第1章 はじめに

プロビジョニングとは、ベアメタルの物理または仮想マシンから、オペレーティングシステムの全設定を行い、使用準備を整えるまでのプロセスを指します。Red Hat Satellite を使用して、多数のホストに対して細かく設定を指定したプロビジョニングを定義し、自動化できます。

プロビジョニングには多数の方法があります。たとえば、Satellite Server の統合 Capsule や外部 Capsule Server は、PXE ベースと PXE を使用しない方法の両方を使ってベアメタルシステムをプロビジョニングできます。同様に Satellite Server は、API 経由で特定のプロバイダーからクラウドインスタンスをプロビジョニングできます。これらのプロビジョニング方法は、ホストの作成、管理、更新など Red Hat Satellite 6 アプリケーションライフサイクルに含まれます。

1.1. プロビジョニングタイプの概要

Red Hat Satellite 6 では、さまざまな方法で、ホストをプロビジョニングできます。

ベアメタルプロビジョニング
Satellite は、主に PXE ブートおよび MAC アドレス特定により、ベアメタルホストをプロビジョニングします。ホストエントリーを作成して、プロビジョニングする物理ホストの MAC アドレスを指定してください。また、空のホストを起動して、Satellite の Discovery サービスを使用することで、プロビジョニングの準備が整ったホストのプールを作成できます。また、PXE なしの方法で、ホストを起動してプロビジョニングすることもできます。
クラウドプロバイダー
Satellite は、プライベートおよびパブリッククラウドプロバイダーに接続して、クラウド環境に保存されているイメージからホストのインスタンスをプロビジョニングします。これには、使用するハードウェアプロファイルまたはフレーバーの選択も含まれます。
仮想化インフラストラクチャー
Satellite は、Red Hat Virtualization および VMware などの仮想化インフラストラクチャーサービスに接続します。これにより、仮想イメージテンプレートから、またはベアメタルプロバイダーと同じ PXE ベースのブート方法を使用して、仮想マシンをプロビジョニングする方法を実行できます。

1.2. プロビジョニングワークフローの概要

プロビジョニングプロセスは、基本的なワークフローに従います。

  1. ホストを作成します。Satellite は、サブネットに関連付けられている DHCP Capsule Server から未使用の IP アドレスを要求し、この IP アドレスを「ホスト作成」ウインドウの IP アドレス のフィールドにロードします。新規ホストの全オプションを入力したら、新規ホストの要求を送信します。
  2. サブネットに関連付けられた DHCP Capsule Server がホストのエントリーを予約します。
  3. Satellite は DNS レコードを設定します。

    • 正引き DNS レコードがドメインに関連付けられた Capsule Server に作成されます。
    • 逆引き DNS レコードがサブネットに関連付けられた DNS Capsule Server に作成されます。
  4. ホストの PXELinux メニューがサブネットに関連付けられた TFTP Capsule Server に作成されます。
  5. 新規ホストは DHCP サーバーから DHCP リースを要求します。
  6. DHCP サーバーはリース要求に応答し、TFTP の next-serverfilename オプションを返します。
  7. ホストは TFTP サーバーからブートローダーおよびメニューを要求します。
  8. ホストの PXELinux メニューおよび OS インストーラーは TFTP 経由で返されます。
  9. インストーラーは Satellite からプロビジョニングテンプレートまたはスクリプトを要求します。
  10. Satellite はテンプレートをレンダリングし、結果として生成されるキックスタートをホストに返します。
  11. ホストは、オペレーティングシステムをインストールするビルドシステムに入り、ホストを Satellite に登録して管理ツール (例: katello-agent, puppet) をインストールします。
  12. インストーラーは Satellite に対し、postinstall スクリプトで正常なビルドについて通知します。
  13. PXELinux メニューはローカルの起動テンプレートに戻ります。
  14. ホストはオペレーティングシステムを起動します。ホストで Puppet クラスを使用するように設定している場合は、ホストは Satellite に保存されるモジュールを使用して設定を行います。

ワークフローはカスタムのオプションにより異なります。以下に例を示します。

Discovery

Discovery サービスを使用している場合、Satellite は新規ホストの MAC アドレスを自動的に検出し、要求の送信後にホストを再起動します。Satellite でホストを再起動できるよう、ホストが割り当てられる Capusule から TCP ポート 8443 にアクセスできなければならないことに注意してください。

PXE なしのプロビジョニング

新規ホストの要求の送信後に、Satellite Server からダウンロードしたブートディスクで特定のホストを起動する必要があります。

コンピュートリソース

コンピュートリソースはホストの仮想マシンを作成し、MAC アドレスを Satellite に返します。また、イメージベースのプロビジョニングを使用している場合には、ホストは標準の PXE ブートおよびオペレーティングシステムのインストール方法を使用せず、コンピュートリソースで、使用する新規ホストのイメージのコピーを作成します。