第11章 Red Hat OpenStack Platform でのクラウドインスタンスのプロビジョニング
Red Hat OpenStack Platform は、Red Hat Enterprise Linux をベースとして、プライベートまたはパブリックの Infrastructure-as-a-Service (IaaS) クラウドを構築するための基盤を提供します。これにより、スケーラビリティーが極めて高く、耐障害性に優れたプラットフォームをクラウド対応のワークロード開発にご利用いただくことができます。Red Hat Satellite 6 は、Red Hat OpenStack Platforms REST API と対話し、新規クラウドインスタンスを作成できます。また、それらの電源管理の状態を制御することができます。
11.1. Red Hat OpenStack Platform プロビジョニングの要件
Red Hat OpenStack Platform のプロビジョニングの要件には、以下が含まれます。
- Red Hat Enterprise Linux 7 の同期済みのコンテンツリポジトリー。詳細は、『コンテンツ管理ガイド』の「Red Hat リポジトリーの同期」を参照してください。
- OpenStack 環境でネットワークを管理する Capsule Server。詳細は、4章ネットワークの設定 を参照してください。
- イメージベースのプロビジョニング用に OpenStack Image Storage (glance) サービスに追加されたイメージ。詳細は、『Red Hat OpenStack Platform インスタンスおよびイメージガイド』 を参照してください。
- ホスト登録用のアクティベーションキー。詳細は、『コンテンツ管理ガイド』の「アクティベーションキーの作成」を参照してください。
11.2. Satellite Server への Red Hat OpenStack Platform 接続の追加
この手順では、Satellite Server のコンピュートリソースに Red Hat OpenStack Platform 接続を追加します。
手順
コンピュートリソースを追加するには、以下の手順を実行します。
- Satellite Web UI で インフラストラクチャー > コンピュートリソース に移動して、コンピュートリソースのウィンドウで コンピュートリソースの作成 をクリックします。
- 名前 フィールドには、今後使用する時にコンピュートリソースを特定できるように名前を入力します。
- プロバイダー リストから RHEL OpenStack Platform を選択します。
- 説明 フィールドには、リソースの説明を入力します。
-
URL フィールドには、
tokens
リソースの OpenStack 認証 keystone サービスの API を参照する URL を入力します。http://openstack.example.com:5000/v2.0/tokens
の形式を使用します。 - ユーザー名 および パスワード フィールドには、環境にアクセスするための Satellite の認証ユーザーおよびパスワードを入力します。
- ドメイン フィールドには、V3 認証のドメインを入力します。
- テナント リストから Satellite Server が管理するテナントまたはプロジェクトを選択します。
- ホストのプライマリーネットワークとして、外部ネットワークを使用するには、外部ネットワークを主要ネットワークとして許可 (Allow external network as main network) チェックボックスを選択します。
- ロケーション および 組織 タブをクリックして、使用するロケーションと組織が現在のコンテキストに自動的に設定されていることを確認します。他のコンテキストは、これらのタブに追加します。
- 送信 をクリックして Red Hat OpenStack Platform の接続を保存します。
CLI をご利用の場合
hammer compute-resource create
コマンドで接続を作成します。
# hammer compute-resource create --name "My_OpenStack" \ --provider "OpenStack" \ --description "My OpenStack environment at openstack.example.com" \ --url "http://openstack.example.com:5000/v2.0/tokens" --user "My_Username" \ --password "My_Password" --tenant "openstack" --locations "New York" \ --organizations "My_Organization"
11.3. Satellite Server への Red Hat OpenStack Platform イメージの追加
Red Hat OpenStack Platform はイメージベースのプロビジョニングを使用して新規ホストを作成します。アクセスの詳細およびイメージの場所など、イメージの詳細を Satellite Server に追加する必要があります。
手順
Red Hat OpenStack Platform イメージを追加するには、以下の手順を実行します。
- Satellite Web UI で インフラストラクチャー > コンピュートリソース に移動して、コンピュートリソースのウィンドウで Red Hat OpenStack Platform 接続の名前をクリックします。
- 名前 フィールドに、イメージの名前を入力します。
- オペレーティングシステム リストから、イメージのベースオペレーティングシステムを選択します。
- アーキテクチャー リストから、オペレーティングシステムのアーキテクチャーを選択します。
-
ユーザー フィールドには、イメージにアクセスするための SSH ユーザー名を入力します。通常、これは
root
ユーザーになります。 - パスワード フィールドには、イメージにアクセスするための SSH パスワードを入力します。
- イメージ リストから、OpenStack Image Storage のイメージを選択します。
-
ユーザーデータ リストから、イメージが
cloud-init
データなどのユーザーデータ入力をサポートするかどうかの設定を選択します。 - 送信 をクリックしてイメージの詳細を保存します。
CLI をご利用の場合
hammer compute-resource image create
コマンドでイメージを作成します。--uuid
フィールドを使用して Red Hat OpenStack Platform サーバーのイメージの場所の完全パスを保存します。
# hammer compute-resource image create --name "Test OpenStack Image" \
--operatingsystem "RedHat 7.2" --architecture "x86_64" \
--user root --user-data true \
--compute-resource "My_OpenStack_Platform"
11.4. Red Hat OpenStack Platform の詳細のコンピュートプロファイルへの追加
Satellite では、Red Hat OpenStack Platform のインスタンスに特定のハードウェア設定を定義できます。これらのハードウェア設定は、コンピュートプロファイルに追加します。
手順
Red Hat OpenStack Platform の詳細をコンピュートプロファイルに追加するには、以下の手順を行います。
- Satellite Web UI で インフラストラクチャー > コンピュートプロファイル に移動して、コンピュートプロファイルのウィンドウで使用するプロファイル名をクリックします。
- フレーバー リストから、ホストに使用する OpenStack Platform のハードウェアのプロファイルを選択します。
- 利用可能ゾーン (Availability zone) リストから OpenStack Platform 環境内で使用するターゲットクラスターを選択します。
- イメージ リストから、イメージベースのプロビジョニングに使用するイメージを選択します。
- テナント リストから、 OpenStack Platform インスタンスのテナントまたはプロジェクトを選択します。
- セキュリティーグループ リストから、ポートおよび IP アドレスのクラウドベースのアクセスルールを選択します。
- 内部ネットワーク から、ホストが参加するプライベートネットワークを選択します。
- Floating IP ネットワーク から、ホストが参加する外部ネットワークを選択して、Floating IP アドレスを割り当てます。
- ボリュームからの起動 から、イメージからボリュームが作成されるかを設定します。これが選択されていない場合には、インスタンスはイメージを直接起動します。
- 新規起動ボリュームサイズ (GB) フィールドには、新規起動ボリュームのサイズ (GB) を入力します。
- 送信 をクリックしてコンピュートプロファイルを保存します。
CLI をご利用の場合
コンピュートプロファイルの CLI コマンドは、Red Hat Satellite 6.6 ではまだ実装されていません。代わりに、ホストの作成プロセスで同じ設定を直接組み込むことができます。
11.5. Red Hat OpenStack Platform でのイメージベースのホストの作成
Satellite では、Red Hat OpenStack Platform サーバーの既存のイメージから、Red Hat OpenStack Platform ホストをプロビジョニングできます。
手順
ホストをプロビジョニングするには、以下の手順を行います。
- Satellite Web UI で、ホスト > 新規ホスト に移動します。
- 名前 フィールドには、プロビジョニングされたシステムのホストに割り当てる名前を入力します。
- ホストグループ リストから、ホストのフィールドに投入するホストグループを選択します。
- デプロイ先 リストから、OpenStack Platform 接続を選択します。
- コンピュートプロファイル リストから、クラウドインスタンスベースの設定を自動的に投入するために使用するプロファイルを選択します。
- インターフェース タブをクリックして、ホストのインターフェースの 編集 をクリックします。ホスト タブの 名前 が DNS 名 になっていること、また Satellite Server が自動的に新規ホストに IP アドレスを割り当てていることを確認します。
- MAC アドレス フィールドが空白であることを確認します。Red Hat OpenStack Platform サーバーは MAC アドレスをホストに割り当てます。
- Satellite Server は、ホストの最初のインターフェースで Managed (管理)、Primary、および Provision オプションを自動的に選択するはずです。選択されていない場合は、それらを選択してください。
- オペレーティングシステム タブをクリックして、オペレーティングシステムの各項目にデータが自動的に投入されていることを確認します。
- コンピュートプロファイルから自動的にデータが投入されるイメージを変更するには、新規ホストの root ボリュームをベースとする別のイメージを イメージ リストから選択します。
- プロビジョニングテンプレート で 解決 をクリックし、新規ホストから使用する適切なプロビジョニングテンプレートを特定できることを確認します。
- 仮想マシン タブをクリックして、これらの設定には、ホストグループおよびコンピュートプロファイルからの情報が入力されていることを確認し、必要に応じて変更してください。
- パラメーター タブをクリックして、存在するパラメーターでアクティベーションキーが提供されていることを確認します。提供されていない場合には、アクティベーションキーを追加します。
- 送信 をクリックして変更を保存します。
この新規ホストのエントリーは、Red Hat OpenStack Platform サーバーが新規ボリュームのベースとして既存イメージを使用し、インスタンスを作成するようトリガーします。
CLI をご利用の場合
hammer host create
コマンドでホストを作成し、--provision-method image
オプションを指定してイメージベースのプロビジョニングを使用します。
# hammer host create --name "openstack-test1" --organization "My_Organization" \ --location "New York" --hostgroup "Example_Hostgroup" \ --compute-resource "My_OpenStack_Platform" --provision-method image \ --image "Test OpenStack Image" --enabled true --managed true \ --interface "managed=true,primary=true,provision=true" \ --compute-attributes="flavor_ref=m1.small,tenant_id=openstack,security_groups=default,network=mynetwork"
このコンピュートリソースに対する他のホスト作成パラメーターの情報は、「付録B Hammer CLI の追加のホストパラメーター」を参照してください。