機能のサポート範囲」を参照してください。

Container-native Virtualization Plug-in (コンテナーネイテイブの仮想化プラグイン)
Container-native Virtualization Plug-in (コンテナーネイテイブの仮想化プラグイン) が、テクノロジープレビュー機能として Satellite 6.6 で利用可能になりました。
カーネル実行 (kexec) テンプレート
Satellite 6.2 で導入された PXE なしの起動方法が含まれるカーネル実行テンプレートは、テクノロジープレビュー機能として引き続き利用可能です。
トレーサー
Satellite 6.3 で導入されたトレーサーツールの統合機能は、テクノロジープレビュー機能として引き続き利用可能です。

5.3. リリースノート

このセクションでは、Red Hat Satellite の注目すべき変更点や推奨プラクティスなどの今回のリリースに関する重要な情報を記載しています。お使いのデプロイメントに最大限の効果をもたらすために、以下の情報を考慮する必要があります。

BZ#1612800 VMware ハイパーバイザーの場合、Satellite Web UI、API、および Hammer CLI を介して、ホストペアレントをフィルタリングおよび除外できるようになりました。

BZ#1658284 virt-who 設定で、3 つの新しい間隔 (24 時間、2 日、3 日) が追加されました。これにより、以下の間隔で virt-who を実行するように Satellite を設定できるようになりました: 1 時間ごと、2 時間ごと、4 時間ごと、8 時間ごと、12 時間ごと、24 時間ごと、2 日ごと、または 3 日ごと。

5.4. 既知の問題

現時点で Red Hat Satellite 6 の既知の問題は以下のとおりです。

BZ#1578911 VMware コンピュートリソースを使用してホストをプロビジョニングする場合には、デフォルトのリソースプールしか選択できません。別のリソースプールを選択しようとすると、プロビジョニングに失敗します。回避策として、コンピュートリソースのキャッシュを無効にしてください。

BZ#1649927 Hammer CLI を使用すると、VMware コンピュートリソースを使用するイメージからプロビジョニングする場合に問題が発生します。回避策として、--compute-attributes="image_id='500d7545-8e17-ce0f-4011-79c5c2c88e49' などのように、Hammer CLI の --compute-attributes オプションで image_id を指定してください。

BZ#1678179 Satellite Web UI では、コンテンツホストのリポジトリーセットに対する一括アクション機能を使用する時に、カスタム製品リポジトリーが表示されません。カスタムリポジトリーではなく、空白のリストが表示されてしまいます。

BZ#1686245 「オンデマンド」ポリシーを使用して Kicstart リポジトリーをダウンロードする場合に、Satellite は誤ってファイルを保存するので、プロビジョニング時に問題が発生してしまいます。Kickstart リポジトリーには「即時」ポリシーのみを使用してください。

BZ#1692753 ApiDoc の location_id および organization_id パラメーターの説明が不明瞭で、さらに、これらのパラメーターのエラーメッセージが間違っています。これらのパラメーターを使用して API クエリーのコンテキストスコープを設定する必要がありますが、コンピュートリソースのロケーションまたは組織を更新しないでください。このコマンドを使用して、コンピュートリソースを更新する場合には、API 要求が「コンピュートリソースが存在しません」という誤ったエラーメッセージを返します。

BZ#1713401 プロビジョニング時に、OSPP セキュリティーポリシーを Red Hat Enterprise Linux 8 システムに適用すると、Satellite Server から katello-ca-consumer パッケージをインストールできないので、システムをコンテンツホストとして登録できません。回避策として、システムをプロビジョニングした後に、以下のコマンドを使用して katello-ca-consumer をインストールしてからシステムを手動で登録してください: # rpm -Uvh --nodigest --nofiledigest http://satellite.example.com/pub/katello-ca-consumer-latest.noarch.rpm

BZ#1719175 HTTP プロキシーパスワードに "?" などの特殊文字が含まれている場合に、Insights のアップロードが "407 Proxy Authentication Required" エラーで失敗します。HTTP プロキシーのパスワードに特殊文字を使用しないでください。

BZ#1719636 Satellite でホストのサブスクリプション情報を編集する場合に、Satellite Web UI の監査レコードにホストが表示されません。ホストの一覧の代わりに、"Host ids" の行に "Missing(ID: 2)" というエラーが表示されます。

BZ#1720369 以下のコマンドを入力すると、リポジトリーのメタデータのシンボリックリンクが破損する可能性があります。BZ#1720369 が解決されるまで、このコマンドを使用しないでください。# foreman-rake katello:delete_orphaned_content RAILS_ENV=production シンボリックリンクが壊れている場合には、yum リポジトリーのメタデータを再生成してください。

BZ#1728612 Ansible ジョブは常に sudo の become_method を使用します。実効ユーザーメソッドを変更すると、変更した設定は、SSH リモート実行には適用されますが、Ansible ジョブには適用されません。

BZ#1732657 Satellite 6.5 以降で subscription-manager を使用してクライアントを登録すると、登録時に追加の監査データやファクトデータが保存されるので、以前のバージョンよりも時間がかかります。

BZ#1743706 Satellite Server を FIPS モードで使用すると、外部の MongoDB サーバーに接続できません。FIPS モードと MongoDB を使用するには、内部の MongoDB を使用してください。

BZ#1745724 hammer organization コマンドを使用すると、非推奨になったオプションを使用していないにもかかわらず、そのオプションに対する警告が表示されます。このコマンドは問題なく機能するので、非推奨のオプションを使用していない場合には、この警告を無視しても構いません。

BZ#1745835 完全な Capsule 同期が失敗し、新しいメタデータを完全に公開しません。

BZ#1750239 アクティベーションキーを使用した登録時に、ホストにサブスクリプションをアタッチすると、Satellite は間違ったサブスクリプションをアタッチしてしまいます。代わりに、自動アタッチを使用してください。

BZ#1750248 HUP シグナルを foreman-proxy デーモンに送信しても、ローテーションしたログファイルは再度表示されません。その結果、削除済みのファイルが開いたままであるとの報告が出され、ロギングが正しく機能せず、ログの記録が失われる可能性があります。以下のコマンドを使用して、削除済みのファイルの有無を確認できます: lsof | grep deleted | grep "\/var\/log" この問題を回避するには、ログのローテーションが済んでから foreman-proxy サービスを再起動します。

BZ#1754314 katello-agent を使用する Satellite ホストでは、qpid-proton パッケージが原因でメモリーリークが発生する場合があります。

BZ#1754881 Foreman-maintain は、tar ファイルの読み取りに問題があるため、バックアップからのデータの復元に失敗します。今後のリリースでは、tar アーカイブエッジケースすべてをサポートする GNU tar を使用するように、foreman-maintain が更新される予定です。

BZ#1758645 ハードウェアバージョンが ESXi 6.7 U2 の VMWare 仮想マシンを、Satellite からプロビジョニングできません。

BZ#1759021 ホスト → コンテンツホスト → コンテンツホストの登録の順にクリックして、ドキュメントボタンを押すと、404 エラーが返されます。URL が変更されたにもかかわらず、Satellite Web UI の URL が更新されていませんでした。正しいドキュメントを表示するには、手動で https://access.redhat.com/documentation/ja-jp/red_hat_satellite/6.6/html/managing_hosts/registering_hosts に移動してください。

BZ#1759588 foreman-maintain packages update all コマンドが機能しません。Satellite ベースオペレーティングシステムですべてのパッケージを更新するには、foreman-maintain packages update \\* コマンドを入力してください。

5.5. 非推奨の機能

本項には、サポートされなくなった機能、または今後のリリースでサポートされなくなる予定の機能について記載します。

BZ#1670092 Red Hat Satellite 6.6 では、リソースのインポートまたはエクスポート用の "hammer csv" コマンドが削除されました。引き続き "hammer --csv" コマンドを使用して、フォーマットされた出力のみを生成できます。

BZ#1698182 Red Hat Satellite 6.6 では、foreman_docker プラグインが削除されたので、コンテナーをプロビジョニングできなくなりました。

BZ#1713222 hammer コマンドの --environment および --environment-id オプションは、ライフサイクルと Puppet 環境における混乱のため、非推奨となりました。代わりに --lifecycle-environment または --puppet-environment オプションを使用してください。

BZ#1716615 コンテンツホストのサブスクリプションイベント (Satellite Web UI のホスト > コンテンツホスト > ホスト名 > サブスクリプション > イベント) が非推奨となり、今後のリリースで削除される予定です。

BZ#1741454 検出用の foreman_organization と foreman_location のファクト値はいずれも非推奨となりました。代わりに、discovery_organization または discovery_location のファクト値を使用してください。ノードの検出先のサブネットも、ファクトで設定された組織およびロケーションに所属していることを確認します。所属していない場合には、セキュリティーの理由上、Satellite で設定が拒否されます。