第12章 テンプレートリポジトリーの同期

Satellite では、Satellite Server とバージョン管理システムまたはローカルディレクトリー間で、ジョブテンプレート、プロビジョニングテンプレート、レポートテンプレート、およびパーティションテーブルテンプレートのリポジトリーを同期できます。本章では、Git リポジトリーをデモ目的で使用します。

このセクションでは、以下のワークフローを説明します。

  • TemplateSync プラグインのインストールおよび設定
  • タスクのエクスポートおよびインポートの実行

12.1. TemplateSync プラグインの有効化

  1. Satellite Server でプラグインを有効化するには、以下のコマンドを入力します。

    # satellite-installer --enable-foreman-plugin-templates
  2. プラグインが適切にインストールされていることを確認するには、管理 > 設定TemplateSync メニューがあることを確認します。

12.2. TemplateSync プラグインの設定

Satellite Web UI で、管理 > 設定 > TemplateSync に移動して、プラグインを設定します。以下の表は、属性の動作を説明しています。一部の属性は、タスクのインポートまたはエクスポートにのみ使用される点にご留意ください。

表12.1 テンプレートのプラグイン設定の同期

パラメーターAPI パラメーター名インポートの意味エクスポートの意味

関連付け

associate

許可される値: alwaysnewnever

OS、組織、およびロケーションベースのメタデータへのテンプレートの関連付け

該当なし

ブランチ

branch

Git リポジトリーで、読み取るデフォルトブランチを指定します。

Git リポジトリーで、書き込むデフォルトブランチを指定します。

ディレクトリー名

dirname

リポジトリー下で、読み込むサブディレクトリーを指定します。

リポジトリー下で、書き込むサブディレクトリーを指定します。

フィルター

filter

正規表現に一致する名前を持つテンプレートだけをインポートします。

正規表現に一致する名前を持つテンプレートだけをエクスポートします。

強制インポート

force

インポートしたテンプレートで、ロックされている同じ名前のテンプレートを上書きします。

該当なし

メタデータエクスポートモード

metadata_export_mode

許可される値: refreshkeepremove

該当なし

エクスポートする際にメタデータが処理される方法を定義します。

  • リフレッシュ — テンプレートコンテンツから既存のメタデータを削除して、現在の割り当ておよび属性をベースにしたメタデータを新たに生成します。
  • 維持: 既存のメタデータを持続します。
  • 削除: メタデータがないテンプレートをエクスポートします。メタデータを手動で追加する場合は便利です。

否定

negate

許可される値: truefalse

フィルター属性を無視するテンプレートをインポートします。

フィルター属性を無視するテンプレートをエクスポートします。

接頭辞

prefix

テンプレート名は接頭辞で開始しないため、指定した文字列をテンプレートの頭に追加します。

該当なし

リポジトリー

repo

同期するリポジトリーへのパスを定義します。

エクスポートするリポジトリーへのパスを定義します。

詳細

verbose

許可される値: truefalse

このアクションについて、詳細なメッセージをログに記録します。

該当なし

12.3. テンプレートのインポートおよびエクスポート

Satellite API または Hammer CLI を使用して、テンプレートをインポートおよびエクスポートできます。Satellite API 呼び出しは、ロールベースのアクセス管理システムを使用して、任意のユーザーでタスクの実行が可能になります。Git などのバージョン管理システム、またはローカルディレクトリーとテンプレートを同期できます。

前提条件

インポートしたテンプレートが Satellite Web UI に表示されるようにするには、各テンプレートに、テンプレートが属するロケーションおよび組織が含まれている必要があります。これは、すべてのタイプのテンプレートタイプに適用されます。テンプレートをインポートする前に、以下のセクションをテンプレートに追加します。

<%#
kind: provision
name: My Kickstart File
oses:
- RedHat 7
- RedHat 6
locations:
- First Location
- Second Location
organizations:
- Default Organization
- Extra Organization
%>

12.4. Satellite API を使用したテンプレートの同期

  1. SSH 認証を使用するバージョン管理システムを設定します (gitosis、gitolite、git デーモンなど)。
  2. TemplateSync タブで TemplateSync プラグイン設定を設定します。

    1. Branch 設定を変更して、Git サーバーへのターゲットブランチに一致します。
    2. Git リポジトリーに一致するように、Repo 設定を変更します。たとえば、git@git.example.com/templates.git に置いたリポジトリーに対して、設定を ssh://git@git.example.com/templates.git に設定します。
  3. Git SSH ホストキーを foreman ユーザーとして受け取ります。

    # sudo -u foreman ssh git.example.com

    SSH 接続が成功していないため、出力に Permission denied, please try again. メッセージが表示されることが期待されます。

  4. SSH 鍵ペアがない場合は作成します。パスフレーズは指定しないでください。

    # sudo -u foreman ssh-keygen
  5. Satellite の公開鍵を使用してバージョン管理サーバーを設定します。公開鍵は、/usr/share/foreman/.ssh/id_rsa.pub にあります。
  6. Satellite Server から、TemplateSync メニューに指定したバージョン管理リポジトリーにテンプレートをエクスポートします。

    $ curl -H "Accept:application/json,version=2" \
    -H "Content-Type:application/json" \
    -u login:password \
    -k https://satellite.example.com/api/v2/templates/export \
    -X POST
    
    {"message":"Success"}
  7. コンテンツを変更したら、テンプレートを Satellite Server にインポートします。

    $ curl -H "Accept:application/json,version=2" \
    -H "Content-Type:application/json" \
    -u login:password \
    -k https://satellite.example.com/api/v2/templates/import \
    -X POST
    
    {“message”:”Success”}

    Satellite が提供するテンプレートがロックされ、デフォルトではインポートできない点にご留意ください。この動作を上書きするには、TemplateSync メニューの Force import 設定を yes に変更するか、force パラメーター -d '{ "force": "true" }’ を import コマンドに追加します。

12.5. Satellite API を使用したローカルディレクトリーとテンプレートの同期

ローカルディレクトリーで、バージョン管理リポジトリーを設定した場合は、テンプレートをローカルディレクトリーと同期すると便利です。これにより、テンプレートを編集し、ディレクトリーで編集履歴を追跡できます。テンプレートの編集後に変更を Satellite Server に同期することも可能です。

  1. テンプレートを保存するディレクトリーを作成し、適切なパーミッションおよび SELinux コンテキストを適用します。

    # mkdir -p /usr/share/templates_dir/
    # chown foreman /usr/share/templates_dir/
    # chcon -t httpd_sys_rw_content_t /usr/share/templates_dir/ -R
  2. TemplateSync タブで Repo 設定を変更し、エクスポートディレクトリー /usr/share/templates_dir/ に一致させます。
  3. Satellite Server からローカルディレクトリーにテンプレートをエクスポートします。

    $ curl -H "Accept:application/json,version=2" \
    -H "Content-Type:application/json" \
    -u login:password \
    -k https://satellite.example.com/api/v2/templates/export \
    -X POST \
    
    {"message":"Success"}
  4. コンテンツを変更したら、テンプレートを Satellite Server にインポートします。

    $ curl -H "Accept:application/json,version=2" \
    -H "Content-Type:application/json" \
    -u login:password \
    -k https://satellite.example.com/api/v2/templates/import \
    -X POST
    
    {“message”:”Success”}

    Satellite が提供するテンプレートがロックされ、デフォルトではインポートできない点にご留意ください。この動作を上書きするには、TemplateSync メニューの Force import 設定を yes に変更するか、force パラメーター -d '{ "force": "true" }’ を import コマンドに追加します。

注記

-d パラメーターを使用して、リクエストでデフォルトの API 設定を上書きします。以下の例では、git.example.com/templates リポジトリーにテンプレートをエクスポートします。

$ curl -H "Accept:application/json,version=2" \
-H "Content-Type:application/json" \
-u login:password \
-k https://satellite.example.com/api/v2/templates/export \
-X POST \
-d "{\"repo\":\"git.example.com/templates\"}"

12.6. Hammer CLI を使用したテンプレートのインポート

hammer import-templates コマンドを使うと任意のリポジトリーからテンプレートをインポートできます。/tmp/dirgit://example.comhttps://example.comssh://example.com などの異なるプロトコルを使ってリポジトリーにポイントさせることもできます。

テンプレートのインデックス化と管理には、--prefix を使ってテンプレートにカテゴリーを設定することができます。大型リポジトリーから特定のテンプレートを選択するには、--filter を使ってインポートするテンプレートのタイトルを定義します。たとえば、--filter '.*Ansible Default$' とすると、各種 Ansible Default テンプレートをインポートします。

手順

リポジトリーからテンプレートをインポートするには、以下のコマンドを実行します。

$ hammer import-templates \
    --prefix '[Custom Index] ' \
    --filter '.*Template Name$' \
    --repo https://github.com/examplerepo/exampledirectory \
    --branch my_branch \
    --organization 'Default Organization'

12.7. Hammer CLI を使用したテンプレートのエクスポート

hammer export-templates コマンドを使うとテンプレートを Git リポジトリーなどのバージョン管理サーバーにエクスポートできます。

手順

  1. Git リポジトリーのローカルコピーをクローンします。

    $ git clone https://github.com/theforeman/community-templates /custom/templates
  2. 以下のコマンドで、ローカルディレクトリーの所有者を foreman ユーザーに変更し、SELinux コンテキストを変更します。

    # chown -R foreman:foreman /custom/templates
    # chcon -R -t httpd_sys_rw_content_t /custom/templates
  3. テンプレートをローカルリポジトリーにエクスポートするには、以下のコマンドを実行します。

    hammer export-templates --organization 'Default Organization' --repo /custom/templates

12.8. 高度な Git 設定

コマンドラインで、または .gitconfig ファイルを編集して、TemplateSync プラグインに追加の Git 設定を実行できます。

自己署名の Git 証明書の同意

Git サーバーで自己署名証明書の認証を使用している場合は、git config http.sslCAPath コマンドでその証明書を検証します。

たとえば、以下のコマンドを実行して/cert/cert.pem に保存されている自己署名証明書を確認します。

# sudo -u foreman git config --global http.sslCAPath cert/cert.pem

高度なオプションの一覧は、git-config の man ページを参照します。

12.9. プラグインのアンインストール

foreman_templates プラグインを削除した後のエラーを回避するには、以下を実行します。

  1. Satellite インストーラーを使用するプラグインを無効にします。

    # satellite-installer --no-enable-foreman-plugin-templates
  2. プラグインのカスタムデータを削除します。このコマンドは、作成したテンプレートには影響しません。

    # foreman-rake templates:cleanup
  3. プラグインをアンインストールします。

    # yum remove tfm-rubygem-foreman_templates