第15章 リソースのモニタリング
本章では、管理システムのモニタリングとレポーティングの設定方法について説明します。これには、ホストの設定やコンテンツビュー、コンプライアンス、サブスクリプションと現在登録されているホスト、プロモーションおよび同期が含まれます。
15.1. Red Hat Satellite コンテンツダッシュボードの使用
Red Hat Satellite コンテンツダッシュボードには、ホストの設定の概要やコンテンツビュー、コンプライアンスレポート、サブスクリプションと現在登録されているホストの状態についての概要や、プロモーションおよび同期の概要、さらに最新の通知一覧などを提供する各種ウィジェットが含まれています。
コンテンツダッシュボードにアクセスするには、モニター > ダッシュボード に移動します。ダッシュボードは、各ウィジェットをクリックして別の位置にドラッグすることで、配置を変更することができます。以下のウィジェットが利用できます。
- ホスト設定の状態
最後のレポーティング期間におけるホストの設定状態およびそれに該当するホスト数。以下の表では、各設定状態を説明しています。
表15.1 ホスト設定の状態
アイコン 状態 説明 変更をエラーなく実行したホスト
最後のレポーティング期間に変更が正常に実行されたホスト。
エラー状態のホスト
最後のレポーティング期間にエラーが検出されたホスト。
直近 35 分間での良好なホストレポート
直近の 35 分間で変更を行わず、エラーがないホスト。
保留中の変更があるホスト
いくつかのリソースが適用されているものの、Puppet が
noop
モードで実行されるように設定されたホスト。同期していないホスト
同期がされておらず、最後のレポーティング期間にレポートが受信されていないホスト。
レポートのないホスト
最後のレポーティング期間にレポートが受信されていないホスト。
警告が無効にされているホスト
監視対象外のホスト。
設定状態のいずれかをクリックすると、該当するホストが表示されます。
- ホスト設定チャート
- ホスト状態の割合と該当するホストのパーセンテージを示す円グラフ。
- 最新イベント
管理情報、製品、サブスクリプションの変更およびエラーに関するホストが生成するメッセージの一覧です。
すべてのユーザーに送信されるグローバル通知や、異常なアクティビティーまたはエラーを検出するためにこのセクションをモニターします。
- 実行分布 (直近 30 分)
- デフォルトでは 30 分となっている直近の Puppet 間隔中の実行中 Puppet エージェントの分布状況を示すグラフです。このケースでは、各コラムで 3 分間にクライアントから受け取ったレポート数を示しています。
- 新規ホスト
- 最近作成されたホスト一覧。ホストをクリックすると、詳細が表示されます。
- タスクのステータス
- ステータスと結果別に分類される現在のすべてのタスクの概要です。タスク番号をクリックすると、対応するタスクの一覧が表示されます。
- 最新の警告/エラータスク
- 警告またはエラーにより停止している最新タスクの一覧です。タスクをクリックして詳細を確認してください。
- 検出されたホスト
- 検出プラグインによってプロビジョニングネットワークで検出されたベアメタルホストの一覧です。
- 最新のエラータ
- Satellite に登録されているホストで利用できるすべてのエラータの一覧です。
- コンテンツビュー
- Satellite におけるすべてのコンテンツビューおよびそれらの公開状態の一覧です。
- 同期の概要
- Satellite で有効にされているすべての製品またはリポジトリーおよびそれらの同期の状態の概要です。同期待ちになっている製品、同期されていない製品、同期が行われた製品はすべてこのセクションに一覧表示されます。
- ホストサブスクリプションの状態
Satellite に登録されているホストによって現在使用されているサブスクリプションの概要です。サブスクリプションとはご購入いただいた証明書を指します。このサブスクリプションでホストのソフトウェア、アップグレード、およびセキュリティー修正などが利用できるようになります。以下の表はサブスクリプションの状態の種類を示しています。
表15.2 ホストのサブスクリプションの状態
アイコン 状態 説明 無効
製品がインストールされていて、サブスクリプションが適切に使用されていないホストです。これらのホストには早急な対応が必要です。
部分使用
サブスクリプションが使用されていて、有効なエンタイトルメントを持つホストですが、それらのエンタイトルメントは完全には使用されていません。これらのホストが予定通りに設定されていることを確認するために、これらのホストをモニターする必要があります。
有効
有効なエンタイトルメントを有し、それらのエンタイトルメントを完全に使用しているホストです。
サブスクリプションタイプを選択し、選択したタイプのサブスクリプションに関連付けられたホストを表示します。
- サブスクリプションのステータス
- アクティブなサブスクリプションの数、次の 120 日で期限の切れるサブスクリプションの数、および最近期限切れになったサブスクリプションの数を表示する現在のサブスクリプション合計の概要です。
- ホストコレクション
- Satellite 内のすべてのホストコレクションとそれらの状態の一覧で、各ホストコレクション内のコンテンツホストの数なども含まれます。
- Virt-who 設定の状態
環境内のホスト上で稼働している
virt-who
デーモンから受け取ったレポートの状態。以下の状態があります。表15.3 Virt-who 設定状態
状態 説明 レポートなし
virt-who 設定デプロイメント中にエラーが発生したか、設定がデプロイされていないか、もしくは予定された期間に virt-who が Foreman に接続できないか、いずれかのためにレポートが受信されていません。
変更なし
ハイパーバイザーが仮想マシン上で変更を検出していない、または virt-who が予定された期間中にレポートのアップロードに失敗したために、レポートが受信されていません。仮想マシンを追加したものの、設定が 変更なし 状態にある場合は、その virt-who が実行中か確認してください。
OK
予定期間中にエラーなしでレポートが受信されました。
設定合計数
virt-who 設定の合計数。
各状態の設定を表示するには、その設定状態をクリックします。
このウィジェットでは、変更のない最新の設定 にある 変更なし で最新の 3 つの設定も一覧表示されます。
- 最新のコンプライアンスレポート
- 最新のコンプライアンスレポート一覧。各コンプライアンスレポートでは、パス (P)、不合格 (F)、その他 (O) のルール数が表示されます。ホストをクリックすると、コンプライアンスレポートの詳細が表示されます。ポリシーをクリックすると、その詳細が表示されます。
- コンプライアンスレポートの内訳
- コンプライアンスレポートの状態の分布を示す円グラフ。
- Red Hat Insights Actions
- Red Hat Insights は Satellite に組み込まれたツールで、環境をチェックし、実行可能なアクションを提案します。アクションは、可用性、安定性、パフォーマンス、セキュリティーの 4 つに分けられます。
- Red Hat Insights リスクサマリー
リスクレベルに応じたアクションの分布を示す表です。リスクレベルは、アクションの重要性と問題を発生させる可能性を示しています。リスクレベルには、低、中、高、重大があります。
注記Satellite Web UI で表示される日付の形式を変更することはできません。
15.1.1. タスクの管理
Red Hat Satellite は、同期されたリポジトリー、適用されたエラータ、公開されたコンテンツビューなどの計画されたタスクまたは実行されたタスクのすべての詳細なログを保持します。ログを確認するには、モニター > タスク に移動します。このページから、特定のタスクを検索し、状態と詳細を確認し、(該当する場合は) エラーを出したタスクを再開できます。
タスクは Dynflow エンジンを使用して管理されます。リモートタスクには、必要に応じて調整できるタイムアウトが設定されます。
タイムアウト設定を調整するには、以下を実行します。
- 管理 > 設定 に移動します。
- 検索ボックスに %_timeout を入力し、検索 をクリックします。検索では、説明を含む 4 つの設定が返されます。
- 値 のコラムで、数字の横にあるアイコンをクリックして編集します。
- 希望する秒数を入力したら、保存 をクリックします。
低帯域幅の場合は %_finish_timeout 値の編集が役に立つ場合があります。待ち時間が長い場合は %_accept_timeout 値の編集が役立つことがあります。
タスクが初期化されると、Candlepin または Pulp などのタスクで使用されるすべてのバックエンドサービスについて正常に機能するかどうかがチェックされます。チェックにパスしない場合は、次のようなエラーを受信します。
There was an issue with the backend service candlepin: Connection refused – connect(2).
バックエンドサービスチェック機能で問題が発生する場合は、以下の方法で無効にできます。
サービスのチェックを無効にするには、以下を実行します。
- 管理 > 設定 に移動します。
- 検索ボックスに check_services_before_actions を入力し、検索 をクリックします。
- 値 コラムでアイコンをクリックして値を編集します。
- ドロップダウンメニューから false を選択します。
- 保存をクリックします。
15.2. RSS 通知の設定
Satellite のイベント通知アラートを表示するには、画面右上の 通知 アイコンをクリックします。
デフォルトでは、通知エリアには Red Hat Satellite Blog で発行された RSS フィードイベントが表示されます。このフィードは 12 時間ごとに更新され、新規イベントが利用可能となると通知エリアが更新されます。
URL フィードを変更することで RSS フィード通知は設定できます。サポートされるフィード形式は、RSS 2.0 と Atom です。RSS 2.0 フィード構成の例については、Red Hat Satellite Blog feed を参照してください。Atom フィード構成の例については、Foreman blog feed を参照してください。
RSS フィード通知の設定方法
- 管理 > 設定 に移動して、通知 タブを選択します。
- RSS URL の行で、値 コラムの編集アイコンをクリックし、必要な URL を入力します。
- RSS 有効化の行で、値 コラムの編集アイコンをクリックし、この機能を有効または無効にします。
15.3. Satellite Server のモニタリング
Satellite Server Web UI の 概要 ページで、以下の概要情報が確認できます。
- システムステータス (Capsule、利用可能なプロバイダー、コンピュートリソース、およびプラグインを含む)
- サポート情報
- システム情報
- バックエンドシステムの状態
- インストールされたパッケージ
概要 ページに移動するには:
- Satellite Server web UI の右上で 管理 > 概要 をクリックします。
Pulp の失敗後は、同期の遅延のため、最大 10 分間 Pulp のステータスが エラー ではなく、OK と表示される場合があります。
15.4. Capsule Server のモニタリング
以下の項では、Satellite Web UI を使用して、保守とトラブルシューティングに役に立つ Capsule 情報を見つける方法について説明します。
15.4.1. 一般的な Capsule 情報の表示
インフラストラクチャー > Capsules (スマートプロキシー) に移動して、Satellite Server に登録された Capsule Server の表を表示します。表に含まれる情報には以下の質問に対する回答が含まれます。
- Capsule Server は稼働していますか?
-
これは、ステータス 列で緑色のアイコンにより示されます。赤色のアイコンは、非アクティブな Capsule を示します。その Capsule をアクティベートするには、Capsule Server で
service foreman-proxy restart
コマンドを使用します。 - どのサービスが Capsule Server で有効であるか?
- 機能 コラムで、Capsule がたとえば DHCP サービスを提供するかどうか、また Pulp ノードとして動作するかどうかを確認できます。Capsule の機能はインストール中に有効にしたり、後で設定したりできます。詳細については、『Capsule Server のインストール』を参照してください。
- Capsule Server はどの組織およびロケーションに割り当てられているか?
Capsule サーバーは複数の組織およびロケーションに割り当てることができますが、現在選択された組織に属する Capsule のみが表示されます。すべての Capsule をリストするには、左上隅にあるコンテキストメニューから 任意の組織 を選択します。
Capsule 設定の変更後に、アクション コラムのドロップダウンメニューから 更新 を選択して Capsule の表を最新状態にしてください。
詳細情報を表示するには Capsule 名をクリックします。概要 タブでは、Capsule の表にある情報と同じものを見つけることができます。さらに、以下の質問に回答することができます。
- どのホストが Capsule Server によって管理されているか?
- 関連するホストの数は 管理対象ホスト ラベルの横に表示されます。関連するホストの詳細を表示するには、その数をクリックします。
- どれくらいのストレージ容量が Capsule Server で利用可能であるか?
-
/var/lib/pulp
、/var/lib/pulp/content
、および/var/lib/mongodb
で Pulp コンテンツが使用しているストレージ容量が表示されます。また、Capsule で利用可能な残りのストレージ容量を確認できます。
15.4.2. サービスのモニタリング
インフラストラクチャー > Capsules (スマートプロキシー) に移動して、選択された Capsule の名前をクリックします。サービス タブでは、DNS ドメインのリストや Pulp ワーカーの数などの、Capsule サービスに関する基本的な情報を見つけることができます。ページの外観は、Capsule Server で有効なサービスによって異なります。より詳細なステータス情報を提供するサービスには Capsule ページで専用のタブが用意されることがあります (「Puppet の監視」 を参照)。
15.4.3. Puppet の監視
インフラストラクチャー > Capsules (スマートプロキシー) に移動し、選択した Capsule 名をクリックします。Puppet タブでは、以下を確認できます。
- 全般 サブタブで、Puppet イベントの概要、最新の Puppet 実行の概要、関連するホストの同期ステータス 。
- 環境 サブタブで、Puppet 環境のリスト。
Puppet CA タブでは、以下の情報を確認できます。
- 全般 サブタブで、証明書ステータスの概要と自動署名エントリーの数。
- 証明書 サブタブで、Capsule に関連する CA 証明書の表。ここでは、証明書失効データを調べたり、取り消し をクリックして証明書をキャンセルしたりすることができます。
- エントリーの自動署名 サブタブで、自動署名エントリーのリスト。ここでは、新規 をクリックしてエントリーを作成したり、削除 をクリックしてエントリーを削除したりできます。
15.5. トレンドのモニタリング
トレンドを活用すると、Puppet レポートやファクトなど、長期にわたるインフラストラクチャーでの変更を追跡し、それらに応じたプラニングが可能になります。
トレンドを表示するには、以下の手順に従います。
- モニター > トレンド に移動します。
- トレンドページで、トレンド 一覧から選択します。
トレンドを作成するには、以下の手順に従います。
- モニター > トレンド に移動します。
- トレンドページで トレンドカウンターの追加 をクリックします。
- トレンドタイプ 一覧から新規トレンドのカテゴリーを選択します。
- 該当する場合は、Trendable 一覧から新規トレンドの subject を選択します。
- 名前 フィールドに 新規トレンドの名前を入力します。
- 送信 をクリックします。
これが最初のトレンドの場合は、cron
ジョブを作成してトレンドデータを収集します。
# foreman-rake trends:counter
トレンドデータの収集頻度は、設定可能となっています。毎時 0 分に 1 時間ごとにデータを収集する場合は、以下のようにします。
0 * * * * /usr/sbin/foreman-rake trends:counter