第4章 ネットワークインターフェースの追加

Red Hat Satellite は、1 台のホストに対して複数のネットワークインターフェースを指定することをサポートします。「Red Hat Satellite でのホストの作成」で説明されているように新規ホストを作成する場合や、既存ホストを編集する場合に、これらのインターフェースを設定することができます。

ホストに割り当てることのできるネットワークインターフェースにはいくつかのタイプがあります。新規インターフェースを追加する場合は、以下のいずれかを選択してください。

  • インターフェース: 物理インターフェースまたは仮想インターフェースを追加で指定できます。作成できる仮想インターフェースのタイプは 2 つあります。ホストが 1 つのインターフェースを使用して複数の (仮想) ネットワークと通信する必要がある場合は VLAN を使用します。これらのネットワークは互いにアクセスできません。既存のインターフェースに別の IP アドレスを追加するには、alias を使用します。

    物理インターフェースの追加に関する情報は、「物理インターフェースの追加」を参照してください。

    仮想インターフェースの追加に関する情報は、「仮想インターフェースの追加」を参照してください。

  • ボンド: ボンディングインターフェースを作成します。NIC ボンドは複数のネットワークインターフェースを 1 つのインターフェースにバインディングして 1 つのデバイスと表示し、MAC アドレスを 1 つ持つ方法です。これにより、複数のネットワークインターフェースが 1 つのインターフェースとして機能し、帯域幅の拡大と冗長性を提供します。詳細は「ボンディングインターフェースの追加」を参照してください。
  • BMC: ベースボード管理コントローラー (BMC) により、マシンの物理的な状態をリモートで監視し、管理できます。BMC の詳細は、『オンラインネットワークからの Satellite Server のインストール』の「管理対象ホスト上での電源管理の有効化」を参照してください。BMC インターフェースの設定に関する詳細は、「ベースボード管理コントローラー (BMC) インターフェースの追加」 を参照してください。
注記

追加のインターフェースには、デフォルトで 管理対象 フラグが有効になっています。これは、新規インターフェースが、選択したサブネットに関連付けられた DNS および DHCP Capsule Server によるプロビジョニング時に自動的に設定されることを意味します。これには、DNS および DHCP Capsule Server が適切に設定されたサブネットが必要です。ホストのプロビジョニングにキックスタートメソッドを使用する場合には、管理対象インターフェースの設定ファイルはインストール後のフェーズで、/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-interface_id に自動的に作成されます。

注記

現在、仮想およびボンディングインターフェースには物理デバイスの MAC アドレスが必要です。そのため、これらのインターフェースの設定はベアメタルホストでのみ機能します。

4.1. 物理インターフェースの追加

この手順を使用して、別の物理インターフェースをホストに追加します。

手順

  1. Satellite Web UI で、ホスト > すべてのホスト に移動します。
  2. 編集するホストの横の 編集 をクリックします。
  3. インターフェース タブで、インターフェースの追加 をクリックします。
  4. タイプ リストで、インターフェース オプションが選択されている状態にします。
  5. MAC アドレス を指定します。この設定は必須です。
  6. eth0 などの デバイス ID を指定します。ボンディングインターフェース、VLAN、エイリアスの作成時に、この ID を使用してこの物理インターフェースを指定します。
  7. ホストの IP アドレスに関連付けられた DNS 名 を指定します。Satellite は、選択したドメイン (「DNS A」フィールド) に関連付けられた Capsule Server、および選択したサブネット (「DNS PTR」フィールド) に関連付けられた Capsule Server にこの名前を保存します。そのため、1 台のホストに複数の DNS エントリーを持たせることができます。
  8. ドメイン リストからドメインを選択します。ドメインを作成して管理するには、インフラストラクチャー > ドメイン に移動します。
  9. サブネット リストからサブネットを選択します。サブネットを作成して管理するには、インフラストラクチャー > サブネット に移動します。
  10. インターフェースの IP アドレス を指定します。DHCP Capsule Server が割り当てられた管理対象インターフェースでは、DHCP リースを作成するためにこの設定が必要です。DHCP が有効になっている管理インターフェースでは、IP アドレスが自動補完されます。
  11. インターフェースが 管理対象 かどうかを決定します。インターフェースが管理対象の場合は、プロビジョニング時に関連付けられた Capsule Server から設定がプルされ、DNS エントリーおよび DHCP エントリーが作成されます。キックスタートのプロビジョニングを使用している場合には、設定ファイルはインターフェース用に自動的に作成されます。
  12. ホストの プライマリー インターフェースかどうかを選択します。プライマリーインターフェースからの DNS 名を、FQDN のホストの部分として使用します。
  13. ホストの プロビジョニング インターフェースかどうかを選択します。TFTP ブートは、プロビジョニングインターフェースを使用します。イメージベースのプロビジョニングの場合は、プロビジョニングを完了するスクリプトは、プロビジョニングインターフェースを使用してプロビジョニングを完了します。
  14. リモート実行 のインターフェースを使用するかどうかを選択します。
  15. 仮想 NIC チェックボックスのチェックを解除したままにします。
  16. OK をクリックして、インターフェース設定を保存します。
  17. 送信 をクリックして、ホストへの変更を適用します。

4.2. 仮想インターフェースの追加

以下の手順を使用して、ホストの仮想インターフェースを設定します。仮想インターフェースには、VLAN またはエイリアスインターフェースのいずれかを使用することができます。

エイリアスインターフェースとは、既存のインターフェースにアタッチされた追加の IP アドレスのことです。エイリアスインターフェースは、自動的にアタッチ先のインターフェースから MAC アドレスを継承するので、MAC アドレスを指定せずにエイリアスを作成できます。インターフェースは、ブートモードを static に設定したサブネットに指定する必要があります。

手順

  1. Satellite Web UI で、ホスト > すべてのホスト に移動します。
  2. 編集するホストの横の 編集 をクリックします。
  3. インターフェース タブで、インターフェースの追加 をクリックします。
  4. タイプ リストで、インターフェース オプションが選択されている状態にします。
  5. 一般的なインターフェース設定を指定します。適用できる設定オプションは、物理インターフェースのオプションと同じです (「物理インターフェースの追加」を参照)。

    管理対象の仮想インターフェースの MAC アドレス を指定し、プロビジョニング用の設定ファイルが適切に生成されるようにします。ただし、MAC アドレス は、管理対象外の仮想インターフェースには不要です。

    VLAN を作成する場合、デバイス ID フィールドに eth1.10 の形式で ID を指定します。エイリアスを作成する場合は、eth1:10 の形式で ID を使用します。

  6. 仮想 NIC チェックボックスを選択します。仮想インターフェースに固有の追加設定オプションがその形式に追加されます。

    • タグ: オプションで VLAN タグを設定して、物理ネットワークから仮想インターフェースにネットワークセグメントを分割します。タグを指定しない場合は、管理インターフェースは、関連のあるサブネットの VLAN タグを継承します。このフィールドでユーザーが指定したエントリーは、エイリアスインターフェースには適用されません。
    • 割り当て先: eth1 など、仮想インターフェースの所属先となる物理インターフェースの ID を指定します。この設定は必須です。
  7. OK をクリックして、インターフェース設定を保存します。
  8. 送信 をクリックして、ホストへの変更を適用します。

4.3. ボンディングインターフェースの追加

以下の手順を使用して、ホストのボンディングインターフェースを設定します。

手順

  1. Satellite Web UI で、ホスト > すべてのホスト に移動します。
  2. 編集するホストの横の 編集 をクリックします。
  3. インターフェース タブで、インターフェースの追加 をクリックします。
  4. タイプ リストから ボンディング を選択します。タイプ固有の設定オプションがフォームに追加されます。
  5. 一般的なインターフェース設定を指定します。適用できる設定オプションは、物理インターフェースのオプションと同じです (「物理インターフェースの追加」を参照)。

    ボンディングインターフェースは、デバイス ID フィールドにある bond0 形式の ID を使用します。

    MAC アドレス 1 つで十分です。

  6. ボンディングインターフェースに固有の設定オプションを指定します。

    • モード: フォールトトレランスおよび負荷分散のポリシーを定義するボンドモードを選択します。各ボンドモードの簡単な説明は、表4.1「Red Hat Satellite で利用可能なボンディングモード」を参照してください。
    • 割り当て済みデバイス: 割り当てられたデバイスの ID のコンマ区切りの一覧を指定します。物理インターフェースまたは VLAN を指定できます。
    • ボンドオプション: 設定オプションのコンマ区切りの一覧を指定します (例: miimon=100)。詳細は『Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイド』を参照してください。
  7. OK をクリックして、インターフェース設定を保存します。
  8. 送信 をクリックして、ホストへの変更を適用します。

CLI をご利用の場合

ボンディングインターフェースでホストを作成するには、以下のコマンドを入力します。

# hammer host create --name bonded_interface \
--hostgroup-id 1 \
--ip=192.168.100.123 \
--mac=52:54:00:14:92:2a \
--subnet-id=1 \
--managed true \
   --interface="identifier=eth1, \
               mac=52:54:00:62:43:06, \
               managed=true, \
               type=Nic::Managed, \
               domain_id=1, \
               subnet_id=1" \
   --interface="identifier=eth2, \
               mac=52:54:00:d3:87:8f, \
               managed=true, \
               type=Nic::Managed, \
               domain_id=1, \
               subnet_id=1" \
   --interface="identifier=bond0, \
               ip=172.25.18.123, \
               type=Nic::Bond, \
               mode=active-backup, \
               attached_devices=[eth1,eth2], \
               managed=true, \
               domain_id=1, \
               subnet_id=1" \
--organization "Your_Organization" \
--location "Your_Location" \
--ask-root-password yes

表4.1 Red Hat Satellite で利用可能なボンディングモード

ボンディングモード説明

balance-rr

送受信は、ボンディングインターフェースで順次行われます。

active-backup

ボンディングインターフェースの中で最初に利用可能になったものから送受信が行われます。アクティブなボンディングインターフェースに障害がある場合に限り別のボンディングインターフェースが使用されます。

balance-xor

送信は選択されたハッシュポリシーに基づいて行われます。このモードでは、特定のピア用に宛先が指定されたトラフィックは常に同じインターフェースで送信されます。

broadcast

すべての送信はすべてのボンディングインターフェースで行われます。

802.a3

同じ設定を共有するアグリゲーショングループを作成します。アクティブなグループのすべてのインターフェースで送受信が行われます。

balance-tlb

送信トラフィックが各ボンディングインターフェースの現在の負荷に応じて配分されます。

balance-alb

受信ロードバランシングは ARP (Address Resolution Protocol) ネゴシエーションにより実現されています。

4.4. ベースボード管理コントローラー (BMC) インターフェースの追加

以下の手順を使用して、ベースボード管理コントローラー (BMC) インターフェースを、この機能をサポートするホストに設定します。

前提条件

  • ipmitool パッケージがインストールされている。
  • ホストの MAC アドレス、IP アドレス、BMC インターフェースのその他の詳細、およびこのインターフェースの適切な認証情報を確認している。

    注記

    BMC インターフェースが管理対象の場合は、BMC インターフェースの MAC アドレスのみが必要になります。これは DHCP 予約を作成するために必要です。

手順

  1. Capsule Server で BMC が有効になっていない場合には、有効にします。

    1. 以下のオプションを指定して satellite-installer スクリプトを実行して、Capsule Server で BMC 電源管理を設定します。

      # satellite-installer --foreman-proxy-bmc=true \
      --foreman-proxy-bmc-default-provider=ipmitool
    2. Satellite Web UI で、インフラストラクチャー > Capsules (スマートプロキシー) に移動します。
    3. アクション コラムの一覧から、更新 をクリックします。機能 コラムの一覧に BMC が追加されているはずです。
  2. Satellite Web UI で、ホスト > すべてのホスト に移動します。
  3. 編集するホストの横の 編集 をクリックします。
  4. インターフェース タブで、インターフェースの追加 をクリックします。
  5. タイプ リストから BMC を選択します。タイプ固有の設定オプションがその形式に追加されます。
  6. 一般的なインターフェース設定を指定します。適用できる設定オプションは、物理インターフェースのオプションと同じです (「物理インターフェースの追加」を参照)。
  7. BMC インターフェースに固有の設定オプションを指定する方法:

    • ユーザー名 および パスワード: BMC で必要な認証情報を指定します。
    • プロバイダー: BMC プロバイダーを指定します。
  8. OK をクリックして、インターフェース設定を保存します。
  9. 送信 をクリックして、ホストへの変更を適用します。