第4章 新機能および改良された機能

本章では、Red Hat Satellite 6.6 の新機能について説明しています。

SWID パススルー
リポジトリーに SWID データが含まれている場合、Red Hat Satellite 6.6 はこのデータをミラーリングし、フィルター処理を行っている場合でもすべてのコンテンツビューで保持します。
アップグレード時の yum トランザクションに対する警告
satellite-maintain で更新またはアップグレードする場合には、yum トランザクションの実行前に警告が表示され、必要に応じて適切な手順を実行できるように、このアクションをキャンセルできるようになりました。
satellite-maintain エイリアスが追加されました
satellite-maintain エイリアスが、foreman-maintain コマンドに追加されました。
アップグレード時の除外の回避
yum の更新でパッケージを除外する時に、除外するパッケージが必須の Satellite リポジトリーから取得している場合に、依存関係の問題で yum の更新が失敗する可能性があります。この問題を回避するには、satellite-maintain では、yum の更新時に、パッケージの除外を設定したことを忘れてしまった場合に問題を回避できるように、パッケージの除外を回避できるようになりました。
Ansible 2.8 のサポート
Red Hat Satellite 6.6 は、Ansible バージョン 2.8 をサポートします。Ansible 2.6 は、2019年 にサポート終了 (EOL) となります。
Ansible 変数のサポート
Ansible 変数は、Puppet のスマートクラスパラメーターと同じレベルでサポートされるようになりました。Ansibleマニフェストがスキャンされ、使用可能な変数が判別され、インポートできるようになります。その後に、(正しいタイプに設定するなど) Ansible 変数を調整して、Puppet の場合と同様に上書きできます。
Ansible 変数の優先順位
以前の Satellite のバージョンでは、Ansible 変数のオーバーライドなどユーザーの特権昇格が必要な場合に、Ansible の become_user キーワードを使用して、Ansible のロールを Effective User に昇格させていました。Satellite 6.6 は、Ansible 変数の優先順位を使用した変数のオーバーライドをサポートします。Ansible キーワード become_user を使用してユーザーの特権昇格や変数のオーバーライドを行う既存の Ansible ロールがある場合には、これらのロールが Ansible 変数の優先順位に従うように再設定する必要があります。詳細は、『Ansible User Guide』の「Variable precedence: Where should I put a variable?」を参照してください。
Ansible Runner のサポート
Red Hat Satellite 6.6 では、ansible-playbook を直接呼び出す代わりに、Ansible ジョブを実行する方法として、Ansible Runner をデフォルト設定できます。 Ansible Runner は、Ansible ジョブ実行で推奨の方法です。
Ansible を使用した OpenSCAP デプロイメント
以前のリリースでは、Puppet なしで OpenSCAP をデプロイできませんでした。Red Hat Satellite 6.6 は、Ansible を使用した OpenSCAP のデプロイおよび、Puppe を使用せずにホストのレポートをサポートするようになりました。
virt-who のレポートの問題解決
以前のリリースでは、virt-who レポートの送信直後に Satellite に virt-who レポートを送信すると (別のハイパーバイザーからであっても)、Satellite のタスクが undefined method '[]' for nil:NilClass のエラーで失敗していましたが、この問題は解決されました。
virt-who 設定プラグイン機能の強化

Red Hat Satellite 6.6 では、以下の追加設定を使用して、virt-who をよりシンプルで、エラーの少ない設定ができます。

  • 設定可能なオプションを使用して、間隔を 1 時間よりも短く (例: 1 minute VIRTWHO_INTERVAL) 設定できるようになりました。
  • virt-who-configure-plugin ではデフォルトで ‘NO_PROXY=*’ が設定されるので、Satellite が正常にコンテンツ配信ネットワーク (CDN) に到達できるようになりました。
Red Hat Virtualization バージョン 4 API のサポート
Red Hat Virtualization バージョン 4 の API 統合が、Satellite 6.4 にテクノロジープレビューとして追加されていましたが、Red Hat Satellite 6.6 で完全にサポートされるようになりました。
新しいタスクダッシュボード
Red Hat Satellite 6.6 には、一時停止されたタスクや、エラーまたは警告のあるタスクに焦点を当てたタスクページが追加されています。このページでは、タスクのステータスをよりわかりやすくグラフィック表示されるようになりました。
タスク通知の拡張機能

Red Hat Satellite 6.6 には、システムでタスクが一時停止された場合向けに、以下の機能が強化されました。

  • Web UI で、admin ユーザーは、システム内で現在、一時停止されているタスク数に関する通知を受信し、通知エリアから直接、一時停止タスクのリストに移動できます。
  • Web UI で、タスクを開始したユーザーは、特定の一時停止タスクに関する通知を受信し、通知エリアから直接、タスクの詳細と Red Hat ナレッジベースアーティクルに移動してトラブルシューティングができます。
タスクロギングの拡張機能
Red Hat Satellite 6.6 では、タスク ID、実行計画 ID、新しい状態、結果など、タスクの状態変更 (一時停止または停止したタスクなど) に関してロギングされる内容が改善されました。
全 Satellite Server および Capsule Server の rsyslog へのロギング
一貫性を保つため、Satellite Server および Capsule Server はすべて、デフォルトで rsyslog にロギングされるようになりました。
cloud-init のサポート
Red Hat Satellite 6.6 には、foreman-userdata プラグインが追加され、cloud-init を使用したデプロイメントがサポートされるようになりました。
依存関係解決の機能を備えたコンテンツビューの作成
コンテンツビューフィルターを作成する時に、コンテンツビューから/へ任意のパッケージおよびエラータを追加したり削除したりできます。依存関係の解決は、作成されたリポジトリーで実行されるようになりました。
デフォルトのスケール設定の拡張機能

Red Hat Satellite 6.6 には、デフォルトの動作に対して、以下の拡張機能が追加されました。

  • Satellite には、さまざまなメモリーやサイズを設定するための事前定義済みの custom-heira.yaml テンプレートセットが追加されています。このテンプレートは、推奨の事前定義済みチューニング設定が含まれており、チューニンガイドを読んで手動で変更を加える代わりに、こちらを使用できます。詳細は、『オンラインネットワークからの Satellite Server のインストール』の「事前定義済みのプロファイルを使用した Satellite Server のインストール」を参照してください。
  • 未使用のタスクを消去する機能がデフォルトで有効化されています。この設定でパフォーマンスの問題、ディスクの使用量が減少し、アップグレードの成功率が向上します。詳細は、『Red Hat Satellite の管理』の「未使用のタスクのタスクを消去する機能の設定」を参照してください。
レポートの拡張機能

Red Hat Satellite 6.6 には、Satellite 6.5 に追加されたレポートエンジンに、以下の拡張機能が追加されました。

  • エラータのレポートテンプレートを新たに適用する機能
  • レポートをスケジュールする機能
  • レポートをメールで送信する機能
Google Compute Engine でのプロビジョニングのサポート

Red Hat Satellite 6.6 は、プロビジョニングプラットフォームとして Google Compute Engine (GCE) をサポートします。これには以下の機能が含まれます。

  • GCE コンピューティングリソースの作成
  • コンピュートリソースを使用したイメージベースのプロビジョニング
  • VPN を使用してオンプレミスの Satellite Server から更新を送信する機能
  • GCE 仮想マシンのデコミッション

    CLI および API のサポートは、Red Hat Satellite の今後のリリースで追加される予定です。

Composer の統合
Red Hat Satellite 6.6 の Composer 統合を使用して、Satellite からコンテンツをダウロードし、デプロイメント用にイメージをビルドでき、このデプロイメントイメージを Satellite にアップロードして、Satellite でこれらのイメージをプロビジョニングできます。
デフォルトのキックスタートプロビジョニングテンプレートの機能拡張
  • 新しい fips_enabled オプションが導入され、FIPS 関連のパッケージがインストールされるようになりました。
  • repo のキックスタートステートメントが proxy_string 変数で変更できます。
  • %post スニペットエラーが発生した場合には、エラーが Satellite Web UI のホストのステータスに報告されます。
  • テンプレート自体を変更せずに、Kickstart default custom post スニペットが自動的にテンプレートの %post セクションに追加されます。