第8章 Red Hat Virtualization での仮想マシンのプロビジョニング

Red Hat Virtualization (バージョン 4.0 以降) および Red Hat Enterprise Virtualization (バージョン 3.6 以前) は、Red Hat Enterprise Linux 上に構築するエンタープライズクラスのサーバーおよびデスクトップの仮想化プラットフォームです。

Red Hat Satellite 6 では、Red Hat Virtualization REST API バージョン 3 で仮想化機能を管理できます。仮想マシンの作成や電源状態の制御など、REST API バージョン 4 はまだ Satellite 6 ではサポートされていません。

以下の手順を使用して、Red Hat Virtualization 環境に接続を追加して、仮想マシンをプロビジョニングします。

8.1. Red Hat Virtualization プロビジョニングの要件

Red Hat Virtualization のプロビジョニング要件には、以下が含まれます。

  • 使用する Red Hat Enterprise Linux バージョンの同期済みのコンテンツリポジトリー。詳細は、『コンテンツ管理ガイド』「Red Hat リポジトリーの同期」を参照してください。
  • Red Hat Virtualization 環境で、論理ネットワークを管理する Capsule Server。Capsule Server との競合を避けるために他の DHCP サービスがこのネットワークで実行されていないことを確認します。詳細は、「4章ネットワークの設定」を参照してください。
  • イメージベースのプロビジョニングを使用する場合は、空の テンプレート以外の既存のテンプレート。仮想マシンのテンプレートを作成する方法についての詳細は、『仮想マシン管理ガイド』「テンプレート」を参照してください。
  • ホスト登録用のアクティベーションキー。詳細は、『コンテンツ管理ガイド』「アクティベーションキーの作成」を参照してください。

8.2. Red Hat Virtualization ユーザーの作成

Red Hat Virtualization サーバーには、Satellite Server の通信用に管理者に相当するユーザーが必要です。セキュリティー上の理由により、Red Hat ではこのような通信に admin@internal ユーザーを使用しないことを推奨しています。代わりに、以下の権限を持つ新規の Red Hat Virtualization ユーザーを作成してください。

  • システム

    • システムの設定

      • ログインパーミッション
  • ネットワーク

    • vNIC プロファイルの設定

      • チームの作成
      • プロパティーの編集
      • 削除
      • vNIC プロファイルの VM への割り当て
      • vNIC プロファイルのテンプレートへの割り当て
  • テンプレート

    • プロビジョニング操作

      • インポート/エクスポート
  • 仮想マシン

    • プロビジョニング操作

      • チームの作成
      • 削除
      • インポート/エクスポート
      • ストレージの編集
  • ディスク

    • プロビジョニング操作

      • チームの作成
    • ディスクプロファイル

      • ディスクプロファイルの割り当て

Red Hat Virtualization で新規ユーザーを作成し、パーミッションを追加する方法の詳細は、『Red Hat Virtualization 管理ガイド』「管理ポータルからのユーザータスクの管理」を参照してください。

8.3. Satellite Server への Red Hat Virtualization 接続の追加

この手順を使用して、Satellite Server のコンピュートリソースに Red Hat Virtualization 接続を追加します。

手順

Red Hat Virtualization 接続を Satellite に追加するには、以下の手順を行います。

  1. Satellite Web UI で インフラストラクチャー > コンピュートリソース に移動して、コンピュートリソースのウィンドウで コンピュートリソースの作成 をクリックします。
  2. 名前 フィールドには、新規コンピュートリソースの名前を入力します。
  3. プロバイダー の一覧から RHV を選択します。
  4. 説明 フィールドには、コンピュートリソースの説明を入力します。
  5. URL フィールドには、Red Hat Virtualization Manager API への接続 URL を入力します。

    たとえば、RHEV 3.6 以前では、URL は https://rhvm.example.com/ovirt-engine/apiの形式、RHV 4.0 以降では https://rhvm.example.com/ovirt-engine/api/v3 の形式となっています。

  6. オプションで APIv4 の使用 (プレビュー) のチェックボックスを選択して、新しいエンジン API を評価します。

    警告

    このセクションに記載する項目は、テクノロジープレビューとして提供しています。テクノロジープレビューの適用範囲のステータスに関する詳細情報およびそれに伴うサポートへの影響については、「テクノロジプレビュー機能のサポート範囲」を参照してください。

  7. ユーザー フィールドには、ユーザー名と、Red Hat Virtualization Manager のリソースにアクセスするためのパーミッションを入力します。
  8. パスワード フィールドで、ユーザーのパスワードを入力します。
  9. データセンターのロード をクリックして、データセンター リストに Red Hat Virtualization 環境のデータセンターを入力します。
  10. データセンター リストからデータセンターを選択します。
  11. クォータ ID から Satellite Server で利用可能なリソースを制限するためにクォータを選択します。
  12. X509 証明機関 フィールドには、SSL/TLS アクセスの証明機関を入力します。または、フィールドを空白にすると、サーバーによる最初の API 要求時に、自己署名証明書が生成されます。
  13. ロケーション タブをクリックして、使用するロケーションを選択します。
  14. 組織 タブをクリックして、使用する組織を選択します。
  15. 送信 をクリックしてコンピュートリソースを保存します。

CLI をご利用の場合

Red Hat Virtualization 接続を作成するには、--providerOvirt を、--uuid で使用するデータセンターの UUID を指定して、hammer compute-resource create コマンドを入力します。

# hammer compute-resource create \
--name "My_RHV" --provider "Ovirt" \
--description "RHV server at rhvm.example.com" \
--url "https://rhvm.example.com/ovirt-engine/api" \
--use-v4 "false" --user "Satellite_User" \
--password "My_Password" \
--locations "New York" --organizations "My_Organization" \
--datacenter "My_Datacenter"

オプションで新規エンジン API を評価するには、--use-v4 オプションを false から true に変更します。

警告

このセクションに記載する項目は、テクノロジープレビューとして提供しています。テクノロジープレビューの適用範囲のステータスに関する詳細情報およびそれに伴うサポートへの影響については、「テクノロジプレビュー機能のサポート範囲」を参照してください。

8.4. Satellite Server への Red Hat Virtualization イメージの追加

Red Hat Virtualization は、仮想マシンを作成するためのイメージとしてテンプレートを使用します。イメージベースのプロビジョニングを使用してホストを作成する場合には、Red Hat Virtualization テンプレートの詳細を Satellite Server に追加する必要があります。これには、アクセスの詳細およびテンプレート名が含まれます。

手順

Red Hat Virtualization 接続を Satellite Server に追加するには、以下の手順を行います。

  1. Satellite Web UI で インフラストラクチャー > コンピュートリソース に移動して、コンピュートリソースのウィンドウで Red Hat Virtualization 接続の名前をクリックします。
  2. イメージ タブをクリックして、新規イメージ をクリックします。
  3. 名前 フィールドに、イメージの名前を入力します。
  4. オペレーティングシステム リストから、イメージのベースオペレーティングシステムを選択します。
  5. アーキテクチャー リストから、オペレーティングシステムのアーキテクチャーを選択します。
  6. ユーザー名 フィールドには、イメージにアクセスするための SSH ユーザー名を入力します。通常、これは root ユーザーになります。
  7. パスワード フィールドには、イメージにアクセスするための SSH パスワードを入力します。
  8. イメージ リストから Red Hat Virtualization のイメージの名前を選択します。
  9. 送信 をクリックしてイメージの詳細を保存します。

CLI をご利用の場合

hammer compute-resource image create コマンドでイメージを作成します。--uuid オプションを使用して、Red Hat Virtualization サーバー上のテンプレート UUID を保存します。

# hammer compute-resource image create --name "Test_RHV_Image" \
--operatingsystem "RedHat 7.2" --architecture "x86_64" --username root \
--uuid "9788910c-4030-4ae0-bad7-603375dd72b1" \
--compute-resource "My_RHV"

8.5. Red Hat Virtualization の詳細のコンピュートプロファイルへの追加

Red Hat Virtualization の仮想マシンの特定のハードウェア設定を事前に定義することができます。これは、これらのハードウェア設定をコンピュートプロファイルに追加することで実行できます。

手順

Red Hat Virtualization の詳細をコンピュートプロファイルに追加するには、以下の手順を行います。

  1. Satellite Web UI で インフラストラクチャー > コンピュートプロファイル に移動して、コンピュートプロファイルのウィンドウで Red Hat Virtualization 接続の名前をクリックします。
  2. クラスター リストから Red Hat Virtualization 環境のターゲットホストクラスターを選択します。
  3. テンプレート リストから コア数 および メモリー 設定に使用する RHV テンプレートを選択します。
  4. コア数 フィールドには、新規ホストに割り当てる CPU コア数を入力します。
  5. メモリー フィールドには、新規ホストに割り当てるメモリーの容量を入力します。
  6. イメージ リストから、イメージベースのプロビジョニングに使用するイメージを選択します。
  7. ネットワークインターフェース エリアには、ホストのネットワークインターフェースのネットワークパラメーターを入力します。ネットワークインターフェースは、複数作成することができますが、少なくとも 1 つのインターフェースが Capsule で管理されるネットワークを参照している必要があります。各ネットワークインターフェースには、以下の情報を入力します。

    1. 名前 フィールドに、ネットワークインターフェースの名前を入力します。
    2. ネットワーク リストから、使用する論理ネットワークを選択します。
  8. ストレージ エリアには、ホストのストレージパラメーターを入力します。ホストのボリュームは複数作成できます。ボリュームごとに以下の情報を入力します。

    1. Size (GB) には、新しいボリュームのサイズを GB 単位で入力します。
    2. ストレージドメイン リストからボリュームのストレージドメインを選択します。
    3. ディスクの事前割り当て から、シンプロビジョニングまたはフルディスクの事前割り当てのいずれかを選択します。
    4. Bootable リストから、ブータブルか、ブータブル以外のボリュームのいずれかを選択します。
  9. 送信 をクリックしてコンピュートプロファイルを保存します。

CLI をご利用の場合

コンピュートプロファイルの CLI コマンドは、Red Hat Satellite 6.5 ではまだ実装されていません。代わりに、ホストの作成プロセスで同じ設定を直接組み込むことができます。

8.6. Red Hat Virtualization サーバーでのネットワークベースのホストの作成

Satellite では、ネットワーク接続経由か、既存のイメージをもとに、Red Hat Virtualization ホストをを作成できます。

ネットワーク接続経由でホストを作成する場合には、ホストが PXE プロビジョニングサービスにアクセスできるように、新規ホストは Red Hat Virtualization 仮想マシン上にある Satellite Server の統合 Capsule か、外部の Capsule Server にアクセスできる必要があります。この新しいホストエントリーにより、Red Hat Virtualization サーバーが仮想マシンを作成して起動するようにトリガーします。仮想マシンが仮想ネットワークで定義済みの Capsule Server を検出した場合には、仮想マシンは PXE 機能を使用してブートして、選択したオペレーティングシステムのインストールを開始します。

DHCP の競合

プロビジョニング目的で Red Hat Virtualization サーバーで仮想ネットワークを使用する場合は、DHCP 割り当てを提供しない仮想ネットワークを必ず選択します。DHCP 割り当ては、新規ホストの起動時に Satellite Server との競合を引き起こします。

この新規ホストのエントリーは、Red Hat Virtualization サーバーが新規ボリュームのベースとして既存イメージを使用し、仮想マシンを作成するようトリガーします。

手順

Red Hat Virtualization Server のホストを作成するには、以下の手順を行います。

  1. Satellite web UI で、ホスト > 新規ホスト に移動します。
  2. 名前 フィールドには、プロビジョニングされたシステムのホスト名に設定する名前を入力します。
  3. 組織 および ロケーション タブをクリックして、プロビジョニングのコンテキストが現在のコンテキストに自動的に設定されていることを確認します。
  4. ホストグループ リストから、フォームの生成に使用するホストグループを選択します。
  5. デプロイ先 リストから、Red Hat Virtualization 接続を選択します。
  6. コンピュートプロファイル リストから、仮想マシンベースの設定を自動的に投入するために使用するプロファイルを選択します。
  7. インターフェース タブをクリックして、ホストのインターフェースで 編集 をクリックします。
  8. フィールドに値が自動投入されていることを確認します。特に以下に注意してください。

    • ホスト タブの 名前DNS 名 になります。
    • Satellite Server は新規ホストの IP アドレスを自動的に割り当てます。
  9. MAC アドレス を空白であることを確認します。Red Hat Virtualization サーバーが MAC アドレスをホストに割り当てます。
  10. ホストの最初のインターフェースで Managed (管理)Primary、および Provision オプションが自動的に選択されていることを確認します。選択されていない場合は、それらを選択してください。
  11. インターフェースウィンドウで、Red Hat Virtualization 固有のフィールドにコンピュートプロファイルの設定が入力されていることを確認します。必要に応じてこれらの設定を変更します。
  12. オペレーティングシステム タブをクリックして、全フィールドに値が自動的に含まれていることを確認します。
  13. ネットワークベースのプロビジョニングでは、プロビジョニング方法ネットワークベース に設定されており、イメージベースのプロビジョニングでは プロビジョニング方法イメージベース に設定されていることを確認します。
  14. プロビジョニングテンプレート解決 をクリックし、新規ホストから使用する適切なプロビジョニングテンプレートを特定できることを確認します。
  15. 仮想マシン タブをクリックして、これらの設定には、ホストグループおよびコンピュートプロファイルからの情報が入力されていることを確認し、必要に応じて変更してください。
  16. パラメーター タブをクリックして、存在するパラメーターでアクティベーションキーが提供されていることを確認します。提供されていない場合には、アクティベーションキーを追加します。
  17. 送信 をクリックしてホストエントリーを保存します。

CLI をご利用の場合

ネットワークベースのプロビジョニングでホストを作成するには、--provision-method build を指定して hammer host create コマンドを実行します。

# hammer host create --name "rhv-test1" --organization "My_Organization" \
--location "New York" --hostgroup "Base" \
--compute-resource "My_RHV" --provision-method build \
--build true --enabled true --managed true \
--interface "managed=true,primary=true,provision=true,compute_name=eth0,compute_network=satnetwork" \
--compute-attributes="cluster=Default,cores=1,memory=1073741824,start=true" \
--volume="size_gb=20G,storage_domain=Data,bootable=true"

いめベースのプロビジョニングでホストを作成するには、--provision-method image を指定して hammer host create コマンドを実行します。

# hammer host create --name "rhv-test2" --organization "My_Organization" \
--location "New York" --hostgroup "Base" \
--compute-resource "My_RHV" --provision-method image \
--image "Test_RHV_Image" --enabled true --managed true \
--interface "managed=true,primary=true,provision=true,compute_name=eth0,compute_network=satnetwork" \
--compute-attributes="cluster=Default,cores=1,memory=1073741824,start=true" \
--volume="size_gb=20G,storage_domain=Data,bootable=true"

このコンピュートリソースに対する他のホスト作成パラメーターの情報は、「付録B Hammer CLI の追加のホストパラメーター」を参照してください。